Mihata
AI活用2026.07.29

AIで用語集を作成する手順|社内の専門用語をまとめて統一【2026】

「クラウド/クラウドサービス」「解約/退会」「お客様/顧客」——同じことを指すのに、書く人によって言葉も表記もバラバラ。社内文書やオウンドメディアの記事が増えるほど、この用語・表記のゆれは読者の混乱やブランド印象のばらつきにつながります。この記事では、こうした社内の専門用語や表記を、生成AIを使って用語集(用語辞書)としてまとめ、統一する手順を、実務目線で解説します。

結論から言うと、AIで用語集を作る作業は3つのステップに分けると迷いません。第一に、既存の文書や記事から用語候補を洗い出す「用語の抽出」。第二に、各用語の定義・読み・言い換えをAIに生成させる工程。第三に、表記ゆれをなくす「表記ルールの決定」です。ここで押さえておきたいのは、用語集づくりは原稿の誤りを直す校正や、既存記事を書き直すリライトとは別の「辞書をつくる」工程だということ。用語集という土台を先に用意しておくと、その後の執筆・校正・記事量産すべての品質が安定します。

AIで用語集を作るとは?校正・リライトとは別の「辞書づくり」工程

まず工程の整理から始めます。「用語集の作成」とは、社内やメディアで使う言葉を集め、それぞれの定義・読み・正しい表記を1つの辞書にまとめる工程です。原稿単位ではなく「言葉」単位で扱うのが特徴で、一度作れば全社・全記事で繰り返し使える資産になります。

これは、似ているようで役割の違う他の工程と混同されがちです。校正は出来上がった原稿の誤字脱字や表記ゆれを直す作業、リライトは既存記事をSEOや読みやすさの観点で書き直す作業、インタビュー記事の作成は取材音声を記事の形にする作業です。いずれも「原稿」を対象にしますが、用語集は原稿の手前にある「辞書」をつくる工程で、他の3つの土台になります。

工程

入力(対象)

成果物

この記事の扱い

用語集の作成

社内文書・既存記事・専門用語

用語辞書(定義・読み・表記ルール)

本記事のテーマ

記事の校正

完成した原稿

誤字脱字・表記ゆれを直した原稿

別工程(後述リンク)

記事のリライト

既存の公開記事

改稿した記事

別工程(後述リンク)

インタビュー記事の作成

取材音声・文字起こし

記事化した原稿

別工程(後述リンク)

用語集で「表記ルール」を先に決めておくと、後工程の校正が一気に楽になります。用語集で決めた表記を基準に、原稿側の誤りを直す流れです。原稿の誤字脱字や表記ゆれをまとめて直す進め方はAIで記事を校正する自動化の手順で、公開済みの記事をSEOを落とさず改稿する方法はAIで既存記事をリライトする方法で扱っています。取材した内容を記事にする工程はAIでインタビュー記事を作成する手順を参照してください。

なぜ用語集が必要か ── 表記ゆれ・専門用語のばらつきが生む損失

用語集は「あれば便利」ではなく、複数人で文章を書く組織ほど効いてきます。理由は、用語と表記が揃っていないと、読者側の理解コストが上がり、書き手側の確認コストも増えるからです。具体的には次のような損失が起きます。

  • 読者が混乱する:同じ機能が記事によって別の名前で呼ばれていると、読者は「同じものなのか別物なのか」を判断できません。
  • ブランド印象がばらつく:「お客様」と「ユーザー」が混在するなど、言葉づかいの一貫性が崩れると、媒体としての信頼感が下がります。
  • 検索・AIに正しく伝わりにくい:表記が割れると、検索エンジンや生成AIがどれを正式名称として扱うか判断しづらくなります。
  • 新メンバーが迷う:社内独自の略語や言い回しの意味が共有されていないと、オンボーディングのたびに口頭で説明する手間が発生します。

専門用語の扱いは、公的な文章づくりでも重視されています。文化庁の建議「公用文作成の考え方」(令和4年)でも、専門用語や外来語をそのまま使うのではなく、言い換えや注記を添えて読み手に配慮する方針が示されています。用語集は、この「どの言葉をどう説明し、どう表記するか」を組織として一度決めておく仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。

AIで用語集を作成する3ステップ

ここからが本題です。生成AIを使えば、ゼロから用語を考えるのではなく、手元の文書からたたき台を一気に作らせることができます。手順は「用語の抽出→定義の生成→表記ルールの決定」の3ステップです。

ステップ1 既存文書から用語候補を洗い出す

最初にやるのは、対象範囲を決めて用語を集めることです。社内マニュアル・過去のブログ記事・サービス説明ページなど、既にある文章をAIに読ませ、「専門用語・社内独自の言い回し・略語」を抽出させるのが早道です。ゼロから思い付きで並べるより、実際に使われている言葉を拾えるので、現場で本当に必要な用語集になります。

依頼のプロンプトは、範囲と観点を具体的に指定します。たとえば「次の文章から、初めて読む人がつまずきそうな専門用語・略語・社内独自の言い回しを抽出し、リスト化してください。一般的すぎる言葉は除いてください」と頼み、対象テキストを貼り付けます。出てきた候補は多めに出しておき、次のステップで取捨選択します。

ステップ2 定義・読み・言い換えをAIで生成する

用語候補が集まったら、各用語に定義・読みがな・言い換え表現を付けていきます。ここはAIが得意な領域で、1語ずつ手で書くより大幅に速くたたき台が作れます。ポイントは、社内で使う意味に合わせて調整することと、社外の一般的な定義とズレる用語は補足を入れることです。

出力を整えると、次のような用語集の形になります。この表をそのままスプレッドシートや社内ドキュメントに落とし込めば、辞書として運用を始められます。

用語

読み/英語

定義(自社での意味)

使う場面・言い換え

オンボーディング

onboarding

新規顧客がサービスを使い始め、定着するまでの支援プロセス

「導入支援」と言い換え可。社外向けは補足を添える

解約

かいやく

有料契約を終了すること(「退会」は無料会員の登録抹消と区別)

有料は「解約」、無料は「退会」で統一

KPI

ケーピーアイ

目標達成度を測る中間指標

初出は「重要業績評価指標(KPI)」と正式名称を併記

定義文は「短く・1文で言い切る」ようAIに指示すると、辞書として使いやすくなります。逆に、AIが自信たっぷりに書いてくる定義ほど、実際の社内の使い方と微妙にズレることがあるため、この段階のチェックは丁寧に行ってください。

ステップ3 表記ルール(表記ゆれ)を決めて統一する

最後に、用語ごとに「正しい表記はどれか」を1つに決めます。表記ゆれとは、同じ言葉の書き方が複数ある状態のこと。「ユーザー/ユーザ」「サーバー/サーバ」「問い合わせ/お問い合わせ」など、どれも間違いではないからこそ、組織として基準を決める必要があります。

AIには「次の用語について、表記ゆれの候補を列挙し、ビジネス文書で一般的な表記を推奨してください」と頼み、その結果を自社の方針で確定します。決めた基準は、用語集に「採用する表記/使わない表記」の形で残しておくと、校正のときにそのまま照合できます。

採用する表記

使わない表記(ゆれ)

メモ

ユーザー

ユーザ

長音符ありに統一

お問い合わせ

問い合わせ/お問合せ

導線・ボタン名は「お問い合わせ」で固定

Webサイト

WEBサイト/ウェブサイト

半角「Web」で統一

私たちMihataは、SEOに強い記事をAIが自動生成するAIブログ運用サービスも提供しています。記事の途中で恐縮ですが、こうして作った用語集を土台にすると、記事を量産しても専門用語の説明や表記がぶれにくくなります。用語集づくりと記事の量産をまとめて仕組み化したい方は、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

そのまま使えるプロンプトテンプレ

ここまでの3ステップをまとめた、コピペで使えるプロンプトの雛形です。【 】の部分を自社の内容に置き換えるだけで、抽出・定義・表記ルールの3点を一度に作れます。

あなたは社内の用語集(用語辞書)を整備する編集担当です。次の文章から用語集のたたき台を作ってください。(1)初めて読む人がつまずく専門用語・略語・社内独自の言い回しを抽出(一般的すぎる語は除く)。(2)各用語に「読み/英語表記」「1文で言い切る定義」「言い換え・使う場面」を付与。(3)表記ゆれがある用語は候補を列挙し、ビジネス文書で一般的な表記を1つ推奨。出力は表形式で。定義は自社の使い方と異なる可能性があるため、確認が必要な箇所には「要確認」と付けてください。対象文章:【ここに社内文書やブログ記事を貼り付け】

この雛形を土台に、出てきた用語集は必ず自社の実際の使い方に照らして直してください。特に「要確認」と付いた定義は、担当者が意味を確定させてから公開・共有するのが安全です。

AIで用語集を作るときの注意点

効率化の一方で、AIに任せきりにすると事故につながる部分があります。用語集は「正しさ」がそのまま資産価値になるため、次の3点は必ず人が担保してください。

定義の正確性は必ず人が確認する

生成AIは、それらしい定義を自信を持って出力しますが、内容が事実と異なる(ハルシネーション)ことがあります。用語集は社内の共通言語になるため、誤った定義が広まると影響が大きくなります。東京都デジタルサービス局の「文章生成AI利活用ガイドライン」でも、生成AIが出力したテキストの妥当性を判断する責任は人間側にあることが示されています。AIの出力はあくまでたたき台とし、最終的な定義・表記は人が確認して確定するのが前提です。

社外の生成AIに機密・個人情報を入れない

用語の抽出のために社内文書を貼り付けるとき、その文書に顧客名・取引先情報・個人情報が含まれていないかを確認してください。一般に公開されている生成AIサービスに機密情報や個人情報をそのまま入力するのは避けるべきです。個人情報保護委員会も、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定した利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認する必要があると注意喚起しています。用語集づくりでは、固有名詞や個人情報を伏せた文章を渡すのが安全です。

一度作って終わりにせず運用する

用語集は、作った時点が完成ではありません。新しいサービスや機能が増えれば用語も増え、言葉づかいの方針も変わります。実務では、更新担当と見直しのタイミング(四半期に1回など)を決めておくことが、辞書を形骸化させないコツです。AIは新しい文書からの用語追加も得意なので、定期的に同じプロンプトで差分を洗い出すと、無理なく最新の状態を保てます。

用語集を土台にすると記事づくり全体が安定する

用語集の本当の価値は、単体で使うより「他の工程の基準」として使ったときに出ます。表記ルールが決まっていれば校正の判断が速くなり、定義が揃っていればリライトや新規記事でも説明がぶれません。オウンドメディアを継続運用するなら、用語集は最初に整えておきたい土台です。運用体制そのものの考え方は、オウンドメディア運用代行の費用相場と選び方もあわせて検討するとよいでしょう。

私たちMihataは、用語集の整備を含めた社内のAI活用や、記事の量産・運用の仕組みづくりをお手伝いしています。「用語集は作りたいが、その先の記事運用まで自社で回せるか不安」という段階でも構いません。現状に合わせた進め方をご提案しますので、よろしければお気軽にご相談ください。

よくある質問

AIで作った用語集はそのまま使ってよいですか?

たたき台としては有効ですが、そのまま使うのは避けてください。生成AIはハルシネーション(事実と異なる出力)を起こすことがあり、定義が自社の実際の使い方とズレる場合もあります。東京都の文章生成AI利活用ガイドラインでも出力の妥当性を判断する責任は人にあるとされており、定義・表記は人が確認して確定してから共有するのが前提です。

用語集の作成は、記事の校正やリライトと何が違いますか?

用語集の作成は言葉単位で定義・読み・表記をまとめる『辞書づくり』の工程です。一方、校正は完成した原稿の誤りを直す作業、リライトは既存記事を書き直す作業で、どちらも原稿を対象にします。用語集はその前段にある土台で、表記ルールを先に決めておくと後工程の校正やリライトの判断が速くなります。

社内の専門用語をAIでまとめる手順を教えてください。

『用語の抽出→定義の生成→表記ルールの決定』の3ステップが基本です。まず社内マニュアルや既存記事をAIに読ませて専門用語・略語を洗い出し、次に各用語の定義・読み・言い換えを生成させ、最後に表記ゆれの候補から採用する表記を1つに決めます。定義や表記は最後に人が確認して確定します。

生成AIに社内文書を入力しても大丈夫ですか?

文書に顧客名・取引先情報・個人情報が含まれていないかを必ず確認してください。個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを入力する場合は特定した利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認する必要があると注意喚起しています。固有名詞や個人情報を伏せた文章を渡すのが安全です。

用語集は一度作れば更新しなくてよいですか?

更新は必要です。新しいサービスや機能が増えれば用語も増え、言葉づかいの方針も変わります。更新担当と四半期に1回などの見直しタイミングを決めておくと形骸化を防げます。AIは新しい文書からの用語追加も得意なので、定期的に同じプロンプトで差分を洗い出すと最新の状態を保ちやすくなります。

参考・出典

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