Mihata
AI活用2026.04.26更新 2026.09.03

ChatGPT・Gemini・Claude比較2026|中小企業はどれを契約?

結論を先に書きます。2026年8月時点で、中小企業が最初の1本として契約するなら「ChatGPT Business(1席あたり月$25/年払いなら月$20・最低2席)」が最も外れにくい選択です。理由は性能ではなく、社内に一番早く定着するからです。ただし例外が3つあり、なかでもGoogle Workspace の Business Standard 以上(1席 月1,600円〜)をすでに契約している会社は、追加費用ゼロで Gemini が使えるため、まずそちらを2か月使い倒してから判断すべきです。

最終更新:2026年9月3日(2026年9月3日に3社の公式ドキュメントを再取得し、この2日間で2社が動いたことを反映しました。①Anthropic が2026年9月1日に Claude Fable 5.1(と Mythos 5.1)を発表・即日提供開始。入出力単価は Fable 5 と同じ$10/$50のまま、キャッシュ読み取りだけ$1→$0.25と75%下がり、知識カットオフが2026年1月→6月へ更新されました。Fable 5 は退役ではなく Legacy として提供継続です。②Google が2026年9月2日に Gemini 3.8 Flash と 3.8 Flash Cyberを一般提供開始。料金は3.7 Flash と同額で、Flash 系は6週間で3世代進みました。③OpenAI は2026年9月3日(米国時間)に GPT-6 Astra を発表・提供開始しました(入力$10/出力$50)。ただし発表当日は一般提供ではなく限定組織からのロールアウトで、Enterprise では既定がオフのため、下の表は当面 GPT-5.6 系を基準にしています。Claude Sonnet 5 の$2/$10 も9月1日に値上げが実施されないことを再確認済みです。以下は8月19日の更新内容です。2026年8月19日に Anthropic 公式の料金ページ・提供終了ページ、Google の Gemini API changelog、OpenAI のニュース一覧を再確認しました。3社とも新モデルの発表はなく、Claude Sonnet 5 の $2/$10 も標準価格のままです。この日、主要モデル表の Claude Sonnet 5 の単価欄に「8/31まで。9/1以降 $3/$15」という取りやめ済みの予定が残っていたのを修正しました——本文では8月15日に訂正済みでしたが、表だけ古い値が残っていました。以下は8月15日の更新内容です。Google の Gemini 3.7 Flash が8月13日に一般提供(GA)になったことと、Claude Sonnet 5 の $2/$10 が標準価格になり、8月31日での導入価格終了=9月1日からの $3/$15 への値上げが取りやめになったことを反映。あわせて Gemini Flash 系の API 単価を公式料金ページの現行値へ更新しました。Claude Opus 4.1 の提供終了は完了済み)。金額はすべて各社公式ページの表記どおり、米ドル建てのものはドルのまま記載しています。

結論:中小企業が最初に契約するなら ChatGPT Business

3社とも汎用業務では十分な水準に達しており、「1社だけが圧倒的に優れている」状態ではありません。だからこそ、選定基準は性能ではなく「社内の誰が、どれだけ早く使えるようになるか」に置くべきです。この観点では ChatGPT Business が最も有利です。

ChatGPT Business を最初に推す3つの理由

  • 解約のハードルが低い:最低2席から始められ、年契約の縛りなしで月払いも選べます。まず情シスと担当者の2人だけで契約し、合わなければ翌月やめられます。
  • 社内に教材が一番多い:利用者数が最も多く、日本語の解説記事・書籍・社内勉強会の素材が揃っています。「使える人」を増やす速度がそのまま導入効果になります。
  • 入力データが既定で学習に使われない:OpenAI は ChatGPT Business・Enterprise・Edu・API について、既定では入力・出力をモデルの学習に使わないと明記しています(Business data privacy, security, and compliance | OpenAI)。

逆に言えば、これは「ChatGPT のモデルが一番賢いから」という推薦ではありません。ベンチマーク上の総合力では Anthropic の Claude Fable 5 や Claude Opus 5 が上に来る場面も多く、コストだけなら Gemini 3.5 Flash-Lite が圧倒的に安いです。それでも最初の1本としては、定着の速さと解約のしやすさが効きます。

ChatGPT Business を選ばないほうがいい3つのケース

  • Google Workspace の Business Standard 以上を契約済み:Gemini が Gmail・ドキュメント・Meet などに同梱されており、追加契約は不要です。まずこれを使い切ってから、足りない部分だけ他社を足すのが最も安上がりです。
  • 業務の中心が「長い文書を読ませる・書かせる」:契約書・議事録・仕様書・過去資料の読み込みが主用途なら Claude Team のほうが合います。後述のとおり、Claude は100万トークンのコンテキスト全域を通常単価で課金する点も効いてきます。
  • 半年以内に自社システムへの組み込みを予定している:チャット画面ではなくAPIで使うなら、席課金ではなくトークン単価で選ぶべきです。この場合は Gemini 3.5 Flash-Lite や Claude Haiku 4.5 のような低単価モデルが第一候補になります。

2026年8月時点の最新ラインナップ早見表

まず現在地を揃えます。この半年でモデルが入れ替わっており、2026年前半に書かれた比較記事の多くはすでに世代が1つ古い状態です。以下は各社公式ドキュメントの記載をそのまま整理したものです。

提供元

モデル

提供状況

コンテキスト

最大出力

API単価(入力/出力・100万トークン)

OpenAI

GPT-5.6 Sol

一般提供(2026/7/9)

約105万トークン

12.8万トークン

$4 / $20(長コンテキスト時 $8 / $30)

OpenAI

GPT-5.6 Terra

一般提供

約105万トークン

12.8万トークン

$2 / $12(長コンテキスト時 $4 / $18)

OpenAI

GPT-5.6 Luna

一般提供

約105万トークン

12.8万トークン

$0.20 / $1.20(長コンテキスト時 $0.40 / $1.80)

Anthropic

Claude Fable 5.1

一般提供(2026/9/1)

100万トークン

12.8万トークン

$10 / $50(Fable 5と同額。ただしキャッシュ読み取りのみ$1→$0.25)

Anthropic

Claude Fable 5(Legacy・提供継続)

一般提供(2026/6/9)

100万トークン

12.8万トークン

$10 / $50

Anthropic

Claude Opus 5

一般提供(2026/7/24)

100万トークン

12.8万トークン

$5 / $25

Anthropic

Claude Sonnet 5

一般提供(2026/6/30)

100万トークン

12.8万トークン

$2 / $10(値上げ取りやめで標準価格化)

Anthropic

Claude Haiku 4.5

一般提供

20万トークン

6.4万トークン

$1 / $5

Anthropic

Claude Opus 4.1

非推奨(2026/8/5 提供終了)

20万トークン

3.2万トークン

$15 / $75

Google

Gemini 3.8 Flash

一般提供(2026/9/2)

100万トークン

6.4万トークン

$0.75 / $3.75(2026/12/31まで。2027/1/1から$1.50 / $7.50。3.7・3.6と同額)

Google

Gemini 3.7 Flash

一般提供(2026/8/13)

100万トークン

6.4万トークン

$0.75 / $3.75(2026/12/31まで。2027/1/1から$1.50 / $7.50)

Google

Gemini 3.6 Flash

一般提供(2026/7/21)

100万トークン

6.4万トークン

$0.75 / $3.75(2026/12/31まで。2027/1/1から$1.50 / $7.50)

Google

Gemini 3.5 Flash

一般提供

未確認

未確認

$1.50 / $9

Google

Gemini 3.5 Flash-Lite

一般提供

未確認

未確認

$0.30 / $2.50

Google

Gemini 3.1 Pro

プレビュー

未確認

未確認

未確認

Google

Gemini 3.5 Pro

未提供

出典はAnthropic「Models overview」OpenAI「API Pricing」Google「Gemini API pricing」です。表中の「未確認」は、公式ページで数値を確認できなかった項目です。推測値は載せていません。

誤解しやすい点:Gemini 3.5 Pro はまだ提供されていない

比較記事や社内資料で最も事故が多いのがここです。Google は2026年7月21日に Gemini 3.6 Flash・3.5 Flash-Lite・3.5 Flash Cyber の3モデルを公開しましたが、Pro系の 3.5 Pro は含まれていませんTechCrunch「Google releases three new Gemini models — but no 3.5 Pro」)。2026年8月15日時点でも Gemini API のモデル一覧に 3.5 Pro の記載はなく、Pro系は Gemini 3.1 Pro がプレビュー扱いのままです。その一方で Flash 系だけは更新が続いており、2026年8月13日に Gemini 3.7 Flash(モデルID: gemini-3.7-flash)が一般提供(GA)になりました。3.6 Flash の公開からわずか3週間後で、導入価格は 3.6 Flash と同額(入力$0.75/出力$3.75・100万トークンあたり・2026年12月31日まで)です。

つまり「Gemini の最上位=3.5 Pro」を前提にした稟議書は、その前提が成立していません。現時点で法人が業務に使う Gemini の主力は Flash 系(最新は2026年9月2日GAの 3.8 Flash、その前が 3.7 Flash・3.6 Flash)だと考えるのが正確です。詳細はGemini 3.6 Flash の料金と3.5 Flash との違いにまとめています。

料金で比べる:法人が実際に払う月額

API単価の表は目立ちますが、中小企業が実際に払うのはほとんどの場合席課金(1人あたり月額)です。ここが一番効くので、公式ページの表記どおりに並べます。

プラン

月額(月払い)

月額(年払い時の実質)

席数条件

備考

ChatGPT Business(旧Team)

$25/席

$20/席

最低2席

2026年4月に1席あたり$5値下げ

ChatGPT Enterprise

非公開(要見積もり)

要問い合わせ

年契約が前提

Claude Team(標準シート)

$25/席

$20/席

2〜150人

SSO・監査ログ・管理者機能つき

Claude Team(プレミアムシート)

$125/席

$100/席

2〜150人

Claude Code の利用枠が大きい

Claude Enterprise

$20/席+API相当の従量課金

要問い合わせ

SCIM・監査API・データ保持設定

Google Workspace Business Starter

800円/席

1席から

GeminiはGmail中心。ドキュメント・スプレッドシートは対象外

Google Workspace Business Standard

1,600円/席

1席から

Gmail・ドキュメント・Meet などでGemini利用可

Google Workspace Business Plus

2,500円/席

1席から

スプレッドシート・スライド・ドライブ・チャットまで拡大

Google AI Pro(個人向け)

2,900円

個人

Gemini 3.1 Pro へのフルアクセス、ストレージ5TB

Google AI Plus(個人向け)

725円

個人

無料枠の2倍の利用量

出典はClaude の料金ページGoogle Workspace の料金ページGoogle AI のサブスクリプションChatGPT の料金ページです。Google Workspace の金額は通常価格で、初回3か月は割引価格(Starter 400円/Standard 800円/Plus 1,250円)が適用されます。

この表から読み取れる実務的な結論は2つです。ひとつ、ChatGPT Business と Claude Team は席単価がまったく同じ(月$25/年払い$20)です。価格で優劣はつきません。ふたつ、Google だけは席課金の構造が違います。Gemini 単体の追加契約ではなく Workspace のプラン料金に含まれる形なので、すでに Business Standard 以上なら実質的な追加コストはゼロです。逆に Starter のままだと、ドキュメントやスプレッドシートで Gemini が使えず「入れたつもりで使えない」という食い違いが起きます。

API単価で比べる:同じ仕事をさせたときのコスト感

自社システムやツールに組み込む場合は席課金ではなく従量課金になります。イメージを掴むために、月に入力500万トークン・出力100万トークンを使う想定で単純計算した金額を並べます(キャッシュ割引・バッチ割引は適用しない場合)。

モデル

入力500万トークン

出力100万トークン

月額合計

Claude Fable 5

$50

$50

$100

Claude Opus 5

$25

$25

$50

GPT-5.6 Sol

$20

$20

$40

GPT-5.6 Terra

$10

$12

$22

Claude Sonnet 5

$10

$10

$20

Claude Haiku 4.5

$5

$5

$10

Gemini 3.7 Flash/3.6 Flash

$3.75

$3.75

$7.50

Gemini 3.5 Flash-Lite

$1.50

$2.50

$4

GPT-5.6 Luna

$1

$1.20

$2.20

同じ作業量でも最上位と最安値では45倍の開きがあります(GPT-5.6 の単価は短いコンテキストで計算しています。2026年7月30日の引き下げと、その後の短/長コンテキスト2段階制への変更を反映し、2026年8月30日に公式の料金ページで取り直した値です)。社内問い合わせの一次対応や定型的な分類・要約であれば、Gemini 3.5 Flash-Lite・Claude Haiku 4.5・GPT-5.6 Luna のような下位モデルで十分足りるケースが大半です。「とりあえず最上位モデル」で試算した見積もりは、まず高すぎます。

GPT-5.6 Sol の単価は期限つきのプロモーションです。OpenAI の料金ページには「Sol の割引料金は少なくとも2026年11月21日まで有効」と注記があり、それ以降も同じ単価が続く保証はありません。年間予算を Sol 前提で組むなら、11月時点で必ず取り直してください。

なお、3社ともバッチ処理で50%割引、プロンプトキャッシュのヒットで入力単価が大幅に下がる仕組みがあります(Anthropic はキャッシュヒットが標準入力の10%、Google は文脈キャッシュで最大90%削減と公表)。定型のシステムプロンプトを毎回送る作りなら、ここで実際の請求額は変わります。

見積もりが1.7倍になる「長コンテキスト課金」の罠

ここが他の比較記事でほとんど触れられていない、実務で一番効くポイントです。OpenAI の GPT-5.6 は、1リクエストの入力が27万2,000トークンを超えると、そのリクエスト全体が入力2倍・出力1.5倍で課金されます。公式ドキュメントに「2x input and 1.5x output for the full request」と明記されています(OpenAI「GPT-5.6 Sol」モデルページ)。

先ほどの試算で言えば、GPT-5.6 Sol の月$40は、すべてのリクエストが長コンテキスト帯に入ると$70になります。約1.75倍です。「100万トークンの文脈が使える」という宣伝文句だけを見て見積もりを作ると、実際の請求で確実に事故ります。

対して Anthropic は、Claude 4.6 世代以降は100万トークンのコンテキスト全域を通常単価で課金すると明記しています。「90万トークンのリクエストも9,000トークンのリクエストも、1トークンあたりの単価は同じ」という書き方です(Anthropic「Pricing」)。過去資料をまとめて読ませる用途が中心なら、この差は毎月の請求書に効いてきます。

もうひとつ、日本語特有の注意点があります。Anthropic は Claude 4.7 世代以降で新しいトークナイザを採用しており、同じ文章でも従来比で約30%多くトークンが出ると公式に注意書きしています。単価が下がってもトークン数が増えるため、単価表だけで前世代と比較すると読み違えます。

日本語・業務適性で比べる

日本語の自然さは、3社とも実務で問題ない水準に到達しています。決定的な差はもうありません。そのうえで、契約判断に関係する差だけを挙げます。

  • 知識の新しさ:Claude Opus 5 の信頼できる知識カットオフは2026年5月、GPT-5.6 Sol は2026年2月16日、Gemini 3.6 Flash は2026年3月と報じられています(2026年8月13日GAの Gemini 3.7 Flash も、Google DeepMind 公式のモデルカードで2026年3月と明記されています)。Claude Fable 5 と Sonnet 5 は2026年1月です。「最上位モデルのほうが知識が新しい」とは限らない点に注意してください。
  • チャット画面のコンテキスト長:APIでは100万トークンでも、チャットUIでは別枠です。Claude の料金ページは各プランのコンテキストを20万トークンと表記しています。「100万トークン対応だから大丈夫」と社内に説明すると齟齬が生まれます。
  • 既存ツールへの入り込み方:Gemini は Gmail・ドキュメント・スプレッドシートの中に直接現れます。画面を切り替えなくていいというだけで、社内の利用率は目に見えて変わります。逆に Workspace を使っていない会社では、この最大の利点が消えます。

性能差より効くのは、結局のところ指示の出し方です。同じモデルでも、指示文の書き方ひとつで出力品質は大きく変わります。契約と同時に、プロンプトの書き方の型を社内で共有する前提で最初の1か月を設計してください。

用途別の使い分けマトリクス

「どれが最強か」ではなく「どの業務にどれを当てるか」で考えると、判断はぐっと楽になります。◎=特に相性が良い、○=十分実用的、という目安です。優劣を断定するものではありません。

業務・用途

ChatGPT(GPT-5.6)

Gemini(3.7 Flash/3.6 Flash)

Claude(Opus 5/Sonnet 5)

メール・社内文書の作成

◎(Gmail内で完結)

長い資料・契約書の読み込みと要約

○(長コンテキストは割増課金)

◎(100万トークンまで通常単価)

表計算・データ整理

◎(スプレッドシート連携)

資料作成・スライド下書き

◎(スライド連携)

コード生成・社内ツール開発

調べ物・企画の壁打ち

◎(検索連携)

社内ナレッジ検索(RAG構築)

◎(単価が最安)

社内への定着のしやすさ

◎(情報量が最多)

◎(既存画面の中にある)

表を見ると分かるとおり、明確に差がつくのは「長文の読み込み」「Google Workspace 内の作業」「情報量の多さ」の3か所だけです。それ以外はどれを選んでも大差ありません。差がつかない部分を比較検討に時間をかけるより、差がつく3か所が自社に当てはまるかだけを見て決めるほうが早いというのが実務上の答えです。

情報漏洩・セキュリティで比べる

中小企業が本当に気にすべきは料金ではなく、入力したデータの扱いです。結論として、3社とも法人向けプランでは入力データを既定でモデルの学習に使いません。各社の公式表記を並べます。

項目

OpenAI

Google

Anthropic

法人プランでの学習利用

既定で使わない(Business/Enterprise/Edu/API)

顧客の事前の許可・指示なしに学習・ファインチューニングに使わない

商用規約に「Anthropic may not train models on Customer Content from Services」と明記

個人・無料プランでの扱い

既定で学習に使われうる(設定でオフ可)

個人向けGeminiは別規約。業務利用は非推奨

既定では学習に使わない。設定でオプトインした場合と安全性フラグ時のみ利用

ドメイン外への人手レビュー

未確認

許可なく行わないと明記

未確認

データ保持のゼロ化

Zero Data Retention を申請可(要審査)

未確認

対象APIとClaude Code for Enterpriseで申請可(要承認)

不正利用監視ログの保持

既定で最大30日

未確認

安全性分類の結果は保持

出典はOpenAI「Your data」OpenAI「Enterprise privacy」Google Workspace「Generative AI privacy hub」Anthropic「Commercial Terms of Service」およびAnthropic「Is my data used for model training?」です。表中の「未確認」は、今回の調査で公式ページに明確な記載を見つけられなかった項目です。契約前には必ず自社で確認してください。

「学習に使わない」と「絶対に漏れない」は別物

ここを混同したまま社内に説明すると、あとで火が出ます。3社とも安全性の確認や不正利用監視のために一定期間データを保持します。OpenAI は既定で最大30日、Anthropic はゼロデータ保持契約下でも安全性分類の結果は保持すると明記しています。「学習に使わない」は「サーバーに一切残らない」という意味ではありません。

そしてもうひとつ、より現実的なリスクが従業員の個人アカウント利用(シャドーAI)です。会社が法人プランを契約しても、社員が自分の無料アカウントに顧客情報を貼り付けたら意味がありません。契約と同時に、AIに入力してはいけない情報の線引きを1枚にまとめて全社に配ってください。順序としては、契約より先にこの1枚を作るくらいでちょうどいいです。

2026年8月に効く期限(契約タイミングに直結)

この記事で最も実務的な情報がここです。8月には契約と見積もりに直接効く期限が2つありましたが、1つ(Claude Opus 4.1 の提供終了)はすでに通過し、もう1つ(Claude Sonnet 5 の導入価格終了)は取りやめになりました。どちらも Anthropic 側の話ですが、他社と比較して契約を決める段階では無視できないので、確定した内容を残しておきます。

【通過済み】8月5日:Claude Opus 4.1 は提供終了しました

Claude Opus 4.1(claude-opus-4-1-20250805)は2026年8月5日に提供終了(Retired)しました。Anthropic 公式のモデル一覧でも状態が「Retired」に変わり、履歴に「This model was retired August 5, 2026.」と明記されています(Anthropic「Model deprecations」)。影響を受けるのは、モデルIDを直書きして社内ツールやチャットボットを作っている会社です。すでに当該IDへのリクエストは通りません。8月5日以降に社内ツールが急に動かなくなった心当たりがあるなら、まずここを疑ってください。

移行先は Claude Opus 5 です。単価は $15/$75 から $5/$25 へ下がるので、コスト面ではむしろ有利になります。ただし移行作業そのものは自動では起きません。外注先に構築を任せている場合、この期限を先方が把握しているか、今週中に一度確認しておくことをおすすめします。開発ベンダー依存のリスクについてはClaude Opus 5 の料金とFable 5 との違いで詳しく整理しています。

【取りやめ】8月31日の Claude Sonnet 5 値上げは実施されないことが決まりました

ここは見立てが変わりました。Claude Sonnet 5 の $2/$10(100万トークンあたり入力/出力)は、当初「2026年8月31日までの導入価格」で、9月1日から標準価格の $3/$15 に切り替わる=単価ベースで50%の値上げになる、と案内されていました。この値上げは実施されないことになり、$2/$10 がそのまま標準価格になりました。Anthropic 公式の料金ページに「The $2/$10 per million input/output token pricing for Claude Sonnet 5, announced at launch as introductory pricing through August 31, 2026, is now the standard price. The previously scheduled increase to $3/$15 per million input/output tokens on September 1, 2026 will not occur.(発表時に2026年8月31日までの導入価格として案内した $2/$10 は、現在は標準価格です。2026年9月1日に予定されていた $3/$15 への引き上げは実施されません)」と明記されています(Anthropic「Pricing」・2026年8月15日確認)。

実務上のポイントは2つです。1つは、9月から値上げになる前提で来期予算を組んでいた場合は引き直せること。先ほどの試算(入力500万・出力100万トークン)で言えば、月$30になるはずだったものが月$20のまま据え置かれます。もう1つは、「8月中に大量バッチを前倒しで回す」という駆け込みの必要がなくなったことです。バッチAPIの50%割引と組み合わせた $1/$5 相当という単価も、期限なしで使えます。ただし「導入価格」という言い方で急かす情報が今も出回っているので、社内で判断するときは必ず公式の料金ページを見てください。

あわせて、Sonnet 5 は2026年6月30日に公開された比較的新しいモデルで、無料プランとProプランの既定モデルでもあります(Anthropic「Introducing Claude Sonnet 5」)。無料プランとProプランの既定モデルが変わったということは、社内で「いつものClaude」の挙動も6月末から変わっているということです。過去に社内で作った出力の型やプロンプトが同じように動くとは限らないため、契約更新のタイミングで一度動作を見直してください。

契約前によく起きる4つの失敗パターン

ここまでの数字を踏まえて、実際の選定でつまずきやすい箇所を挙げます。どれも「比較表を真面目に読んだ会社ほど起きやすい」タイプの失敗です。

失敗1:最上位モデルの単価で見積もりを作ってしまう

比較表の一番上にあるモデル(Claude Fable 5、GPT-5.6 Sol)で試算すると、実態の5倍から10倍の金額が出ます。社内問い合わせの一次対応、メールの下書き、データの分類といった業務の大半は、下位モデルで品質が足ります。見積もりは下位モデルで作り、精度が足りなかった処理だけ上位モデルに上げるのが正しい順序です。先に上位モデルで試算すると、金額の大きさに驚いて導入自体が止まります。

失敗2:Google Workspace の Starter で「Geminiが入っている」と思い込む

Google Workspace は Starter(1席 月800円)でも Gemini に触れますが、Google の料金ページの記載では Gmail 中心で、ドキュメント・スプレッドシート・スライド・ドライブ・チャットは対象外です。「Workspace を契約しているから Gemini は使えるはず」と社内に案内したあとで、スプレッドシートで使えないことが発覚するという食い違いがよく起きます。表計算での活用を想定しているなら Business Plus(1席 月2,500円)まで見ておく必要があります。

失敗3:チャット画面の制限とAPIの制限を混同する

「100万トークン対応」はAPIの話です。チャットUIでは別の制限がかかります。Claude の料金ページは各プランのコンテキストを20万トークンと表記しています。数百ページのPDFを1回で読ませる前提で稟議を通したのに、実際のチャット画面では分割が必要だったというのは典型的な事故です。長文処理が要件なら、契約前に実データで試すか、API経由の構築を前提に考えてください。

失敗4:無料プランで検証して、そのまま業務データを入れてしまう

無料プランで比較検証すること自体は正しい進め方です。問題は、検証中に本物の顧客名や取引条件を入力してしまうことです。無料・個人プランは各社で学習利用の扱いが異なり、既定でオンになっている場合もあります。検証は必ずダミーデータで行い、本番データを入れるのは法人プランを契約したあとにしてください。この順序を守るだけで、導入初期の情報漏洩リスクはほぼ消えます。

結局どう選ぶか:3つの質問で決める判断フレーム

比較表を全部読んでも決まらない、というのが一番よくある状態です。以下の3問に順番に答えれば、5分で1社に絞れます。

質問1:Google Workspace の Business Standard 以上を契約していますか?

はい→ まず Gemini を2か月使い倒してください。追加費用はゼロです。何が足りないかが具体的に言語化できてから、2社目を検討します。いいえ(またはStarter)→ 質問2へ進みます。Starter のままだとドキュメント・スプレッドシートで Gemini が使えないので、Standard への切り替えと ChatGPT Business の契約を同じ土俵で比較することになります。

質問2:主な用途は「長い文書を読ませる・書かせる」ですか?

はい→ Claude Team($25/席、年払い$20)が有力です。契約書レビュー、議事録、仕様書、過去資料の横断検索といった用途で、100万トークン全域が通常単価という料金構造が効きます。いいえ、幅広く使いたい→ ChatGPT Business(同額)が無難です。調べ物・企画・画像・資料作成まで守備範囲が広く、社内の教材も一番豊富です。なお Claude Team を検討するなら、席に付いてくる業務代行機能「Claude Cowork」まで含めて比較すると判断がぶれません(Claude Coworkの料金・使い方と中小企業での使いどころ)。

質問3:半年以内に自社システムへの組み込み予定がありますか?

はい→ 席課金プランとは別に、API単価と長コンテキスト課金の条件まで見て決めてください。定型処理が中心なら Gemini 3.5 Flash-Lite(月$4相当)や Claude Haiku 4.5(月$10相当)で足ります。いいえ→ 席課金プランだけで決めて問題ありません。APIの単価表は無視してかまいません。

この3問で決められない場合、たいてい原因は「AIで何をやりたいかが決まっていない」ことにあります。その場合はツール選定より先に、業務のどこに時間が溶けているかの棚卸しから始めたほうが早いです。GPT-5.6 の各モデルの使い分けはGPT-5.6 の料金とモデルの選び方にまとめました。

Mihata では、こうした「どのAIを、どの業務に、どの契約形態で入れるか」を中小企業の現場に合わせて整理するAI導入支援を行っています。月1回のミーティングで組織全体のリテラシーを底上げしていく形なので、契約直前の相談だけでもかまいません。判断材料が揃わないまま契約して失敗するより、先に一度整理したほうが結果的に安く済みます。

なお、モデル単体ではなく「開発ツールとしてどれを使うか」で迷っている場合は、選び方の軸がひとつ増えます。AWS の Kiro は、チャットで即コードを書かせるのではなく要件・設計・タスクを踏ませる仕様駆動型で、Cursor や GitHub Copilot とは設計思想がはっきり違います。違いと料金はKiro(AWS)の仕様駆動AI IDEと料金を整理した記事にまとめました。

まとめ:契約前に押さえる5つの数字

最後に、稟議書にそのまま書ける形で要点を並べます。

  • 席課金は ChatGPT Business と Claude Team が同額(月$25/年払い$20、最低2席)。価格で優劣はつきません。
  • Google Workspace Business Standard 以上なら Gemini の追加費用はゼロ(1席 月1,600円〜)。Starter は対象範囲が狭いので注意。
  • GPT-5.6 は入力27万2,000トークン超で入力2倍・出力1.5倍。長文を読ませる用途では見積もりが約1.7倍になります。
  • Claude Opus 4.1 は2026年8月5日に提供終了済み。モデルIDを直書きした社内ツールが動かないなら、まずここを疑ってください。
  • Claude Sonnet 5 の $2/$10 は標準価格になりました。8月31日での導入価格終了=9月1日からの $3/$15(50%増)は取りやめです(2026年8月15日に公式料金ページで確認)。駆け込みバッチの必要はありません。

そして最も重要な前提として、モデルも料金も数か月で変わります。この記事は2026年8月13日時点の各社公式情報に基づいていますが、契約直前には必ず公式ページで最新の金額とプラン内容を確認してください。実際、この記事の前回更新(7月27日)から今回までの間にも、Claude Opus 4.1 の提供終了が実際に完了し、xAI が Grok 4.6(8月12日)を出しています。数か月どころか2週間で前提が動くのがいまのAI市場です。

自社の業務に合わせた独自AIの構築まで見据えている場合は、独自AI開発のページもあわせてご覧ください。契約するモデルの選定から社内定着まで、一貫してご相談いただけます。

なお同じGeminiの系譜には、ロボットの全身制御を担うモデル群も登場しています(Gemini Robotics 2とは?全身制御と3モデルの違い)。

どのサービスを選ぶにしても、個人契約のまま業務利用してよいのか、法人契約に切り替えるべきかは別途整理が必要です。生成AIの個人契約と法人契約の違い|業務で見るべき4点で解説しています。

よくある質問

中小企業が最初に契約するなら、どれがおすすめですか?

最初の1本としてはChatGPT Business(1席あたり月25ドル、年払いなら月20ドル、最低2席)が最も外れにくい選択です。性能ではなく、社内で使える人を増やしやすく解約もしやすいという理由です。ただしGoogle Workspace のBusiness Standard以上を契約済みなら、追加費用ゼロでGeminiが使えるため、まずそちらを2か月使ってから判断してください。長い文書の読み込みが主用途ならClaude Teamが有力です。

ChatGPT BusinessとClaude Teamはどちらが安いですか?

席単価は同額です。どちらも月払いで1席あたり25ドル、年払いなら20ドル相当で、最低2席から契約できます。価格では優劣がつかないため、用途で選ぶのが現実的です。文書の読み込み・作成が中心ならClaude Team、調べ物や資料作成まで幅広く使うならChatGPT Businessが向いています。

Gemini 3.5 Proは使えますか?

2026年7月27日時点で一般提供されていません。Googleは2026年7月21日にGemini 3.6 Flash、3.5 Flash-Lite、3.5 Flash Cyberの3モデルを公開しましたが、3.5 Proは含まれていません。Gemini APIのモデル一覧にも記載がなく、Pro系はGemini 3.1 Proがプレビュー扱いです。法人が業務で使うGeminiの主力は現時点でGemini 3.6 Flashと考えるのが正確です。

2026年8月に何か契約上の期限がありますか?

2つありましたが、どちらも決着しました。1つ目のClaude Opus 4.1は2026年8月5日に提供終了(Retired)済みで、モデルIDを直書きした社内ツールは現在リクエストが通りません。2つ目のClaude Sonnet 5の導入価格の終了(2026年8月31日)は取りやめになりました。100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドルが9月1日から入力3ドル・出力15ドルに上がる予定でしたが、公式の料金ページはこの2ドル・10ドルを現在は標準価格と明記しており、9月1日の引き上げは実施されません。9月からの値上げを前提に来期予算を組んでいた場合は引き直してください。

入力したデータが学習に使われないか心配です。

3社とも法人向けプランでは入力データを既定でモデルの学習に使いません。OpenAIはChatGPT Business・Enterprise・Edu・APIについて既定で使わないと明記し、Googleは顧客の事前の許可なく学習に使わないとしています。Anthropicは商用規約で顧客コンテンツを学習に使わないと定めています。ただし学習に使わないことと、サーバーに一切残らないことは別です。安全性確認や不正利用監視のために一定期間データが保持される点は理解しておいてください。

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