結論:退職者のアカウントを削除する前に、この3つだけは必ずやる
退職者の Google アカウントを削除すると、その人がオーナー(所有者)だったスプレッドシートやドキュメントは、共有していたはずの他のメンバーからも開けなくなります。「ちゃんと共有していたから大丈夫」は通用しません。共有はアクセス権の話であって、所有権の話ではないからです。削除ボタンを押す前に、次の3つを済ませてください。
- ①オーナー権限をまとめて在籍者に移す/管理コンソールの[アプリ]→[ドライブとドキュメント]→[オーナー権限を譲渡]で、退職者のマイドライブにあるファイルを一括で移せます。
- ②業務で使い続けるファイルは共有ドライブへ移す/共有ドライブのファイルは個人ではなくチームが所有するため、メンバーのアカウントが管理者によって削除されてもファイルは残ります。
- ③いきなり削除せず、まず「一時停止」で1〜2か月様子を見る/停止ではメール・ドキュメント・カレンダーなどのデータは削除されません。移し忘れが後から見つかっても取り返しがつきます(ただし停止中のアカウントもアクティブなアカウントと同様に課金されます)。
すでに削除してしまった方は、先に「消えたあとに気づいた場合:20日以内なら戻せる」を読んでください。削除後20日を過ぎると、データは完全に削除され復元できなくなります。急いでください。
以下の内容は、Google Workspace 管理者ヘルプの公式ドキュメント(ユーザーを削除する/管理者がドライブのファイルのオーナー権限を移行する/最近削除したユーザーを復元する)で裏を取ったうえで、Mihata が実際の現場で見ている失敗パターンを足してまとめています(2026年10月時点。参照した公式ページは記事末尾にまとめています)。
なぜ「共有していたのに」消えるのか:マイドライブは個人の持ち物だから
Google ドライブには、マイドライブと共有ドライブの2種類があります。決定的に違うのは誰がファイルを持っているかです。マイドライブに作ったファイルは、何人に共有していても作った本人ひとりの持ち物のままです。編集者として招待された人は「鍵を貸してもらっている人」にすぎず、家そのものは持っていません。
だから、持ち主のアカウントが消えると家ごと無くなります。一方、共有ドライブのファイルは個人ではなくチームが所有します。公式ヘルプにも、メンバーがチームを離れてそのアカウントが管理者によって削除されても、そのメンバーが共有ドライブに追加・作成したファイルは残る、と明記されています。
よくある症状の出方
実務では、いきなり全部が消えるというより、じわじわ壊れる形で出てきます。
- シートを開こうとすると「アクセス権が必要です」「権限がありません」と出る(症状別の切り分けはスプレッドシートで「権限がありません」と出て共有できない時の対処にまとめています)
- 集計シートの数値だけが #REF! になる。参照元のシートが退職者の所有で、そこだけ消えている(IMPORTRANGEが「読み込んでいます」から進まない原因)
- スプレッドシートに紐づいた GAS(Apps Script)のトリガーが止まる。トリガーは設定した人のアカウントで動いているため、その人が消えれば自動処理も止まります
- フォームの回答先シートが開けない。フォーム本体が退職者所有だと、回答の蓄積そのものが止まります
特に最後の2つは、消えた当日には誰も気づきません。月次の集計日や請求日になって初めて「数字が出てこない」と発覚します。
「オーナー以外」が削除したら、スプレッドシートはどうなるのか
相談でいちばん多い聞き方が「オーナー以外が削除したらどうなるのか」です。この質問には2つの場面が混ざっています。自分がオーナーではないファイルを自分が消してしまった場面と、自分以外の誰かが消したせいで自分が開けなくなった場面です。結果は「ファイルの置き場所」と「誰が消したか」で、次の3つにきれいに分かれます。
どの型か | 誰から見えなくなるか | 戻せる期限と方法 |
|---|---|---|
マイドライブのファイルをオーナー以外が[削除]した | 削除した本人の一覧から消えるだけ。他のメンバーは影響なし | 期限なし。共有リンクを開き直すか、再共有してもらう |
マイドライブのファイルをオーナー本人が削除した | 完全に削除された時点で、共有相手全員が開けなくなる | ゴミ箱に入ってから30日。オーナーのゴミ箱から復元 |
共有ドライブのファイルを権限のあるメンバーが削除した | [削除して全員に適用]なので、最初から全員が開けなくなる | 共有ドライブのゴミ箱から30日。管理コンソールなら25日以内 |
型1:オーナー以外が消した場合、ファイル自体は消えていない
自分がオーナーでないファイルは、そもそも削除できません。公式ヘルプにも「自分がファイルのオーナーでない場合は、ファイルを削除できません。できるのは、ドライブから削除することのみです」「自分がオーナーではないため、他のユーザーはファイルにアクセスできます」と書かれています。右クリックの[削除]は、ファイルを消すボタンではなく自分のドライブの一覧から外すボタンです。他のメンバーには何も起きないので、焦って全員に謝る必要はありません。自分の手元に戻したいだけなら、共有リンクをもう一度開くか、オーナーに再共有してもらえば済みます。
型2:オーナー本人が消した場合、猶予は「ゴミ箱に入ってから30日」
オーナーがゴミ箱に入れた段階では、まだ全員が開けます。公式ヘルプの表現は「ファイルを共有した相手は、ファイルが完全に削除されるまでは引き続きファイルにアクセスできます」。そして「ファイルのオーナーがファイルを完全に削除すると、そのファイルの共有相手はファイルにアクセスできなくなります」。ゴミ箱のファイルは30日で自動的に完全削除されるため、猶予は「オーナーがゴミ箱に入れてから30日」です。オーナーが[ゴミ箱を空にする]を押していれば、その時点で猶予は終わります。症状別の戻し方はスプレッドシートを誤削除した時の復元手順(ゴミ箱と変更履歴の使い分け)にまとめています。
型3:共有ドライブには、そもそも「オーナー以外」が存在しない
共有ドライブでは、所有者が個人のアカウントではなく共有ドライブそのものになります。マイドライブから移したファイルも、移した時点で共有ドライブがオーナーに変わります。だから「オーナー以外」という切り分け自体が当てはまりません。代わりに結果を決めるのは権限レベルで、ゴミ箱に移せるのはコンテンツ管理者以上、操作も[削除して全員に適用]=最初から全員から消える動きです。戻すほうは投稿者以上の権限があれば30日以内に自分で復元でき、共有ドライブごと削除された場合も管理コンソールから25日以内なら復元できます。退職者のアカウント削除で消えないのも、この型だけです。
なお、マイドライブ型では「誰が消したのか」は画面からは分かりません。管理者であればドライブの監査ログで、ゴミ箱を空にしたユーザー名と日時を確認できます(30日経過で自動的に完全削除された場合は、削除したユーザーとしてGoogle システムが記録されます)。「オーナー以外が消したのかもしれない」と疑う前に、ここを見るのが早道です。
【退職が決まってから削除するまで】今日やる手順
退職日が決まった時点から、この順番で進めてください。所要はファイル数にもよりますが、棚卸しを含めて半日〜1日です。
手順1:退職者が所有しているファイルを洗い出す
本人がまだログインできるうちが一番早いので、本人に Google ドライブの検索窓で owner:me と検索してもらい、業務で使っているものをリストにしてもらいます。本人が既にいない場合は、管理者が管理コンソールのドライブのレポートから所有ファイルを確認します。
手順2:残すものを共有ドライブへ移す
「今後も誰かが使い続けるファイル」は、オーナーを個人に付け替えるのではなく共有ドライブへ移動します。個人に付け替えるだけだと、次にその人が辞めたときに同じ事故が起きます。判断基準は後述の表にまとめました。
手順3:残りのオーナー権限をまとめて譲渡する
共有ドライブに移しきれなかったマイドライブのファイルは、管理コンソールから一括で譲渡します。公式手順では、まず現在のオーナーのアカウントを一時停止してから[ドライブとドキュメント]→[オーナー権限を譲渡]に進み、移行元と移行先のメールアドレスを入力します。移行先は同じ組織内のアクティブなユーザーである必要があり、外部ユーザーへは移行できません。移行後、新オーナーのマイドライブに「移管したファイル」フォルダが作られます。
注意したいのは、ゴミ箱の中のファイルは移行されない点です。必要なものが混ざっていないか、譲渡の前に必ずゴミ箱を確認して復元しておきます。
個人のマイドライブに業務の基幹データが乗っている状態そのものを、そろそろやめたい——という段階まで来ているなら、私たち Mihata はスプレッドシートを社内の業務アプリに仕立て直すお手伝いもしています。記事の途中で恐縮ですが、共有ドライブへの引っ越しと同時に「誰が辞めても動く形」に作り替えたい場合の参考にしていただければ幸いです。
手順4:ファイル以外の「本人しか譲れないもの」を先に渡してもらう
ここが一番抜けます。公式ヘルプによると、削除プロセス中に特権管理者が移行できるのはユーザーのドライブとドキュメントのファイル、メインカレンダーのデータ、データポータルのデータです。裏を返すと、それ以外は自動では移りません。とくにユーザーが所有するグループカレンダー(本人が作ったサブカレンダー)は削除されないものの移行もされないため、本人が退職前に譲渡する必要があります。Apps Script のプロジェクト、本人が作ったフォーム、本人のアカウントで認証している外部サービス連携も同じで、在籍中に渡してもらうしかありません。
手順5:削除ではなく一時停止にして、1〜2か月置く
ユーザーを一時的に停止すると、メール・ドキュメント・カレンダーなどのデータは削除されません。新着メールやカレンダーの招待はブロックされますが、共有ドキュメントへのアクセス権を持つ共同編集者は引き続き閲覧・編集できます。停止中のアカウントもアクティブなアカウントと同様に請求されるため費用はかかりますが、月次業務が1〜2周して「実は必要だった」が出尽くすまでの保険としては安いものです。長期保管が目的なら、Archived User(AU)ライセンスやデータエクスポートという選択肢もあります(離職した従業員のデータを保持するためのオプション)。
【消えたあとに気づいた場合】削除から20日以内なら戻せる
削除してから「あのシートが開けない」と気づいた場合、復元できるのは削除後20日間だけです。20日を過ぎるとユーザーのファイルは削除され、復元できなくなります。手順は次の3ステップです。
- 削除したユーザーを復元する/特権管理者で管理コンソールにログインし、[ディレクトリ]→[ユーザー]→[その他のオプション]→[最近削除されたユーザー]から対象を選んで復元し、割り当てる組織部門を選びます。
- ファイルのオーナー権限を在籍者に譲渡する/復元したアカウントを一時停止したうえで、[ドライブとドキュメント]→[オーナー権限を譲渡]を実行します。
- 移行が終わったことを確認してから、あらためて削除する/新オーナーの「移管したファイル」フォルダに中身が入っているのを目で見てから消します。
復元には条件があり、そのユーザーに割り当てられるライセンスの空きが必要です。人数分きっちりでライセンスを削っていると、復元しようとした瞬間に止まります。空きが無ければライセンスを1つ買い足してから復元してください。なお、復元の反映には通常24時間以内、まれに最長5日ほどかかることがあります。
20日を過ぎてしまった場合、管理者側から戻す手立てはありません。現実的な復旧は、そのシートを編集者として共有されていた人のドライブ履歴や、ローカルにダウンロード済みの Excel、メール添付、Looker Studio や BI 側に残った抽出データから組み直す、という力技になります。ここに至る前に止めるのが、この記事の目的です。
オーナーのアカウントが消えたあと、そのファイルは救えるのか
すでにアカウントを削除してしまった状態から、「これは戻せるのか、もう無理なのか」を判定する順番です。上から当てはめて、最初に当てはまったところが答えになります。
- そのファイルは共有ドライブに入っていたか/入っていれば救えます。公式ヘルプに、メンバーがチームを去ってそのアカウントが管理者によって削除されても、そのメンバーが共有ドライブに追加・作成していたファイルは残ると明記されています。ゴミ箱に入っているだけなら、投稿者以上の権限で30日以内に復元できます。
- アカウント削除から20日以内か/以内なら救えます。管理者がアカウントを復元し、オーナー権限を在籍者へ譲渡します(手順はひとつ前の章)。割り当てられるライセンスの空きが必要な点だけ注意してください。
- 退職者が削除前にそのファイルをゴミ箱へ入れ、ゴミ箱を空にしていたか/空にしてから25日以内なら、管理者側から救える可能性があります。管理コンソールの[ディレクトリ]→[ユーザー]からドライブデータを復元できますが、期間を指定した一括復元で、ファイル単位では選べません。「完全に削除されてから26日以上経過したデータ」と「ユーザーのゴミ箱内(まだ空にしていない)のデータ」は対象外です。
- Google Vault の保持ルールや記録保持(リティゲーション ホールド)の対象だったか/対象なら、25日を過ぎても検索と書き出しはできる場合があります。ただし公式ヘルプのとおり、そのデータをユーザーのドライブに直接復元することはできません。書き出したものを配り直す形になります。
- どれにも当てはまらない/管理者側から戻す手立てはありません。編集者として共有されていた人の手元のコピー、ダウンロード済みの Excel、メール添付、Looker Studio や BI 側に残った抽出データから組み直すことになります。
期限が3つ出てくるので、混ざらないように並べておきます。どれも「気づいた日」ではなく「操作した日」から数え始めている点に注意してください。
期限 | 何の期限か | 操作する人 |
|---|---|---|
20日 | 削除したユーザーアカウントのドライブファイルを復元できる期間 | 特権管理者(管理コンソール) |
25日 | ユーザーがゴミ箱を空にしたあと、管理者がドライブデータを復元できる期間 | 管理者(管理コンソール) |
30日 | ゴミ箱のファイルが自動的に完全削除されるまでの期間(マイドライブ・共有ドライブ共通) | 本人、または共有ドライブの投稿者以上 |
公式ヘルプで裏が取れなかったことも、正直に書いておきます。「退職者がゴミ箱を空にした数日後にアカウントも削除された」というように20日と25日の期限が重なる場合、どちらの枠で戻せるのかは公式ドキュメントに明記がありません。この状況に当たったら、日数を数えて様子を見るのではなく Google Workspace のサポートへ早めに問い合わせてください(どちらの期限も、気づいた時点ですでに走り始めています)。
【これから備える人へ】共有ドライブに移すべきファイルの判断基準
「全部を共有ドライブに入れればいい」と言われがちですが、実際にやると個人のメモや下書きまで全社から見える場所に出てしまい、かえって運用が止まります。Mihata が引っ越しの設計をするときに使っている線引きは、「その人が明日いなくなったら業務が止まるか」の一点です。
ファイルの性質 | 置き場所 | 理由・判断の目安 |
|---|---|---|
受注管理・請求・在庫・シフトなど、業務が回るために毎月使う表 | 共有ドライブ | 止まると業務が止まる。担当が誰であっても残る必要がある |
他のシートから IMPORTRANGE などで参照されている表 | 共有ドライブ | 参照元が消えると、参照している側が丸ごと壊れる |
フォームの回答先シート、Apps Script が紐づいたシート | 共有ドライブ | 所有者が消えると回答の蓄積や自動処理ごと止まる |
顧客リスト・契約書・議事録など、監査や引き継ぎで後から見る資料 | 共有ドライブ | 「探したが誰も持っていない」が最も起きやすい領域 |
提案の下書き、個人の作業メモ、検討中の試算 | マイドライブで可 | 本人が辞めたら役目も終わる。全社公開の必要がない |
人事評価・給与など、閲覧者を厳密に絞る資料 | 専用の共有ドライブ(メンバー限定) | 個人持ちは事故のもと。ただし全社共有ドライブには置かない |
迷ったら共有ドライブに寄せて構いません。逆方向(共有ドライブ→マイドライブ)の引っ越しは、あとからいつでもできます。
現場で本当に多い、4つの失敗パターン
ここからは公式ヘルプには書かれていない、Mihata が実際の支援先で繰り返し見ている失敗です。
1. 基幹の表が、いまも個人のマイドライブに置かれたまま
実務でいちばん多いのがこれです。受注管理や請求の元データが、数年前に作った担当者のマイドライブに置かれたまま全社で使われている。作った本人も「自分の持ち物」だと思っていません。退職の引き継ぎリストには業務手順は載っていても、ファイルの所有者まで棚卸しされることはほぼありません。退職面談の場で owner:me の検索結果を一緒に見る、という15分を入れるだけで大半は防げます。
2. 参照元だけが消えて、参照している側が静かに壊れる
現場で多いのは、退職者が作った小さな「元データ」シートを、部署ごとの集計シートが IMPORTRANGE で参照しているケースです。消えるのは元データだけなので、管理部門の目に入る集計シートは開けます。ただし数字が #REF! になる、あるいは更新が止まって古い数字のまま表示され続ける。後者は誰も気づけません。会議で先月と同じ数字が出ていて初めて発覚します。参照関係のある表は、参照元こそ先に共有ドライブへ移してください。
3. 「編集者だから大丈夫」と思い込んでいる
編集権限はコピーを作る権利を与えてくれますが、ファイルを守ってはくれません。どうしても共有ドライブに移せない事情がある場合の応急処置は、在籍者が自分のドライブにコピーを作り、そのコピーのオーナーになっておくことです。ただしこれは二重管理の始まりでもあるので、あくまで一時しのぎと割り切ってください。複数人で1枚のシートを使うときの壊れ方は複数人で使うスプレッドシートが壊れる原因と対策でも整理しています。
4. 引き継ぎ資料に「ファイルの場所」が書かれていない
引き継ぎ書に業務のやり方は書いてあるのに、その業務で使うファイルの URL と所有者が書かれていない、というのもよくあります。引き継ぎのフォーマットに「使うファイルのURL」「現在の所有者」「共有ドライブに入っているか」の3列を足すだけで、退職時のチェックリストとして機能します。そもそも引き継ぎ資料が作れない、という手前の問題を抱えている場合は引き継ぎ資料が作れない原因と属人化の解消3手順もあわせてご覧ください。
退職者のアカウントをどう扱うか:4つの選択肢の比較
「削除するか、残すか」は二択ではありません。目的ごとに選べます。
選択肢 | ファイルはどうなる | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
すぐ削除する | 本人所有のファイルは失われる(20日以内なら復元可) | かからない | 所有ファイルの棚卸しと移行が完全に済んでいる場合のみ |
オーナー権限を譲渡してから削除する | マイドライブのファイルは在籍者へ移る。ゴミ箱の中身は移らない | かからない | 標準の進め方。まずこれを完了させる |
一時停止して置いておく | データは削除されない。共有相手は引き続き編集できる | アクティブと同様に課金 | 月次業務が1〜2周するまでの保険 |
共有ドライブへ移しておく(事前対策) | アカウントが削除されてもファイルは残る | かからない | 業務で使い続けるファイルすべて。根本解決はここ |
なお、退職者のアカウントに限らず「共有リンクを送ったのに開けない」という相談も同じ根から出ていることがあります。原因の切り分けはGoogleドライブの共有リンクが開けない原因と対処5つにまとめています。
まとめ:削除の前に15分、退職の前に共有ドライブ
やるべきことは多くありません。退職が決まったら owner:me で所有ファイルを棚卸しし、業務で使うものは共有ドライブへ移す。残りはオーナー権限を譲渡し、アカウントはいったん一時停止にしておく。これだけで、この記事で挙げた事故はほぼ起きなくなります。すでに消してしまった場合は、20日という期限だけ覚えておいてください。
そして、退職のたびに同じ不安が起きるのは、業務そのものが個人のファイルの上に乗っているからです。置き場所を直すだけでも十分効きますが、仕組みとして作り替えたい場合は、お気軽にご相談ください。
退職の前に、そのファイルを共有ドライブへ移しておくのが根本的な手当てになります。ただし移行そのものでつまずくことが多いので、共有ドライブにファイルを移動できない原因と確実な移し方を先に読んでから段取りを組むと、途中で止まらずに済みます。
よくある質問
退職者と共有していたスプレッドシートは、アカウント削除後も見られますか?
そのファイルのオーナーが退職者だった場合、共有されていた人からも開けなくなります。共有はアクセス権の付与であって所有権の移転ではないためです。削除前にオーナー権限を在籍者へ譲渡するか、ファイルを共有ドライブへ移しておく必要があります。
うっかり削除してしまいました。もう戻せませんか?
削除から20日以内であれば、管理コンソールの[ディレクトリ]→[ユーザー]→[最近削除されたユーザー]からアカウントを復元し、そのうえでファイルのオーナー権限を在籍者へ譲渡できます。20日を過ぎるとデータは完全に削除され、管理者側から戻す手立てはありません。復元には割り当て可能なライセンスの空きが必要です。
ユーザー削除時のデータ移行では、何が移って何が移りませんか?
Google Workspace の公式ヘルプによると、削除プロセス中に特権管理者が移行できるのはユーザーのドライブとドキュメントのファイル、メインカレンダーのデータ、データポータルのデータです。本人が所有するグループカレンダー(本人が作ったサブカレンダー)は移行されないため、退職前に本人から譲渡してもらう必要があります。
オーナー権限の譲渡と、共有ドライブへの移動はどちらが良いですか?
業務で使い続けるファイルは共有ドライブへの移動をおすすめします。オーナー権限を別の個人に付け替えるだけでは、次にその人が退職したときに同じ事故が起きるためです。共有ドライブのファイルは個人ではなくチームが所有するため、メンバーのアカウントが削除されても残ります。
削除せずに一時停止にしておくと、費用はかかりますか?
かかります。公式ヘルプのとおり、停止中のアカウントもアクティブなアカウントと同様に請求されます。ただしメールやドキュメントなどのデータは削除されないため、移し忘れの発見に月次業務1〜2周ぶんの猶予を作れます。長期保管が目的なら Archived User ライセンスやデータエクスポートも検討できます。