macOS 27にしてから、外部ディスプレイが映らない。プリンタが選べない。ファンがずっと回っている。そういうときに最初に知りたいのは「これは不具合なのか、自分の環境の問題なのか」だと思います。
結論から書きます。2026年9月21日時点で、Appleが一般利用者向けに「既知の問題」として公開しているmacOS 27の不具合は、ごく少数です。開発者向けのリリースノートには既知の問題が31項目ありますが、その大半はアプリ開発に関わるもので、普通にMacを使っている人が遭遇するものではありません。
そのうえで、もうひとつ大事なことがあります。いま「macOS 27の不具合」として語られている症状の多くは、不具合ではなく仕様変更です。Intel版アプリやプラグインの扱い、他社アプリのデータへのアクセス権、メニューバーの表示。どれもAppleが意図して変えたもので、待っていても直りません。設定を変えるか、対応版に入れ替えるしかない性質のものです。
この記事では「公式に確認できた不具合」「仕様が変わった分」「切り分けが必要な分」を分けて書きます。確認できていないものは、確認できていないと書きます。
前提:macOS 27の配信日と、修正版の有無
macOS 27(Golden Gate)は、Appleのセキュリティリリース一覧によると2026年9月14日に公開されました。日本時間では9月15日から配信が始まっています。
そして同じ一覧を見ると、macOS 27の行は1つだけです。つまり27.0.1や27.1といった修正版は、この記事を書いている時点ではまだ出ていません。「次のアップデートを待てば直る」という段階ではない、ということです。
もうひとつ、macOS 27の対応機種はAppleシリコン搭載Macのみで、公式一覧にIntel Macの記載はありません。Intel Macをお使いの方は、そもそもmacOS 27にできません。詳しくはmacOS 27の対応機種で整理しています。
Appleが公式に出している既知の問題(一般利用者に関係する分)
AppleのmacOS 27リリースノートに載っている既知の問題(Known Issues)のうち、開発作業を伴わない人にも影響しうるものは次のとおりです。件数が少ないのは、隠しているからではなく、本当にこれだけしか公開されていないからです。
症状 | Appleの位置づけ | 公式に案内されている対処 |
|---|---|---|
macOS 11を使っているMacから、macOS 27のボリュームを起動ディスクとして選べないことがある | 既知の問題(起動ディスク) | Macを一度シャットダウンし、電源ボタンを「起動オプションを読み込み中」と出るまで押し続け、そこからmacOS 27のボリュームを選ぶ |
「プライバシーとセキュリティ」の「ファイルとフォルダ」で、他社アプリのデータ領域へのアクセスを個別に許可できないことがある | 既知の問題(プライバシーとセキュリティ設定) | 本当に必要かを見直したうえで、必要な期間だけそのアプリにフルディスクアクセスを与える |
Siriに写真を選んで「これを送って」と頼むと、選んだ写真ではなく検索結果の写真すべてが対象になることがある | 既知の問題(Siri) | 写真アプリ側で対象を選んでから、Siriに操作を頼む |
Siriを設定でオフにしていても、右クリックメニューに「Siriに聞く」が出ることがある | 既知の問題(Siri) | 公式の回避策の記載なし。表示だけの問題 |
Siriに地図の情報を聞くと、返答の一部が欠けたり表示が崩れたりすることがある | 既知の問題(Siri) | もう一度聞き直すか、マップアプリを直接開く |
逆に言うと、外部ディスプレイ・Bluetooth・プリンタ・Time Machineについて、Appleが「macOS 27の既知の問題」として公開しているものは、現時点では見当たりません。これらで困っている場合は、後述の切り分けに進んでください。
ベータで報告され、27.0で直っている分
紛らわしいのが、ベータ期間中に話題になって「macOS 27の不具合」として記事が残っているのに、製品版では修正済みというケースです。リリースノートで修正済み(Resolved Issues)とされているもののうち、Macらしい項目を挙げます。
- 同じ型番・同じシリアルの外部ディスプレイを2台つなぐと、2台目が点灯しないことがある(Thunderbolt)
- メモリ搭載量の多いMacでディスクユーティリティのFirst Aidを実行すると、実際には存在しないファイルシステムの破損を報告することがある(APFS)
- 起動ディスクが外付けストレージのとき、バックグラウンドのセキュリティ改善が適用できない(ソフトウェアアップデート)
- フルスクリーンをMission Control経由で解除すると、ウインドウが見失われることがある(ウインドウ管理)
- 音楽・TV・Podcastで再生位置をドラッグしたあと、ウインドウの操作が効かなくなることがある(メディア再生)
- 共有で使っているMacで、ログイン後に画面が真っ暗になることがある(法人向けリリースノート)
ここに挙げた症状が「いま」起きているなら、それはベータ時代の情報とは別の原因である可能性が高いです。まずソフトウェアアップデートで最新になっているかを確認してください。
「不具合」ではなく仕様が変わった分
ここがmacOS 27でいちばん誤解されやすいところです。下の表の症状は、Appleのリリースノートや法人向け資料に明記されている仕様変更であり、修正版を待っても元には戻りません。
起きること | 正体 | やること |
|---|---|---|
これまで動いていたIntel版アプリが起動しない/Rosettaのインストールを求められる | 仕様。Rosettaが入っていたMacでも、macOS 27へのアップグレード後は自動で復元されない | 求められたらRosettaを入れ直す。ただしRosettaは今後のmacOSでは使えなくなるため、Appleシリコン対応版への移行を進める |
「Rosettaで開く」に設定していたアプリが、設定を無視して動いているように見える | 仕様。macOS 27では、その設定をしていたアプリもネイティブで起動するようになった | 過去にRosettaが必要だった不具合は、macOS 27で改めて検証し直す(Appleもそう案内している) |
音楽制作のプラグイン(VST等)、プリンタの詳細設定画面、カラーピッカー、QuickLook/Spotlightのプラグインが消えた・効かない | 仕様寄り。Intel版のプラグインやローダーは、設定に表示されず、非互換の通知も出ないことがあるとAppleが明記している | 該当フォルダ(オーディオプラグイン、プリンタ、カラーピッカー)を自分で確認し、Appleシリコン対応版に入れ替える |
バックアップソフトや同期ソフトが、他のアプリのデータを読めなくなった | 仕様。他社アプリのデータ領域へのアクセスは確認ダイアログが出ず、既定で拒否されるようになった。XProtectが狙われやすいデータへのアクセスを制限することもある | 「システム設定 > プライバシーとセキュリティ」で、そのアプリに許可を与える |
メニューバーのアイコンが消えた | 仕様。幅が足りないとメニューバーの項目が隠れ、折りたたみの表示に置き換わる | 折りたたみの表示を押すと隠れた項目が出る。常駐アプリを減らすのも有効 |
暗号化した外付けドライブの扱いで警告が出る | 仕様。暗号化HFS+(CoreStorage)は非推奨になり、将来のmacOSでは非対応になるとAppleが明記 | 暗号化APFSでフォーマットした外付けドライブへバックアップ先を移す |
AirPortユーティリティが見当たらない | 仕様。新規のクリーンインストールには同梱されない。アップデートで引き継いだ場合も動作は保証されない | 対象機器の設定はiPhone・iPad側のAirPortユーティリティで行う |
会社支給のMacで、構成プロファイルの適用やアプリ配布、ソフトウェアアップデートが失敗する | 仕様。27.0系から一部のシステム処理でTLSの要件が厳格になり、旧来のソフトウェアアップデート管理も機能しなくなった | 個人では直せない。情報システム部門に「macOS 27でMDM関連が失敗している」と伝える |
この一覧を見ると分かるのですが、macOS 27の「おかしい」はアプリ本体より周辺のプラグインやドライバに出ます。本体は無事なのに、印刷だけ・書き出しだけ・特定の機器だけが動かない。そういう出方をするので、アプリの再インストールでは直らないことが多いです。
周辺機器がおかしいときの切り分け
ここからは、Appleが不具合として認めていない=自分の環境で切り分ける必要がある領域です。症状ごとに、確認する順番だけ決めておくと早く終わります。
症状 | まず切り分けること | 対処 |
|---|---|---|
外部ディスプレイが映らない/解像度やリフレッシュレートが以前より低い | ケーブルとポートを替えて再現するか。ドック経由なら直結でも再現するか | 一度抜き差しする、Macをスリープさせて復帰させる、ノートなら蓋を閉じて開ける。「システム設定 > ディスプレイ」でoptionキーを押しながら「ディスプレイを検出」。Appleシリコン搭載のMacBook Proでは、アクセサリの接続許可を求められることがあり、許可しないと画面が暗いままになる |
ドック経由でUSB機器やLANが認識されない | Macに直結すると動くか | 直結で動くならドックのファームウェア更新を確認する。ドックはメーカー側のmacOS 27対応待ちになることがある |
Bluetoothのマウス・キーボードが切れる/つながらない | 充電されているか。有線接続では動くか | いったんペアリングを解除して登録し直す。Appleの純正キーボード・マウス・トラックパッドは専用の手順がある |
プリンタが一覧に出ない/印刷設定の項目が減った | 他のMacやiPhoneからは印刷できるか | プリンタを削除して追加し直す。設定項目が減っている場合はIntel版の拡張が読み込まれていない可能性が高いので、メーカーの最新ドライバを入れる |
外付けドライブが表示されない/Time Machineが失敗する | ディスクユーティリティで機器自体は見えているか。フォーマットは暗号化HFS+か | 機器が見えているならFirst Aidを実行。暗号化HFS+なら暗号化APFSへの移行を検討する。バックアップ先を替える前に、別の場所へ一度コピーを取る |
iCloud Driveの同期が終わらない/ファイルがすぐ開けない | アップデートから何日経っているか | 数日以内なら再インデックスと再ダウンロードの途中。電源につないで放置する |
特定のアプリだけ起動直後に落ちる | そのアプリがAppleシリコンに対応しているか | 「システム設定 > 一般」に、macOS 28で使えなくなるIntel版アプリの一覧が出るようになった。ここに載っているなら対応版へ入れ替える |
重い・熱い・電池が減るは、数日なら正常
アップデート直後の「Macが熱い」「ファンが止まらない」「バッテリーの減りが早い」は、不具合と切り分けにくい代表格です。ここはAppleがはっきり書いています。
アップデート、特にメジャーリリースの直後は、バッテリー駆動時間や発熱に一時的な影響が出ることがあります。これは正常です。デバイスがバックグラウンドで、検索用のデータやファイルのインデックス作成、新しいアセットのダウンロード、アプリの更新といった設定処理を完了させる必要があるためです。(Apple「Appleのソフトウェアアップデートについて」より要約)
Macの場合、これはSpotlightの再インデックスと写真ライブラリの解析にあたります。写真を数万枚持っている方なら、数日かかることも珍しくありません。目安を表にします。
状況 | 判断 | やること |
|---|---|---|
アップデートから1〜3日。何もしていなくてもファンが回るが、夜に電源につないで放置すると翌朝は静か | 正常の範囲 | 放置する。電源につないだまま蓋を開けておくと早く終わる |
1週間経ってもファンが回りっぱなし。アクティビティモニタで特定のプロセスがCPUを占有し続けている | 切り分けが必要 | アクティビティモニタでプロセス名を控える。常駐アプリやセキュリティソフトが原因のことが多い |
特定のアプリを開いたときだけ熱くなる | アプリ側の問題の可能性 | そのアプリのmacOS 27対応状況を確認する |
起動直後から常に熱く、Spotlight検索も効かない | インデックスが壊れている可能性 | セーフモードで起動して様子を見る |
ちなみに、作業時間を測っておくと「いつから重くなったか」を後から言えるようになります。MihataではMacの画面に時計を常に表示しておく方法もまとめています。
切り分けの順番
ここまでで当てはまるものがなければ、次の順で進めます。上から順にやると、下へ行くほど手間がかかる代わりに原因が絞れます。
- 再起動する。アップデート後に一度も再起動していないなら、まずこれです。
- セーフモードで起動する。起動時に読み込まれるソフトが原因かどうかが分かります。セーフモードで症状が消えるなら、常駐アプリ・セキュリティソフト・ドライバが疑わしいということです。
- 新しいユーザアカウントを作って試す。そこで症状が出ないなら、原因は元のアカウントの設定や機能拡張の側にあります。
- プラグインのフォルダを直接見る。オーディオプラグイン、プリンタ、カラーピッカーの各フォルダを開き、古いIntel版が残っていないか確認します。
- それでも直らないなら、バックアップを取ってmacOSを再インストールする。データを消さずに再インストールする手順がAppleから公開されています。
順番を飛ばして再インストールから始めると、原因が分からないまま同じ症状が戻ってくることがあります。特に、外付け機器やプラグインが原因だった場合は、再インストール後にまた同じものを入れるので再発します。
修正版を待つか、いま対処するか
ここまでの整理を踏まえると、待つ意味があるかどうかは症状によって変わります。
症状の種類 | 待つ意味 | 理由 |
|---|---|---|
Appleが既知の問題として公開しているもの | あり | 修正の対象になっている。回避策も公開されている |
仕様変更によるもの(Rosetta・プラグイン・プライバシー・メニューバー) | なし | 意図した変更なので元に戻らない |
周辺機器・ドック・プリンタ | メーカー次第 | Appleではなく機器メーカーの対応待ちになることが多い |
アップデート直後の発熱・重さ | 数日待つ | バックグラウンド処理が終われば収まる |
業務アプリが未対応 | アプリ開発元次第 | 対応表が出るまで待つしかない |
まだアップデートしていない方は、先に業務で使うアプリと周辺機器の対応状況を確かめてからのほうが安全です。判断の材料はmacOS 27にアップデートすべきかにまとめました。iPhone側の状況が気になる方はiOS 27の不具合まとめもあわせてどうぞ。
まとめ
macOS 27で「おかしい」と感じたら、まず不具合か仕様かを分けてください。Appleが公式に既知の問題としているものは少なく、多くはIntel版ソフトの扱いとプライバシー設定の変更に由来します。そして周辺機器は、Appleではなくメーカー側の対応待ちであることが大半です。
Mihataでは、Macの業務環境やアップデート運用についてのご相談も承っています。社内のMacを一斉にアップデートしていいか判断がつかない、といった場面でもお気軽にどうぞ。
よくある質問
macOS 27に不具合は何件ありますか?
2026年9月21日時点で、Appleのリリースノートに既知の問題として載っているのは31項目ですが、その大半は開発者向けです。一般の利用に関わるものは起動ディスク・プライバシー設定・Siri関連など数件にとどまります。件数が少ないのは情報が隠されているからではなく、公開されている一次情報がこれだけだからです。
macOS 27.0.1や27.1はもう出ていますか?
この記事を書いている2026年9月21日時点では、Appleのセキュリティリリース一覧にmacOS 27の行は1つだけで、後続の修正版は掲載されていません。つまり「待てば直る修正版が出ている」という状況ではありません。
アップデート後にMacが熱くなるのは不具合ですか?
数日であれば正常の範囲です。Appleも、メジャーアップデートの直後はバッテリーや発熱に一時的な影響が出ること、それは検索用のインデックス作成やアセットのダウンロードなどの設定処理のためであることを明記しています。1週間以上続く場合や、特定のプロセスがCPUを占有し続けている場合は切り分けが必要です。
Intel版のアプリやプラグインが急に動かなくなりました
不具合ではなく仕様変更です。Rosettaは、以前インストールしていてもmacOS 27へのアップグレード後は自動で復元されません。またIntel版のプラグインやローダーは設定に表示されず、非互換の通知も出ないことがあるとAppleが明記しています。オーディオプラグインやプリンタ、カラーピッカーのフォルダを確認し、Appleシリコン対応版に入れ替えてください。
会社のMacでソフトウェアアップデートや構成プロファイルが失敗します
27.0系から、MDMや構成プロファイルの適用、アプリのインストール、ソフトウェアアップデートに関わる一部のシステム処理で通信の要件が厳しくなりました。あわせて旧来のソフトウェアアップデート管理も機能しなくなっています。個人の設定では解決できないため、情報システム部門に状況を伝えてください。