OpenAI は 2026年9月29日、新しい推論モデル GPT-6.1 Sol(モデルID gpt-6.1-sol)を API で提供開始しました。位置づけは「GPT-6 Astra に近い性能を、より低いコストで」。料金は入力 $2・出力 $10(100万トークンあたり)で、フラッグシップの Astra(入力 $10・出力 $50)の5分の1です。
同じ日に、Astra 向けの最速ティア「Ultrafast モード」と、Agents API のコンピュータ操作(computer use)も追加されました。ChatGPT 側でも GPT-6.1 Sol が Work と Codex に段階配信されています。
先に結論:GPT-6.1 Sol は「GPT-6 Sol の実質的な後継」
GPT-6.1 Sol は、1週間前(2026年9月22日)に出たばかりの GPT-6 Sol を置き換える形で登場しました。判断の根拠は2つあります。
- 公式の料金ページから
gpt-6-solの行が消えている。Pricing の主要3モデル表は、現在gpt-6-astra/gpt-6.1-sol/gpt-6-lunaの3行です(2026年9月30日時点でgpt-6-solは料金ページ全体に1件も出てきません)。 - モデル選択ガイドの「まず使うべき3本」も入れ替わった。Models の推奨枠が Astra / GPT-6.1 Sol / Luna になりました。
ただし GPT-6 Sol 自体は廃止されていません。モデル一覧の全モデル欄には今も掲載されており、Deprecations に停止日の行もありません。つまり「動くが、もう勧められていない」という状態です。実務では、料金表と推奨枠から外れた時点で「次の廃止予告候補」と見て移行計画を立てるのが安全です。
GPT-6.1 Sol の仕様(一次ソースの値)
項目 | GPT-6.1 Sol | GPT-6 Sol(従来) | GPT-6 Astra |
|---|---|---|---|
モデルID |
|
|
|
入力 / 出力(100万トークン) | $2 / $10 | $2 / $10 | $10 / $50 |
キャッシュ読み込み | $0.10(入力の5%) | $0.20(入力の10%) | $1.00 |
キャッシュ書き込み | $2.50 | $2.50 | $12.50 |
コンテキスト窓 | 1,050,000 | 1,050,000 | 1,050,000 |
最大出力 | 128,000 | 128,000 | 128,000 |
知識カットオフ | 2026年4月30日 | 2026年4月20日 | 2026年4月30日 |
reasoning.effort | low / medium(既定) / high / xhigh / max | none も可 | none 不可 |
データ所在地 | 米国・EU | 米国・EU | 米国・EU |
単価は据え置きで、キャッシュ読み込みだけが半額という値づけです。入力の 5% で読めるので、システムプロンプトや長い仕様書を毎回前置きする設計ほど効きます。
既定の reasoning.effort が medium であること
GPT-6.1 Sol の reasoning.effort は low / medium / high / xhigh / max で、既定は medium です。none と minimal はサポートされません。GPT-6 Sol と GPT-6 Luna は none が使えたので、effort: "none" を渡しているコードは移行時にそのままでは動きません(Astra も none 不可)。
ツールとエンドポイント
ツール呼び出しは Responses API を使います。Chat Completions もサポートされますが、ツールなしのリクエストに限られます。サポートされるツールは web_search / file_search / image_generation / code_interpreter / hosted_shell / apply_patch / skills / computer_use / mcp / tool_search。ファインチューニングと Predicted Outputs は非対応、Realtime・Live・Assistants・Embeddings・音声系のエンドポイントも非対応です。
加えて マルチエージェント(beta)に対応しており、1回の Responses API リクエストの中でモデルがサブエージェントへ作業を委任できます。
272Kを超える長いプロンプトは料金が跳ねる
見落としやすいのが長文コンテキストの割増です。入力トークンが 272K を超えると、そのリクエスト全体が入力・キャッシュ 2倍/出力 1.5倍になります。1Mコンテキストを謳うモデルですが、実際に 300K 流し込むと料金表は次の値に切り替わります。
条件 | 入力 | キャッシュ読み | キャッシュ書き | 出力 |
|---|---|---|---|---|
272Kまで(標準) | $2.00 | $0.10 | $2.50 | $10.00 |
272K超(長文) | $4.00 | $0.20 | $5.00 | $15.00 |
他のティアも同様に効きます。Fast モードは標準の2倍、Batch と Flex は標準より50%安い、リージョン指定(データ所在地)は10%割増です。なお Fast モードは EU データ所在地では使えません。
ChatGPT ではどこで使えるか
ChatGPT のリリースノート(2026年9月29日)によると、GPT-6.1 Sol は ChatGPT Work と Codex に配信されます。配信順は Pro ユーザーから始め、その後 Plus・Business・Enterprise・Edu へ拡大。Enterprise と Edu のワークスペース管理者は、Workspace settings > Permissions & roles でモデルのアクセス権を有効化する必要があります。
つまり個人の Plus プランで「今すぐモデル選択に出てくる」とは限りません。出てこない場合の切り分けは GPT-6.1 Sol が使えないときの原因と確認手順にまとめました。
同日の追加①:Astra の Ultrafast モード
Ultrafast モードは API で最速のサービスティアです。model: "gpt-6-astra" と service_tier: "ultrafast" を指定して使い、GPT-6 Astra では全 API ユーザーが低いレート制限つきで利用可能(GPT-5.6 Sol はプレビュー扱い)。
料金は標準の6倍で、100万トークンあたり入力 $60・出力 $300(272K超なら入力 $120・出力 $450)。公式も「速度がコストを正当化するときに使う」と書いています。制約として、US データ所在地とグローバル処理のみ対応で、EU など他リージョンの処理エンドポイントでは使えません。また、ツール呼び出しが連続するエージェント用途では WebSocket の使用を強く推奨しています(毎回接続し直すとネットワークのオーバーヘッドで速度差が消える)。
ChatGPT 側では、Ultrafast は新しい Pro 500(月 $500)プランだけで使えます。詳細は ChatGPT Pro 500 と Ultrafast の使える条件で整理しています。
同日の追加②:Agents API のコンピュータ操作
Agents API に computer use が追加されました。エージェントが OpenAI がホストするブラウザの中でタスクを完了でき、サイトへのアクセス承認とサインインは開発側のアプリケーションが処理する設計です。認証情報をモデルに直接渡さずに済む一方、承認フローを自分で実装する必要があります。
私たちも中小企業の業務自動化でこの手のブラウザ操作を扱いますが、実務で詰まるのはモデルの巧拙より「どこで人間が承認するか」の線引きです。ホスト側が承認を握る構成は、そこを設計しやすい形になっています。
どのモデルを選ぶか(判断軸)
- コーディング・エージェント用途で品質を落としたくない → まず Astra。ただし価格は5倍。
- 複雑な作業を安く回したい → GPT-6.1 Sol。まずは自分のタスクで Astra と並べて比べる(公式も「自分のタスクで比較してトレードオフを判断せよ」と書いています)。
- 大量・単純処理 → GPT-6 Luna(入力 $0.10 / 出力 $0.50)。
effort: "none"を使っている → GPT-6.1 Sol も Astra も不可。Luna か GPT-6 Sol のまま。
比較の詳細は GPT-6.1 Sol と Astra の使い分け、実際の請求額の試算は GPT-6 Sol から 6.1 Sol へ移行したときの料金試算をご覧ください。
私たちは中小企業向けに、こうしたモデル更新の追従込みで AI の社内活用を支援しています。記事の途中で恐縮ですが、自社でどのモデルにいくら払うべきか迷われている段階でしたら、よろしければ一度ご相談ください。
よくある質問
GPT-6.1 Sol はいつリリースされましたか?
2026年9月29日です。OpenAI の API changelog に同日付で「Released GPT-6.1 Sol」の行が立っています。
GPT-6.1 Sol の料金は GPT-6 Sol より安いですか?
入力$2・出力$10(100万トークンあたり)は同額です。違うのはキャッシュ読み込みで、$0.20から$0.10へ半額になっています。
GPT-6 Sol は使えなくなりますか?
2026年9月30日時点で廃止予告はありません。ただし公式の料金ページと推奨モデル枠からは外れており、実質的な後継が GPT-6.1 Sol という扱いです。
GPT-6.1 Sol で reasoning.effort に none は指定できますか?
できません。low / medium(既定)/ high / xhigh / max のみで、none と minimal は非対応です。GPT-6 Sol と GPT-6 Luna では none が使えました。
ChatGPT のどのプランで GPT-6.1 Sol が使えますか?
ChatGPT Work と Codex で、Pro ユーザーから配信が始まり、Plus・Business・Enterprise・Edu へ拡大します。Enterprise と Edu は管理者がワークスペース設定でモデルアクセスを有効化する必要があります。