Mihata
AI活用2026.08.01

AIブレインストーミングでアイデア出し|発散・収束のプロンプト例

「新しい企画を考えたいのにアイデアが出てこない」「会議のブレストが盛り上がらず、無難な案しか残らない」——アイデア出しの手が止まる場面は、企画・広報・マーケティングの現場で日常的に起きます。この記事では、生成AI(ChatGPTやGeminiなど)をブレインストーミングの相棒として使い、量を出す「発散」と、絞り込む「収束」の両方をAIで回す具体的な手順を、そのまま使えるプロンプト例つきで解説します。

結論から言うと、AIブレインストーミングのコツは「発散」と「収束」を分けて指示することです。ブレインストーミングにはオズボーンが提唱した4原則(批判厳禁・自由奔放・質より量・結合改善)があり、なかでも「批判せず量を出す」発散と「評価して絞る」収束を同時にやると失速します。AIに役割を与え、まず数十案を一気に出させ(発散)、次に評価軸で採点・グルーピングさせる(収束)と、1人でも会議のような広がりと決着を作れます。

AIブレインストーミングとは|人間のブレストとの違い

ブレインストーミングは、1930年代にアメリカのアレックス・F・オズボーンが広告業界で考案・命名した集団発想法です。複数人でアイデアを出し合い、他人の案に便乗して連鎖的に発想を広げるのが本来の形でした。AIブレインストーミングは、この「壁打ち相手」の役割を生成AIに担わせる進め方を指します。

人間だけのブレストとAIを加えたブレストには、次のような違いがあります。どちらが上ということではなく、AIは「量と視点の幅」、人間は「文脈判断と責任ある意思決定」が得意だと整理すると使い分けやすくなります。

観点

人間だけのブレスト

AIを使ったブレスト

案の量

参加人数と時間に依存

数十〜数百案を数分で列挙できる

視点の幅

メンバーの経験に偏りやすい

異業種・別役割の視点を強制的に足せる

心理的な壁

「否定されるかも」で発言が減る

相手はAIなので遠慮なく荒い案も出せる

判断・責任

その場で合意・意思決定できる

採否や実行判断は人間が行う必要がある

文脈理解

社内事情・空気を踏まえられる

前提を渡さないと的外れになりやすい

実務では「AIで発散して数を稼ぎ、人間で収束して決める」という分担が最も安定します。AIは疲れず批判もしないため、オズボーンの4原則のうち特に「質より量」を守る発散フェーズと相性が良いからです。

発散フェーズ|量を出すAIプロンプトの型

発散の目的は、評価をいったん止めて選択肢を最大化することです。AIには「批判せず、実現性を気にせず、まず数を出して」と明示的に伝えるのがコツです。以下は用途を問わず使い回せる基本の型です。

1. 役割と前提を与えて大量に列挙させる

いきなり「アイデアを出して」と頼むと平凡な答えになりがちです。役割・前提・数・観点を指定すると、出力の質と幅が上がります。

あなたは新規事業の企画会議のファシリテーターです。テーマは「30代の共働き世帯向けの新しい家事支援サービス」。ブレインストーミングの原則に従い、実現性や質はいったん無視して、アイデアを30個、箇条書きで一気に出してください。似た案が続かないよう、対象・価格帯・提供チャネルの切り口を毎回変えてください。

「30個」と数を指定し、「実現性は無視」と評価を止めるのが要点です。数が多いほど、後半に思いがけない案が混ざります。

2. SCAMPER・オズボーンのチェックリストで強制発想させる

手が止まったら、既存のものを別角度から問い直すフレームワークが有効です。オズボーンのチェックリストは9つの視点から問いを立てる発想法で、これを7項目に再編したのがSCAMPER法(Substitute/Combine/Adapt/Modify/Put to other uses/Eliminate/Reverse)です。AIにこの型を渡すと、抜け漏れなく多角的に案を出せます。

既存の「紙のポイントカード」をテーマに、SCAMPERの7つの視点(代用・結合・応用・修正/拡大・転用・削除・逆転)それぞれで改良アイデアを2案ずつ出してください。各案は「視点:アイデア:一言の狙い」の形式で書いてください。

3. 視点・ペルソナを切り替えて幅を出す

同じテーマでも、見る人が変われば発想が変わります。AIに複数の立場を演じさせると、1人では出せない多様な案が集まります。

テーマ「社内の会議を短くする施策」について、次の4人の立場になりきって、それぞれ5案ずつ出してください:(1)新入社員、(2)経理担当、(3)リモート勤務の管理職、(4)コスト削減に厳しい経営者。立場ごとに重視する点が違うことが分かるように書いてください。

4. ブレインライティング風に「便乗」で広げる

ブレインライティングは、他人が書いた案の上にアイデアを重ねていく発散手法です。AIとの往復で再現でき、オズボーンの4原則の「結合改善(便乗)」を1人でも実践できます。

先ほど出た「会議の冒頭3分で結論を先に共有する」という案をベースに、それを発展・変形させたアイデアを10個出してください。元の案を否定せず、必ず何かを足す・掛け合わせる形で広げてください。

私たちはこうしたAIによるネタ出し・下書きの仕組みを、ブログ運用の形でサービスにもしています。記事の途中で恐縮ですが、企画から記事化までAIで前工程を回したい方には役立つと思いますので、よろしければあわせてご覧ください。

収束フェーズ|アイデアを絞り込むAIプロンプト

発散で数を出したら、次は評価して選ぶ収束です。ここで初めて「批判・評価」を解禁します。発散と同じチャットの続きで指示すると、AIが直前の案リストを踏まえて絞り込んでくれます。

1. 評価軸を決めて採点させる

「良さそうな案を選んで」だけでは主観的になります。評価軸を明示し、点数化させると、選定の理由が可視化されます。

先ほど出した30案を、「実現しやすさ」「独自性」「コスト」「想定効果」の4軸で各5点満点で採点し、合計点の高い順に上位5案を表にしてください。表には各案の合計点と、なぜその点数かの一言コメントも入れてください。

2. グルーピングして全体像を整理する

似た案をまとめると、論点の構造が見えてきます。KJ法のように、AIに分類とラベル付けをさせると収束が早まります。

これまでのアイデアを、内容の近いものごとに5〜7個のグループに分類し、各グループに分かりやすい見出しを付けてください。各グループの狙いを1文で要約し、グループ間で重複や矛盾があれば指摘してください。

3. 有望案を深掘りして企画に育てる

上位に残った案は、そのままでは粗いアイデアです。実行に落とすため、AIに具体化を手伝わせます。

上位1案「◯◯」について、企画書のたたき台を作ってください。項目は「課題/ターゲット/解決策の概要/必要なリソース/想定リスクと対策/最初の一歩」。断定できない数値や実績は書かず、確認が必要な点は【要確認】と明記してください。

最後の「断定しない・要確認を明記」の指示が重要です。AIは事実確認をしないため、収束段階でも数値や実績は人間が裏取りする前提で進めます。

目的別|発想法とAIプロンプトの早見表

どのフレームワークをいつ使うか迷ったときのために、代表的な手法とAIへの頼み方を一覧にしました。

フェーズ

手法

向いている場面

AIへの頼み方の要点

発散

大量列挙

とにかく数がほしい

役割+前提+「30個」など数を指定

発散

SCAMPER/オズボーンのチェックリスト

既存商品・仕組みの改良

7〜9の視点ごとに案を出させる

発散

視点・ペルソナ切替

視野が狭いと感じるとき

複数の立場を演じさせる

発散

ブレインライティング(便乗)

1案をさらに広げたい

特定の案を「否定せず足す」で拡張

収束

評価軸で採点

候補を客観的に絞りたい

4軸×点数で上位を表にさせる

収束

グルーピング(KJ法的整理)

案が散らかっている

近い案を分類しラベル付け

収束

深掘り・企画化

実行に落とす直前

企画書項目で具体化+要確認明記

企画・ネタ出しの実務手順|ブログ・資料づくりの前工程に

AIブレインストーミングが最も効くのは、ブログ記事や提案資料といった「成果物の前工程」です。いきなり書き始めず、ネタ出し→絞り込みをAIで済ませてから制作に入ると、手戻りが減ります。実務での標準的な流れは次の4ステップです。

  1. テーマと前提を1段落で渡す:誰向けか・目的は何か・避けたい方向性を最初に共有する。ここが曖昧だと発散も的外れになります。
  2. 発散で数を稼ぐ:上記の型で30〜50案を一気に出す。この段階では採否を考えないのが鉄則です。
  3. 収束で絞る:評価軸で採点し、グルーピングして上位案に決める。ここで初めて人間の判断を入れます。
  4. 制作物に接続する:選んだ企画を見出し構成や記事下書き、資料の骨子へ展開する。

ブログのテーマそのものが枯れてしまう「ネタ切れ」の対処は、検索データや読者の質問から拾う方法とあわせると効果的です。詳しくはブログのネタ切れを解決する方法とネタの探し方で解説しています。発想した企画を資料に落とす段階ではAIでパワーポイントを自動生成する方法が、社内で用語や表記を揃えたい場合はAIで用語集を作成する手順が役立ちます。

よくある失敗と注意点

AIブレインストーミングは強力ですが、使い方を誤ると逆に浅くなります。現場で多いつまずきを挙げます。

  • 発散と収束を同時にやる:最大の失敗です。「良い案を30個出して」と質と量を同時に求めると、無難な案しか出ません。まず量、次に質と分けます。
  • 前提を渡さず丸投げ:対象・目的が無いと一般論しか返りません。1段落でよいので文脈を先に渡します。
  • AIの案をそのまま採用する:AIは事実確認をしません。数値・実績・固有名詞は必ず人間が裏取りし、最終判断は人が行います。
  • 機密情報を入力する:顧客名や未公開の経営情報を無防備に入力しない。社内ルールや、学習に使われない設定・法人向けプランの利用を確認します。
  • 1回で完結させようとする:ブレストは往復で深まります。「その案をさらに10個広げて」と重ねるほど質が上がります。

これらを踏まえれば、AIは「批判せず、いくらでも付き合ってくれる発想の相棒」として、企画の最初の一歩を軽くしてくれます。

AIを企画・ネタ出しから制作までどう業務に組み込むか、自社に合った形で整理したい場合はお気軽にご相談ください。

よくある質問

AIブレインストーミングを成功させる一番のコツは?

「発散」と「収束」を分けて指示することです。まず『実現性は無視して30案出して』と量だけを求め、その後で『4つの評価軸で採点して上位5案を選んで』と絞り込みます。質と量を同時に求めると無難な案しか出ないため、オズボーンの4原則のうち発散では批判をせず量を優先するのがポイントです。

ブレインストーミングの4原則とは何ですか?

アレックス・F・オズボーンが提唱した『批判厳禁』『自由奔放』『質より量』『結合改善(便乗)』の4つです。他人やAIの案を否定せず、荒い案も歓迎し、まず数を出し、出た案に便乗して発展させます。AIは批判せず疲れないため、この4原則を守りやすい相手です。

SCAMPER法とは何ですか?

オズボーンのチェックリスト(9つの視点)を7項目に再編したアイデア発想の型で、代用・結合・応用・修正/拡大・転用・削除・逆転の頭文字を取ったものです。既存の商品や仕組みを別角度から問い直すのに向いており、AIに各視点で案を出させると抜け漏れなく発散できます。

AIが出したアイデアはそのまま使ってよいですか?

発想の素材としては有用ですが、そのまま採用するのは避けます。AIは事実確認をしないため、数値・実績・固有名詞は人間が裏取りし、採否や実行の最終判断は人が行う必要があります。また顧客名や未公開情報などの機密は入力せず、社内ルールや学習に使われない設定を確認してください。

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