Mihata
Web制作2026.06.05

補助金でホームページは対象になる?2026年デジタル化・AI導入補助金の条件

「補助金でホームページを作れる」という話を耳にして検索された方へ、最初に結論をお伝えします。2026年度のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では、デザインやコーディングだけの一般的なホームページ制作費は補助対象外です。一方で、予約システム・AIチャットボット・受発注/在庫管理といった「業務プロセスを効率化するITツール」部分は対象になり得ます。つまり「HPを作るための補助金」ではなく「HPに載せる業務システムへの補助金」と理解するのが正確です。

この記事では、2026年の最新制度をもとに「自社のHP案件が補助対象になる条件」を、対象/対象外の線引き・もう一つの選択肢である持続化補助金との使い分け・申請の落とし穴まで、Web制作の実務視点で整理します。曖昧な情報に振り回されず、自社が申請すべきかどうかを判断できる状態をゴールにします。

デジタル化・AI導入補助金2026とは(旧IT導入補助金)

まず制度の全体像です。2026年度(令和8年度)から、これまでの「IT導入補助金」はデジタル化・AI導入補助金へと名称が変わりました。正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」です。名称変更の背景には、中小企業のデジタル化推進とAI活用の重要性を広く周知する狙いがあります。

制度の基本構造は旧IT導入補助金を引き継いでおり、あらかじめ事務局に登録されたITツールを、登録されたIT導入支援事業者(ベンダー)経由で導入することが前提です。事業者が好きなツールや制作会社を自由に選んで申請できるわけではない、という点が最初の重要ポイントです。詳細は中小企業基盤整備機構が運営するデジタル化・AI導入補助金2026の公式サイトで確認できます。

申請枠と補助額の早見表

2026年の主な申請枠と補助額・補助率は以下の通りです。HP関連の業務システムは、主に「通常枠」での申請が中心になります。

申請枠

補助額

補助率

通常枠(1プロセス以上)

5万〜150万円未満

1/2以内

通常枠(4プロセス以上)

150万〜450万円以下

1/2以内

インボイス枠(インボイス対応類型)

〜350万円

2/3〜3/4以内

インボイス枠(電子取引類型)

〜350万円

2/3以内

セキュリティ対策推進枠

5万〜150万円

1/2〜2/3以内

補助率は原則1/2で、最低賃金近傍の事業者や小規模事業者で賃上げ要件を満たす場合に引き上げられる類型があります。補助率や上限額は枠と類型で細かく異なるため、自社が狙う枠の中小企業庁が公開する公募要領(2026年版)を必ず確認してください。

ホームページは対象になる?対象/対象外の線引き

本題です。「HP制作が補助対象になるか」は、そのサイトに何の機能が載っているかで判定が分かれます。実務でお問い合わせを受ける際も、ここの誤解が最も多い部分です。判定の軸は「単なる情報発信か、業務プロセスを効率化するシステムか」の一点に尽きます。

サイト・機能の種類

2026年の扱い

補足

コーポレートサイト(会社案内・デザイン制作)

対象外

デザイン・コーディングのみは補助対象にならない

一般的なECサイト制作

原則対象外

既存サイトのリニューアル・商品ページ追加は対象外

新規にEC(販売)機能を実装する業務ツール

限定的に対象

登録されたECツールを新規導入する場合に限る

予約管理システム

対象になり得る

登録ツールであることが前提

AIチャットボット(顧客対応・販促)

対象になり得る

AI機能を持つ登録ツールとして申請されたもの

顧客管理(CRM)・受発注・在庫管理

対象になり得る

業務プロセスの効率化に該当

ポイントは、同じ「HP制作案件」でもデザイン費は対象外、載せる業務システム部分は対象という切り分けが行われることです。たとえば「会社サイト+予約システム+AIチャットボット」を一括で作る場合、デザインやコーポレート部分の費用は自己負担、予約システムやチャットボットの導入費が補助対象、という構成になります。「サイト全体の制作費が半額になる」わけではない点に注意してください。

AI機能を持つツールの扱い

2026年版では、AI機能を有するツールの導入支援が強化され、生成AIやAIツールも補助対象として明確化されました。ただし「生成AIだから自動的に対象」ではありません。あくまで、IT導入支援事業者がAI機能を有するツールとして事務局に登録・申請したものが対象です。AIチャットボットや問い合わせ自動応答を補助金で導入したい場合は、その機能が登録済みツールに含まれているかをベンダーに確認する必要があります。

「自社の予約フォームに合わせたAI応答を入れたい」「業種特有の問い合わせを学習させたい」といったオーダーメイド要素が強い場合、汎用の登録ツールでは要件を満たせないこともあります。補助金ありきで機能を妥協するのか、成果を優先して自由に作るのか——ここは設計段階で必ず天秤にかけるべき論点です。AIを絡めたサイト構築の考え方はAIでホームページを作る時代に「成果の出るサイト」をどう実現するかでも整理しています。

2026年の申請スケジュールと対象経費

2026年のスケジュールは、公募開始が2026年3月下旬、交付申請の受付開始が3月30日です。締切は通年でおおむね1〜2か月に1回のペースで設定され、第1次締切は2026年5月12日、現時点では8月25日(第4次)まで公表されています。予算消化状況に応じて追加の締切が設定される運用です。HP関連の業務システムを検討するなら、ベンダー選定とツール登録確認に時間がかかるため、狙う締切の2〜3か月前から動き出すのが現実的です。

対象経費は、会計・財務、受発注、決済、人事・労務、顧客対応・販促といった業務領域で生産性向上に貢献するITツールの導入費用が中心です。加えて、通常枠ではPC・タブレット、レジ・券売機なども一定条件で対象になります。一方で、登録外のツール・自社開発のスクラッチ開発・デザインのみの制作費は対象外です。

申請で見落としがちな落とし穴

  • ツールもベンダーも自由に選べない:事務局に登録された組み合わせでしか申請できません。普段付き合いのある制作会社が登録事業者でないと、その会社経由では申請できません。
  • 後払い(精算払い)が原則:いったん全額を支払い、後から補助金が交付されます。キャッシュフローの準備が必要です。
  • 効果報告と返還リスク:2026年は採択後の事業計画の策定・実行と効果報告がより重視され、報告を怠ると返還請求の対象になり得ます。過去に交付を受けた事業者には賃上げ要件などの追加要件もあります。
  • 採択は確定ではない:申請=交付ではなく、審査・採択を経て初めて確定します。スケジュールに余裕を持たせましょう。

こうした制度設計は、DX推進の入口として補助金を使う際の典型的なつまずきポイントでもあります。補助金に限らない進め方の全体像はDX推進を中小企業が何から始めるかの5ステップが参考になります。

HP制作費を補助したいなら「持続化補助金」も検討

「業務システムではなく、まさにホームページ制作費そのものを補助してほしい」というケースでは、デジタル化・AI導入補助金よりも小規模事業者持続化補助金が候補になります。こちらは「ウェブサイト関連費」という区分があり、販売促進を目的としたホームページ・ECサイトの制作費が対象に含まれます。

ただし注意点が2つあります。1つ目は、ウェブサイト関連費だけでは申請できないこと。チラシ・看板などの他の販促経費と組み合わせる必要があります。2つ目は、ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4が上限という制約があること。「サイト制作費の大半を補助で賄う」使い方には向きません。また、宣伝・販促を目的としない単なる会社案内サイトは対象外です。制度の詳細は中小企業庁の小規模事業者持続化補助金の公式ページで確認できます。

比較軸

デジタル化・AI導入補助金

小規模事業者持続化補助金

HPデザイン制作費

対象外

対象(販促目的)

予約・チャットボット等の業務ツール

対象になり得る

ウェブサイト関連費に含めば対象

ツール/制作会社の選択

登録ツール・登録ベンダー限定

比較的自由

HP費の上限の考え方

業務ツール部分のみ

交付申請額の1/4が上限

大まかな使い分けは、「予約システムやAIチャットボットなど業務効率化のシステムが主目的ならデジタル化・AI導入補助金」「集客・販促のためのサイトそのものを作りたいなら持続化補助金」です。どちらも一長一短があり、自社の目的次第で最適解は変わります。

補助金とサイト戦略をどう両立させるか

制作の現場で多いのが、「補助金が出る範囲で機能を決める」という順番の逆転です。補助対象に合わせて機能を削った結果、肝心の集客や予約導線が中途半端になり、公開後に作り直す——というケースは珍しくありません。本来は「どんな成果を出したいか」を先に決め、その実現手段の一部に補助金が使えるかを後から確認する順番が望ましいです。

たとえば「予約の電話対応に追われている」課題なら、予約システム+AIチャットボットで自動化し、その導入費をデジタル化・AI導入補助金で賄いつつ、サイトのデザインや集客導線は自己負担で妥協なく作る、という設計が現実的です。LINEと連携した自動応答まで踏み込む場合はLINE公式アカウントでAI Botを構築し顧客対応を自動化する方法も合わせて検討するとよいでしょう。

なお、補助金を使わずにフルスクラッチで作る場合の費用感や進め方はホームページリニューアル費用の相場と失敗しない進め方で規模別に解説しています。補助金前提か否かで予算設計が大きく変わるため、両方の見積もりを持って比較するのがおすすめです。

よくある質問

コーポレートサイトの制作費は補助金で出ますか?

デジタル化・AI導入補助金2026では、デザイン・コーディングのみのコーポレートサイト制作費は対象外です。販売促進を目的としたサイトであれば、小規模事業者持続化補助金のウェブサイト関連費(交付申請額の1/4が上限)が候補になります。

AIチャットボットや予約システムは補助対象になりますか?

対象になり得ます。ただし、事務局に登録されたITツールであり、登録されたIT導入支援事業者経由で導入することが前提です。AI機能を持つツールとして登録・申請されたものに限られます。

いつまでに動けば2026年に申請できますか?

締切は1〜2か月ごとに設定され、現時点では8月25日(第4次)まで公表されています。ツール登録確認やベンダー選定に時間がかかるため、狙う締切の2〜3か月前から準備を始めるのが現実的です。

まとめ:補助対象の判定は「機能」で決まる

2026年のデジタル化・AI導入補助金では、HPのデザイン制作費そのものは対象外、予約システムやAIチャットボットなど業務効率化のシステム部分は対象になり得る、というのが結論です。サイト制作費の補助が主目的なら持続化補助金という別の選択肢もあります。大切なのは、補助金の枠に機能を合わせるのではなく、出したい成果を起点に「使える補助金があれば使う」という順番で考えることです。

Mihataでは、HP制作と独自AI(AIチャットボット・予約システム・社内ナレッジAIなど)の複合構築を、補助金の対象範囲も踏まえてご提案しています。「自社のこの案件は補助対象になるのか」「成果を出すにはどう設計すべきか」を一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。

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