会議のたびに議事録の清書へ時間を取られ、共有が翌日にずれ込む――そんな負担は、生成AIを使えば大きく減らせます。この記事では、生成AIで議事録を自動作成する具体的な手順を、文字起こしから要約・整形まで実務目線で解説します。そのままコピペできるプロンプト例と、ツールの選び方、つまずきやすい注意点まで押さえていきます。
結論から言うと、生成AIで議事録を自動作成する基本の流れは4ステップです。①録音またはオンライン会議の音声を用意し、②音声を文字起こしし、③その文字起こしを生成AIに要約・整形プロンプトで渡し、④出てきた議事録の固有名詞と数値を人が検証します。この「文字起こし → 要約 → 人の検証」という順番さえ守れば、使うツールが会議AIツールでも汎用の生成AIでも考え方は同じです。以下で各ステップと、そのまま使えるプロンプトを具体化します。
生成AIで議事録を自動作成する4ステップ
まずは全体像です。生成AIによる議事録づくりは、①音声の用意 → ②文字起こし → ③要約・整形 → ④人による検証、の順に進みます。多くの失敗は「文字起こしの質」か「④の検証を省いたこと」に原因があります。順番に見ていきましょう。
ステップ1:会議の音声を用意する
出発点は音声データです。オンライン会議ならZoomやMicrosoft Teams、Google Meetの録画・録音機能を使い、対面会議ならスマートフォンやICレコーダーで録音します。ここで重要なのは、参加者に録音の同意を取ることと、マイクからの距離や雑音に気を配ることです。無音や雑音が多い音声は、後段の文字起こし精度をそのまま下げてしまうためです。
ステップ2:音声を文字起こしする(生成AIの会議 文字起こし・要約の土台)
次に、音声をテキストに変換します。文字起こしの選択肢は大きく3つです。1つ目は会議ツール標準の機能(Zoomの字幕・要約、Teamsのトランスクリプトなど)、2つ目は文字起こしに特化した専用ツール、3つ目は録音済み音声ファイルを文字起こしサービスにアップロードする方法です。日本語の会議では、句読点の付与や話者の区別(話者分離)の精度がツールによって差が出るため、実際の会議音声で一度試してから本採用するのが安全です。
ステップ3:生成AIに要約・整形プロンプトを渡す
文字起こしができたら、そのテキストを生成AIに渡して議事録の形に要約・整形します。ここが「AI 議事録の作り方」で最も差が出る工程で、丸ごと貼り付けて「要約して」と頼むだけでは、決定事項とただの雑談が混ざった曖昧な文章になりがちです。次のH2で紹介するように、「決定事項・ToDo・担当者・期限を分けて抽出する」といった構造を指定するプロンプトを使うと、議事録として使える形に一気に近づきます。長い文字起こしは、扱えるトークン量の範囲で分割して渡すのがコツです。
ステップ4:固有名詞と数値を人が検証する
最後に、生成された議事録を人が必ず確認します。生成AIは、聞き取れなかった箇所を自然な文章でそれらしく埋めてしまうこと(ハルシネーション)があり、社名・人名・製品名・金額・日付といった固有名詞や数値ほど誤りが起きやすいためです。この検証ステップを省くと、後から「決定事項が違う」というトラブルに直結します。時間はかかっても、決定事項・担当・期限の3点だけは音声や画面と突き合わせる運用にしておくと安心です。
そのまま使える議事録要約プロンプト例
ここでは、文字起こしテキストに対してそのまま使える日本語プロンプトを3つ紹介します。いずれも「AI 議事録 プロンプト」の要点である構造の指定(決定事項・ToDo・担当者・期限を分けて出す)と推測の禁止(書かれていないことは補わせない)を組み込んでいます。会議の種類に合わせて使い分けてください。
定例・社内会議向け(決定事項とToDoを抽出)
あなたは議事録作成のアシスタントです。以下の会議の文字起こしを読み、次の見出しで日本語の議事録にまとめてください。1) 会議の目的、2) 決定事項(箇条書き)、3) ToDo(各項目に担当者と期限を付ける。不明なら「未定」と明記)、4) 未解決・次回への持ち越し事項。文字起こしに書かれていないことは推測で補わず、記載がない項目は「記載なし」としてください。
【文字起こし】
(ここに文字起こしを貼り付け)
商談・営業会議向け(先方の課題と次アクションを整理)
次の商談の文字起こしを、社内共有用に要約してください。出力は、A) 先方の課題・要望、B) こちらの提案内容、C) 合意した事項、D) 次のアクションと期限、E) 懸念点、の5項目です。社名・製品名・金額・日付などの固有名詞は文字起こしのまま正確に転記し、聞き取りが曖昧な箇所には【要確認】と付記してください。
整形・清書向け(社外共有できる体裁に)
以下の議事録ドラフトを、社外にも共有できる体裁に整えてください。話し言葉を書き言葉に直し、重複を削り、文体は敬体(です・ます)に統一します。事実は変えず、決定事項と「担当・期限」は表形式でまとめてください。判断に迷う箇所は書き換えず、そのまま残して【要確認】と付記してください。
2つのやり方:会議AIツール型 vs 汎用生成AI+文字起こし型
生成AIで議事録を作る方法は、大きく2つに分かれます。1つは、会議ツールに組み込まれたAI(Zoom AI Companion、Microsoft Teamsのcopilot、Nottaやtl;dvなどの会議AIツール)に任せる「ツール型」。もう1つは、文字起こしだけをツールで行い、要約・整形はChatGPT・Gemini・Claudeといった汎用の生成AIに任せる「汎用型」です。それぞれ向き不向きがあり、料金は変動しやすいため、下表の金額は必ず各公式ページで最新を確認してください(いずれも2026年時点の目安)。
観点 | 会議AIツール型(Zoom / Teams / Notta / tl;dv 等) | 汎用生成AI+文字起こし型(ChatGPT / Gemini / Claude 等) |
|---|---|---|
手間 | 録画すれば要約まで自動。設定後はほぼ待つだけ | 文字起こし→貼り付け→プロンプトの手動ステップが要る |
要約の柔軟さ | ツール既定のフォーマットが中心。細かな指定はしにくいことも | プロンプト次第で会議種別ごとに自在に整形できる |
話者分離・精度 | 会議ツール連携で話者を区別しやすい。日本語精度はツール差が大きい | 文字起こし側の精度に依存。話者分離は使う文字起こしツール次第 |
コスト感(2026年時点・要公式確認) | 無料プランありのツールが多い。有料は月額数百円〜数千円規模/ユーザー、Teamsは別途Copilotライセンスが必要 | 汎用AIの無料版でも可。有料版は月額20ドル前後が目安。文字起こし側の費用は別 |
セキュリティ | 録音・保存先が明確。プランにより保存期間や管理機能が異なる | 入力データの学習利用オプトアウトや保存の設定を自分で確認する必要がある |
向いているケース | とにかく手間なく議事録を回したい。会議ツールが決まっている | フォーマットを細かく作り込みたい/既存の文字起こし資産を活かしたい |
代表的な会議AIツール・生成AIの公式ページを、参照として並べておきます。機能や料金の一次情報は必ず公式で確認してください。
もっとツールを絞り込んで選びたい場合は、無料で使えるAI議事録ツールを比較した記事や、AI議事録ツールを精度・料金・セキュリティで比較した記事もあわせてご覧ください。本記事は「作り方・使い方」に絞っているため、ツール個別の詳細はそちらが詳しいです。
議事録を生成AIで作るときの注意点・失敗パターン
生成AIによる議事録は便利ですが、そのまま鵜呑みにすると事故につながります。実務でつまずきやすいポイントを、正直に挙げておきます。いずれも「AIに任せきりにしない」ことで大きく防げるものです。
ハルシネーション(言っていないことを書く)
最も注意すべきなのが、会議で誰も言っていない内容を、生成AIが自然な文章として書いてしまうことです。特に音声が聞き取りにくい箇所を「それらしく」埋める傾向があり、決定事項が事実と食い違う原因になります。プロンプトで「書かれていないことは補わない」と指示し、最終的には人が決定事項を確認する運用が欠かせません。
話者分離の限界と、無音・雑音による精度低下
「誰の発言か」を正確に振り分ける話者分離は、参加者が多い会議や声が似ている場合に取り違えが起きます。また、無音・雑音・複数人の同時発話は文字起こしの精度そのものを下げ、その誤りが要約にも引き継がれます。マイク環境を整える、重要な決定は口頭で復唱してもらう、といった会議側の工夫が、AIの出力品質を底上げします。
固有名詞・数値の誤り
社名・人名・製品名・金額・日付といった固有名詞や数値は、文字起こしの段階で誤変換されやすく、要約でもそのまま引き継がれます。議事録では最も間違えてはいけない部分なので、ステップ4の検証ではここを重点的に突き合わせてください。プロンプトで固有名詞を「文字起こしのまま正確に転記」と指定しておくのも有効です。
機密情報の取り扱い・学習利用と情報漏洩リスク
会議の文字起こしには、社外秘の数字や個人情報が含まれることが少なくありません。汎用の生成AIに貼り付ける場合は、入力内容が学習に使われない設定(学習利用のオプトアウトや法人向けプラン)になっているかを必ず確認してください。ツール型でも、録音データの保存先・保存期間・アクセス権限を把握し、扱ってよい情報の範囲を社内ルールとして決めておくことが、情報漏洩を防ぐ前提になります。
社内に定着させるには(属人化させない運用)
生成AIの議事録は、一人が工夫して使えるようになっても、それだけでは組織に根づきません。「あの人がいないと議事録が回らない」という属人化を避けるには、仕組みとして整えることが大切です。ポイントは、テンプレの共有・チェック体制・ツール選定の3つを個人任せにしないことです。
具体的には、本記事で紹介したようなプロンプトを社内の共通テンプレートとして保存し、誰が使っても同じ品質の議事録が出る状態を作ります。そのうえで、決定事項と担当・期限は必ず人が確認するというチェックの一手間をルール化し、どのツールをどの会議で使うかを組織として決めておきます。あわせて、中小企業がAIで経理を自動化する進め方のように、議事録以外の定型業務にも同じ考え方を広げていくと、AI活用が点ではなく面で効いてきます。
とはいえ、こうしたルール作りや社内への浸透は、日々の業務のなかで後回しになりがちです。私たちMihataでも、AI導入支援として、月1回のAIミーティングを通じて組織全体のAIリテラシーを底上げするお手伝いをしております。記事の途中で恐縮ですが、「試してはいるが社内に定着しない」という段階でつまずいている場合は、こうした伴走もひとつの選択肢になれば幸いです。
よくある質問
生成AIで議事録は無料で作れる?
無料枠のあるツールや、汎用生成AIの無料版と会議ツール標準の文字起こしを組み合わせれば、費用をかけずに議事録を作ることは可能です。ただし、無料プランには文字起こし時間やAI要約の回数に制限があり、機密情報の扱いにも注意が必要です。
ChatGPTで議事録を作る手順は?
まず会議の音声を文字起こししてテキストにし、そのテキストをChatGPTに貼り付けて、決定事項・ToDo・担当者・期限を分けて抽出する要約プロンプトを渡します。最後に、社名や金額などの固有名詞・数値を人が検証すれば完成です。
生成AIで作った議事録はどのくらい正確?
文字起こしの精度や話者分離、専門用語の変換によって誤りが出ることがあり、聞き取れなかった箇所をそれらしく補うハルシネーションも起こり得ます。決定事項・担当・期限は必ず人が音声や画面と突き合わせて確認してください。
会議AIツールと汎用生成AIはどちらを使うべき?
手間なく自動で議事録を回したいなら会議AIツール型、フォーマットを細かく作り込みたい・既存の文字起こしを活かしたいなら汎用生成AI+文字起こし型が向いています。用途とセキュリティ要件、コストで選ぶとよいでしょう。
議事録AIで機密情報を扱っても大丈夫?
汎用の生成AIに貼り付ける場合は、入力が学習に使われない設定になっているかを確認してください。ツール型でも録音データの保存先・期間・アクセス権を把握し、扱ってよい情報の範囲を社内ルールとして決めておくことが前提になります。