GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra の価格差は5倍です。入力は $2 対 $10、出力は $10 対 $50(いずれも100万トークンあたり)。公式が GPT-6.1 Sol を「near-Astra performance for complex work at a lower cost(複雑な作業で Astra に近い性能を、より低いコストで)」と位置づけているので、判断は「5倍払う理由が自分のタスクにあるか」に絞られます。
結論から書くと、公式はベンチマークによる優劣を示していません。モデルページには「自分のタスクで Astra と比較して、品質とコストのトレードオフを評価せよ」と書かれているだけです。つまり数字で決着はついていない=自分で測る前提のモデルです。この記事では、測る前に決められる部分(仕様差・価格差・制約差)だけを確定させます。
仕様の差は4か所だけ
項目 | GPT-6.1 Sol | GPT-6 Astra |
|---|---|---|
入力 / 出力(100万トークン) | $2 / $10 | $10 / $50 |
キャッシュ読み / 書き | $0.10 / $2.50 | $1.00 / $12.50 |
272K超の長文時 | $4 / $15 | $20 / $75 |
コンテキスト窓 | 1,050,000 | 1,050,000 |
最大出力 | 128,000 | 128,000 |
知識カットオフ | 2026年4月30日 | 2026年4月30日 |
reasoning.effort 既定 | medium | 公式ガイドで指定を推奨 |
Ultrafast モード | 非対応 | 対応 |
Fast モード | 対応(EU 不可) | 対応(EU 不可) |
マルチエージェント | 対応(beta) | 対応 |
コンテキスト窓・最大出力・知識カットオフが完全に同じである点が重要です。「長い資料を読ませたいから Astra」という理由は成立しません。差が出るのは価格と、下に挙げる3つの構造的な違いだけです。
Astra を選ぶ理由は3つに絞られる
1. Ultrafast モードが必要なとき
Ultrafast モードは GPT-6 Astra 専用です(GPT-5.6 Sol はプレビュー)。GPT-6.1 Sol には用意されていません。料金は標準の6倍(入力 $60 / 出力 $300)なので、Astra の標準と比べてもコストは一気に30倍になります。
ここは「速さに値段が付いている」領域で、公式も「速度がコストを正当化するときに使う」と明言しています。対話のレイテンシが売り物になるプロダクト(音声・リアルタイム支援)以外では、まず候補から外して構いません。制約として US データ所在地とグローバル処理のみ、EU など他リージョンでは使えません。
2. 出力トークンが少なくて済む場合がある
公式ガイドは Astra について「いくつかの評価で、大幅に少ない出力トークンでより強い結果を出した。1タスクあたりの推定 API コストは、単価が高いにもかかわらず以前のモデルより低かった」と書いています。
これは単価比較を無効化しうる主張です。ただし「以前のモデルより低かった」という比較対象は GPT-6.1 Sol ではありません(6.1 Sol は Astra の後に出ています)。Astra が 6.1 Sol より1タスク当たり安いという主張は、公式のどこにもありません。ここを混同した記事が出やすいので注意してください。判断材料にするなら、自分のワークロードで1タスクあたりの総トークン数を測る以外に方法はありません。
3. 指示追従とアラインメントの強さ
公式は Astra を「最もアラインメントされたモデル」とし、タスクの境界を守り、解釈の余地がある指示では要点を絞って質問してくると説明しています。副作用として「人間が『適当に判断して進めてほしい』と思う場面で止まる」ことがあり、公式のプロンプト集にもそれを抑えるプロンプトが載っています。
また Astra は skills や AGENTS.md などファイル内の指示に敏感で、公式が「モデルがアクセスできるスキルやファイルを監査することを強く推奨」と書いています。エージェント基盤を持っているなら、この監査コストも Astra 側の負担として見積もってください。
GPT-6.1 Sol を選ぶ理由
- 単価が5分の1で、上限仕様が同じ。1Mコンテキスト・128K出力・同じ知識カットオフ。
- キャッシュ読み込みが入力の5%($0.10)。Astra は10%($1.00)。長いシステムプロンプトを毎回前置きする設計では、実効単価の差が5倍より大きくなります。
- コンピュータ操作(computer_use)に対応。同日追加された Agents API のブラウザ操作も、Sol 側のツール一覧に入っています。
- effort を上げる余地がある。既定が medium なので、high / xhigh / max へ上げても Astra の標準単価には届きません(ただし推論トークンは増えます)。
迷ったときの決め方(実務の順番)
- effort を明示して比べる。既定値が違うモデルを既定のまま並べると比較が歪みます。両方に同じ
reasoning.effortを指定してから測ってください。 - 1タスクあたりの総額で比べる。単価ではなく「入力+推論+出力の合計トークン × 単価」で出します。推論が多いモデルは単価が安くても逆転しえます。
- 不合格だった件数で比べる。平均品質より「やり直しが発生した率」のほうが実コストに直結します。やり直し1回で価格差5倍は簡単に消えます。
- この順で 6.1 Sol が足りるなら Sol。足りない工程だけ Astra に投げる二段構えが、費用としては最も素直です。
料金の具体的な試算は GPT-6 Sol から 6.1 Sol へ移行したときの料金試算、モデルそのものの仕様は GPT-6.1 Sol の料金・性能まとめにあります。前世代での同じ比較は GPT-6 Sol と Astra の違いが参考になります。
私たちは中小企業向けに、モデル選定から社内運用までの AI 導入支援を行っております。「どちらが正解か」は業務ごとに違うので、測り方の設計からご一緒することが多いです。よろしければお声がけください。
よくある質問
GPT-6.1 Sol と GPT-6 Astra はどちらが賢いですか?
公式はベンチマークによる優劣を示しておらず、「自分のタスクで比較して品質とコストのトレードオフを評価せよ」としています。数字での決着はついていません。
価格差はどれくらいですか?
100万トークンあたり入力が$2対$10、出力が$10対$50で5倍です。キャッシュ読み込みは$0.10対$1.00で10倍の差があります。
長い資料を読ませるならAstraのほうがよいですか?
いいえ。コンテキスト窓1,050,000トークン、最大出力128,000トークン、知識カットオフ2026年4月30日はどちらも同じです。長文が理由でAstraを選ぶ必要はありません。
Ultrafastモードは GPT-6.1 Sol でも使えますか?
使えません。Ultrafastは GPT-6 Astra 向け(GPT-5.6 Solはプレビュー)で、料金は標準の6倍、US データ所在地とグローバル処理のみ対応です。
比較するときの注意点は何ですか?
reasoning.effort を両方に明示してください。既定値が違うモデルを既定のまま比べると条件が揃いません。あわせて単価ではなく1タスクあたりの総トークン数と、やり直しの発生率で比べます。