Mihata
仕事効率化(DX)2026.10.10

共有ドライブとマイドライブの使い分け|移行前の判断軸

Google Workspace を使っていると、どこかの時点で必ず「この書類は共有ドライブに置くのか、マイドライブに置くのか」で手が止まります。見た目はどちらも同じフォルダで、どちらに置いても仕事は進むからです。違いが表に出るのは、担当者が辞めたとき、外部パートナーにフォルダを渡すとき、そして「あの資料どこ?」と誰かが探し始めたときです。

この記事では、公式ヘルプで裏が取れる仕様の違いを先に整理したうえで、Mihata が2026年に案件書類をマイドライブから共有ドライブへ実際に移したときに何で詰まったかを書きます。移行してみて分かったのは、仕様を読むだけでは分からない落とし穴がいくつもあることと、「全部まとめて移す」計画を立てるとまず失敗するということでした。

結論:他人と使うものは共有ドライブ、自分だけの下書きはマイドライブ

迷ったときの判断は1行で済みます。他の人と一緒に使うもの、会社として残す必要があるものは共有ドライブ。自分だけが見る下書き・一時ファイル・個人メモはマイドライブです。

理由は「所有者が誰になるか」の一点に集約されます。Google の公式ヘルプは、マイドライブのファイルやフォルダのオーナーは「ファイルまたはフォルダを作成したユーザー」、共有ドライブは「チーム」が所有者だと書いています。つまりマイドライブに置いた瞬間、その書類は会社の資産ではなく個人の持ち物になります。だから「他人と使うか」で切るのが一番ぶれません。

組織が所有している状態の効き目は、人が抜けるときに出ます。公式ヘルプは、共有ドライブ内のファイルは組織が所有しているものでユーザーのものではないため、メンバーがチームを離れてもファイルは共有ドライブ内に残ると明記しています。逆にマイドライブのファイルは、アカウントを削除するときに管理者が新しいオーナーへ移管しなければ、移管しなかったコンテンツは削除されるとされています。見た目が同じフォルダでも、人が辞めた日の挙動はまったく違うわけです。

書類の種類別・置き場所の判断表

実務で判断に迷いやすいものを並べました。社内の運用ルールを決めるときは、この粒度で一覧にして共有してしまうのが早いです。

書類の種類

置き場所

理由

契約書・覚書(締結済み)

共有ドライブ

会社として長く残す必要がある。担当者の退職で消えてはいけない

見積書・請求書の控え

共有ドライブ

経理・税務で後から参照される。個人のアカウントに紐づけておく理由がない

案件フォルダ(進行中の一式)

共有ドライブ

複数人が出入りする。引き継ぎのときにフォルダごと見せられる

提案書・資料のテンプレート

共有ドライブ

全員が同じ版を使うべきもの。個人フォルダに置くと各自がコピーを持ち始める

議事録・打合せメモ

共有ドライブ

後から「何を決めたか」を遡るのが本来の用途。本人しか見られないと価値が半減する

自分用の下書き・考え中のメモ

マイドライブ

人に見せる前のもの。共有ドライブに置くとメンバー全員に見えてしまう

一時ファイル(変換前のデータ、スクリーンショット等)

マイドライブ

残す価値がない。共有ドライブのアイテム数を食うだけ

人事・給与など限られた人だけが見るもの

専用の共有ドライブ

共有ドライブは既定でメンバー全員が全ファイルを見られる。一般の共有ドライブには混ぜない

外部パートナーに渡す成果物

共有ドライブ+アイテム単位の共有

フォルダやファイルを個別に共有して出す(後述)

表に入れなかったものも、「これは自分が辞めた翌日に誰かが探すか?」で考えると、たいてい答えが出ます。探される可能性があるなら共有ドライブです。

決定的な違いは5つ

仕様の差は無数にありますが、置き場所の判断に効くのは次の5つです。

観点

マイドライブ

共有ドライブ

所有者

作成したユーザー個人

チーム(組織)

担当者のアカウント削除時

管理者が新しいオーナーへ移管しないと削除される

メンバーが抜けてもファイルは残る

既定の見え方

共有した相手だけが見える

既定でメンバー全員が全ファイルを見られる

権限の持ち方

ファイル・フォルダごとに人を足す

ドライブ単位の5段階のアクセスレベル+個別共有

上限

個人のストレージ容量に依存

1つの共有ドライブに最大50万アイテム

所有者が違う、が全ての元

ここが分かれば他は派生です。マイドライブのファイルは個人の持ち物なので、その人のアカウントの状態に運命が左右されます。共有ドライブのファイルは組織の持ち物なので、誰がいなくなっても場所が変わりません。「退職時に困らないようにしたい」という動機で共有ドライブを検討している会社は、この一点だけで移行の価値があります。

退職・アカウント削除のときに起きること

公式ヘルプの離職者データに関するページは、アカウントを削除する際に管理者がユーザーのファイルとデータを新しいオーナーに移管できるとし、別のユーザーに移管しなかったコンテンツは削除されると書いています。つまりマイドライブ運用のままだと、退職処理のたびに「移管先を決める」という作業が毎回発生します。そしてその作業は、だいたい誰も全体像を把握できていない状態で行われます。

退職者のファイル移管で実際に困る場面と対処は、退職者が作ったスプレッドシートを引き継ぐときの手順でも別途まとめています。共有ドライブに置いてあれば、この作業自体が要らなくなります。

既定でメンバー全員に見える

共有ドライブは、既定ではメンバー全員がすべてのファイルを表示できます。マイドライブの「共有した人だけ」と逆です。これは便利さの源でもあり、事故の源でもあります。人事・給与・役員報酬のように見せる人を絞るものは、一般の共有ドライブに入れず、別の共有ドライブを立ててメンバーを絞るのが素直です。フォルダ単位でアクセスを制限する機能もありますが、運用の分かりやすさではドライブを分けるほうが勝ちます。

権限の粒度が違う

マイドライブは「このファイルをこの人に」の積み上げです。共有ドライブは「このドライブにこの人を、このレベルで」が土台になり、そのうえで個別共有も足せます。人の出入りが多い組織では、ドライブ単位で足し引きできるほうが圧倒的に楽です。権限の設定で詰まったときに見るところは、スプレッドシートを共有しても「権限が必要です」と出るときの原因に整理しています。

上限は意外と早く効く

公式のドライブの制限ページには、はっきりした数値がいくつも載っています。判断に関係するのは次あたりです。

  • 1つの共有ドライブに保存できるアイテム数は最大50万個
  • フォルダは最大100レベルまでネストできる
  • 1つのファイルは最大100グループと直接共有できる
  • 1つの共有ドライブのメンバーは、グループ100・メンバー総数600・個人総数50,000という上限がある
  • 各ユーザーが24時間以内にドライブへアップロードできるのは750GBまで

50万アイテムは「そんなに溜まらない」と思いがちですが、全社のファイルを1つの共有ドライブに集約し、写真・動画・書き出しデータまで入れると現実的な数字になります。最初から部門別・用途別に分けておくほうが安全です。容量そのものが足りなくなってきたときの考え方は、Google Workspaceの容量がいっぱいになったときの判断にまとめています。

役割(管理者〜閲覧者)の使い分け

共有ドライブのアクセスレベルは5段階です。公式の権限表から、判断に効くところだけ抜くとこうなります。

アクセスレベル

できることの境目

誰に渡すか

管理者

メンバーの追加・削除、アクセスレベルの変更、別の共有ドライブへの移動、ゴミ箱の完全削除、ドライブの削除まで

その領域の責任者。1〜2名に絞る

コンテンツ管理者

ファイル・フォルダのゴミ箱への移動、共有ドライブ内での移動、フォルダの個別権限管理ができる。メンバー管理はできない

日々フォルダを整える人。実務の中心

投稿者

ファイルの作成・追加・編集、個別ユーザーの追加・削除、ゴミ箱からの復元はできる。ファイルの移動・削除はできない

一般のメンバー。既定はここでよい

閲覧者(コメント可)

閲覧とコメントのみ。編集はできない

内容を確認してもらう相手

閲覧者

閲覧のみ

見せるだけの相手

実務で効くのは「投稿者はファイルを移動できない」という線です。これは一見不便ですが、フォルダ構造が勝手に崩れないという意味で効いています。「勝手にファイルが行方不明になる」をいちばん防いでくれる設定なので、全員をコンテンツ管理者にしたくなる衝動は抑えたほうが長持ちします。

管理者を増やしすぎないのも大事です。管理者はゴミ箱のファイルを完全に削除でき、共有ドライブそのものを削除できます。取り返しのつかない操作ができる人は少ないほうがよい、というだけの話です。

外部パートナーに渡すときはアイテム単位になる

外部の協力会社やお客様にファイルを渡す場面では、共有ドライブの作りがそのまま効いてきます。

まず、組織外のユーザーを共有ドライブのメンバーとして追加できるかどうかは管理者設定で制御されます。管理コンソールの共有ドライブの設定には、組織外のユーザーが共有ドライブ内のファイルにアクセスできるようにするかどうかのチェックボックスがあり、オフにすると、組織外とのファイル共有を許可している場合でも外部ユーザーはアクセスできなくなり、共有ドライブの管理者が外部ユーザーをメンバーとして追加することもブロックされる、と公式ヘルプに書かれています。Google アカウントを持たない相手に渡すなら、ビジターとの共有を有効にする必要があります。

さらに、Business Starter では共有ドライブ自体は使えるものの、外部ユーザー・ビジター・メンバー以外との共有を制限する「共有ドライブの既定の共有権限」のような高度な設定はサポートされていないと明記されています。外部共有を細かく統制したい会社は、エディションの確認から入ったほうが早いです。

Mihata では、外部パートナーに渡すフォルダは共有ドライブ配下に置いたまま、アイテム単位の共有で出す形に変えました。つまり「このパートナー用のフォルダだけを、その相手に個別共有する」やり方です。相手をドライブのメンバーにすると、そのドライブの中身が原則全部見えてしまいます。案件ごとに見せる範囲を切りたいなら、メンバーにしないでアイテム単位で出すほうが素直でした。

この形にすると、渡す相手が増えても「共有ドライブの構成をいじらずに済む」という副作用があります。相手が変わっても、消すのは1フォルダの共有設定だけです。

私たちはこうした Google Workspace まわりの整理や自動化のご支援も行っております。記事の途中で恐縮ですが、もし社内の置き場所づくりで手が止まっているようでしたら、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

移行の段取り:Mihataが実際に詰まったところ

ここからは、Mihata が2026年に案件書類をマイドライブから共有ドライブへ移したときの実測です。公式ヘルプを読んで立てた計画は、初日でほぼ破綻しました。

フォルダを階層ごと移せない

一番詰まったのはここです。フォルダをマイドライブから共有ドライブへ、階層ごとそのまま移すことができませんでした。

  • Drive API 経由でフォルダを移そうとすると 403 が返る
  • Drive for desktop 上で mv 相当の操作をすると、エラーも出ないまま元の場所へ戻る

後者がいちばん厄介でした。失敗したことが分からないので、移したつもりで先へ進んでしまいます。結局、移行先に受け皿フォルダを手で作り直して、ファイルだけを移すしかありませんでした。この詰まり方と回避の詳細は、共有ドライブにフォルダを移動できないときの原因と回避策に分けて書いています。

なお公式ヘルプ側にも、移動の条件や制限は書かれています。移動できないアイテムが25個以上ある場合や、移動対象の10%以上が移動できない場合には移動自体が拒否されること、一度に10万個以上のアイテムを移動する場合の扱いなどです。また、移動前にフォルダを直接共有していて編集者権限だったユーザーは、移動後にコンテンツ管理者権限になるとされています。権限が勝手に上がるので、移した後に一度見直す前提で進めたほうがよいです。

旧アカウント所有のファイルは移せない

もうひとつの壁は所有者です。旧・個人アカウントが所有者のままになっているファイルは移せず、保留のまま残りました。 これは仕様として納得できる話ですが、台帳上は「移行済み」に見えてしまうので、残った分を別のリストで管理する必要が出ました。

移行前に「このフォルダの中に、誰が所有しているファイルが混ざっているか」を把握しておくと、ここで止まらずに済みます。

URLの貼り替えが宿題として残る

ファイルを移すと、フォルダのURLが変わります。Mihata では、案件台帳や各種ドキュメントに貼ってあったフォルダURLの貼り替えが、移行後の宿題として残りました。 移行作業そのものより、こちらのほうが地味に時間を食います。移行計画を立てる段階で「どこにURLを貼っているか」を数え上げておくと、見積りの精度が上がります。

やってはいけない:「全部まとめて移す」計画

以上をふまえた結論です。「全部まとめて移す」計画は立てないほうがよいと考えています。フォルダが階層ごと移せず、所有者の違いで一部が必ず残り、URLの貼り替えも付いてくるので、一括移行は「どこまで終わったか分からない状態」を生むだけでした。

代わりに勧めたい順番はこうです。

  1. 新しく作るものから共有ドライブに置く。これだけで、放っておいても状況は良くなっていきます
  2. 古いものは案件単位で、移行先に受け皿フォルダを作ってからファイルを移す
  3. 所有者が違って移せなかったファイルは、別リストに落として後日まとめて扱う
  4. 移し終わった案件から、台帳のURLを貼り替える

案件単位で区切ると、「この案件は移行済み」と言い切れる状態が積み上がります。全体の進捗率を追いかけるより、こちらのほうが運用として続きました。

共有ドライブに向かないもの

共有ドライブに何でも入れればよいわけではありません。向かないものもあります。

  • 人に見せる前の下書き・考え中のメモ:既定でメンバー全員に見えるので、落ち着かない。マイドライブで書いて、固まったら移す
  • 一時ファイル・中間生成物:残す価値がないのにアイテム数の上限(最大50万個)を食う
  • 見せる相手を厳しく絞るもの:人事・給与・役員報酬など。一般の共有ドライブには混ぜず、専用の共有ドライブを立てる
  • 個人の私物に近いもの:そもそも会社の資産ではない
  • 外部の人を常時メンバーに入れたい用途:管理者設定で制御されており、エディションによっては細かい統制ができない。アイテム単位の共有で出すほうが安全

まとめ:今日やる順番

最後に、今日から手を付けるならこの順です。

  1. 「他人と使うか」で切る基準を1行で決めて共有する。細かいルールより、全員が覚えられる1行が効く
  2. 新しく作るものの置き場所を共有ドライブに切り替える。過去の移行より先にこれをやる
  3. 共有ドライブを用途別に分けて作る。見せる相手を絞るものは最初から別ドライブにする
  4. アクセスレベルを決める。管理者は1〜2名、日々整える人をコンテンツ管理者、残りは投稿者
  5. 古いものは案件単位で、受け皿フォルダを作ってからファイルだけ移す。一括移行の計画は立てない
  6. 移した案件から台帳のURLを貼り替える

仕様の違いは公式ヘルプを読めば分かりますが、移行の痛みは読んでも分かりませんでした。もし同じ移行を控えているなら、「フォルダは階層ごと移せない」という一点だけ先に知っておくと、計画の立て方が変わると思います。

よくある質問

共有ドライブとマイドライブ、どちらに置くか迷ったときの基準は何ですか?

他の人と一緒に使うもの・会社として残す必要があるものは共有ドライブ、自分だけが見る下書きや一時ファイルはマイドライブです。理由は所有者の違いで、マイドライブのオーナーは作成したユーザー個人、共有ドライブはチーム(組織)が所有者になります。

Business Starter でも共有ドライブは使えますか?

公式ヘルプの対象エディションには「Business Starter(注記がある場合を除く)」が含まれており、共有ドライブ自体は使えます。ただし外部ユーザーやメンバー以外との共有を制限する高度な共有設定、データ保護やデータ保持の設定は Business Starter ではサポートされていないと明記されています。

担当者が退職してアカウントを削除すると、ファイルはどうなりますか?

共有ドライブ内のファイルは組織が所有しているため、メンバーが抜けても共有ドライブ内に残ります。マイドライブのファイルは、アカウント削除時に管理者が新しいオーナーへ移管しなければ、移管しなかったコンテンツは削除されます。

マイドライブのフォルダを共有ドライブへそのまま移動できますか?

Mihata が2026年に移行した実測では、フォルダを階層ごと移すことはできませんでした。Drive API では403が返り、Drive for desktop での移動はエラーも出ないまま元の場所へ戻りました。移行先に受け皿フォルダを手で作り直し、ファイルだけを移す形で進めました。

外部パートナーを共有ドライブのメンバーにしてよいですか?

組織外ユーザーをメンバーに追加できるかは管理者設定で制御されます。またメンバーにすると、そのドライブの中身が原則すべて見えてしまいます。Mihata では見せる範囲を案件ごとに切るため、共有ドライブ配下のフォルダをアイテム単位で個別共有する形にしました。

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