Mihata
AI活用2026.09.03

ブログ担当者の退職で更新が止まった|3つの選択肢と判断軸

ブログを回していた担当者が辞め、最終更新が半年前で止まったまま——という相談は珍しくありません。焦って「とりあえず週1本」を再開する前に、決めるべきことが1つあります。

更新が止まったブログは、まず「畳む(削除・統合する)」「凍結する(更新せず残す)」「引き継ぐ(社内・外部・AI+人の監修)」のどれかを決めます。判断軸は現在の流入と資産価値であって、記事本数ではありません。Mihata が自社サイトの Search Console で実測したところ、直近28日(2026年8月6日〜9月3日)にコラム940ページのうち検索クリックが1回以上あったのは277ページで、クリック上位10%(94ページ)だけで全クリックの94.4%を占めていました。本数が多くても、実際に価値を生んでいるのはごく一部という状態は普通に起こります。

つまり「200本あるからもったいない」は判断材料になりません。見るべきは「そのうち何本が今も検索から人を連れてきているか」です。以下、放置したときに実際に何が起きるか、引き継ぐ前の棚卸し、4つの選択肢の比較の順に整理します。

更新が止まったブログを放置すると何が起きるか

先に誤解を解いておきます。更新が止まったこと自体が、自動的に順位を下げるわけではありません。実際に効いてくるのは、時間の経過とともに記事の中身が実態とずれていくことのほうです。

「更新頻度が落ちたから順位が下がる」とは限らない

Google 検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」は、避けるべき行動の自己点検として「サイトを『新鮮』に見せれば検索順位が上がると考えて、大量の新規コンテンツを追加したり古いコンテンツを削除したりしていないか(いいえ、順位は上がりません)」という問いを挙げています。更新頻度そのものを稼ぐ行為は、Google が明確に否定している側です。

一方で鮮度がまったく無関係というわけでもなく、Google の「検索の仕組み」は「最新のニュースの話題を検索する場合、コンテンツの鮮度は辞書的な定義よりも大きな役割を果たす」と説明しています。鮮度が効くかどうかはクエリ側の事情で決まる、というのが実務での理解です。制度・料金・ツールの仕様を扱う記事は鮮度が効きやすく、考え方や手順を扱う記事は比較的長持ちします。

したがって「止まった=下がる」ではなく、下がるとすればその理由は「内容が古くなって検索意図に答えられなくなった」か「競合が同じクエリにより新しく正確な記事を出した」かのどちらかです。頻度そのものの考え方はブログの更新頻度とSEOの関係で別途整理しています。

リンク切れと、消えたページの扱い

担当者不在の期間が長いほど、記事本文から張った外部リンクは静かに死んでいきます。紹介したサービスが終了する、引用元の記事が削除される、参照した公的資料のURLが変わる——どれも自社では防げません。読者から見れば「クリックしたら404」であり、記事そのものへの信頼が下がります。

自社ページを消す側の話も同じです。Google 検索セントラルの HTTP ステータス コードの解説は「Google は 4xx ステータス コードを返す URL をインデックスに登録せず、すでにインデックスに登録されていて 4xx を返す URL はインデックスから削除される」と明記しています。整理のつもりで古い記事を一括削除すると、たまたま流入を持っていた記事まで検索結果から消えます。

古い料金・制度が載り続けるリスク

実務で最も怖いのはここです。値上げ前の料金表、終了したキャンペーン、受付が終わった補助金、旧制度のままの手続き説明。これらが「誰も見ていないブログ」の中で公開され続けます。

景品表示法第5条第2号は、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(有利誤認表示)を禁じています。消費者庁は、過去の販売価格を比較対照価格として表示するような価格表示を問題になり得る例として挙げており、故意でない誤表示も規制の対象になり得ると説明しています。「更新を止めていたので気づかなかった」は説明にはなりません。

ここから導けるのは、凍結を選ぶ場合でも無条件に放置してよいわけではない、ということです。価格・制度・期限・キャンペーンに触れている記事だけは、更新しないと決めた後も点検対象に残す。これが最低線です。

引き継ぐ前の棚卸しチェックリスト

選択肢を決めるにも、引き継ぐにも、先に現状を数えないと話が進みません。順番は「①流入 → ②内容の古さ → ③アカウント → ④権利」です。③を後回しにすると、たいてい詰みます。

1. いま流入がある記事を特定する

Search Console の検索パフォーマンスをページ単位で開き、期間を過去3か月(可能なら16か月)にして、クリック数の降順で並べます。ここで分けるのは3つです。

  • クリックがある記事:守る対象。まずはここだけ事実確認と修正を行う
  • 表示回数はあるがクリックがない記事:タイトルと導入文の手直しで戻る可能性がある予備軍
  • 表示回数もほぼない記事:統合か凍結の候補

冒頭の実測どおり、クリックは上位に極端に偏ります。全記事を均等に見直そうとせず、上位20本程度に絞って手を入れるほうが、限られた工数では効きます。

2. 古くなった数値・制度・料金を洗い出す

サイト内検索やCMSの全文検索で、「円」「無料」「まで」「令和」「年版」「最新」「キャンペーン」といった語を機械的に拾い、ヒットした記事を一覧にします。タイトルに年号が入っている記事も同様です。全部直す必要はなく、①で残した上位記事と重なるものから着手します。

3. CMS・ドメイン・アカウントの所在を確定する

実務で最も詰まるのがこの論点です。「ブログは書けるが、どこで動いているのか誰も知らない」という状態は本当によくあります。最低限、次を紙に落として持ち主を確定させてください。

  • CMSの管理者アカウント:WordPress 等の管理者権限を持つユーザーが退職者だけになっていないか。管理者が1人しかいない構成は、退職前に必ずもう1つ作る
  • ドメインの登録名義・管理担当メール・更新料の支払い手段:名義が退職者の個人アカウントや個人カードだと、更新も移管も本人の協力なしには進みません
  • サーバー/ホスティング/DNS/CDN:契約会社と請求先。請求メールの宛先が退職者だと、失効の通知に誰も気づきません
  • Google アナリティクスと Search Console のオーナー権限:閲覧権限ではなくオーナーが誰かを確認する
  • 画像素材サイト・SNS・外注ライターとの契約:どのアカウントで契約しているか

そして順序が重要です。Google Workspace 管理者ヘルプによれば、削除したユーザー アカウントは削除後20日間は復元できる一方で、Gmail のメールやそのユーザーが所有するドライブ ファイルは削除の対象であり、組織内にデータを残すには別のユーザーへ移行する必要があるとされています。退職処理でメールアカウントを消してから契約先を探し始めると、契約書も請求メールも一緒に失うことになります。アカウントを止める前に棚卸しをする、が正しい順番です。

実務上のコツとしては、退職日が決まった時点で本人のメールボックスを「ドメイン」「サーバー」「更新」「請求」「invoice」で検索し、契約先の一覧を先に作ってしまうのが早いです。どうしても管理会社がたどれなくなった場合の調べ方はドメインとサーバーの管理会社がわからない時の調べ方に手順をまとめています。引き継ぎ資料そのものが存在しないケースについては引き継ぎ資料が作れないまま属人化した業務のほどき方も参考になります。

4. 原稿と画像の権利を確認する

外注ライターに書いてもらっていた記事は、契約が著作権の譲渡だったのか利用許諾だったのかで、リライトできる範囲が変わります。契約書が見当たらない場合は、発注時のメールやCrowdWorks等のメッセージ履歴が実質的な証拠になります。

画像素材はさらに注意が必要です。素材サイトのライセンスは契約したアカウントに紐づくのが一般的で、退職者個人のアカウントで契約していた場合、そのアカウントを解約した後も掲載を続けてよいかは素材サイトごとの規約次第です。ここは一般論で判断せず、使っている素材サイトの規約を個別に確認してください。判断がつかない画像は、自社撮影や新規契約分に差し替えるのが確実です。

4つの選択肢を比較する

棚卸しが済んだら、次の4択から選びます。金額は条件で大きく振れるため、あくまで目安の幅として見てください。

選択肢

月あたりのコスト感(目安)

必要な社内工数(目安)

向くケース

社内の別担当へ引き継ぐ

追加の外部費用はほぼ発生しない(既存人件費に内包)

月10〜20時間程度。調査と執筆が両方乗る

流入が伸びていて、書ける人と時間が社内にある

外部へ運用代行

月10万円台〜数十万円のレンジで提示されることが多い(本数・工程で変動)

月2〜5時間程度。テーマ確認と原稿レビュー

事業に直結する記事で、本数と品質を戻したい

AIで生成しつつ人が監修

月数万円〜十数万円のレンジ(ツール費+監修工数)

月3〜8時間程度。事実確認と最終承認は人が持つ

本数は要るが専任は置けない。テーマが自社で説明できる

凍結(更新せず残す)

ドメイン・サーバー維持費のみ(年1万〜数万円程度)

年1〜2回の点検で半日程度

流入が少なく、当面は事業側の優先度が低い

選ぶ順序としては、まず①で数えたクリックのある記事が20本前後あるなら「引き継ぐ」側、ほぼゼロなら「凍結」側に倒すのが現実的です。代行費用の内訳をもう少し細かく知りたい場合はAIブログ運用代行の月額相場と内訳が参考になります。

「畳む」を選ぶときの注意

削除は最後の手段です。前述のとおり4xxを返すURLはインデックスから削除されるため、流入を持っていた記事まで一緒に消えます。畳むと決めた場合でも、まず①のリストで上位に来た記事は残し、内容の重なる記事は削除ではなく1本に統合して301リダイレクトでまとめるのが基本です。サイトごと閉じる場合も、ドメインの失効タイミングと、名刺・資料に載っているURLの差し替えを先に段取りしてください。

ここまで書いてきたことは、社内でも十分に実行できる内容です。そのうえで、事実確認と原稿の骨組みをAIに任せて監修だけ社内に残す形も選択肢の1つとして用意しています。記事の途中で恐縮ですが、私たちが提供しているサービスなので、判断材料の1つとして覗いていただけたら嬉しいです。

実務で詰まりやすい落とし穴

退職者の個人アカウントで運用されていた

WordPress の管理者、ドメイン管理画面、アナリティクスのオーナーが、いずれも退職者の個人メールアドレスというケースです。在職中なら本人に頼めば解決しますが、退職後・関係が良好でない場合は、事業者側での本人確認手続きが必要になり、数週間止まることがあります。退職の申し出があった時点で、権限の棚卸しを引き継ぎ作業の最初に置くのが唯一の予防策です。

画像の素材ライセンスが引き継がれていない

アイキャッチだけで数百枚という規模になっていることも多く、後から1枚ずつ出所を確認するのは現実的ではありません。せめて①で残す上位記事のアイキャッチだけでも出所を確定させ、不明なものは差し替える、という優先順位で進めます。

古い料金・制度が公開され続ける

凍結を選んだ会社ほど起きます。「更新しない」と「点検しない」を同じ意味で運用してしまうためです。凍結する場合は、価格・制度・期限に触れている記事のURL一覧だけを別に作り、年1回のカレンダー予定にしておくと、実際に運用が続きます。

引き継いだ後、最初の90日ですること

引き継ぐと決めた場合、いきなり新規記事を書き始めるのは順序が逆です。

  1. 1か月目:新規は書かず、クリック上位20本の事実確認と修正だけを行う。古い料金・制度の修正はここで潰す
  2. 2か月目:「誰が書き、誰が事実確認し、誰が公開するか」を1枚にまとめる。属人化の再発はここで止まる
  3. 3か月目:新規記事を再開する。本数の目標より、止まらない頻度を先に決める

止まらない体制の組み方はブログの更新が続かない原因と仕組み化の型にまとめています。担当を1人に戻さない設計にできるかが、90日後にまた止まるかどうかを分けます。

まとめ

担当者の退職でブログが止まったとき、判断を分けるのは記事本数ではなく、いま流入があるかどうかと、その記事が事業に効いているかどうかです。流入は上位のごく一部に集中するため、まず数えて、上位だけを守る。そして更新を再開するかどうかに関係なく、アカウントの所在確認と、価格・制度に触れた記事の点検だけは先に済ませておく。この2つを外さなければ、どの選択肢を選んでも大きな事故にはなりません。

自社の状況だとどの選択肢が合うのか、判断がつかないという段階でのご相談も歓迎しています。押し売りはしませんので、現状の整理だけでもよければお声がけください。

よくある質問

担当者が辞めてブログの更新が止まると、検索順位はすぐ下がりますか?

更新が止まったこと自体で自動的に下がるわけではありません。Googleは、サイトを新鮮に見せる目的での大量追加や削除は順位を上げないと明言しています。下がる場合の理由は、内容が古くなって検索意図に答えられなくなったか、競合がより新しく正確な記事を出したか、のどちらかであることが多いです。

古い記事は全部削除したほうがいいですか?

おすすめしません。4xxを返すURLはインデックスから削除されるとGoogleが明記しており、流入を持っていた記事まで検索結果から消えます。まずSearch Consoleでクリックのある記事を特定して残し、内容が重なる記事は削除ではなく1本に統合して301リダイレクトでまとめるのが基本です。

引き継ぎで最初にやるべきことは何ですか?

アカウントの所在確認です。CMSの管理者、ドメインの登録名義と支払い手段、サーバー契約、アナリティクスとSearch Consoleのオーナー権限を洗い出します。特にメールアカウントは、削除すると契約書や請求メールごと失う可能性があるため、止める前に棚卸しを済ませてください。

更新しないで残す「凍結」を選ぶ場合、何も手を入れなくていいですか?

価格・制度・期限・キャンペーンに触れている記事だけは点検対象に残してください。景品表示法は、実際よりも著しく有利だと誤認される表示を禁じており、意図しない誤表示も対象になり得ます。該当記事のURL一覧を作り、年1回の点検予定にしておくのが現実的です。

外部に頼むのと、AIで生成して人が監修するのはどう使い分けますか?

社内のレビュー工数をどれだけ出せるかで分かれます。テーマ確認と原稿レビューに月2〜5時間しか出せず本数も品質も戻したいなら運用代行、事実確認と最終承認を月3〜8時間持てて自社でテーマを説明できるならAI生成+人の監修が合いやすい構成です。

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