ChatGPT や Perplexity から自社サイトに人が来ているらしい。でも GA4 のどこを見れば分かるのか。LLMO に取り組んでいる会社ほど、この「効果測定」で止まります。
先に結論です。AI検索からの流入は「①AIチャット経由(測れる)」「②AI Overviews 経由(分離できない)」「③参照元が落ちて直接流入になった分(推測するしかない)」の3層に分かれます。①は 2026年5月に GA4 の既定チャネルへ追加された「AI アシスタント」チャネルで、設定ゼロで見られます。②は Google 公式が「通常の検索トラフィックに合算される」と明言しているため、切り分けは原理的に不可能です。③は指名検索と直接流入の推移で間接的に見ます。
この記事では GA4 の実際のメニュー名に沿って①の手順を示し、②③については「測れない」と正直に書きます。
まず全体像:AI検索の流入は3層に分かれる
AI検索と一口に言っても、ユーザーの動線はまったく別物です。混ぜて考えると測定設計が崩れます。
1層目はAIチャット経由の流入です。ChatGPT や Gemini の回答内に出た引用リンクをクリックしてサイトに来るパターンで、リファラー(参照元)が残るため GA4 で識別できます。ここが唯一、きれいに測れる層です。
2層目は Google 検索内の AI による概要(AI Overviews)経由です。これは Google 検索の結果ページからのクリックなので、参照元は通常のオーガニック検索と同じ扱いになります。後述のとおり公式に合算仕様です。
3層目は参照元が失われた流入です。AIアプリのネイティブアプリ版や、回答をコピーしてブラウザに貼り直した場合など、リファラーが送られず「ノーリファラー(直接流入)」として計上されます。これは事後に判別できません。
つまり「AI検索からの流入を全部測る」は達成できない目標です。測れる1層目を正確に測り、2層目と3層目は別の指標で気配を掴む。これが現実的な設計になります。
GA4の「AI アシスタント」チャネル(2026年5月追加)
2026年5月13日、Google アナリティクスに AI アシスタントからのトラフィックを測定するための専用機能が追加されました。公式の更新情報には「Google アナリティクスに、人気の高い AI アシスタントからのトラフィックを測定、分析するための専用の機能が追加されました」と記載されています。
既定のチャネルグループの定義では、「AI アシスタント」チャネルは「ChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grok などのソースからユーザーがサイトにアクセスする際のチャネル」と説明されています。判定ルールは「メディアが『ai-assistant』と完全に一致している」または「参照 URL が AI アシスタントのリストと一致する場合」の2つです。
実務上のポイントは3つあります。第一に、設定は不要で、条件に合うセッションは自動でこのチャネルに入ります。第二に、GA4 は過去データを遡って再処理しないため、追加日より前の期間には出ません。第三に、Google が挙げているソース一覧にPerplexity の名前はありません。Perplexity からの流入は「参照」チャネルに入っている可能性が高いので、後述のカスタムチャネルグループで拾う必要があります。
手順1:標準レポートでAI経由のセッション数を見る
いちばん速い確認方法です。1分で終わります。
- GA4 の左ナビで [レポート] を開く
- [集客]>[トラフィック獲得] を開く
- 表の1列目のディメンションが 「セッションのデフォルト チャネル グループ」 になっていることを確認する
- 行の中に 「AI アシスタント」 があるか探す
ここに行が出ていれば、AIチャット経由の流入が実際に発生しています。行が無い場合は、まだ流入がゼロか、期間が2026年5月13日より前かのどちらかです。ユーザー単位で見たいときは[ユーザー獲得]レポートを使います。
数字が数十セッションでも落胆は不要です。実務で多いのは、絶対数は小さいのに滞在時間や問い合わせ率が他チャネルより高いというパターンです。母数ではなく質で評価する前提を先にチームで握っておくと運用が楽になります。
手順2:データ探索でAIサービス別に切り出す
「どのAIから来ているか」まで割りたい場合は、探索レポートを使います。GA4 の左ナビでは [データ探索] という名称です。
- 左ナビの [データ探索] をクリックし、「自由形式」のデータ探索を新規作成する
- 左端の [変数] パネルで [ディメンション] の右にある追加アイコンをクリックし、「セッション参照元」 と 「セッションのデフォルト チャネル グループ」 を選んで[適用]する
- 同じく [指標] から「セッション」「エンゲージメント率」「キーイベント数」を追加する
- [タブの設定]の [行] に「セッション参照元」、[値] に指標をドラッグする
- [タブの設定]下部の [フィルタ] に「セッションのデフォルト チャネル グループ」を入れ、条件を「完全一致」+「AI アシスタント」にする
これで、AI アシスタントチャネルの内訳がサービス別に並びます。より細かく参照元URLまで見たい場合は、ディメンションに 「ページの参照元 URL」 を追加します。公式ヘルプではこのディメンションは「参照 URL。ユーザーが対象のページにアクセスする前にアクセスしていた URL」と定義されています。自社の実データにどのホスト名が並ぶかは、ここで確認するのが唯一の正解です。
手順3:カスタムチャネルグループでPerplexityなどを拾う
既定チャネルで拾えないサービスを含めて1本の指標にしたい場合は、カスタムチャネルグループを作ります。Google 公式ヘルプが、まさに「AI アシスタント」という名前のカスタムチャネルを作る手順を例示しています。
- [管理]>[チャネル グループ] を開く
- 新しいチャネルを作成し、名前を「AI アシスタント」などにする
- 条件で 「正規表現に一致」 を選び、対象にしたいAIサービスのURLパターンを指定する
- 作成したチャネルを「参照」より上に並べ替える(順序が上のチャネルが優先されるため)
- [集客]の[ユーザー獲得]/[トラフィック獲得]レポートで結果を確認する
公式ヘルプは正規表現の例も掲載しており、そこには ChatGPT・Gemini・Microsoft Copilot・Claude・Perplexity・Bard が含まれています。ただし「測定対象のアシスタントのURLが変わったら正規表現も更新が必要」と明記されている点は要注意です。作りっぱなしにすると、半年後に静かに取りこぼします。
参照元ドメイン一覧(自社データで必ず答え合わせを)
フィルタ条件を組むときの出発点として整理します。ホスト名は推測で埋めず、確認できたものと未確認のものを分けています。最終的には貴社の「ページの参照元 URL」に実際に並ぶ値を正としてください。
AIサービス | 想定される参照元ホスト名 | 備考 |
|---|---|---|
ChatGPT | chatgpt.com | GA4 の既定「AI アシスタント」チャネルの対象として公式ヘルプに名前が明記。ホスト名は実データで要確認 |
Gemini | gemini.google.com | 同じく公式ヘルプに名前が明記。ホスト名は実データで要確認 |
Microsoft Copilot | copilot.microsoft.com | 既定チャネルの説明に「Copilot」として記載。ホスト名は実データで要確認 |
Claude | claude.ai | 公式のカスタムチャネル作成例には登場。既定チャネルの説明文の一覧には未掲載 |
Perplexity | 実データで確認が必要 | 既定チャネルの説明一覧に名前が無い。「参照」に入っている前提で、カスタムチャネルか探索フィルタで拾う |
DeepSeek | 実データで確認が必要 | 既定チャネルの対象としてサービス名は明記。ホスト名は未確認 |
Grok | 実データで確認が必要 | 既定チャネルの対象としてサービス名は明記。ホスト名は未確認 |
AI Overviews/AI モード | google(オーガニック検索) | 分離不可。通常の検索トラフィックに合算される仕様 |
各AIのネイティブアプリ等 | 参照元なし | ノーリファラー(直接流入)に混ざる。事後の判別は不可 |
この表で注目してほしいのは、「実データで確認が必要」の行がこれだけあるという事実そのものです。AI検索の測定は、まだ確定した地図がない領域です。
なお、測定の前提として「AI検索に拾われる記事を継続的に出す」ことが必要になります。その部分をまるごとお引き受けするAIブログというサービスも行っております。記事の途中で恐縮ですが、良いサービスだと思っておりますので、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。
正直な限界:AI Overviews経由のクリックは分離できない
ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。
Google の公式ドキュメントは、AI機能について「AI Overviews や AI モードなどのAI機能に表示されるサイトは、Search Console の検索トラフィック全体に含まれる」「パフォーマンス レポートの『ウェブ』検索タイプで報告される」と明記しています。つまりAI Overviews からのクリックは、通常の検索結果からのクリックと同じ器に入ります。Search Console で切り分けることはできません。
GA4 側も同じです。AI Overviews は Google 検索の結果ページ内の要素なので、そこからのクリックは参照元 google・メディア organic として計上されます。GA4 のどのディメンションを組み合わせても、通常のオーガニック検索と区別する手段は存在しません。
「AI Overviews 経由の流入がN件」と数字を出しているレポートを見かけたら、それは推定値です。推定が悪いわけではありませんが、実測と同じ扱いで意思決定に使うのは危険です。AI Overviewsで検索流入が減ったときの対策を考えるときも、まずこの前提を共有しておかないと、施策の効果判定で必ず揉めます。
Search Consoleの生成AIレポートで分かること・分からないこと
2026年6月3日、Google は Search Console に「Search Generative AI パフォーマンス レポート」を追加すると発表しました。AI Overviews や AI モードなど生成AI機能における自社サイトの可視性を、専用ビューで確認できるものです。
ただし提供される情報は限定的です。公式ブログが挙げているのは表示回数(Impressions)・ページ・国・デバイス・日付で、クリック数は含まれていません。また「一部のウェブサイトを対象に段階的に展開している」と書かれており、貴社のプロパティにまだ出ていない可能性もあります。
整理すると、Search Console の生成AIレポートで分かるのは「AI機能の中に自社ページが何回出たか」だけです。「そこから何人来たか」は分かりません。表示回数だけが伸びてクリックが伸びない、という状況は起こり得ますし、それ自体は異常ではありません。GA4とGSCを使ったブログの効果測定と同じ枠組みで、表示回数は「露出の先行指標」として扱うのが妥当です。
参照元が取れない分をどう埋めるか
2層目・3層目は直接測れません。代わりに、次の4つを組み合わせて気配を掴みます。
1つめは指名検索の推移です。Search Console のクエリで自社名・サービス名を含む検索の表示回数とクリック数を追います。AI経由で名前を知った人は、その後に指名検索で来ることが多いためです。AI経由の露出が増えると、参照元では見えないまま指名検索だけが伸びるという動き方をします。
2つめは直接流入(ノーリファラー)の推移です。既定チャネルの定義では「ユーザーが保存済みリンクから、または URL を入力してサイト/アプリにアクセスする際のチャネル」です。ここが施策と連動して増えているなら、参照元の落ちたAI経由が含まれている可能性があります。ただし断定はできません。広告や他施策の影響と切り分けられないので、あくまで補助線として見てください。
3つめは問い合わせフォームの流入経路設問です。もっとも確度が高い方法がこれです。フォームに「当社を何で知りましたか」という選択肢を置き、「ChatGPT などのAIに聞いて」を選択肢として明示しておきます。母数は小さくても、1層目・2層目・3層目をまたいだ実際の声が取れます。現場で多いのは、GA4 の数字より先にこの設問でAI経由の存在に気づくケースです。
4つめはAI側での引用状況の直接確認です。主要な想定質問を実際に ChatGPT や Perplexity に投げて、自社が引用されるかを定点観測します。手作業ですが、そもそも引用されていないなら流入が発生しないので、上流の健康診断として意味があります。具体的な取り組み方はAI検索に引用されるためのLLMOの手順にまとめています。
実務での運用の型
Mihata がお客様に案内している運用の型は、シンプルです。
月次で見るのは4つだけにします。①GA4「AI アシスタント」チャネルのセッション数とキーイベント数、②Search Console の指名検索クリック数、③直接流入の推移、④問い合わせフォームの流入経路設問の内訳。これ以上増やすと、精度の低い数字に振り回されます。
目標設定はセッション数ではなくキーイベント数で置きます。AI経由の流入は絶対数が小さいため、セッション数を目標にすると誤差でぶれます。問い合わせ・資料請求といった成果側で見たほうが、判断がぶれません。
そして「測れない範囲がある」ことを、最初に社内で合意しておきます。後から「AI Overviews の効果はいくら?」と聞かれて答えられず、施策全体が止まる。これが実務でいちばん多い失敗です。測定の限界は、隠すのではなく最初に共有するものだと考えています。
まとめ
AI検索からの流入計測は、2026年に入って GA4 側の対応が進み、AIチャット経由については設定なしで見られるようになりました。一方で AI Overviews 経由は公式仕様として通常の検索に合算され、分離できません。
やることは3つです。①GA4 の[トラフィック獲得]で「AI アシスタント」チャネルを確認する。②データ探索でサービス別に割り、Perplexity など既定で拾えない分はカスタムチャネルグループで補う。③測れない範囲は指名検索・直接流入・フォームの流入経路設問で間接的に見る。
測定は目的ではなく、次の打ち手を決めるための道具です。数字が整ったら、次は AI検索に引用される記事をどれだけ積めるかという話になります。貴社の現状に合わせた進め方をご相談いただければ、測定設計から一緒に整理します。
よくある質問
GA4でAI検索からの流入を見るのに設定は必要ですか?
AIチャット経由については設定不要です。2026年5月13日にGA4の既定チャネルグループへ「AI アシスタント」が追加されたため、レポートの[集客]>[トラフィック獲得]を開くだけで確認できます。ただし追加日より前の期間には遡って表示されません。
AI Overviews経由の流入だけを取り出して測れますか?
できません。Googleの公式ドキュメントは、AI機能に表示されるサイトはSearch Consoleの検索トラフィック全体に含まれ、パフォーマンスレポートの「ウェブ」検索タイプで報告されると明記しています。GA4でも参照元はgoogle・メディアはorganicとなり、通常のオーガニック検索と区別する手段はありません。
Perplexityからの流入は「AI アシスタント」チャネルに入りますか?
Googleの既定チャネルグループの説明に挙げられているのはChatGPT、Gemini、Deepseek、Copilot、Grokなどで、Perplexityの名前はありません。「参照」チャネルに入っている前提で、カスタムチャネルグループを作るか、データ探索のフィルタで参照元を指定して確認してください。
Search Consoleの生成AIレポートでは何が分かりますか?
2026年6月3日に発表されたSearch Generative AIパフォーマンスレポートでは、表示回数・ページ・国・デバイス・日付が確認できます。クリック数は含まれていません。また一部のサイトを対象に段階的に展開されているため、まだ表示されない場合があります。
参照元が取れない流入はどう把握すればよいですか?
直接は測れないため、指名検索の推移、直接流入の推移、問い合わせフォームの流入経路設問、AI側での引用状況の定点観測を組み合わせて間接的に見ます。中でもフォームの流入経路設問は母数が小さくても確度が高く、実務で最初にAI経由の存在に気づくきっかけになることが多いです。