Mihata
仕事効率化(DX)2026.07.25

AIで面接質問を作成する手順|評価基準・深掘りまで(2026)

採用面接で「何を聞くか」がその場任せになり、面接官によって評価がばらつく——中小企業の採用ではよくある悩みです。この記事では、面接そのものの設計、つまり聞く質問・評価基準・深掘り質問の3点を、生成AIを使って短時間で整える手順を、実務目線でまとめます。

結論から言うと、AIで整える面接設計は3つの成果物に分けて考えると迷いません。第一に、評価したい要件から逆算した質問リスト。第二に、回答をぶれずに点数化するための評価基準(評価シート/ルーブリック)。第三に、回答の浅さを補うフォローアップ(深掘り)質問です。AIには要件を渡してこの3点の「たたき台」を作らせ、最終的な採否判断と就職差別に触れない配慮は人が担う、という役割分担が基本になります。

AIで面接質問を作る全体像(3つの成果物)

面接設計をAIに任せるとき、いきなり「質問を10個出して」と頼むと、抽象的で使いにくい質問が並びがちです。そうではなく、質問リスト・評価基準・深掘り質問という3つの成果物を順番に作らせるのが実務では有効です。この順番だと、質問と評価基準が最初から対応し、面接後の点数化がスムーズになります。

あわせて工程の線引きも大切です。本記事が扱うのは「面接の設計」だけで、求人票の作成や書類選考(スクリーニング)は別工程のため踏み込みません。面接の前段にあたる書類選考の効率化は、面接の前段にあたる書類選考をAIで自動化する方法で扱っています。そもそも応募を集める入口づくりに課題があるなら、自社で採用サイトを作る手順もあわせて検討するとよいでしょう。

手順1 職種・評価したい要件から質問を設計する

良い面接質問は「聞きたいこと」ではなく「評価したい要件」から逆算して作ります。まず募集職種で必要な要件を3〜5個に絞り込み、それぞれを確かめる質問をAIに提案させます。要件が曖昧なままだと、AIは当たり障りのない汎用質問しか返せません。

プロンプトの骨子は、役割・職種・評価したい要件・面接時間・質問の狙いを具体的に渡すことです。たとえば次のように依頼します。

あなたは中小企業の採用面接を設計する人事担当です。職種は「経理事務(実務経験2〜3年)」。評価したい要件は「正確性」「業務改善の主体性」「社内連携」の3点です。各要件について、応募者の過去の行動を具体的に語らせる質問(行動面接型)を2問ずつ、合計6問、日本語で作ってください。質問の意図も1行で添えてください。

実務でおすすめなのは、過去の具体的な行動を尋ねる行動面接型(「過去に〜したときの状況・とった行動・結果を教えてください」)の質問をAIに寄せて作らせることです。「あなたは主体性がありますか」のような自己申告を促す質問より、事実を引き出しやすく、後述の評価基準とも噛み合います。出てきた質問は、自社の言葉づかいに合わせて必ず一度手直ししてください。

手順2 評価基準(評価シート/ルーブリック)をAIで作る

質問リストができたら、次は「回答をどう採点するか」を先に決めます。ここを面接前に用意しておくことが、評価のばらつきを抑える最大のポイントです。あらかじめ質問と評価基準を決めておく構造化面接は、面接官の主観による評価の揺れを抑えやすいとされており、複数人で面接する中小企業ほど効果を感じやすい進め方です。

AIには「各要件を4段階で評価するルーブリックを、具体的な行動例つきで作って」と頼みます。段階の説明が抽象的だと結局ぶれるので、各段階に観察可能な行動の例を入れさせるのがコツです。出力例を整えると、次のような評価シートになります。

評価要件

4(優れている)

3(十分)

2(やや不足)

1(不足)

正確性

ミスを防ぐ仕組みを自ら作り、再発防止まで説明できる

確認手順を持ち、具体例で説明できる

注意はしているが具体策が曖昧

正確性への意識が語られない

主体性

課題を自分で見つけ改善を実行した例がある

指示の範囲で工夫した例を語れる

指示待ちの傾向が見える

受け身の説明にとどまる

社内連携

他部署と調整し合意形成した経験を具体的に語れる

報連相の具体例を語れる

連携の重要性は語れるが実例が弱い

単独作業の話に終始する

この表をそのまま面接官全員に配り、回答を聞きながら4〜1で記録していきます。点数の根拠(どの発言でそう判断したか)を一言メモする欄も足しておくと、面接後のすり合わせが驚くほど楽になります。

手順3 回答を深掘りするフォローアップ質問をAIで用意する

面接で評価が割れる原因の多くは、質問への回答が浅いまま次に進んでしまうことです。そこで、想定される薄い回答に対する深掘り質問を事前にAIで用意しておきます。準備しておけば、面接官の力量に関係なく一定の深さまで掘り下げられます。

依頼の仕方はシンプルで、「この質問に対して応募者が抽象的・一般論で答えた場合に、具体的な事実(状況・行動・結果・数値)を引き出す追い質問を3つ出して」と頼みます。実務で効くのは、「具体的には?」「そのときあなた自身は何をしましたか?」「結果はどうなりましたか?」のように、主語を本人に戻し、事実と数値に寄せる追い質問です。逆に、答えを誘導する質問(「〜だと大変でしたよね?」)は避けるようAIにも指示しておきましょう。

やってはいけない質問 ── 就職差別につながる質問をAIにも書かせない

AIは頼めば質問をいくらでも作りますが、その中には面接で聞いてはいけない質問が紛れ込むことがあります。ここは面接設計で最も注意すべき安全面です。厚生労働省は「公正な採用選考」として、応募者の適性・能力に関係のない事項を採用基準にしないことを求めており、就職差別につながるおそれがある14事項を示しています。

具体的には、本籍・出生地、家族(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)、住宅状況、生活環境・家庭環境といった「本人に責任のない事項」、そして宗教、支持政党、人生観・生活信条、思想、尊敬する人物、購読新聞・愛読書、労働組合・学生運動などの社会運動といった「本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)」を、採用選考の過程で把握・質問すべきでないとされています。加えて、男女雇用機会均等法の趣旨から、女性にだけ結婚・出産の予定を尋ねるといった質問も避ける必要があります。

実務では、AIに質問を作らせるプロンプトの中に「厚生労働省の公正な採用選考に反する、本人に責任のない事項や思想・信条に関する質問は含めないでください」と明記しておくと安全です。ただしAIの出力を鵜呑みにせず、最終的なチェックは必ず人が行うことが前提です。詳しい項目は厚生労働省の公式ページで確認してください。

AIに応募者の個人情報を入れない

もう一つの落とし穴が情報管理です。一般に公開されている生成AIサービスに、応募者の氏名・履歴書・職務経歴書といった個人情報をそのまま貼り付けるのは避けるべきです。入力内容がどう扱われるかはサービスごとに異なり、社内の個人情報保護の観点からもリスクになります。

個人情報保護委員会も、2023年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。個人情報取扱事業者が生成AIにプロンプトとして個人情報を入力する際は、特定した利用目的の範囲内であることを十分に確認する必要があるという趣旨です。面接設計にAIを使うときは、応募者を特定できる情報は入れず、「経理事務・経験2〜3年」のように職種と要件だけを抽象化して渡すのが安全な使い方です。社内でAIをどう使ってよいかのルールは、あらかじめAIの利用ルールを就業規則に落とし込む手順を参考に整えておくと、担当者が迷いません。

ここまで手順を中心にお伝えしてきました。私たちMihataは、応募者情報を外部に出さずに社内で安全に使えるAIを設計する、独自AI開発のサポートも行っています。記事の途中で恐縮ですが、面接設計や採用業務にAIを本格的に取り入れたい場合の選択肢として、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

そのまま使えるプロンプトテンプレ

ここまでの手順をまとめた、コピペで使えるプロンプトの雛形です。【 】の部分を自社の内容に置き換えるだけで、質問・評価基準・深掘り質問の3点をまとめて作れます。

あなたは中小企業の採用面接を設計する人事担当です。次の条件で、面接の設計案を作ってください。職種は【経理事務・経験2〜3年】、評価したい要件は【正確性/主体性/社内連携】、面接時間は【30分】です。出力は次の3点に分けてください。(1)各要件を確かめる行動面接型の質問を2問ずつ、質問の意図つきで。(2)各要件を4段階で採点するルーブリック(各段階に観察できる行動例つき)。(3)回答が抽象的だった場合に事実・数値を引き出す深掘り質問を各質問に2つ。なお、厚生労働省の公正な採用選考に反する、本人に責任のない事項や思想・信条に関する質問は絶対に含めないでください。応募者を特定できる個人情報は入力していません。

この雛形を土台に、自社の職種や評価軸へ差し替えて使ってください。出てきたたたき台は必ず自社の言葉に直し、実際の面接で使いながら質問の精度を上げていくのが現実的な進め方です。

失敗しやすいポイント

現場で多いのは、AIが作った質問リストをそのまま面接に持ち込み、評価基準や深掘りを用意しないまま進めてしまうケースです。質問だけあっても採点がぶれれば、結局は面接官の印象評価に戻ってしまいます。質問・評価基準・深掘りは必ずセットで用意するのが鉄則です。

また、AIに丸投げすると、自社の実際の業務や社風に合わない一般論の質問が並びがちです。AIはたたき台づくりには強い一方、「この人と一緒に働きたいか」という最終判断や、微妙なニュアンスの読み取りは人にしかできません。役割分担を整理すると、次のようになります。

工程

AIに任せてよい部分

人が判断すべき部分

質問づくり

要件からのたたき台・言い回しの候補出し

自社に合うかの取捨選択・NG質問の最終チェック

評価基準

ルーブリックの雛形・段階の言語化

自社基準への調整・重みづけの決定

面接本番

(使わない・個人情報を入れない)

回答の解釈・採否の最終判断

AIはあくまで準備の時間を短縮する道具です。面接の質を決めるのは、要件を言語化する精度と、出てきた案を自社向けに磨く一手間だと考えておくと、期待とのズレが起きません。

よくある質問

面接で聞いてはいけない質問は何ですか?

厚生労働省の公正な採用選考では、就職差別につながるおそれがある14事項が示されています。本籍・出生地、家族の職業や資産、住宅状況、生活・家庭環境といった本人に責任のない事項や、宗教・支持政党・思想・尊敬する人物・愛読書などの本来自由であるべき事項は、採用選考の過程で把握・質問すべきでないとされています。女性にだけ結婚・出産の予定を尋ねるような質問も避けます。

生成AIに応募者の個人情報を入れてもよいですか?

一般に公開されている生成AIサービスに、応募者の氏名や履歴書などの個人情報をそのまま入力するのは避けるべきです。個人情報保護委員会も、個人情報をプロンプトとして入力する際は特定した利用目的の範囲内かを十分に確認する必要があると注意喚起しています。職種と要件だけを抽象化して渡すのが安全です。

面接の評価基準(評価シート)はどう作ればよいですか?

評価したい要件を3〜5個に絞り、各要件を4段階などで採点するルーブリックを用意します。段階ごとに観察できる行動例を入れておくと、面接官による採点のばらつきを抑えられます。AIには行動例つきの雛形を作らせ、自社基準に合わせて調整するのが実務的です。

構造化面接とは何ですか?

あらかじめ質問と評価基準を決めておき、すべての応募者に同じ質問をして同じ基準で評価する面接手法です。面接官の主観による評価の揺れを抑えやすいとされ、複数人で面接する場合に特に効果を感じやすい進め方です。

AIが作った面接質問はそのまま使ってよいですか?

たたき台としては有効ですが、そのままの利用は避けるべきです。自社の業務や社風に合わせて手直しし、就職差別につながる不適切な質問が含まれていないかを必ず人がチェックしてから使ってください。最終的な採否判断も人が行うことが前提です。

参考・出典

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