Mihata
AI活用2026.09.04

生成AI記事 二次利用範囲の決め方|確認先3つと確認文言

AIで書いた記事が溜まってくると、次に出てくるのは「これ、他でも使えますよね?」という話です。SNSに切り出す、メルマガに流す、営業資料に貼る、チラシに載せる、動画の台本にする。せっかく作った原稿ですから、当然そうしたくなります。

ところが「どこまで使ってよいか」を調べ始めると、話が二重三重にこんがらがります。著作権法の話、生成AIサービスの利用規約の話、外注先との契約の話、記事に入れた写真やフォントのライセンスの話。全部が「二次利用の範囲」に効いてくるのに、ふだんは誰も一枚に並べてくれません。この記事では、その4つを「使いたい場面 → まず見る場所 → 探す文言」という順番に並べ替えます。

先に断っておきます。本記事は一般的な整理であって、個別案件の法的助言ではありません。最終的な判断は、実際の契約書の文言と、弁護士など専門家の確認によってください。

結論:二次利用の範囲は「著作権法」ではなく3つの場所で決まる

実務で先に効くのは、著作権法そのものよりも契約と規約です。順番としては、次の3つを上から見ていくのがいちばん速く終わります。

  1. 使った生成AIサービスの利用規約(出力物を誰のものとして扱うか、禁止用途は何か)
  2. 制作を外注しているなら、その制作委託契約(納品物をどこまで使ってよいか)
  3. 記事に入っている素材のライセンス(写真・図版・フォント・BGM)

著作権法の話は、この3つを見たうえで「そもそも自社に権利があるのか」を考えるときに効いてきます。逆にいえば、契約と規約で明確に許されている使い方まで、法解釈を心配して止める必要はありません。

前提:AI生成物の著作物性は、一律には決まらない

「AIが書いた文章に著作権はあるのか」という問いには、はっきりした一行の答えがありません。文化審議会著作権分科会法制度小委員会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)では、AI生成物の著作物性は個々のAI生成物について、個別具体的な事情に応じて判断されるとされています。

「道具として使った」と言えるかで見る

同資料では、人が何ら指示を与えず(または簡単な指示を与えるにとどまり)「生成」ボタンを押すだけでAIが生成したようなものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく著作物に該当しないと考えられる、と整理されています。一方で、人が思想又は感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したと認められれば著作物に該当し、AI利用者が著作者となる、とされています。その判断は、人に「創作意図」があるか、そして「創作的寄与」と認められる行為を行ったか、によるという整理です。

創作的寄与の見方についても、実務者が誤解しやすい点が明示されています。

  • 指示の分量:長大な指示(プロンプト)でも、創作的表現に至らないアイデアを示すにとどまる指示であれば、創作的寄与の判断には影響しないとされています。
  • 生成の試行回数:試行回数が多いこと自体は判断に影響しない。ただし生成物を確認して指示・入力を修正しつつ試行を繰り返した場合は、著作物性が認められる場合もあるとされています。
  • 複数の生成物からの選択:単なる選択行為自体は判断に影響しないとされています。
  • 加筆・修正:人が創作的表現といえるような加筆・修正を加えた場合、通常、その加筆・修正が加えられた部分については著作物性が認められるとされています。

裏返し:自社が権利を主張しにくい場合がある

ここが二次利用の話に直結します。著作物性が認められない生成物は、他社に丸ごと転載されても、著作権を根拠に止めることが難しくなり得るということでもあります。「自分たちがどこまで使えるか」だけでなく「他人にどこまで使われうるか」も同じコインの裏表です。人の手が入っている記事ほど、この面では守りやすくなります。どこに人手を入れるかの分け方はAI記事と人間の執筆の分担で整理しています。

もうひとつ、混同しやすい別問題があります。同資料は、AI生成物が著作物となるかという問題と、その生成・利用が既存の著作物の著作権侵害となるかという問題は別個であると注意を促しています。侵害の判断は「類似性」と「依拠性」で行われ、これは通常の著作権侵害と同じ基準です。生成が適法に行える場合でも、SNSへのアップロードなど「利用」まで直ちに適法となるわけではない、とも書かれています。

確認先①:使った生成AIサービスの利用規約

主要サービスの規約は、出力物の扱いについて明文を置いています。以下は各社の公式規約で確認できた記載の要旨です(規約は改定されるため、実際の利用時は必ず最新版を確認してください)。

サービス(規約)

出力物の扱い

二次利用で気をつける点

OpenAI(Terms of use)

入力の権利は利用者に残り、出力は利用者のものとされ、OpenAI側の権利は「あるとすれば」利用者へ譲渡すると記載

出力は一意とは限らず、他の利用者が似た出力を受け取ることがあると明記。この譲渡は他の利用者の出力には及ばないとされる

Anthropic(Consumer Terms)

入力の権利は利用者に残り、出力についてAnthropic側の権利は「あるとすれば」利用者へ譲渡すると記載

出力は不正確なことがあり、独立に正確性を確認せずに依拠すべきでないと明記

Google(Google 利用規約)

利用者のコンテンツは利用者のものであり、知的財産権は利用者に残ると記載

禁止事項として、サービスから得たAI生成コンテンツを機械学習モデルや関連AI技術の開発に使うことを挙げている

表の「あるとすれば」(if any)という留保が重要です。事業者は「自分たちに権利があるならそれを渡す」と言っているだけで、そもそも著作権が発生しているかどうかを保証してはいません。規約で出力の権利をもらえたことと、その記事に著作権があることは別の話です。

もうひとつ、法人向けの契約(API・ビジネス版)と個人向けでは規約が別建てになっていることが多く、学習利用の扱いも異なります。会社の記事を個人アカウントで書いていると、この確認が後から難しくなります。

確認先②:制作を外注しているなら、制作委託契約

外注して納品された記事は、契約に何と書いてあるかがすべてです。ここで日本の著作権法の条文が効いてきます。

  • 著作権法第61条第2項:著作権を譲渡する契約において、第27条(翻訳権、翻案権等)または第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定する、と定められています。
  • 著作権法第59条:著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない、と定められています。

翻案権(27条)が移っていないと、記事を要約する・切り出す・動画台本に書き直すといった「作り替える」使い方が、契約上は宙に浮きます。「著作権を譲渡する」とだけ書いた契約書では足りない、というのがこの条文の実務上の意味です。だから多くの制作委託契約に「第27条及び第28条の権利を含む」という一文が入っています。

著作者人格権のほうは譲渡できないため、実務では「著作者人格権を行使しない」という不行使の特約を置くのが一般的です。改変を伴う二次利用(要約・トーン変更・別媒体への書き直し)を予定しているなら、ここが空欄のままだと後で揉めます。

発注前に見るべき点はAI記事制作会社の選定チェックリストにも重なります。外注先の候補を比べる段階の観点はAIブログ記事の外注先比較にまとめています。

確認先③:記事に入っている素材のライセンス

文章の権利が整理できても、記事の中の写真・イラスト・図版・フォント・BGMは別のライセンスで動いています。Web掲載は許されていても、印刷物・商品パッケージ・再配布は別条件、というのはストック素材ではよくある構造です。とくに次の3つは、Webからチラシや動画へ持ち出すときに引っかかりやすいところです。

  • 印刷部数・視聴回数の上限が定められていないか
  • 再配布・再頒布(テンプレートとして配る、素材単体で渡す)が禁止されていないか
  • フォントの埋め込み・印刷利用がライセンスに含まれているか

本題:使いたい場面 × 確認する先 × 探す文言

ここが、この記事でいちばん持ち帰ってほしい表です。「二次利用してよいか」を頭から考えると毎回迷いますが、場面から引くと5分で終わります。

使いたい場面

まず見る確認先

探す文言・条項

自社SNSへ抜粋・切り出して投稿

制作委託契約 / AI利用規約

「利用範囲」「媒体の限定」「翻案」「出典表示の要否」

メルマガ・LINE配信へ流用

制作委託契約

「納品物の利用媒体」「Webサイトに限る」等の限定文言

営業資料・提案書に貼る

制作委託契約 / 素材ライセンス

「社外配布」「頒布」「第三者への提示」

紙のチラシ・カタログにする

素材ライセンス(写真・フォント)

「印刷利用」「部数上限」「フォントの印刷・埋め込み」

動画・ウェビナーの台本に書き直す

制作委託契約

「第27条・第28条の権利を含む」「著作者人格権の不行使」

有料note・書籍など販売物にする

3つすべて

「商用利用」「販売」「独占/非独占」

グループ会社・代理店へ渡す

制作委託契約

「第三者への再許諾(サブライセンス)」「権利の譲渡可否」

自社AIの学習データとして再利用

AI利用規約

「モデル開発への利用禁止」「機械学習への使用」

翻訳して海外向けに出す

制作委託契約

「第27条(翻訳権・翻案権)」「言語・地域の限定」

運用としては、この表を1枚のチェックリストにして、記事1本ごとに「使ってよい媒体」を先に決めておくのが結局いちばん安全です。公開してから毎回調べ直す運用は、たいてい途中で止まります。

Mihataでは、AIブログの記事を作るところだけでなく、こうした権利まわりの確認手順を運用に組み込む前提で設計しています。仕組みの中身はAIブログ運用サービスの内容に書いていますので、社内で回す形を検討中でしたら参考にしてください。

つまずきやすい3つの場面

1. AIが要約した「引用」をそのまま二次利用する

記事中の統計や他社の記述をAIが要約している場合、それを切り出してSNSやチラシに載せると、元の文脈が落ちたまま独り歩きします。数字の裏取りは公開前に済ませておくのが前提で、その手順はAI記事のファクトチェック方法にまとめています。

2. 「他の人にも似た出力が出る」を忘れている

OpenAIの規約が明記しているとおり、生成物は一意とは限りません。キャッチコピーやタグライン、スローガンのように短く・独自性を売りにする用途へ二次利用するときは、他社の既存表現との衝突を先に確認しておくほうが安全です。

3. 外注先との合意が口頭のまま

「使っていいですよ」と言われた記憶だけで媒体を広げるのは、いちばんよくある事故です。追加費用が発生する話でもないことが多いので、メール1通で「SNS・メルマガ・営業資料・動画台本への利用を含む」と確認しておくだけで、後の判断がずいぶん軽くなります。

どこで専門家に渡すか

ここまでの整理は、社内で判断を進めるための地図です。実際には、次のような場面は自社判断で止めて、契約書の文言と専門家の確認に渡すことをおすすめします。

  • 他社の記事・書籍・レポートに似ていると指摘されたとき
  • 記事を販売する、または第三者へ再許諾して提供するとき
  • 契約書に第27条・第28条や著作者人格権の記載がまったくないとき
  • 人物の写真・氏名・所属を含むコンテンツを別媒体へ広げるとき

くり返しになりますが、本記事は法的助言ではありません。最終的な判断は、実際の契約書の文言と、弁護士など専門家の確認によってください。

権利まわりの確認を含めてAIブログの運用体制を組み直したい、という段階でしたら、現状の契約書と記事の使い道を伺ったうえで整理のお手伝いができます。

よくある質問

生成AIで書いた記事に著作権はありますか?

一律には決まりません。文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)では、AI生成物の著作物性は個々の生成物について個別具体的な事情に応じて判断されるとされています。人が何ら指示を与えずに生成ボタンを押しただけのものは著作物に該当しないと考えられる一方、人が創作的に表現するための道具としてAIを使用したと認められれば著作物に該当し、AI利用者が著作者になると整理されています。

外注したAI記事をSNSや動画台本に作り替えても大丈夫ですか?

制作委託契約の文言によります。著作権法第61条第2項では、著作権を譲渡する契約で第27条(翻訳権・翻案権等)や第28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定すると定められています。要約・切り出し・別媒体への書き直しは作り替えにあたるため、契約書にこれらの条文が明記されているかを先に確認してください。

生成AIサービスの利用規約では出力物は誰のものになっていますか?

主要サービスは、出力に関する自社側の権利を「あるとすれば」利用者へ譲渡すると記載しています。ただしこれは権利があればそれを渡すという趣旨で、その記事に著作権が発生していることを保証するものではありません。またOpenAIの規約は、出力は一意とは限らず他の利用者が似た出力を受け取ることがあると明記しています。規約は改定されるため、利用時に最新版を確認してください。

記事に使った写真やフォントも一緒に二次利用できますか?

別のライセンスなので分けて確認が必要です。Web掲載は許されていても、印刷物への使用、部数の上限、素材単体での再配布、フォントの埋め込みや印刷利用は別条件になっていることがあります。Webの記事を紙のチラシや動画へ持ち出すときは、素材ごとのライセンス条件を先に見てください。

社内でどこまで判断してよいですか?

本記事は一般的な整理であり法的助言ではありません。他社コンテンツとの類似を指摘された場合、記事を販売する場合、第三者へ再許諾して提供する場合、契約書に第27条・第28条や著作者人格権の記載がまったくない場合は、自社判断で進めず、契約書の文言と弁護士など専門家の確認に渡すことをおすすめします。

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