Mihata
仕事効率化(DX)2026.10.13

社内システムは内製か外注か|費用の判断基準と分岐点

Excelやスプレッドシートで回している業務をシステムにしたい。そこで必ず詰まるのが「社内の詳しい人に作らせるか、外に出すか」という分かれ道です。やっかいなのは、見積書が外注にしか出てこないことです。片方には金額が書かれ、もう片方は空欄のまま。だから内製はいつも「安い側」に見えます。

結論から書きます。分岐点は「外注の見積額が、内製の3年総額から自社に残る工数と保守費を差し引いた金額を上回るかどうか」です。本記事の前提で試算すると、画面5枚ほどの1業務なら開発費約158万円、複数業務の中規模なら約581万円、全社規模なら約1,856万円が分岐点になりました。見積がこれより安ければ外注、高ければ内製のほうが3年で安く済む、という読み方です。そして内製は「人件費をすでに払っているから0円」ではありません。本試算では内製の3年総額の約94〜95%が社内の人件費と機会費用でした。

なぜ内製だけが「0円」に見えるのか

内製が安く見える理由は単純です。社内の人が動いても、新しい請求書が1枚も増えないからです。給与は作業の前も後も同じ額が振り込まれるので、会計上はどこにも「システム開発費」が立ちません。

しかし会社が払っているものは変わっていません。変わったのは、その人の時間が何に使われたかだけです。経理担当が3か月のあいだ月の半分をシステム作りに充てたなら、その半分ぶんの給与は経理業務ではなくシステム開発に使われています。会計が拾わないだけで、支出は起きています。

実務では、この見落としが「内製のほうが安いと思って始めたのに、1年たっても終わらないし誰も直せない」という形で後から請求されます。だから最初にやるべきは相場を調べることではなく、自社の1時間がいくらなのかを決めることです。ここが決まらないと、内製と外注は同じ単位で比べられません。

時間単価を公的統計から立てる

時間単価は次の式で出します。感覚ではなく公的統計の実数だけで組み立てられるので、誰が計算しても同じ値になります。

時間単価 = 年収 ÷ 年間所定労働時間 ×(1 + 法定福利費率)

年収と年間所定労働時間

分子と分母は、同じ調査から取るのが安全です。年収と労働時間を別の調査から持ってくると、対象となる労働者の範囲がずれて比率が狂います。ここでは厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年分結果確報(2026年2月25日公表)の一般労働者・事業所規模5人以上の数値を使います。

  • 調査産業計:月間現金給与総額 465,923円、月間所定内労働時間 147.3時間
  • 情報通信業:月間現金給与総額 570,056円、月間所定内労働時間 144.0時間

現金給与総額は賞与(特別に支払われた給与)を含むので、12倍すれば年収になります。調査産業計なら 465,923 × 12 = 5,591,076円、年間所定内労働時間は 147.3 × 12 = 1,767.6時間です。情報通信業はそれぞれ 6,840,672円 と 1,728.0時間 になります。

参考として、厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月24日公表)では、一般労働者の所定内給与額は男女計で月340.6千円、情報通信業では月406.0千円でした。賞与を含まない数値なので毎月勤労統計より低く出ますが、情報通信業が全産業より2割前後高いという関係は両方の調査で一致しています。

法定福利費率を積み上げる

会社が負担しているのは給与だけではありません。社会保険の事業主負担ぶんが上に乗ります。「だいたい15%」で済ませる記事が多いのですが、料率は毎年変わるので内訳から積み上げます。令和8年度の公式料率は次のとおりです(健康保険は協会けんぽ東京都、労災保険はソフトウェア業などが入る「その他の各種事業」)。

保険・拠出金

料率

うち事業主負担

負担の分け方

健康保険(協会けんぽ 東京都)

9.85%

4.925%

労使折半

介護保険(40〜64歳)

1.62%

0.810%

労使折半

子ども・子育て支援金

0.23%

0.115%

労使折半(令和8年4月分から)

厚生年金保険

18.30%

9.150%

労使折半

子ども・子育て拠出金

0.36%

0.360%

全額事業主

雇用保険(一般の事業)

1.35%

0.850%

事業主が多く負担

労災保険(その他の各種事業)

0.30%

0.300%

全額事業主

事業主負担の合計

—

16.510%

—

出典は協会けんぽ「令和8年度都道府県単位保険料率」(東京都は令和7年度の9.91%から9.85%へ引下げ、介護保険料率は全国一律1.62%)、日本年金機構「保険料額表」(厚生年金保険料率18.3%は平成29年9月以降固定)、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」(一般の事業は合計13.5/1,000、うち事業主負担8.5/1,000)、厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について」(その他の各種事業は3/1,000、令和7年度と同率)です。

40歳未満で介護保険料がかからない人なら、合計は15.70%になります。本記事では16.5%として計算します。

時間単価の計算結果

式に入れます。年収と年間労働時間はどちらも「月額×12」なので、12は約分できて月の数値のまま割れます。

  • 調査産業計:465,923 ÷ 147.3 = 3,163円 → ×1.165 = 約3,690円/時
  • 情報通信業:570,056 ÷ 144.0 = 3,959円 → ×1.165 = 約4,610円/時

以降は丸めて、業務側の社員を3,700円/時、社内でシステムを作れる人を4,600円/時として試算します。自社の数字で出したいときは、対象者の年収と就業規則の所定労働時間を入れ替えるだけで済みます。

内製と外注で発生するコスト項目を並べる

単価が出たので、次は何時間ぶん発生するかです。ここで効くのは、内製と外注の両方で同じ項目を点検することです。片方だけ細かく見ると、細かく見たほうが高く出ます。

コスト項目

内製

外注

作る作業そのもの

社内工数×時間単価。請求書が出ないので最も見落とされる

見積書の開発費。唯一はっきり見える金額

要件を決めて伝える

社内なので短い。ただし仕様が文書に残らない

必ず発生。ゼロにならない最大の見落とし

テスト・検収

作った人が自分で確認しがちで抜けやすい

自社が立ち会う工数が要る

データ移行の中身確認

自社

自社。移行作業は頼めても、正しいかの判断は頼めない

研修・定着

自社

自社。マニュアルは作ってもらえても運用は自社

機会費用

止まった通常業務のぶん。工数が大きいので額も大きい

同じく発生する。工数が小さいぶん小さい

保守・改修

社内工数。担当者の空き時間に依存する

保守契約の年額。見積書に書かれている

法改正・制度変更への追随

社内で調べて直す

契約範囲によっては追加費用

担当者が抜けたとき

大きい。作った人しか直せない

小さい。ベンダー変更コストは別途

設計書・仕様書

残りにくい

納品物として残ることが多い

この表で3項目だけ、金額への換え方を決めておきます。残りは工数×単価で素直に出ます。開発費そのものの相場感は脱エクセルの費用相場と総額の内訳をまとめた記事、保守費の立て方は保守運用費を月額で試算した記事も合わせて見てください。

機会費用をどう金額にするか

機会費用とは「その人が本来やる仕事が止まるぶん」です。厳密には止まった業務が生む利益で測るべきですが、中小企業でその数字を持っている会社はほとんどありません。そこで実務では次の2通りに割り切ります。

  • 通常業務を止めて充てる場合:止まった仕事の価値は、少なくともその人の時間単価と同じはず(同額なら雇っていない)。よって人件費と同額をもう一度計上する。つまり内製は人件費の2倍で見る。
  • 残業で吸収する場合:通常業務は止まらないので、増えるのは割増賃金ぶんだけ。労働基準法第37条により時間外は25%以上(月60時間超は50%以上)なので、人件費×0.25を足す。

本記事は前者(止まる前提)で計算します。これは機会費用の上限側の見方なので、内製に厳しい数字が出ます。残業で吸収する前提なら分岐点はケースAで約103万円、ケースBで約379万円、ケースCで約1,214万円まで下がります。どちらの前提を取るかで分岐点が3割以上動くので、ここは必ず自社の実態で決めてください。

外注でも自社工数はゼロにならない

見積がズレる一番の理由は、外注を「お金を払えば終わるもの」として扱うことです。実際には要件定義、画面レビュー、テスト立会い、移行データの中身確認、社内研修が自社に残ります。業務のことを知っているのは自社しかいないので、ここは外注できません。

本記事では外注時に自社に残る工数を、内製の総工数の4割前後として置きます。この比率は案件によって動きますが、「ゼロではない」「かなり大きい」という2点はほぼ例外がありません。見積を受け取ったら、まずこの工数を自社の時間単価で金額に直してから見積額に足してください。

属人化を離職率で金額にする

内製の最大のリスクは、作った人が辞めた瞬間に誰も直せなくなることです。これは「気をつける」で片付く話ではないので、確率を掛けて金額にします。

厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表)によると、一般労働者の離職率は産業計で11.4%、情報通信業で10.0%でした。年11.4%なら、3年続けて在籍する確率は 0.886 × 0.886 × 0.886 = 0.695 です。つまり3年以内にその人が抜ける確率は約30.4%です。

抜けたときに発生するのは、設計書のないシステムを読み解き直して作り直す工数です。本記事では実装とテストの工数の70%として置きます。これに30.4%を掛けた期待値を、内製の3年総額に入れます。小さな額ではありません。ケースCでは約206万円になります。

Excelマクロで同じことが起きる流れはVBAがブラックボックス化する過程を追った記事に書きました。内製のシステムはこれと同じ道をたどります。

なお、社内に作れる人がいる前提そのものも楽観できません。IPA「DX動向2026」(2026年7月16日公表、調査期間2026年4月17日〜6月12日、回収1,799社)では、DXを推進する人材の「量」について「やや不足している」「大幅に不足している」の合計が85.5%で、2024年度・2023年度とほぼ同水準でした。社内の詳しい人は、たいてい他の仕事でも社内の詳しい人です。

規模別3ケースの3年総額(TCO)試算

初期費用だけで比べると必ず判断を誤ります。内製は初期が安く保守で効いてきて、外注は初期が重く保守が契約で読める、という逆の形をしているからです。3年総額で並べます。

前提の工数

以下は本記事の仮定です。自社の案件に当てはめるときは、この表の数字を入れ替えてください。

項目

ケースA 1業務

ケースB 複数業務

ケースC 全社

想定規模

画面5・帳票2・利用者5人

画面15・帳票6・利用者20人

画面40・帳票15・利用者80人

要件整理

20時間

60時間

180時間

実装

120時間

480時間

1,600時間

テスト・修正

40時間

160時間

500時間

データ移行

20時間

60時間

200時間

内製の作る側の工数 小計

200時間

760時間

2,480時間

業務側の確認・研修

40時間

140時間

460時間

内製の保守(月あたり)

2時間

6時間

16時間

外注時に自社に残る工数

90時間

300時間

900時間

計算過程と分岐点

外注の開発費は会社ごとに違うので、ここではXという変数のまま置きます。相場を当てにいくのではなく、「手元の見積額Xがいくらを超えたら内製が有利か」を解くほうが実用的です。保守は年額で開発費の15%、3年で0.45Xとしました(見積書に保守料率が書かれているなら、その数字に替えてください)。

内訳

計算式

ケースA

ケースB

ケースC

①社内人件費(初期)

作る側×4,600円 + 業務側×3,700円

200×4,600+40×3,700=1,068,000円

760×4,600+140×3,700=4,014,000円

2,480×4,600+460×3,700=13,110,000円

②機会費用(初期)

①と同額

1,068,000円

4,014,000円

13,110,000円

③保守3年の人件費

月工数×36か月×4,600円

2×36×4,600=331,200円

6×36×4,600=993,600円

16×36×4,600=2,649,600円

④保守の機会費用

③と同額

331,200円

993,600円

2,649,600円

⑤属人化の期待コスト

(実装+テスト)×0.7×4,600円×30.4%

112時間ぶん=156,875円

448時間ぶん=627,500円

1,470時間ぶん=2,058,985円

内製の3年総額 A

①+②+③+④+⑤

2,955,275円

10,642,700円

33,578,185円

⑥自社に残る工数の人件費

工数×3,700円

90×3,700=333,000円

300×3,700=1,110,000円

900×3,700=3,330,000円

⑦⑥の機会費用

⑥と同額

333,000円

1,110,000円

3,330,000円

⑧保守3年

開発費X×15%×3年

0.45X

0.45X

0.45X

外注の3年総額 B

X+⑥+⑦+⑧ = 1.45X+⑥+⑦

1.45X+666,000円

1.45X+2,220,000円

1.45X+6,660,000円

分岐点の開発費 X*

(A−⑥−⑦)÷1.45

約158万円

約581万円

約1,856万円

表の読み方

読み方は1行です。手元の見積の開発費が X* より安ければ外注のほうが3年で安く、高ければ内製のほうが安い。それだけです。

この表から読めることが3つあります。1つ目は、内製の3年総額のうち①②③④の合計が占める割合で、ケースAで94.7%、ケースBで94.1%、ケースCで93.9%でした。内製の費用はほぼ全額が人の時間で、材料費もライセンス料もほとんど関係ありません。

2つ目は、外注の側にも必ず⑥⑦が乗ることです。ケースCでは666万円で、これは「見積額ゼロ円の無料ツールを入れても666万円はかかる」という意味です。無料だから安い、という計算は成立しません。

3つ目は、規模が大きくなるほど内製が不利になることです。分岐点はAからCへ11.8倍に増えていますが、同じ比率で工数も増えるので、内製が有利になる余地が広がったわけではありません。実際にはケースCの2,480時間は1人なら所定内労働時間で1.4年ぶん(2,480 ÷ 1,767.6)で、通常業務と並行してこれを終えられる会社はほぼありません。

ケースAのように画面が数枚で足りる範囲だと、専用のシステムを作らずスプレッドシートのまま入力・検索・権限をアプリとして使える形に整えるだけで済むこともあります。そもそも作らずに済むなら、この分岐点の計算自体が不要になります。判断の前に選択肢として見ておくと、比べる対象が変わるかもしれません。

期間の律速は実装ではなく業務サイクル1周

費用の次に効くのが期間です。ここで内製・外注のどちらを選んでも短縮できない部分があります。業務サイクルを1周させる並行運用です。

新しいシステムに切り替えるとき、旧Excelと新システムを同時に動かして結果が一致するかを確かめます。月次の締めがある業務なら、締めを1回通すまで正しいと言えません。四半期の処理があるなら3か月、年次の処理(決算や年末調整など)なら、その回が来るまで検証できません。

この期間は人を増やしても縮みません。実装を2人がかりで半分にできても、月次の締めは月に1回しか来ないからです。外注して開発を3週間で終わらせても、月次業務なら最低1か月は並行運用に要ります。ここを工程表に書き忘れると、「開発は終わったのにまだ切り替えられない」という形で遅れとして現れます。規模別の目安はシステム化の期間を規模別に整理した記事にまとめました。

一方で、内製と外注で明確に違うのは実装に使える時間の密度です。外注は週40時間で進みますが、内製は通常業務の合間なので週8時間しか取れないことが普通です。ケースBの760時間は、週8時間なら95週=約1年10か月、週20時間でも38週=約9か月かかります。内製の期間は工数ではなく「週に何時間取れるか」で決まる、というのが実務での感覚です。

内製が正解になる条件

ここまで内製に厳しい数字が並びましたが、内製が明確に有利な場面はあります。次の条件がそろうときです。

  • 仕様が固まっていない:試しながら決めたい業務は、作り直しの往復が多くなります。往復1回ごとに外注は追加費用と待ち時間が発生しますが、内製ならその日のうちに直せます。
  • 規模がケースA程度:分岐点158万円を下回る見積が取れないなら内製が安いままです。画面が数枚で、使う人が社内の数名で済む範囲。
  • 作れる人が1人ではない:2人以上が触れるなら、属人化の期待コスト⑤がほぼ消えます。これが内製を有利にする一番大きな条件です。
  • 通常業務を止めずに時間が取れる:機会費用②④が小さくなるので、内製の3年総額は半分近くまで下がります。
  • 業務が頻繁に変わる:毎月のように項目が増える業務だと、外注の改修費と待ち時間が積み上がります。

外注が正解になる条件

逆に、次のどれかに当たるなら外注を選ぶべきです。

  • 止まると売上や入金が止まる業務:受注・請求・在庫など。担当者1人の退職でシステムが凍る状態を、会社として許容できません。
  • 規模がケースB以上:760時間を通常業務と並行で消化するには1年以上かかり、その間に仕様の前提自体が変わります。
  • 社外にデータを出す/法令が絡む:個人情報の扱い、電子帳簿保存法やインボイスのような制度対応は、間違えたときの損害が開発費を上回ります。
  • 設計書が必要:担当者が変わっても引き継げる状態そのものを買う、という判断です。納品物として設計書が残ることに価値があります。
  • 作れる人が実は1人もいない:Excel関数が得意なことと、複数人が同時に使うシステムを設計できることは別の技能です。ここを混同したまま始めると、ケースAでも終わりません。

なお「内製か外注か」は全部か無しかではありません。基盤は外注して日々の画面追加は内製にする、最初の1業務だけ外注して型を学んでから残りを内製する、といった分け方のほうが現実的です。基盤だけ外に出し、細かな追加は社内で回す形が、属人化と待ち時間の両方を小さくします。

まとめ:自社の数字に入れ替える3か所

本記事の試算を自社のものにするには、3か所だけ差し替えれば足ります。

  1. 時間単価:対象者の年収(賞与込み)と、就業規則の年間所定労働時間。法定福利費率は16.5%のままで概ね合います。
  2. 工数:画面数・帳票数・利用者数から前提の表を書き換える。わからなければ、ケースA〜Cのうち近いものをそのまま使う。
  3. 機会費用の前提:通常業務を止めるなら人件費と同額、残業で吸収するなら人件費×0.25。ここが分岐点を3割以上動かします。

そのうえで、手元の見積額と X* を比べます。見積が X* より安ければ外注、高ければ内製。初期費用の大小ではなく、3年の総額と、担当者が抜けたときに会社が止まるかどうかで決めてください。

自社のケースでどの数字を入れればいいか判断が難しいときは、現状のExcelの運用を見せていただければ一緒に工数の前提を置き直せます。

よくある質問

社員の人件費はもう払っているので、内製なら追加費用はゼロではありませんか?

会計上は新しい請求書が立たないのでゼロに見えますが、会社が買っているのはその人の時間です。時間の使い先が通常業務からシステム開発に移っただけで、支出は起きています。本記事の試算では、内製の3年総額のうち約94〜95%が社内の人件費と機会費用でした。

機会費用を人件費と同額で計上するのは過大ではありませんか?

通常業務を止めて充てる場合の上限側の見方です。止まった仕事の価値がその人の時間単価を下回るなら、そもそもその人をその業務に就けている理由がないためこう置いています。残業で吸収するなら、労働基準法第37条の割増(時間外は25%以上、月60時間超は50%以上)だけなので人件費×0.25に置き換えてください。この差で分岐点は3割以上動きます。

外注の見積に自社の工数が入っていないのはなぜですか?

見積はベンダーが提供する範囲の金額なので、自社側の要件定義・画面レビュー・テスト立会い・移行データの中身確認・社内研修は含まれません。業務を知っているのは自社だけなので、この部分は外注できません。本記事では内製総工数の4割前後として置き、見積額に足して比べています。

内製と外注では、どちらが早く使い始められますか?

実装だけなら外注が早いことが多いですが、切り替えまでの期間は業務サイクル1周の並行運用で決まるため、どちらを選んでも短縮できません。月次の締めがある業務なら最低1か月、四半期処理があれば3か月、年次処理ならその回が来るまでかかります。人を増やしても縮まない部分です。

分岐点を自社の数字で出すには、何を入れ替えればよいですか?

3か所だけです。1つは時間単価で、対象者の年収(賞与込み)と就業規則の年間所定労働時間を入れ、法定福利費率は16.5%のままで概ね合います。2つ目は画面数・帳票数・利用者数から置く工数、3つ目は機会費用の前提(通常業務を止めるか残業で吸収するか)です。

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