脆弱性のニュースを見たとき、最初に必要なのは「自分のサイトは該当するのか」の答えです。そのためには、WordPress の版と、サーバーで動いているPHP の版の2つが分かれば足ります。この記事では、管理画面に入れる場合と入れない場合に分けて、確認の手順をまとめました。根拠は WordPress 本体のソースコードと PHP の公式リポジトリです。
結論:管理画面の「サイトヘルス」→「情報」で、WordPress と PHP の版が両方わかる
いちばん確実なのは、管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブです。「WordPress」の欄に WordPress の版、「サーバー」の欄に PHP の版が並びます。WordPress 本体のソース(サイトヘルスの情報を組み立てる class-wp-debug-data.php)でも、「Server」の項目に「PHP version」が含まれていることを確認できます(WordPress のソース)。
管理画面に入れないときは、ページのソースに出る generator の記述と、レンタルサーバーの管理パネルの PHP 設定で調べます。ただし前者は消されていることがあり、後者は「Web で動く PHP」と「SSH の php コマンド」が別の版になっていることがあるので、読み方に注意が要ります(後述)。
確認方法の早見表
方法 | わかるもの | 必要なもの | 注意 |
|---|---|---|---|
ツール → サイトヘルス → 情報 | WordPress・PHP・データベースの版 | 管理者でログイン | いちばん確実 |
ダッシュボードの「概要」・画面右下 | WordPress の版 | ログイン | PHP の版は出ない |
ページのソースの generator | WordPress の版 | ブラウザだけ | テーマやプラグインで消されていることがある |
レンタルサーバーの管理パネル | PHP の版(ドメインごと) | サーバーのログイン | ドメインごと・ディレクトリごとに違う場合がある |
SSH で | コマンドの PHP の版 | SSH | Web で動く PHP と別の版のことがある |
WP-CLI で | WordPress の版 | SSH と WP-CLI | — |
管理画面に入れる場合
1. サイトヘルスの「情報」で両方を見る
- 管理画面の左メニューから「ツール」→「サイトヘルス」を開く。
- 上部の「情報」タブを押す。
- 「WordPress」の欄を開くと WordPress の版、「サーバー」の欄を開くと PHP の版が出る。
この画面にはプラグインとテーマの版も並ぶので、プラグインの脆弱性が出たときもここで照合できます。
2. ダッシュボードで WordPress の版を見る
ダッシュボードの「概要」の欄と、管理画面の右下に WordPress の版が表示されます。PHP が古い場合は、ダッシュボードに PHP の更新を促す枠が出ます(WordPress 本体のソースでは、英語の見出しが「PHP Update Required」と「PHP Update Recommended」の2段階で用意されています。dashboard.php)。この枠が出ているなら、PHP の版を急いで確認してください。
管理画面に入れない場合
1. ページのソースで WordPress の版を見る
WordPress は標準で、ページの <head> に <meta name="generator" content="WordPress 6.x"> の形で版を出力します(general-template.php の wp_generator)。ブラウザでサイトを開き、ページのソースを表示して「generator」で検索すると見つかります。
ただし、この記述はセキュリティ系のプラグインやテーマで消されていることが多く、見つからなくても「WordPress ではない」「最新版だ」という意味にはなりません。確実な答えが要るときは、管理画面かサーバー側で確かめてください。
2. レンタルサーバーの管理パネルで PHP の版を見る
多くのレンタルサーバーは、管理パネルの「PHP バージョン設定」のような画面で、ドメインごとに使う PHP の版を選ぶ仕組みです。複数のサイトを1つの契約で動かしている場合は、サイトごとに版が違うことがあるので、該当するドメインの行を見てください。各社の状況はレンタルサーバー別の PHP 脆弱性対応状況にまとめています。
3. SSH の php -v は「Web の PHP」と違うことがある
SSH で php -v を打つと PHP の版が出ますが、これはコマンドラインの PHP の版で、Web サイトを動かしている PHP と同じとは限りません。レンタルサーバーでは両者を別々に設定する仕組みのことがあり、ここを取り違えると「更新したはずなのに古い版で動いていた」という事故になります。Web 側の版は、上のサイトヘルスか管理パネルで確認してください。WordPress の版は、WP-CLI が使えるなら wp core version で出せます。
私たちは、こうした版の確認から PHP・WordPress の更新作業まで、ホームページの保守をお手伝いしています。記事の途中で恐縮ですが、「確認はできたけれど、上げるのが怖い」という場合は、よろしければあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
版がわかったら:いまの目安
WordPress 本体の readme(2026年10月27日時点の開発版)では、動作に必要な最低条件はPHP 7.4 以上・MySQL 5.5.5 以上、推奨はPHP 8.3 以上・MySQL 8.0 以上(または MariaDB 10.11 以上)です(readme.html)。最低条件を満たしていても、推奨に届いていない版は早めに上げる候補です。
PHP については、2026年10月21〜22日に各系列の修正版が出ています(PHP 公式リポジトリの NEWS による)。
PHP の系列 | 10月の修正版 | 判断 |
|---|---|---|
8.5 | 8.5.12(10月22日) | これ以降なら修正済み |
8.4 | 8.4.27(10月22日) | これ以降なら修正済み |
8.3 | 8.3.36(10月21日) | これ以降なら修正済み |
8.2 | 8.2.35(10月21日) | これ以降なら修正済み |
8.1 以前 | 修正版なし | 8.2 以上へ上げる |
表の版は php-src の NEWS(各系列のブランチ)で確認したものです。8.1 以前の扱いはPHP 7.4・8.1 以前は修正版なしの記事、10月の脆弱性そのものはPHP2Shell とは、上げた後に画面が真っ白になったときはPHP を上げたら真っ白になったときの戻し方を見てください。
まとめ
- WordPress と PHP の版は、管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」で両方わかる。
- 管理画面に入れないなら、ページのソースの generator(消されていることがある)と、レンタルサーバーの管理パネルの PHP 設定。
- SSH の
php -vは Web の PHP と違うことがある。 - PHP は 8.2.35/8.3.36/8.4.27/8.5.12 以降なら10月の修正済み。8.1 以前は修正版が無い。
よくある質問
WordPress のバージョンはどこで確認できますか?
管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブの「WordPress」の欄、またはダッシュボードの「概要」と管理画面の右下で確認できます。管理画面に入れない場合は、ページのソースの generator の記述で分かることがありますが、プラグインやテーマで消されていることもあります。
PHP のバージョンはどこで確認できますか?
WordPress なら「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」タブの「サーバー」の欄に PHP の版が出ます。管理画面に入れない場合は、レンタルサーバーの管理パネルの PHP 設定を見てください。ドメインごとに版が違う場合があります。
SSH の php -v で出た版を信じていいですか?
注意が必要です。php -v はコマンドラインの PHP の版で、Web サイトを動かしている PHP とは別に設定されていることがあります。Web 側の版はサイトヘルスか管理パネルで確認してください。
どの PHP の版なら安全ですか?
2026年10月の脆弱性については、8.2.35・8.3.36・8.4.27・8.5.12 以降が修正済みです(PHP 公式リポジトリの NEWS による)。8.1 以前には修正版が出ていないので、8.2 以上へ上げる必要があります。WordPress の推奨は PHP 8.3 以上です。