Mihata
AI活用2026.09.16

ChatGPTの自動Thinking切替が廃止|今後の選び方

「昨日までと同じ聞き方なのに、返ってくる答えが雑になった」。2026年9月14日あたりから ChatGPT でそう感じた方がいるかもしれません。気のせいではなく、OpenAI 側で仕様が変わっています。

結論として、ChatGPT の Plus と Pro で「Instant から Thinking(推論)への自動切替」が全世界で廃止されました。込み入った質問を投げても、ChatGPT が勝手に深く考えるモードへ移ることはもうありません。さらに「もっとよく考えて」と言葉で頼んでも思考レベルは上がらない、と OpenAI が明記しています。今日やることは1つだけで、モデルピッカーから自分で Thinking の段階を選ぶことです。選べる段階は Instant / Medium / High / Extra High の4つ(プランにより異なる)です。

2026年9月14日に何が変わったのか

OpenAI の ChatGPT リリースノートには、2026年9月14日付でこう書かれています。

We're retiring automatic switching from Instant to Thinking (reasoning) for ChatGPT Plus and Pro users globally. You can still select an available option in the model picker to give ChatGPT more time to think or reason.

訳すと「Plus と Pro のユーザーについて、Instant から Thinking(推論)への自動切替を全世界で終了します。モデルピッカーで選べる選択肢を選べば、これまでどおり ChatGPT に考える時間を与えられます」という内容です。あわせて、web 版の ChatGPT からは Plus・Pro 向けの「Higher intelligence」設定も削除されました。

なくなったのは「自動で」の部分だけで、深く考えさせる機能そのものが消えたわけではありません。また、安全上の理由による自動切替だけは今も残ると明記されています。つまり、手間の置き場所が OpenAI 側から利用者側へ移ったという変更です。

なぜ「答えが浅くなった」と感じるのか

これまでの Plus・Pro では、Instant を選んでいても、質問が複雑だと ChatGPT 側が判断して自動的に思考レベルを上げていました。利用者からは「同じように聞いているだけ」に見えるので、その裏側の切替は意識されていなかったはずです。そのお膳立てが外れたので、Instant のまま投げた難しい質問は、Instant の実力そのままで返ってきます。

ここで一番つまずきやすいのが、言葉での指示が効かなくなった点です。OpenAI のヘルプ記事「GPT-5.6 and GPT-6 Pro in ChatGPT」には、Plus と Pro について「Asking ChatGPT to "think harder" or "think deeply" won't automatically switch to a different thinking level.」=「もっと真剣に考えて」「深く考えて」と頼んでも、思考レベルは自動では切り替わらないと書かれています。プロンプトの工夫で取り戻せるものではない、という点は先に知っておいたほうが消耗しません。

なお、思考の上限(allowance)に達した場合は、別の利用可能なモデルで会話が続くことがあるとも記載されています。設定を変えていないのに手応えが変わったときは、自分の使用量が上限に触れている可能性もあります。

今日からの正しい聞き方

やることは単純で、質問を送る前に、モデルピッカーで思考の段階を選ぶだけです。ChatGPT の入力欄の上(またはモデル名の表示部分)から Instant / Medium / High などを切り替えられます。順番としては、①用途を決める→②段階を選ぶ→③質問を送る、の3ステップになります。

  • Instant のまま重い質問を投げない。速さが要る用件と、考えさせたい用件を自分で分ける。
  • モデルピッカーで Medium・High を明示的に選ぶ。迷ったらまず Medium から試す。
  • 「よく考えて」という言葉に頼らない。その一文は思考レベルには作用しません(指示内容としての意味は残ります)。

どの用途にどの段階を選ぶかは公式に決められているわけではないので、以下はあくまで目安です。実際の手応えを見ながら、社内やご自身の基準に置き換えてください。

やりたいこと

選ぶ段階の目安

理由

文章の言い換え、誤字直し、定型メールの下書き

Instant

速さが価値になる作業。深い推論は不要

議事録の要約、既知の情報の整理

Instant〜Medium

量が多い・条件が多いなら Medium へ

資料のたたき台づくり、構成案、調べものの下ごしらえ

Medium

標準の推論で筋の通った案が出やすい

数字の検算、長い文書の読み込み、要件の矛盾探し

High

手順を踏んで確かめる作業は拡張推論が向く

条件が絡み合う設計・戦略の検討、時間をかけてよい難問

Extra High(使えるプランのみ)

待ち時間と引き換えに最大の推論量を使う

この「段階を選ぶ」という作業は、一人で使っている分にはすぐ慣れます。やっかいなのは、チームで使っているときに人によって選ぶ段階がばらばらになり、同じ質問でも出てくる答えの質が揃わなくなることです。社内で AI の使い方が人任せになっている場合は、用途と段階の対応を1枚の表にして配るだけでも差が縮まります。

Mihata でも、AI の導入そのものより「使い方が揃わない」というご相談のほうが多くいただきます。社内の運用ルールづくりからお手伝いできますので、必要そうでしたら覗いてみてください。

プラン別に何が選べるか

選べる段階はプランで異なります。OpenAI のヘルプ記事の記載をもとに整理すると、次のようになります(ロールアウトやワークスペース設定により表示は変わります)。

プラン

既定のモデル

選べる思考の段階

Free / Go

GPT-5.6 Luna(GPT-5.6 Sol は対象外)

今回の Thinking 段階の対象外

Plus

GPT-5.6 Sol

Medium / High(Extra High と Pro は無し)

Pro

GPT-5.6 Sol

Medium / High / Extra High / Pro

Business

GPT-5.6 Sol

Medium / High / Extra High / Pro

Enterprise

GPT-5.6 Sol

Medium / High / Extra High / Pro(ワークスペース設定に依存)

今回の自動切替の廃止が対象としているのは Plus と Pro です。Free と Go はそもそも GPT-5.6 Sol の思考オプションの対象外なので、今回の変更で体感が変わることは基本的にありません。無料と有料で何がどう違うのかを整理したい方は、ChatGPT の無料版と有料版の違いをまとめた記事もあわせてご覧ください。

なお Enterprise と Edu では、管理者が Workspace settings の Models 配下で自動ルーティングの制御を持っている場合があります。利用できる項目やその名称はワークスペースとロールアウトによって変わる、と OpenAI 側も断っています。

ChatGPT Business を使っている人だけ事情が違う

「Higher intelligence の設定が見当たらない」と探している方のうち、ChatGPT Business のワークスペースを使っている方は状況が異なります。Business では Higher intelligence が Settings > General に残っています。Instant を選んでいるときに追加の推論を自動で使うかどうかを、ここで制御できます。

ただし OpenAI のヘルプには、Instant を選んだままでも自動的な推論が推論の利用枠(reasoning allowance)を消費する場合がある、とも書かれています。枠の消費を読みやすくしたいなら切る、これまでどおりの手応えを優先したいなら残す、という判断になります。ワークスペース単位で決めて社内に共有しておくのが無難です。

これは改悪なのか

受け取り方は用途によって割れると思います。良い面を挙げるなら、勝手に重い思考へ行かなくなったぶん、待ち時間と利用枠の消費が読めるようになりました。短い質問に長考が始まって数十秒待たされる、いつの間にか枠を消費していた、といった読めなさは減ります。速さを求めて Instant を選んでいた人にとっては、選択がそのまま結果になる素直な状態です。

一方で、「難しいときは向こうが気を利かせてくれる」という前提が外れ、自分で選ぶ手間が毎回増えたのは事実です。特に、自分の質問が重いのか軽いのかを判断しづらい方ほど、選び損ねて浅い答えを受け取る場面が出てきます。言葉で頼んでも上がらない以上、慣れるまでは意識的に段階を切り替える必要があります。

どちらが正しいと断じられる話ではありませんが、「明示的に選ばせる」方向への変更は ChatGPT 全体で続いています。同じ9月にはカスタムGPT の廃止とプラグインへの移行も予告されました。自動で良きに計らってくれる部分が減り、利用者が構成を選ぶ形に寄ってきている、という見方はできそうです。

Thinking モードそのものの使いどころはThinking の使い方を解説した記事で、今後のモデルの提供状況はGPT-6 Astra がいつ使えるようになるかをまとめた記事で扱っています。

まとめ

  • 2026年9月14日、Plus と Pro で Instant から Thinking への自動切替が全世界で廃止された。
  • 「もっとよく考えて」と頼んでも思考レベルは上がらない。モデルピッカーで自分で選ぶ。
  • 段階は Instant / Medium / High / Extra High。Plus は Medium と High まで。
  • web 版の Higher intelligence は Plus・Pro からは削除。Business では Settings > General に残る。
  • 安全上の理由による自動切替だけは引き続き動く。

設定ひとつで出力の質が変わる以上、社内で誰がどの段階を使うかを決めておくかどうかで、AI の使い勝手はかなり変わります。うまく揃わないと感じている段階でしたら、状況をうかがったうえで一緒に整理いたします。

よくある質問

ChatGPT の答えが急に浅くなったのはなぜですか?

2026年9月14日に、Plus と Pro で Instant から Thinking への自動切替が全世界で廃止されたためです。Instant を選んだままだと、難しい質問でも自動で深い思考へ切り替わらなくなりました。モデルピッカーで Medium や High を自分で選んでください。

「もっとよく考えて」と頼めば深く考えてくれますか?

いいえ。OpenAI のヘルプに、Plus と Pro では think harder や think deeply と頼んでも思考レベルは自動では切り替わらないと明記されています。言葉ではなくモデルピッカーで段階を選ぶ必要があります。

思考の段階にはどんな種類がありますか?

Instant / Medium / High / Extra High の4段階です。Plus で選べるのは Medium と High まで、Pro・Business・Enterprise では Extra High と Pro も選べます。Free と Go は GPT-5.6 Sol 自体が対象外で、既定は GPT-5.6 Luna です。

Higher intelligence の設定が見つかりません。

Plus と Pro については、web 版の ChatGPT から削除されました。ChatGPT Business のワークスペースでは Settings の General に残っており、Instant 選択時に追加の推論を自動で使うかを制御できます。

自動切替は完全になくなったのですか?

安全上の理由による自動切替は引き続き動くと明記されています。また、思考の利用枠の上限に達した場合は、別の利用可能なモデルで会話が続くことがあります。

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