【2026年9月4日 更新】決算は発表済みです。NVIDIA は日本時間2026年8月27日(木)早朝に FY2027 第2四半期(2026年7月26日締め)の決算を公表しました。売上高は962億2,100万ドル(前四半期比+18%、前年同期比+106%)で、会社が事前に示していたガイダンスは910億ドル(±2%=892〜928億ドル)でしたので、中央値を約52億ドル、レンジ上限928億ドルも約34億ドル上回る着地です。粗利率は GAAP・非GAAP とも75.0%で、こちらもガイダンス(GAAP 74.9%/非GAAP 75.0%)どおりでした。
次の決算(FY2027 第3四半期)の発表日は、本記事の更新時点で NVIDIA の IR イベントページに掲載がなく未告知です(2026年9月4日確認)。例年、第3四半期の決算発表は11月下旬に行われています。日程が公表され次第、このページを更新します。
この記事では、①発表された実績とガイダンスの差、②今回から始まった新セグメント区分(Hyperscale/ACIE)での初めての内訳、③次四半期の見通し、の3つを公式資料の原文だけで整理します。本記事は投資助言ではなく、AI投資動向を読むための情報整理です。個別株の売買判断を扱うものではありません。
FY2027 第2四半期の実績(ガイダンスとの比較)
決算を読むときに意味があるのは「増収率が何%だったか」ではなく、会社が3か月前に置いた前提と、実際の着地がどれだけずれたかです。そこだけを先に並べます。金額はいずれも公式プレスリリースの原文(米ドル)です。
項目 | 事前ガイダンス | 実績(Q2 FY27) | 判定 |
|---|---|---|---|
売上高 | 910億ドル(±2%) | 962億2,100万ドル(前四半期比+18%/前年同期比+106%) | レンジ上限(928億ドル)も超過 |
粗利率(GAAP) | 74.9%(±50bp) | 75.0% | 前四半期74.9%からほぼ横ばい |
粗利率(非GAAP) | 75.0%(±50bp) | 75.0% | ガイダンス中央値どおり |
営業費用(GAAP) | 約85億ドル | 84億800万ドル | 想定内 |
中国のデータセンターコンピュート売上 | ゼロ前提で作成 | 中国向けデータセンター Hopper 製品の出荷はデータセンター売上の1%未満 | 前提はほぼ維持 |
そのほかの主要数字も押さえておきます。GAAP 営業利益は637億3,400万ドル(前年同期比+124%)、GAAP 純利益は596億8,800万ドル(同+126%)。希薄化後1株利益は GAAP で2.46ドル、非GAAP で2.22ドルでした。GAAP の実効税率は16.5%、非GAAP は16.0%です。
見落とされやすいのがフリーキャッシュフローで、第2四半期は213億4,100万ドルと、前四半期の485億5,400万ドルから大きく減っています。売上・利益が過去最高を更新する一方でキャッシュの入りが細っているのは、生産キャパシティへの支払いが先行しているためと読むのが自然です(会社は理由を個別に説明していないため、ここは一次情報からの断定を避けます)。株主還元は第2四半期に約260億ドル(自社株買い+配当)、四半期末時点の自社株買い枠の残りは約990億ドル。次の四半期配当は1株0.25ドルで、2026年10月1日に支払われます(基準日は9月10日)。
新区分での初開示:Hyperscale と ACIE の内訳
今回の第2四半期は、NVIDIA が報告セグメントを刷新してから最初の四半期でした。データセンターが Hyperscale(パブリッククラウドと世界最大級のコンシューマー向けインターネット企業)と ACIE(AI Clouds, Industrial, & Enterprise)の2つのサブ市場に分かれ、実数がはじめて世に出ています。なおこの内訳はプレスリリース本文には載っておらず、CFO コメンタリーの「Revenue by Market Platform」表にだけ記載されています。報道で内訳が食い違うときは、この出所の違いが原因になりがちです。
区分 | Q2 FY27 | Q1 FY27 | 前四半期比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
データセンター 合計 | 890億2,300万ドル | 752億4,600万ドル | +18% | +117% |
└ Hyperscale | 487億1,000万ドル | 430億5,000万ドル | +13% | +102% |
└ ACIE | 403億1,300万ドル | 321億9,600万ドル | +25% | +138% |
Edge Computing | 71億9,800万ドル | 63億6,900万ドル | +13% | +27% |
ここが今回いちばん情報量のある部分です。ACIE がデータセンター売上の約45%(403億/890億)を占め、伸び率では Hyperscale(+13%)を大きく上回っています(+25%)。会社は ACIE の伸びの理由を「AI ネイティブ企業、事業会社、ソブリン(国家)顧客の最終需要と、AI クラウドを利用するハイパースケーラー」と説明しています。つまり需要の増分は、クラウド大手の設備投資よりもその外側から来ている、という構図が数字で出た形です。
ひとつ注意点があります。会社は第2四半期に1社をビジネスモデルの変更を理由に ACIE から Hyperscale へ再分類し、過去分の売上も遡って組み替えたと明記しています。サブ市場の前四半期比を見るときは、この組み替え後の数字どうしを比べている点を押さえておく必要があります。区分そのものの定義や、旧区分(compute/networking)との軸の違いはエヌビディア決算のセグメント変更とHyperscale・ACIEの読み方にまとめてあります。
次の決算はいつか、そして次四半期の見通し
「次の決算はいつか」を先に整理します。FY2027 第3四半期の決算発表日は、2026年9月6日時点でも NVIDIA の IR イベントページに掲載がなく未告知です。NVIDIA は通常、決算のおよそ1か月前にニュースリリースで電話会議の日時を告知します(今回の第2四半期分は2026年7月29日に告知されました)。例年の傾向では第3四半期の発表は11月下旬ですが、確定日は会社の告知を待つ必要があります。
ここで注意が要ります。2026年9月6日時点で、株式情報サイトの決算カレンダーにはすでに「11月17日」「11月25日」といった日付が載っていますが、両者は食い違っており、いずれも NVIDIA の告知に基づくものではありません。過去には二次的なまとめサイトの決算日を前提に予定を組んで空振りする例が実際にあります。社内の会議や投資判断に日付を書き込むのは、NVIDIA 自身のニュースリリースが出てからにしてください。本記事は告知が出た時点で同じURLのまま更新します。
いっぽう、次四半期の中身についてはすでに会社が数字を出しています。
会社が第3四半期に1,080億ドルを見込む根拠のひとつが、次世代プラットフォームの立ち上がりです。プレスリリースでは Vera Rubin が「now in full production」とされ、CoreWeave・Google Cloud・Microsoft Azure・Oracle Cloud Infrastructure・Nebius でラックが稼働していることが示されました。この基盤が何で、前世代とどう違うのかはVera Rubinとは?NVIDIAの新AI基盤とBlackwellの違いにまとめています。
項目 | Q3 FY27 ガイダンス | Q2 FY27 実績との比較 |
|---|---|---|
売上高 | 1,080億ドル(±2%) | 962億ドルから約12%の上積みを見込む |
粗利率(GAAP・非GAAP) | 74.0%(±50bp) | 75.0%から約1ポイントの低下を会社自身が見込んでいる |
営業費用 | GAAP 約92億ドル/非GAAP 約90億ドル | GAAP 84億ドルから増加 |
中国のデータセンターコンピュート売上 | 引き続きゼロ前提 | 前提は据え置き |
売上高よりも注目すべきは粗利率の低下見通しです。売上は1,080億ドルへ伸ばしながら、率は75.0%から74.0%へ下げると会社自身が置いています。AI 半導体は「売れているか」より「値引きせずに売れているか」が先行指標になるため、次回の決算では総額よりこの率が実際に74%前後で止まるかを見るのが実務的です。なお FY2027 通期の税率見通しは16.0〜18.0%(個別要因を除く)で据え置かれています。
AI投資の実需を読む6つの指標と、その参照先
「AIバブルなのか実需なのか」という問いに、決算のどこが答えを持っているかを整理します。単に売上高の総額を見ても、それが積み上がった需要なのか一時的な前倒しなのかは分かりません。指標ごとに「何が分かるか」を分けて見るのが実務的です。
見るべき指標 | 何が分かるか | どこに載っているか |
|---|---|---|
データセンター部門売上と前四半期比 | AIインフラの実需規模と、伸びが減速しているかどうか | プレスリリースのHighlights、CFOコメンタリー |
次四半期のガイダンス(売上高) | 会社自身が数か月先の受注をどう見ているか | プレスリリースのOutlook |
粗利率(GAAP/非GAAP) | 供給制約や在庫評価損の圧力、値決めの余地 | プレスリリース、CFOコメンタリー |
在庫と仕入コミットメント | 数四半期先を見据えた生産計画の大きさ | Form 10-Qの注記(Commitments and Contingencies) |
地域別売上(中国を含む) | 輸出規制の影響と、需要の地域偏り | Form 10-Qの注記(地域別売上) |
顧客層の内訳(ハイパースケーラー比率) | 需要が一部の巨大顧客に偏っているか分散しているか | Form 10-Q、CFOコメンタリー |
このうち、報道で最も扱われるのはデータセンター売上とガイダンスです。一方で在庫・コミットメントと地域別売上は注記に埋もれがちですが、AI投資の先行きを考えるうえではむしろこちらのほうが情報量があります。AIバブルはいつ崩れるのかという論点を考えるときも、感覚論ではなく決算の注記で確認するのが遠回りに見えて確実です。
先を映す数字は「供給コミットメント」にある
今回いちばん動いたのがここです。CFOコメンタリーによると、供給・インフラ・パートナーに関するコミットメントは前四半期の1,190億ドルから2,790億ドルへ増えました。会社は増加の主因をメモリの調達と説明しています。これは「すでに発注して支払い義務が生じている生産キャパシティ」であり、会社が数四半期先の需要をどう見積もっているかの直接的な表明です。1四半期で2.3倍という増え方は、少なくとも会社側が需要の持続を強く前提に動いていることを示します。
あわせて、データセンターの土地・電力・建屋を確保するための取り決めも別枠で開示されました。最長20年のデータセンターリースがFY2027第3四半期からFY2033の間に開始予定とされ、加えて約15年のリースをFY2028〜FY2029に開始し第三者へ再譲渡する前提の契約も結ばれています。AIインフラの制約が半導体の生産能力から「土地と電力」へ移りつつあることが、契約の形に表れています。
在庫も積み上がっています。2026年7月26日時点の棚卸資産は315億7,500万ドルで、前四半期の約258億ドル、前期末(2026年1月25日)の214億300万ドルから連続で増加しました。CFOコメンタリーはこれを「第3四半期のVera Rubin投入に備えたもの」と説明しています。在庫とコミットメントが増え続けている間は、会社側は需要の持続を前提に動いていると読めます。
逆に、この残高が伸び悩んだり、在庫評価損の計上が増えたりすれば、それは需要見通しの変化が最初に表面化する場所になります。AIデータセンターの電力消費という物理的な制約も同じ方向を向く論点で、生産計画と電力供給のどちらが先に詰まるかは今後の見どころです。
中国向けの扱いをどう読むか
ガイダンス910億ドルは中国からのデータセンターコンピュート売上ゼロという前提で作られていました。実績では、中国向けのデータセンター Hopper 製品の出荷はデータセンター売上の1%未満だったと CFO コメンタリーに記載されています。つまり「中国が戻ったから上振れた」わけではなく、中国ほぼゼロのままガイダンスを超えたのが今回の実像です。第3四半期のガイダンス1,080億ドルも同じくゼロ前提で置かれているため、仮に中国向けが動けばそれは純粋な上振れ要因になります。
輸出規制で先端チップの調達が制限される中国では、DeepSeek や Qwen など自国発モデルの利用が広がっています。中国AIモデルを業務で使う際のリスクは、日本企業がこうしたモデルを検討する場合の論点整理として参考になります。各国が自国内で AI 基盤を持とうとする動きも需要の受け皿になりつつあり、今回 ACIE の伸びの説明にソブリン顧客が明記されたのはその表れです。日本を含むソブリンAIの取り組みも同じ文脈で追えます。
この決算を自社のAI予算判断にどう使うか
NVIDIAの決算は、AI基盤の「供給側」の状況を四半期ごとに教えてくれる数少ない公開情報です。貴社がAI活用の投資判断をするうえで、直接効いてくるのは主に2点だと考えています。
1つはコスト方向です。粗利率と供給コミットメントは、GPU調達コストや推論単価の先行きと無関係ではありません。実際、生成AIの利用料金が上がる局面は供給側の制約と連動して起きます。もう1つは前提の寿命です。今使っているモデルやサービスが数年単位で使い続けられるのかは、供給側の投資が続くかどうかに左右されます。
そのうえで、決算の結果によって自社のAI活用計画を大きく振り回す必要はほとんどありません。同じ「外部環境の期日を追う」という点では、OpenAI Assistants APIの2026年8月26日終了のようなAPI側の期日も同じ扱いで管理しておくと抜けません。むしろ、特定のモデルやベンダーに深く依存しないようモデル乗り換えのコストを事前に把握しておくほうが、外部環境の変化に強い構えになります。決算は「見通しの前提を年4回洗い直す機会」として使うのが実務的です。
数字を自分で確認する手順(10分)
報道記事は要点整理として便利ですが、今回のように肝心の内訳がプレスリリースではなく CFO コメンタリーにしか無いことがあります。原文にあたる手順は次の3つだけです。
まず investor.nvidia.com のプレスリリースで、売上高・粗利率・Outlook を押さえます。次に同じページの CFO コメンタリー(PDF)を開き、「Revenue by Market Platform」の表で Hyperscale/ACIE/Edge Computing の内訳と、中国に関する記述を確認します。最後に、数日以内に提出される Form 10-Q で在庫・供給コミットメント・地域別売上といった注記レベルの数字を見れば、全体像が揃います。なお本記事ではアナリストによる市場予想は扱っていません。
Mihataでは、こうした外部環境の変化を自社のAI活用計画にどう反映するかの整理もお手伝いしています。何から手をつけるべきか迷っている段階でも構いませんので、状況をお聞かせいただければと思います。
よくある質問
エヌビディアの決算はいつ発表されましたか。
FY2027 第2四半期(2026年7月26日締め)の決算は、米国太平洋時間2026年8月26日、日本時間では8月27日(木)早朝に公表されました。売上高は962億2,100万ドルで、前四半期比+18%、前年同期比+106%です。
次のエヌビディア決算はいつですか。
FY2027 第3四半期の決算発表日は、2026年9月4日時点でNVIDIAのIRイベントページに掲載がなく未告知です。NVIDIAは通常、決算のおよそ1か月前にニュースリリースで電話会議の日時を告知します(第2四半期分は2026年7月29日告知)。例年の傾向では11月下旬ですが、確定日は会社の告知を待つ必要があります。
実績は会社のガイダンスを上回りましたか。
上回りました。ガイダンスは売上高910億ドル(±2%=892〜928億ドル)でしたが、実績は962億2,100万ドルでレンジ上限も超えています。粗利率はGAAP・非GAAPとも75.0%で、ガイダンスどおりの水準でした。
HyperscaleとACIEの内訳はいくらでしたか。
Q2 FY27はHyperscaleが487億1,000万ドル(前四半期比+13%、前年同期比+102%)、ACIE(AI Clouds, Industrial, & Enterprise)が403億1,300万ドル(同+25%、+138%)でした。データセンター合計は890億2,300万ドルで、ACIEが約45%を占めます。この内訳はプレスリリースではなくCFOコメンタリーに記載されています。
中国向けの売上は計上されましたか。
CFOコメンタリーによると、当四半期の中国向けデータセンターHopper製品の出荷はデータセンター売上の1%未満でした。ガイダンスは中国からのデータセンターコンピュート売上をゼロで置いており、その前提はほぼ維持されたまま上振れした形です。第3四半期のガイダンスも同じくゼロ前提です。
次四半期(Q3 FY27)の見通しはどうなっていますか。
売上高1,080億ドル(±2%)、粗利率はGAAP・非GAAPとも74.0%(±50ベーシスポイント)、営業費用はGAAP約92億ドル・非GAAP約90億ドルです。売上は約12%の上積みを見込む一方、粗利率は75.0%から約1ポイント下がる見通しが会社自身から示されています。