Mihata
仕事効率化(DX)2026.09.28

AppSheet kintone 比較|どっちを選ぶか人数別試算【2026】

結論から言います。すでに Google Workspace(Business Starter 以上)を使っていて、業務データがスプレッドシートに載っているなら AppSheet が有利です。AppSheet Core のライセンスは対象エディションの Workspace に追加費用なしで含まれるためで、ライセンス費は実質0円から始められます。

逆に、利用者が10名以上いて、情報システム担当を置かずに現場の担当者が自分で画面や項目を直していく運用にしたいなら kintone が向きます。日本語の電話サポートが標準に付き、権限設計もノーコードの画面だけで完結します。

気をつけたいのは、kintone は最小契約が10ユーザーであることです。5名で使いたい場合もスタンダードコースなら年216,000円(税抜)が下限になります。この記事では、2026年9月28日に公式ページで確認した単価をもとに、貴社の人数を当てはめて計算できる試算式を先に置きます。

結論:ライセンス費で選ぶか、運用の自走性で選ぶか

この2つは「同じものの安い版・高い版」ではありません。AppSheet はスプレッドシートやデータベースを土台に、作り手がロジックを組み立てるツールです。kintone は業務アプリの土台一式(データベース・コミュニケーション・権限・サポート)をまとめて借りる仕組みです。

したがって判断軸は2つに絞れます。1つはライセンス費をどこまで抑えたいか、もう1つは作ったあと誰が直し続けるかです。前者だけを見れば AppSheet が安く、後者を社内の非エンジニアに任せたいなら kintone のほうが現実的です。

なお、どちらを選んでも「作る工数」は消えません。AppSheet の料金の内訳はAppSheetの料金は高い?代替と2026年公式価格の比較、kintone から動かすときの費用はkintone乗り換えの費用と代替の整理にまとめています。

私たちはスプレッドシートのアプリ化サービスも行っております。記事の途中で恐縮ですが、いま使っているスプレッドシートを作り替えずにそのままアプリの画面にしたい場合は、AppSheet と kintone のどちらにも寄らない選び方になります。向き不向きは後半の章で正直に書きますので、必要な方だけご覧ください。

料金は単価表ではなく「試算式」で比べる

比較記事は単価の転記で終わりがちですが、実際に効くのは人数と初期構築費です。次の式に貴社の数字を入れてください。

  • 年額 = 1ユーザー単価(月額)× 利用人数 × 12 + 初期構築費
  • 初期構築費(内製の場合)= 構築工数(時間)× 時間単価
  • kintone は 利用人数の代わりに「max(利用人数, 10)」を入れます(最小契約10ユーザーのため)

時間単価は、社内担当者にやらせるなら人件費(目安として時給換算3,000円前後)、外注するなら見積額を入れます。外注時の相場感はGAS開発の外注費用の目安が近い水準です。

2026年9月28日時点の公式単価

下表は AppSheet 公式料金ページと kintone 公式料金ページで同日に確認した表示価格です。AppSheet は米ドル建てのため、1ドル=157円(2026年9月25日の参考レート)で換算した参考額を併記します。kintone の金額はいずれも税抜です。

プラン

公式表示

年額換算(1ユーザー)

最小契約

AppSheet Starter

月5ドル/ユーザー

約9,420円

公式ページに記載なし

AppSheet Core

月10ドル/ユーザー

約18,840円

公式ページに記載なし

AppSheet Enterprise Plus

月20ドル/ユーザー

約37,680円

公式ページに記載なし

kintone ライトコース

月1,000円/ユーザー

12,000円(年額契約時)

10ユーザー

kintone スタンダードコース

月1,800円/ユーザー

21,600円(年額契約時)

10ユーザー

kintone ワイドコース

月3,000円/ユーザー

36,000円(年額契約時)

1,000ユーザー

ここで一番効く事実は、AppSheet Core のライセンスが 対象の Google Workspace エディション(Business Starter/Business Standard/Business Plus、Enterprise 各版など)に追加費用なしで含まれることです。該当する契約なら、上表の18,840円は払わずに済みます。

AppSheet の無料利用は「最大10名のテストユーザーまでの試作・検証」であり、本番運用の無料枠ではない点も公式ページに明記されています。ここを取り違えると、公開直前に費用が発生します。

5名・20名・50名で当てはめる

ライセンス費だけを上の式で計算した年額です(初期構築費は各社で異なるため、この表では0円としています)。kintone は5名でも10ユーザー分の請求になります。

利用人数

AppSheet Starter

AppSheet Core(有料購入)

AppSheet Core(Workspace に含まれる場合)

kintone ライト

kintone スタンダード

5名

47,100円

94,200円

0円

120,000円

216,000円

20名

188,400円

376,800円

0円

240,000円

432,000円

50名

471,000円

942,000円

0円

600,000円

1,080,000円

ライセンス費だけで見ると、どの人数でも AppSheet が下回ります。ただしこれは「作る工数が同じなら」という条件付きの比較で、実務ではそこが同じになりません。次でそこを入れて計算します。

工数を入れた損益分岐は約54名

初期構築の工数に差を置きます。ここでは前提を明示します。時間単価3,000円、初年度の構築工数を AppSheet 80時間・kintone 30時間と仮定します(AppSheet は式・権限・画面を自分で設計するぶん手がかかり、kintone は標準機能で収まる範囲が広いという実務上の差です)。

  • AppSheet Core を有料購入する場合の年額 = 18,840 × 人数 + 240,000円
  • kintone スタンダードの年額 = 21,600 × max(人数, 10) + 90,000円

この2式が交わる人数を解くと 2,760 × 人数 = 150,000 となり、約54名が分岐点です。実際に当てはめると、54名で AppSheet 1,257,360円・kintone 1,256,400円でほぼ並び、55名で AppSheet 1,276,200円・kintone 1,278,000円と逆転します。つまり54名までは kintone のほうが安く、55名以上で AppSheet が安くなる計算です。

一方、AppSheet Core が Workspace に含まれている場合はライセンス費が0円なので、分岐点そのものが消えます。10名でも AppSheet 240,000円・kintone 306,000円で AppSheet が下回り、差額の66,000円は工数22時間ぶんに相当します。言い換えると、10名規模なら AppSheet に102時間以内で作れるかぎり AppSheet のほうが安いという判断になります。

数字は前提で動きます。価格改定やプラン改称もあるため、最新の単価は必ず公式ページでご確認ください。

料金以外の8つの選定軸

費用が近い範囲なら、次の8軸で決めるのが早いです。どちらにも不得意があるので、両方を並べます。

選定軸

AppSheet

kintone

料金の伸び方

人数に比例。Workspace 込みなら追加費用なし

人数に比例。最小10ユーザーのため小規模では割高

既存スプレッドシートの活用

Google スプレッドシートをそのままデータ元にできる

データを kintone のアプリへ移す前提になる

モバイル対応

スマホアプリ前提の設計で、現場入力に強い

専用アプリがあり実用十分だが、作りは PC 画面が基準

権限設計

セキュリティフィルタや式で細かく組めるが、設計者の力量に依存

アプリ・レコード・フィールド単位で画面から設定できる

外部連携

API・クラウドDB連携は上位プラン寄り。Google 各サービスとは近い

連携コネクタやプラグインが豊富で、国内SaaSとの事例が多い

学習コスト

式の書き方に慣れるまで壁がある。英語の情報が多い

日本語の情報と研修が多く、非エンジニアでも入りやすい

作れるものの上限

ロジックを書けるぶん、作り込めば複雑な業務にも届く

標準の枠内は速いが、外れるとプラグインや開発が必要

日本語サポート

Core はメールサポート中心

スタンダード以上でチャット・メール・電話に対応

表を見ると傾向がはっきりします。AppSheet は「作る人が社内か外部にいる前提で安く済ませる」選択、kintone は「作る人を置かずに現場で回す」選択です。予算だけで決めると、後者が必要な会社が前者を選んで止まります。

どっちを選ぶか、条件で切り分ける

AppSheet を選ぶ条件

次の3つがそろうなら AppSheet です。Google Workspace の対象エディションを契約している、業務データがすでに Google スプレッドシートにある、そして式やロジックを組める人(社内担当者でも外注でも構いません)を確保できる。この場合、ライセンス費を追加せずに現場のスマホ入力まで作れます。

逆に、3つ目が欠けるとリスクが立ちます。作った人が離れると誰も直せない状態になりやすく、これは内製でよく起きる詰まり方です。よくある失敗の型はAIで社内アプリを内製して失敗する7パターンにまとめました。

kintone を選ぶ条件

利用者が10名以上いて、申請・承認や部署をまたぐやりとりが業務の中心で、ライセンス費を払うかわりに社内で直せる状態を買いたい。この形なら kintone が合います。電話サポートがあること自体が、担当者1人で抱える会社には実務上の保険になります。

向かないのは、5名前後の小規模で、かつ用途が1つの台帳だけというケースです。最小10ユーザーの縛りで、使っていない5人分を払い続けることになります。

どちらでもない第3の選択肢

3つ目の道は、いま使っているスプレッドシートをそのままアプリの画面にする方法です。データの置き場はスプレッドシートのまま変えず、入力・検索・一覧・権限だけをアプリの形で被せます。月額のユーザー単価が発生しないため、上の試算式では「1ユーザー単価 = 0円、初期構築費のみ」という形になります。

これが合うのは、次のような場合です。データはスプレッドシートで十分だが入力ミスと属人化が問題になっている、人数が少なくて最小10ユーザーの契約が重い、あるいは社内に式を書ける人がいないので作り込みを任せたい。スプレッドシート運用が限界に来ているかの見極めはスプレッドシート管理の限界と見極め方で整理しています。

反対に、合わない場合もはっきり書きます。数万件を超えるデータを高速に検索したい、承認フローを部署ごとに何種類も作り分けたい、外部の業務システムと常時同期したい。こうした要件なら kintone のような製品を使うほうが素直です。作り込みを増やすほど、初期構築費がライセンス費の差を上回っていきます。

選ぶ前に確認しておく3点

1つ目は、現在の Google Workspace のエディションです。AppSheet Core が含まれるかどうかで年間の費用が数十万円変わります。管理コンソールの契約内容を先に見てください。

2つ目は、3年後の利用人数です。試算式は人数に比例するので、いまの人数ではなく増えたあとの人数で計算しないと、2年目に前提が崩れます。

3つ目は、作ったあと誰が直すかを名前で決めておくことです。ここが空欄のまま始めた社内アプリは、ツールの良し悪しとは無関係に止まります。どちらを選ぶかより、この1点のほうが結果を左右します。

試算の前提づくりや、第3の選択肢が合うかどうかの見極めでお困りであれば、現状のスプレッドシートを見せていただければ判断材料をお返しします。

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よくある質問

AppSheet と kintone はどっちが安いですか?

ライセンス費だけなら AppSheet です。2026年9月28日時点の公式価格で計算すると、20名の年額は AppSheet Core が約376,800円、kintone スタンダードが432,000円です。さらに対象の Google Workspace エディションを契約していれば AppSheet Core は追加費用なしで使えるため0円になります。ただし初期構築の工数を時間単価3,000円・AppSheet 80時間/kintone 30時間と仮定して足すと、54名までは kintone のほうが安く、55名以上で AppSheet が逆転します。

5名だけで使いたい場合はどちらを選ぶべきですか?

kintone は最小契約が10ユーザーなので、5名でもスタンダードコースで年216,000円(税抜)が下限になります。5名規模でライセンス費を抑えたいなら AppSheet か、スプレッドシートをそのままアプリ化する方法が現実的です。ただし社内に式を書ける人がいない場合は、作ったあと直せなくなるリスクを先に考えてください。

Google Workspace を契約していれば AppSheet は無料で使えますか?

Google 公式ヘルプによると、Business Starter・Business Standard・Business Plus、Enterprise Starter・Standard・Plus などの対象エディションには、ドメインの所有権証明済みユーザーぶんの AppSheet Core ライセンスが追加費用なしで含まれます。対象外のエディションや Cloud Identity ユーザーぶんは、アドオンとして購入する形になります。

AppSheet の無料プランで本番運用できますか?

できません。公式ページの無料利用は、最大10名のテストユーザーを招待して試作・検証を行うためのものです。チーム全体へ配って本番で使う段階では、Starter・Core・Enterprise Plus のいずれかを契約する必要があります。

どちらを選ぶかで一番見落としやすい点は何ですか?

作ったあと誰が直すかを決めていないことです。AppSheet は式やロジックを組める人が前提になり、その人が離れると誰も触れなくなります。kintone はライセンス費が高いかわりに現場の担当者が画面から直せます。費用の差より、この運用体制のほうが数年後の結果を左右します。

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