AIで書いた記事の検索順位が下がった。あるいは順位は変わっていないのにアクセスだけ減った。原因を1つに決め打ちして直しにいくと、たいてい外します。
先に結論を言うと、最初にやるべきは「順位が下がったのか、クリックだけが減ったのか」を分けることです。この2つは原因も対処もまったく別です。順位はそのままでクリックだけ落ちているならAI Overviews(AIによる概要)の影響が疑わしく、順位そのものが落ちているならコンテンツか構造の問題です。Pew Research Centerの調査では、AIによる要約が表示された検索で通常の検索結果リンクがクリックされた割合は8%で、要約が出なかった場合の15%と比べておよそ半分でした。
この記事では、下落の原因を5つに切り分ける手順と、Mihataが自社サイト(記事370本以上)で実測した順位帯別CTRのデータを公開します。
最初の分岐: 順位が落ちたのか、クリックが落ちたのか
Search Consoleの検索パフォーマンス画面で、対象ページの「平均掲載順位」と「クリック数」を同じ期間で並べてください。判定は3通りです。
順位 | クリック | 疑うべき原因 |
|---|---|---|
変わらない | 減った | AI Overviewsに答えを取られた/SERPの見た目が変わった(原因①) |
落ちた | 減った | コンテンツ・構造の問題(原因②〜④) |
変わらない | 変わらない(表示回数だけ減った) | クエリの季節性、またはクロール・インデックスの問題(原因⑤) |
ここを飛ばして記事の中身を書き直すと、原因が①だった場合は何も改善しません。逆に①なのに「AIっぽい文章だから下がった」と決めつけると、直す必要のない文体をいじって時間を溶かします。
原因①: AI Overviewsに答えを取られた
AI Overviewsが出るクエリでは、検索結果の上に生成された要約が置かれるため、リンクがクリックされる割合が下がります。前述のPew Research Centerの調査(2025年3月の68,879件の検索を対象)では、AI要約が表示されたときの検索結果リンクのクリック率は8%、表示されなかったときは15%でした。要約内のリンクがクリックされる割合はさらに低く、全訪問の1%です。
この場合、順位は落ちていません。落ちているのはCTRだけです。対処は文体の修正ではなく、次の2方向になります。
- AI要約で完結しないクエリに軸足を移す: 定義や手順の説明だけの記事はAIに要約されやすく、比較・料金・事例・判断基準といった商用寄りのクエリは要約で代替されにくい傾向があります
- 要約に引用される側に回る: Googleは公式に「AI OverviewsやAIモードに表示されるための追加要件や特別な最適化は必要ない」「新しい機械可読ファイルやAI向けのテキストファイル、マークアップを作る必要はない」と明記しています。通常のSEOの延長で、結論を冒頭に置き、数値には出典を添えるという構造化が効きます
AI検索に引用されるための具体的な作り方はLLMOのやり方とAI検索に引用される記事の作り方にまとめています。
原因②: 量産による品質の問題(scaled content abuse)
Googleのスパムポリシーは「スケーリングされたコンテンツの不正利用」を、検索順位の操作を主な目的として多くのページを生成することと定義しています。例として「生成AIツールなどを使い、価値を付加せずに多くのページを生成すること」が挙げられており、生成手段がAIかどうかは判定の基準ではありません。判定されるのは目的と価値です。
該当を疑うべきなのは、下がったのが特定の1ページだけでなく、同時期に量産したページ群がまとめて下がっているケースです。1ページだけの下落は通常の順位変動である可能性が高く、群単位の下落は運用そのものが評価されている可能性があります。
チェックすべきは、Googleの自己評価項目にある「オリジナルの情報、レポート、調査、分析を提供しているか」「実際に製品やサービスを使った経験から来る一次的な専門知識が示されているか」です。他社記事の要約を並べ替えただけの記事は、ここに答えられません。自社の実測値・実際に起きたこと・自分たちの判断基準のいずれかを足すのが、いちばん確実な修正になります。
原因③: 検索意図がずれている
順位が5位前後から10位以下に落ちたときによくあるのが、上位の顔ぶれが入れ替わっているパターンです。対象クエリを実際に検索して、上位10件の記事タイプを見てください。比較記事ばかりが並んでいるのに自社は解説記事、あるいは事例ばかりなのに自社は用語説明、という状態なら、順位が落ちたのではなくクエリの解釈が変わっただけです。
この場合、文章を磨いても戻りません。記事の型そのものを上位に合わせるか、そのクエリを諦めて別のロングテールに寄せるかの判断になります。既存記事をどう直すかの実務手順はAIで既存記事をリライトする手順で扱っています。
原因④: 自社記事同士のカニバリゼーション
新しい記事を出したあとに古い記事が下がった場合は、同じ検索意図を2本で奪い合っている可能性があります。Search Consoleでそのクエリを絞り込み、表示されているページが途中で入れ替わっていないかを確認してください。日によって出るページが変わっている、あるいは2本とも中途半端な順位で並んでいる場合は、ほぼカニバリです。
対処は、どちらを残すかを先に決めることです。残す側に内容を統合し、残さない側は統合先へリダイレクトするか、狙うクエリをずらします。2本とも残したまま両方をリライトするのが、いちばんよくない対応です。
原因⑤: クロール配分と鮮度
表示回数そのものが減っている場合は、インデックスやクロール側を疑います。Googleはクロールの需要を決める要素として、URLの人気度と古さ(変更を拾うための再クロール頻度)を挙げています。更新が止まったページは再訪の優先度が下がります。
Mihataの自社サイトでも、公開直後にインデックスされる記事と、4日経ってもGoogleに認識されていない記事が同じ日の公開分の中で同居します。クロール配分はバッチごとに大きく振れるため、1本の挙動から結論を出すのは危険です。インデックス側の切り分け手順はホームページが検索に出ないときの原因切り分け6手順にまとめています。
Mihata自社サイトの実測: どの順位帯なら手を打つ価値があるか
ここからは自社サイト(mihata.jp)で実測したデータです。直近28日(2026年7月17日〜8月13日)のSearch Consoleから、表示回数50以上のクエリを順位帯別に集計しました。
平均掲載順位 | クエリ数 | 実測CTR |
|---|---|---|
1〜2位 | 19 | 43.43% |
2〜3位 | 21 | 28.11% |
3〜5位 | 73 | 9.95% |
5〜7位 | 94 | 2.88% |
7〜10位 | 66 | 0.32% |
ここから読み取れることが2つあります。
1つ目は、崖が7位前後にあることです。5〜7位帯の2.88%に対して、7〜10位帯は0.32%と一桁下がります。この帯ではタイトルやディスクリプションをどれだけ工夫しても、そもそも見られていないのでCTRは動きません。実務上、タイトル改善で回収できるのは5位前後まで、7位より下は本文側を直して順位そのものを上げるしかないというのが自社の運用結論です。下落したページの現在順位を先に確認し、7位より下なら小手先のCTR改善に時間を使わないでください。
2つ目は、表示回数が大きいことは伸びしろを意味しないことです。同じ期間の実測で、単語1語の「ai」というクエリは表示回数34,124に対してクリック17(平均順位9.0)、「タイマー」は表示回数21,330に対してクリック87(平均順位7.7)でした。表示回数のランキングを上から眺めると魅力的に見えますが、順位が低い1語のビッグワードは表示されるだけでクリックにならない蜃気楼です。改善の優先順位は表示回数ではなく、「順位が5位前後にあり、かつCTRが帯の平均を下回っているクエリ」で決めるのが合理的です。
私たちはこうした順位帯の実測にもとづいて、リライトの優先順位づけまで含めたAIブログの運用支援を行っています。記事の途中で恐縮ですが、下落の原因が自社で切り分けきれない場合の参考としてご覧いただけたら嬉しいです。AIブログ運用サービスの内容もあわせてご確認ください。
直す順番
切り分けが終わったら、次の順に手を入れます。上から順に、費用対効果が高い順です。
- カニバリの解消: 統合するだけで戻ることがあり、コストがいちばん低い
- 検索意図の合わせ直し: 記事の型を上位に合わせる。見出し構成の作り替えが中心で、全文の書き直しは不要なことが多い
- 一次情報の追加: 自社の実測値・事例・判断基準を足す。②の疑いがある場合はここが本丸
- タイトル・ディスクリプションの改善: 現在順位が5位前後の場合のみ実施する
- 記事の統廃合: 上記で戻らず、かつ検索需要も小さい場合は残さない判断も選択肢に入れる
いつリライトに着手すべきかの判断基準はAIブログのリライトのタイミングにまとめています。下落を確認した翌日に慌てて直すより、2週間程度の推移を見てから動くほうが、通常の変動と本当の下落を取り違えずに済みます。
まとめ
AI記事の順位下落は、まず「順位が落ちたのか、クリックだけ減ったのか」で分けます。クリックだけならAI Overviewsの影響を疑い、順位が落ちているなら量産による品質、検索意図のズレ、カニバリ、クロール配分の順に潰します。
そして手を入れる前に、現在の順位帯を確認してください。Mihataの実測では7〜10位帯のCTRは0.32%で、この帯ではタイトルを直しても回収できません。原因の切り分けから一緒に見てほしいという場合は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
AIで書いた記事は、それだけで順位が下がりますか?
生成手段は判定基準ではありません。Googleのスパムポリシーはスケーリングされたコンテンツの不正利用を「検索順位を操作することを主な目的として多くのページを生成すること」と定義しており、AIか人間かを問わないとしています。価値が付加されていれば、AIで書いたこと自体は問題になりません。
順位は変わっていないのにアクセスだけ減りました。原因は何ですか?
AI Overviewsに答えを取られている可能性があります。Pew Research Centerの調査では、AI要約が表示された検索で通常のリンクがクリックされた割合は8%で、表示されなかった場合の15%の約半分でした。この場合は文体の修正ではなく、要約で代替されにくい比較・料金・事例といったクエリへ軸足を移すのが有効です。
順位が落ちたページのタイトルを直せば戻りますか?
現在の順位帯によります。Mihataの自社サイト実測では、5〜7位帯のCTRが2.88%に対して7〜10位帯は0.32%でした。7位より下ではそもそも見られていないため、タイトル改善では回収できません。本文側を直して順位そのものを上げる必要があります。
表示回数が多いクエリから改善すればよいですか?
表示回数の多さは伸びしろを意味しません。自社実測では1語クエリの「ai」が表示回数34,124に対してクリック17(平均順位9.0)でした。優先すべきは、順位が5位前後にあり、かつCTRが同じ順位帯の平均を下回っているクエリです。
下落に気づいたら、すぐ直すべきですか?
通常の順位変動と本当の下落を取り違えないために、2週間程度の推移を見てから動くことをおすすめします。また、下がったのが1ページだけか、同時期に出したページ群がまとめて下がっているかで疑うべき原因が変わります。群単位の下落は運用全体の品質が評価されている可能性があります。