Mihata
AI活用2026.05.13更新 2026.08.19

動画生成AI比較2026|Sora終了後の乗り換え先と商用利用【8月最新】

動画生成AIは2026年5月から7月にかけて、比較記事の前提そのものが入れ替わりました。GoogleがGoogle I/O 2026で any-to-any 生成の「Gemini Omni」を発表し、OpenAIのSoraはアプリが停止済み・APIも2026年9月24日で廃止されます。一方、英語圏には「Veo 4」を前提にした記事が大量にありますが、Googleは Veo 4 を発表も確認もしていません。本記事は各社の公式ページ(料金表・モデルページ・ヘルプセンター)を一次ソースとして、2026年7月時点で業務に使える動画生成AIを比較します。

最終更新:2026年7月27日/Gemini Omni Flash のAPI料金、Sora API の廃止日、Runway・Pika の現行プラン名を反映しました。

結論:2026年7月時点で選ぶならこの3つ

用途を問わず「まずどれか1つ」を選ぶなら、日本の中小企業にとっての現実解は次の3択です。いずれも公式に商用利用が想定されており、日本から契約・決済できます。

  • Google Veo 3.1(Gemini API / Google Flow / Gemini アプリ)…実写寄りの品質と価格レンジの広さで最も汎用的。API は Veo 3.1 Lite が 720p で1秒あたり0.05ドル、Veo 3.1 Fast が0.10ドル、標準の Veo 3.1 が0.40ドル(4Kは0.60ドル)と、品質と単価を段階的に選べます(出典:Gemini Developer API pricing(Google AI for Developers))。
  • Gemini Omni Flash…「作った動画を会話で直す」用途に強い新顔。YouTube Shorts / YouTube Create アプリでは無料、Gemini アプリと Google Flow では Google AI Plus 以上で使えます(出典:Google「Gemini Omni」公式ブログ)。API は 720p の映像出力が約0.10ドル/秒
  • Runway…生成だけでなく編集・尺つなぎ・アップスケールまで1つの画面で終わらせたいチーム向け。Standard は月12ドル(年払い・年144ドル)から、Gen-4.5 に加えて Kling 3.0 など他社モデルも同じ画面で使えます(出典:Runway Pricing(公式))。

逆に、2026年7月時点で新規に選んではいけないのが Sora です。Web・iOSアプリは2026年4月26日に終了し、API も2026年9月24日で廃止されます(出典:OpenAI Help Center「What to know about the Sora discontinuation」)。すでに業務に組み込んでいる場合は、残り28日(2026年8月27日時点)で移行を終える必要があります。2026年8月26日にOpenAI公式のDeprecations一覧を再確認しましたが、Videos API・sora-2・sora-2-proの停止日はいずれも2026年9月24日のままで、延期はありません。

2026年7月の勢力図:この2か月で何が変わったか

2026年5月から7月にかけて起きた変化は、大きく3つです。時系列で押さえておくと、古い比較記事に引っかかりにくくなります。

2026年5月19〜20日:Google I/O で Gemini Omni が登場

Google は Google I/O 2026 で、テキスト・画像・音声・動画を相互に入出力する生成モデルファミリー「Gemini Omni」を発表しました。最初の実装である Gemini Omni Flash は、発表当日から Google AI Plus / Pro / Ultra の契約者に Gemini アプリと Google Flow 経由でグローバル提供され、YouTube Shorts と YouTube Create アプリでは無料で順次提供されています(出典:Google「Gemini Omni」公式ブログ)。

従来の動画生成AIとの一番の違いは会話型編集です。画像・音声・動画・テキストを混ぜて入力でき、生成後も「もう少し寄りにして」「時間帯を夕方に」のように自然言語で修正を重ねながら、複数ターンにわたって一貫性を保てるとされています。重力や流体など物理の理解も強化されたと説明されています。

実務上、押さえておくべき制約は3つあります。第一に、生成物には SynthID の不可視ウォーターマークが既定で入ります。公式ブログは「Omni で作成したすべての動画に SynthID の不可視デジタル透かしが含まれ、Gemini アプリ・Chrome の Gemini・Google 検索で生成物かどうかを確認できる」と明記しています。第二に、音声・発話の編集機能は保留中で、公式ブログも「責任ある形で提供する方法を引き続き検証している」と説明しています(自分の声と姿を登録して使う Avatars 機能自体は提供済みです)。第三に、The Next Web の報道によれば、公開時点でクリップは10秒上限に絞られており、これはモデルの限界ではなく提供上の判断とされています。ただしこの10秒という数字は Google の公式ブログには明記がないため、本記事では報道ベースの情報として扱います。

2026年4月〜9月:Sora の終了スケジュールが確定

動画生成AIブームの火付け役だった Sora は、2026年3月にコンシューマー版の終了が発表され、4月26日に Web版・iOSアプリの提供が終了しました。残る API も9月24日で廃止されることが公式に案内されています。ChatGPT の画面から動画生成ボタンが消えたのもこの流れです。Sora 2 の使い方や日本での提供状況の経緯は、Sora2の使い方と日本での提供状況をまとめた記事で整理しています。

2026年2月・6月:中国勢が「尺」と「参照入力」で先行

Kuaishou(快手)は2026年2月5日に Kling 3.0 を公開しました。ネイティブ4K、最大60fps、1クリップ15秒、監督のように複数カットを設計できるマルチショット機能が特徴として案内されています。テキスト・画像・音声・動画を1つのモデルで扱う統合アーキテクチャを採用しており、生成と編集が同じワークフローで完結する構成です。

ByteDance は2026年6月23日に Seedance 2.5 を発表しました。最大の特徴は30秒のクリップを1回の生成でレンダリングできる点で、従来のように短いクリップを継ぎ足す必要がありません。参照素材は画像・動画・音声・脚本・スタイルガイドなど最大50点まで受け付けます(Seedance 2.0 は12点)。API は BytePlus ModelArk / Volcano Engine のほか、Dreamina・CapCut 経由でも利用でき、実験的なロングビデオモードでは180秒まで伸ばせるとされています(出典:CineD「ByteDanceがSeedance 2.5 APIを公開」)。

ただしSeedance 2.5 は公式の料金表が公開されていません。CineD も「公式料金は未公開」としたうえで、前世代の2.0が1秒あたり約6米セントだった実績から30秒クリップで1〜2ドル程度と推計しているにすぎません。解像度も「4K対応」と製品ページに書かれている一方、上限値は別途公表されていない状態です。日本の法人が正式契約で業務に組み込む段階には、まだ情報が揃っていないと判断するのが妥当です。

主要動画生成AI 比較表(2026年7月時点)

以下は各社の公式ページから確認できた情報だけを整理した比較表です。公式に記載が見つからなかった項目は「公式で未確認」と明記しています。為替・税・地域によって日本円の負担額は変動するため、契約前には必ず各社の最新ページをご確認ください。

サービス

提供元・主なモデル

料金の起点(公式)

1クリップの尺

解像度

商用利用

透かし

日本からの使い方

Gemini Omni Flash

Google/Gemini Omni

YouTube Shorts・YouTube Create は無料。Gemini アプリ/Flow は Google AI Plus 月725円〜、Pro 月2,900円、Ultra 月14,500円〜

報道ベースで10秒上限(公式明記なし)

API料金表は720p基準で記載

可(有料プラン/API)

SynthID が既定でON

日本語プロンプト・日本語UIに対応

Veo 3.1

Google DeepMind/Veo 3.1・Fast・Lite

API は秒課金(0.05〜0.60ドル/秒)。Gemini アプリ/Flow は Google AI Pro 月2,900円、Ultra 月14,500円〜

1クリップ8秒(Extend で延長)

1080p・4K

可(有料プラン/API)

SynthID

日本語UI・日本語プロンプト対応

Runway

Runway AI/Gen-4.5 ほか、Kling 3.0 も同居

Free 0ドル(125クレジット・一度限り)、Standard 月12ドル、Pro 月28ドル、Max 月76ドル(いずれも年払い基準)

公式料金ページに上限の明記なし

Standard で1080p、Max で2K

可(規約上プラン別の制限記載なし・後述)

有料プランは透かしなし

UIは英語中心、日本語プロンプトは通る

Kling 3.0

Kuaishou Technology

公式料金ページを確認できず、本記事では金額を掲載しない

15秒

ネイティブ4K・最大60fps

有料プランで可とされる(要公式確認)

無料プランは透かしあり

直接契約のほか、Runway 経由でも利用可能

Pika

Pika Labs

Free 0ドル、Basic 月8ドル、Standard 月28ドル、Pro 月76ドル、Fancy あり(年払い基準)

公式料金ページに上限の明記なし

Free は480pのみ、Standard 以上で全解像度

有料プランは可(Free は不可)

Free は透かしあり、有料は除去可

UIは英語中心、日本語プロンプトは通る

Seedance 2.5

ByteDance

公式料金表が未公開

30秒(1回の生成)/実験的に180秒

4K対応とされるが上限は非公表

公式条件を確認できず

公式で未確認

BytePlus ModelArk・Volcano Engine・Dreamina 経由

Sora

OpenAI/Sora 2・Sora 2 Pro

2026年9月24日にAPI廃止。新規導入は非推奨

720p〜1080p

―(終了予定のため)

アプリは2026年4月26日に終了済み

Google のプラン価格はGoogle AI プランの日本向け公式ページ、Runway はRunway Pricing、Pika はPika Pricingの記載に基づきます。

API の秒単価で比べる(従量課金で使う場合)

社内システムや制作パイプラインに組み込むなら、サブスクではなくAPIの秒単価で比べるほうが実態に近くなります。Google と OpenAI は公式に秒単価を公開しているため、直接比較できます。

モデル

720p

1080p

4K

備考

Veo 3.1

0.40ドル/秒

0.40ドル/秒

0.60ドル/秒

ネイティブ音声あり

Veo 3.1 Fast

0.10ドル/秒

0.12ドル/秒

0.30ドル/秒

量産向けの中間グレード

Veo 3.1 Lite

0.05ドル/秒

0.08ドル/秒

最安。ドラフト・検証向き

Gemini Omni Flash(プレビュー)

約0.10ドル/秒

映像出力トークン17.50ドル/100万、720p 1秒=5,792トークン換算

Sora 2(9/24廃止)

0.10ドル/秒

バッチ利用で0.05ドル/秒

Sora 2 Pro(9/24廃止)

0.30ドル/秒

0.70ドル/秒

1024pは0.50ドル/秒

出典はGemini Developer API pricingおよびOpenAI API Pricingです。表から読み取れる実務的な示唆は2つあります。1つ目は、Sora 2(720p・0.10ドル/秒)からの純粋な置き換えは Veo 3.1 Fast か Gemini Omni Flash が同単価で、コスト面での言い訳が立たないこと。2つ目は、Sora 2 Pro の1080p(0.70ドル/秒)を使っていたなら、Veo 3.1 の4K(0.60ドル/秒)のほうが安いことです。移行はコスト増ではなく、むしろ整理のチャンスになり得ます。

なお Gemini API の公式料金表には、モデルごとに「入力データを Google のサービス改善に利用するか」の欄があります。Gemini Omni Flash Preview は無料ティアは「Yes」、有料ティアは「No」と記載されています。「プレビュー版は有料でも学習に使われる」と書いている解説記事も見かけますが、2026年7月27日時点の公式料金表ではその記載は確認できませんでした。とはいえプレビュー版であることに変わりはないため、機密性の高い素材を投入する前には必ず最新の記載を確認してください。社内データの取り扱い方針は生成AI業務利用の情報漏洩対策と社内ガイドラインで詳しくまとめています。

よくある誤解:「Veo 4」は存在しない

2026年に入ってから、英語圏を中心に「Veo 4 のリリース日」「Veo 4 で何ができるか」といった記事が大量に出回っています。日本語でも同種の記事が増えていますが、2026年7月27日時点で Google は Veo 4 を発表も確認もしていません

根拠はシンプルで、Google DeepMind の Veo 公式モデルページに掲載されている最新版は Veo 3.1 であり、Veo 4 への言及は一切ありません。Gemini API の公式料金表に載っている動画モデルも Veo 3.1 / Veo 3.1 Fast / Veo 3.1 Lite / Veo 3 と Gemini Omni Flash だけです。モデルカードもプロダクトページも料金も存在しない以上、Veo 4 は製品としては存在しないと判断するのが正確です。

なぜ誤解が広がったのか

混同の原因は、Google I/O 2026 の目玉が「Veo の次のバージョン」ではなくGemini Omni という別系統の発表だったことにあります。Omni は Veo の改名版ではなく、Gemini の推論レイヤーと生成メディアのスタックを統合したファミリーで、動画専用モデルである Veo とは設計思想が異なります。「I/O で新しい動画モデルが出た=Veo 4 だろう」という推測が、確認されないまま記事化されて連鎖したと考えられます。

実務では何をすればよいか

やることは3つだけです。第一に、社内の稟議書・提案書から「Veo 4」の記述を消す。存在しない製品を前提にした計画は、審査で必ず止まります。第二に、ベンダーや制作会社から「Veo 4 対応」と提案された場合は、公式モデルページのURLを求める。出せないなら Veo 3.1 の別称か、単なる誤記です。第三に、モデル名ではなく「秒単価」「尺」「商用条件」で比較する。バージョン番号は入れ替わりますが、この3つは契約書に落ちる項目なので陳腐化しません。今後登場が見込まれるモデルの確度別の整理は、2026年後半に来るAIモデルを信頼度つきで一覧化した記事にまとめています。

Sora API 廃止(2026年9月24日)にどう備えるか

Sora API を使っている企業にとって、2026年9月24日は確定した期限です。2026年8月18日時点で残りは37日——公開当初の「約2か月」から半分近くまで縮んでいます。以下は逆算した現実的なスケジュールです。

時期

やること

判断のポイント

7月末まで

Sora API の呼び出し箇所を全部洗い出す。生成済み動画とプロンプト資産をエクスポート

「どこで何本作っているか」を数字で出す。月あたりの生成秒数が移行先の見積もりの基準になる

8月前半

候補2つで同じプロンプトを流し、同条件で出力を比較

Sora 2(720p)なら Veo 3.1 Fast と Gemini Omni Flash、Sora 2 Pro なら Veo 3.1 が同価格帯

8月後半

移行先を決めて実装。並行稼働で差分を潰す

アスペクト比・尺・音声の有無で仕様差が出る。ここを詰めずに切り替えると本番で崩れる

9月上旬

本番切り替え。Sora 側は読み取り専用に

締切当日に切り替えない。祝日・障害の余白を必ず2週間残す

9月24日

Sora API 廃止

この日以降、過去のスナップショット版を含め呼び出せなくなる

移行先の選び方:3つの分岐

移行先は「Sora で何をしていたか」で機械的に決められます。迷ったら次の分岐で判断してください。

  1. API から自動生成していた(本数が多い・パイプライン化している)→ Veo 3.1 Fast または Veo 3.1 Lite。秒単価が Sora 2 と同等以下で、コードの置き換えだけで済みます。品質が落ちるようなら標準の Veo 3.1 に上げて、必要なカットだけ単価を払う運用に切り替えます。
  2. 人が1本ずつ作り込んでいた(広告・PV・採用動画など)→ Runway。生成後の編集・尺つなぎ・アップスケールが同じ画面で完結し、Gen-4.5 のほか Kling 3.0 など他社モデルも横並びで試せます。1つのプラットフォームに乗せておけば、次にモデルが入れ替わっても移行作業が発生しません。
  3. 作った動画を何度も修正していた(社内レビューが多い)→ Gemini Omni Flash。会話で修正を重ねられる設計なので、「もう一度プロンプトを書き直して作り直す」という往復が減ります。YouTube Shorts / YouTube Create なら無料で挙動を確かめられるため、検証コストがほぼゼロです。

移行で実際につまずくポイント

単価とモデル名だけ見て移行すると、本番で3か所つまずきます。1つ目は尺です。Sora 2 で15秒・20秒を1本で作っていた場合、Veo 3.1 は1クリップ8秒、Gemini Omni Flash は報道ベースで10秒上限のため、クリップ分割と結合の工程が新しく発生します。ここを見落とすと「同じ動画が作れない」という事故になります。

2つ目は音声です。Veo 3.1 はネイティブ音声を持ちますが、Gemini Omni Flash の音声・発話の編集機能は保留中です。ナレーションや効果音を後段で差し替える運用にしていた場合、そのワークフローが移行先で成立するかを先に確認してください。

3つ目は透かしです。Gemini Omni で作った動画には SynthID が既定で入り、ユーザー側で外す設定は用意されていません。「AI生成であることを表に出さない」前提の企画は、そもそも成立しないと考えたほうが安全です。

どのツールを選ぶかより、社内の誰がどう使うかを決めるほうが、実は難しいことが多いです。Mihata では月1回のAIミーティングを通じて、ツール選定から社内ルールの整備、現場で回る運用フローづくりまでを一緒に進めています。移行の判断だけでも相談したい、という段階からお受けしています。

商用利用ライセンスの見方|契約前に必ず確認する4ポイント

動画生成AIの「商用利用OK」は、実は非常に幅のある言葉です。プラン・出力物の権利・第三者素材の扱い・地域制限が組み合わさるため、以下の4点を必ず公式の利用規約で確認してください。

  1. プラン別の商用利用可否…無料プランは「個人・非商用のみ」とされ、有料プランで初めて商用利用が解放されるサービスがあります。Pika は公式の料金ページで、Free は商用利用不可・480pのみ・透かしあり、Basic 以上で透かし除去と商用利用が解放されると明示しています。
  2. 出力物の権利帰属…生成物の権利がユーザーに帰属するのか、サービス側にライセンスが残るのかを確認します。学習素材としての二次利用条項も同じ場所に書かれていることが多いです。
  3. 第三者素材・人物の扱い…実在の人物・ブランド・キャラクターに似た出力は、商用利用可能なプランでも肖像権・商標権・著作権の責任はユーザー側に残ります。
  4. 地域・業種の制限…金融、医療、政治広告、選挙関連など、規約上で用途が制限される分野があります。提供国の制限で日本から契約できないプランも存在します。

実際に規約を読むと通説と食い違うことがある(Runway の例)

この4点を実際に確認すると、日本語の解説記事に書かれている通説と食い違うケースがあります。典型が Runway です。多くの記事は「Runway の無料プランは商用利用不可」と書いていますが、Runway の利用規約(Terms of Use)には「当社はユーザーの Inputs および Outputs の所有権を主張しない」「本契約を遵守する限り、当社は Outputs の商用利用を制限しない」と書かれており、プラン別に商用利用を制限する条項は確認できませんでした

では無料プランで業務に使えるかというと、実務上は現実的ではありません。Free は125クレジットの一度限りで、継続的な制作には量が足りないためです。つまり「規約で禁止されている」のではなく「量的に足りない」というのが正確な理解になります。混同したまま社内規程を書くと、規約違反を恐れて使えるものを使わなかったり、逆に別サービスで同じ理屈を当てはめて本当の違反を犯したりします。

教訓は1つです。二次情報ではなく、契約するプランの規約本文を自分で開くこと。プラン名も頻繁に変わります。Runway の最上位は以前 Unlimited でしたが現在は Max、Pika の8ドルプランは以前 Standard でしたが現在は Basic です。古い記事のプラン名で稟議を書くと、そもそも見積もりが合いません。AI画像生成における商用利用の考え方は、AI画像生成をビジネスで使うときの著作権リスクと商用利用ルールでも整理しています。

用途別おすすめ|どれを選べば失敗しないか

SNSショート(TikTok / Reels / Shorts)

まず試すなら YouTube Shorts / YouTube Create の Gemini Omni Flash が無料なので、コストゼロで感触を掴めます。量産フェーズに入ったら Pika Basic(月8ドル)か、Google AI Plus(月725円)で Gemini アプリと Flow を使う構成が安価です。縦型が中心なので、アスペクト比の指定を最初にテンプレート化しておくと手戻りが減ります。

プレゼン素材・社内向けムービー

日本語UIと安定した品質を重視するなら Google AI Pro(月2,900円) の Flow クレジット枠がバランス良好です。数秒のカットを複数並べてスライドに差し込む使い方が中心になるため、1クリップ8秒という制約もほとんど問題になりません。社外配布する場合のみ、SynthID が入っていることを前提にAI生成の表記ルールを決めておきます。

広告・PV・採用動画(作り込みが必要)

編集ワークフローまで含めるなら Runway Standard 以上が第一候補です。Gen-4.5 に加えて Kling 3.0 など他社モデルも同じ画面で比較でき、モデルが入れ替わってもプラットフォームを乗り換えずに済みます。日本から Kling を直接契約するのが難しい場合の実務的な近道でもあります。

物語性のあるシネマティックな短編

カメラワークと物理整合性を重視する用途は、これまで Sora が第一候補でしたが、終了に伴い Veo 3.1Kling 3.0 への移行が現実解です。Veo 3.1 はネイティブ音声と4K出力、Kling 3.0 は4K・60fps とマルチショット設計に強みがあります。

30秒以上の長尺を1本で作りたい

技術的には Seedance 2.5 が唯一「30秒を1回の生成で出す」ことを掲げています。ただし公式料金表が未公開で、商用条件も公式に確認できていないため、2026年7月時点では検証用途にとどめるのが妥当です。業務で長尺が必要なら、Veo 3.1 の Extend や Runway のタイムラインで複数クリップをつなぐ運用のほうが、契約面のリスクが小さくなります。

日本語プロンプトのコツ|動画AI特有の書き方

動画生成AIでは、テキストAIや画像AIと比べて「時間軸」を意識したプロンプト設計が重要になります。次の6要素を順番に埋めるだけで、出力のばらつきが目に見えて減ります。

  • シーン…場所、時間帯、天気、光(例:早朝の銀座、雨上がりのアスファルト、斜光)
  • 被写体…年齢層、服装、表情、ポーズ(実在人物の固有名詞は避ける)
  • カメラ…ショット種類(クローズアップ・引き・俯瞰)、動き(パン・ドリーイン・手持ち)、レンズ感(広角・望遠・ボケ)
  • 動き…被写体の動作と速度感(ゆっくり振り向く、駆け抜ける、グラスを置く)
  • スタイル…実写、シネマティック、アニメ調、レトロフィルムなど
  • 避けたい要素…文字化け、変形した手、過度なエフェクトなど

日本語プロンプトでも各社モデルはおおむね理解しますが、「シネマティック」「シャローフォーカス」といった映像専門用語は英語のほうが安定する傾向があります。日本語で骨組みを作り、専門用語だけ英語にするハイブリッド方式が実務的には扱いやすい方法です。

会話型編集がある場合はプロンプトの書き方が変わる

Gemini Omni Flash のように会話で修正できるモデルでは、最初から完璧なプロンプトを書こうとしないほうが速いという逆転が起きます。まずシーンと被写体だけを短く指定して1本出し、そこから「カメラをもう少し引いて」「夕方の光に」と一要素ずつ直すほうが、長文プロンプトを何度も書き直すより到達が早くなります。

一方、Veo 3.1 のようにプロンプトから一発生成する構成のモデルでは、6要素を最初から全部書き切るほうが有利です。モデルの設計によって、うまいプロンプトの形が違うという点は押さえておいてください。基本的な書き方の型はプロンプトエンジニアリングの基礎で体系的にまとめています。

導入時の注意点|著作権・肖像権・ディープフェイク・透かし

著作権・著作隣接権

動画生成AIの出力物の著作権の扱いは、各国・各サービスで運用が分かれています。日本国内では「人間の創作的寄与があるか」が重要な判断要素とされており、プロンプト入力だけで自動生成した動画の権利関係は確立しきっていません。実務では「サービスの利用規約で許諾されている範囲」と「日本国内法の最新解釈」の双方を見て社内ガイドラインを整える必要があります。

肖像権・パブリシティ権

実在の有名人・タレント・自社の関係者を「そっくりに」生成することは、商用利用可能なプランであっても肖像権・パブリシティ権の侵害になり得ます。Gemini Omni の Avatars のように、自分の声と姿を登録して使う機能が一般化したことで、「本人の同意をどう記録するか」という運用課題が新たに増えました。社員が登場する動画を作るなら、生成AIで再現する旨の同意書を先に用意しておくのが安全です。

透かしは「無効化できないもの」として設計する

2026年に大きく変わったのがここです。Gemini Omni で作った動画には SynthID が既定で入り、ユーザー側で外すオプションは提供されていません。SynthID はスクリーンショットや圧縮、リサイズを経ても残るよう設計された不可視の透かしで、Gemini アプリ・Chrome の Gemini・Google 検索から生成物かどうかを検証できます。

加えて、来歴情報を記録する業界標準の C2PA(Content Credentials)も普及が進んでおり、OpenAI は2026年5月19日から ChatGPT・Codex・API で生成した画像に C2PA と SynthID の両方を自動付与すると発表しています。つまり「AI生成だと分からないように使う」という前提は、もう成立しません

実務への影響は次の3点です。第一に、AI生成である旨を出す・出さないは企画段階で決めておくこと(後から隠せません)。第二に、YouTube など主要プラットフォームは AI生成コンテンツのラベル表示を求めているため、投稿フローにラベル付けの手順を組み込むこと。第三に、透かしは万能ではなく除去・回避手法も存在するため、透かしだけを真贋判定の根拠にしないことです。

ディープフェイクと業種別の規制

本人が言っていないことを言わせる動画、合成音声、政治的文脈での利用などは、各国でディープフェイク規制の対象になり始めています。日本国内でも選挙・金融・医療領域での誤解を招く生成物にはリスクが高く、AI生成であることを明示するクレジット表記や透かしの維持を運用ルールに明文化しておくべきです。とくに広告に使う場合は、法務・広報のチェック工程を制作フローに最初から入れておくと、公開直前の差し戻しを防げます。

まとめ|2026年7月の動画生成AIは「用途で2つ持つ」が正解

2026年7月時点の結論をもう一度整理します。API で量産するなら Veo 3.1 Fast / Lite、作り込むなら Runway、修正を繰り返すなら Gemini Omni Flash。この3つを押さえておけば、当面の実務は回ります。単一の万能サービスを選ぶフェーズは終わり、用途ごとに2つ持つのが現実的なコスト構造になりました。

そのうえで、期限が確定している事実が1つあります。Sora API は2026年9月24日で廃止されます。使っている企業は、9月上旬までに移行を終える前提でスケジュールを引いてください。逆に言えば、9月24日は「AI動画の運用ルールを社内で作り直す」ちょうどよい区切りでもあります。

最後にもう一度だけ。「Veo 4」は存在しません。公式モデルページにも料金表にも記載がなく、Google I/O 2026 で発表されたのは Gemini Omni という別系統のファミリーです。バージョン番号の噂ではなく、秒単価・尺・商用条件という契約に落ちる項目で比較してください。この3つで比べる限り、記事が古くなっても判断を誤りません。

Mihata では、AI導入支援とWeb制作の両方を手がけている立場から、動画生成AIの選定・社内ルールづくり・実際の運用フロー設計まで伴走しています。「うちの規模でどこまでやるべきか分からない」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。AI導入支援サービスの詳細もあわせてご覧いただけます。

よくある質問

「Veo 4」はもう出ているのですか?

2026年7月27日時点で、Googleは Veo 4 を発表も確認もしていません。Google DeepMind の Veo 公式モデルページに載っている最新版は Veo 3.1 で、Gemini API の公式料金表に掲載されている動画モデルも Veo 3.1 系と Gemini Omni Flash だけです。Google I/O 2026 で発表されたのは Veo の新バージョンではなく、Gemini Omni という別系統のファミリーでした。

Sora はもう使えないのですか?

Web版とiOSアプリは2026年4月26日に提供終了しています。API は2026年9月24日で廃止予定のため、それまでは呼び出せますが、新規に業務へ組み込むのは推奨できません。すでに使っている場合は、9月上旬までに Veo 3.1 Fast や Gemini Omni Flash などへ移行を終えるスケジュールを組んでください。

無料で商用利用できる動画生成AIはありますか?

YouTube Shorts と YouTube Create アプリでは Gemini Omni Flash が無料で提供されています。一方 Pika の Free プランは公式に商用利用不可・480pのみ・透かしありと明示されています。Runway の利用規約にはプラン別の商用制限の記載は確認できませんでしたが、無料プランは125クレジットの一度限りで、継続的な業務利用には量が足りません。

SynthID の透かしは消せますか?

消せません。Gemini Omni で作成した動画にはすべて SynthID の不可視ウォーターマークが既定で入り、ユーザー側で外すオプションは提供されていません。スクリーンショットや圧縮、リサイズを経ても残るよう設計されており、Gemini アプリ・Chrome の Gemini・Google 検索から生成物かどうかを検証できます。AI生成であることを隠す前提の企画は成立しないと考えてください。

日本語のプロンプトでも大丈夫ですか?

各社モデルとも日本語プロンプトはおおむね理解します。ただし「シネマティック」「シャローフォーカス」などの映像専門用語は英語のほうが安定する傾向があるため、日本語で骨組みを書き、専門用語だけ英語にするハイブリッド方式が実務的です。Gemini アプリと Google Flow は日本語UIにも対応しています。

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