Mihata
仕事効率化(DX)2026.07.25

AI電話自動応答(ボイスボット)とは|一次対応の無人化と選び方【2026】

「営業時間外の電話が取れない」「同じ問い合わせのたびに手が止まる」——電話の一次対応は、中小企業や店舗にとって地味に大きな負担です。この記事では、その電話の一次対応を音声AI(ボイスボット)で無人化する仕組みと、導入すべきか判断するための実務ポイントを、料金や通話録音・個人情報の注意点まで含めて解説します。

AI電話自動応答(ボイスボット)とは、かかってきた電話に対しAIが人の代わりに音声で応答・会話し、用件のヒアリング・振り分け・予約受付といった一次対応を自動で行う仕組みです。相手の発話を音声認識(ASR)で文字にし、対話AIが意図を判断し、合成音声(TTS)で返答するため、「1番を押してください」というプッシュ操作型の従来IVRと違い、自由に話した内容にも応答できます。人手をかけず24時間365日、定型の電話一次対応をさばける点が最大の特徴です。

AI電話自動応答(ボイスボット)とは?仕組みをわかりやすく

ボイスボットの処理は、大きく3ステップで進みます。まず「音声認識(ASR)」で相手の声をリアルタイムに文字へ変換し、次に「対話管理」でその文字の意図を解釈して次の質問や回答、転送などの分岐を決め、最後に「音声合成(TTS)」で自然な音声にして返します。この一連の往復を高速に繰り返すことで、電話越しの会話が成立します。近年は生成AI(LLM)を組み合わせ、言い直しや曖昧な言い回しにも意味を汲んで応答できるサービスが増えています。

本記事は、電話自動化のなかでも「音声AI=ボイスボット」というチャネルに絞って深掘りします。電話代行・IVR・AIまで含めた電話自動化全体の入口の選び方は、電話代行・IVR・AIの3タイプを横断して電話自動化全体の入口を選ぶ方法で比較しているので、まず全体像から検討したい方はそちらをご覧ください。

ボイスボットと従来のIVR(自動音声・プッシュ操作)・電話代行の違い

混同されやすい3つの手段を、実務で効いてくる軸で並べると違いが明確になります。ボイスボットは「自由発話の会話」、従来IVRは「番号のプッシュ操作」、電話代行は「人の応対」という根本的な差があります。

比較軸

ボイスボット(音声AI)

従来型IVR(プッシュ操作)

電話代行(人)

応答方式

自由発話を音声認識して会話

定型音声+番号のプッシュ操作

オペレーターが応対

24時間対応

◯(無人で常時)

◯(自動音声のみ)

△(プランや対応時間による)

一次対応の範囲

ヒアリング・要約・振り分け・予約受付・簡単な回答

用件の振り分けが中心

幅広い(臨機応変・複雑な要件も可)

初期・月額の目安

月額数千円〜(小規模)/大規模は要問い合わせ

低〜中(電話設備に付帯の場合も)

月額+件数課金(人件費相当)

向くケース

定型の一次対応を無人で大量にさばきたい

用件を番号で振り分けたいだけ

有人品質で複雑対応も外注したい

音声AIが電話の一次対応でできること・できないこと

過度な期待も過小評価も禁物です。得意・不得意をあらかじめ切り分けておくと、導入後のギャップが減ります。

  • できること:用件のヒアリングと要約、営業時間・場所・在庫などの定型回答、予約や折り返し希望の受付、担当部門への振り分け、SMSでのURL送付、繁忙時の「あふれ呼」の受け皿。
  • 苦手なこと:感情的なクレームの沈静化、前提が曖昧で交渉を要する相談、専門知識に基づく個別判断、騒音・訛り・専門用語による誤認識への対応。こうした要件は無理に自動化せず、有人へ引き継ぐ設計が現実的です。

電話の一次対応をAIに任せると中小企業は何が変わるか

現場で多いのは、電話が特定の時間帯に集中し、手が離せず取りこぼす「あふれ呼」と、その後の折り返し工数です。ボイスボットに一次対応を任せると、営業時間外・昼休み・繁忙時間帯でも用件を受け付けられ、取りこぼしと折り返しの往復が減ります。スタッフは電話に中断されにくくなり、本来の接客や作業に集中しやすくなります。

導入規模の実感として、対話型音声AI SaaSのIVRy公式発表では、同サービスの累計着電数は3,000万件を突破し(2024年12月時点)、日本標準産業分類の中分類の約95%にあたる業種で利用されているとしています。同社はこれを有人対応に換算すると250万時間超の削減に相当すると試算しています(一社の自社発表値)。電話の一次対応を人からAIへ移す動きが、幅広い業種で現実の選択肢になっていることがうかがえます。

なお、電話だけでなく、問い合わせメールの一次対応をAIで自動返信する仕組みと組み合わせると、電話・メール双方の取りこぼしを一次対応の入口でまとめて減らせます。

主要なボイスボット・音声AIサービスを比較【2026年時点】

ここでは公式サイトで機能・料金を確認できた主要サービスを紹介します。中小・店舗向けに料金を公開しスモールスタートしやすいタイプと、コンタクトセンター規模向けで料金が要問い合わせのタイプに分かれるのが実情です。

IVRy(アイブリー/株式会社IVRy)

電話自動応答から対話型の音声AI応答までをカバーするサービスで、通話録音・文字起こし、SMS送信、転送、予約台帳連携などをノーコードで設定できます。無料枠があり、個人店から多店舗まで小さく始めやすいのが特徴です。

AI Messenger Voicebot(現・AI Worker VoiceAgent/株式会社AI Shift)

氏名・住所などの自由入力を音声で聞き取るヒアリング機能、沈黙時に発話を促す発話誘導、通話の要約、オペレーター転送、SMS/メール/LINEへの連携などを備えたボイスボットです。金融・保険・通販など、正確なヒアリングが要る業務での導入実績が公表されています。

PKSHA VoiceAgent(株式会社PKSHA/旧 PKSHA Voicebot)

コンタクトセンターの電話対応自動化に特化したサービスで、コンタクトセンター向けの音声認識とLLM(生成AI)を組み合わせ、複雑な発話も解釈します。ノーコードの対話フロー構築、PBX/CTI連携、本人認証、コールリーズン分析などに対応します。

MOBI VOICE(モビルス株式会社)

生成AIと音声認識で自由な発話を解釈し、ノーコードでシナリオを作成・公開できるボイスボットです。API連携による本人認証・予約管理の自動化、アウトバウンド、住所データによる住所確認などに対応します。

サービス(提供元)

特徴・主な機能

料金(2026年7月時点・公式サイト記載)

向く規模

IVRy(株式会社IVRy)

自由発話の音声AI応答、録音・文字起こし、SMS、転送、予約連携。ノーコード

フリー¥0(30着電まで)/スターター月払い¥3,980〜・年払い¥3,317〜/月。別途、電話番号維持費と従量利用料金

個人店〜中小・多店舗

AI Messenger Voicebot/AI Worker VoiceAgent(AI Shift)

住所・氏名のヒアリング、発話誘導、要約、オペレーター転送、SMS/メール/LINE連携

公式サイトに金額の記載なし(要問い合わせ)

中〜大・コンタクトセンター

PKSHA VoiceAgent(PKSHA)

コンタクトセンター特化の音声認識+LLM、ノーコード対話フロー、PBX/CTI連携、本人認証

公式サイトに金額の記載なし(2プラン・要問い合わせ)

大企業・コンタクトセンター

MOBI VOICE(モビルス)

生成AI+音声認識、ノーコードシナリオ、API連携、アウトバウンド、住所確認

公式サイトに金額の記載なし(要問い合わせ)

中〜大・コンタクトセンター

料金は各社公式サイトの記載に基づく2026年7月時点の情報です。従量料金やオプション、最新のプランは必ず各公式サイト・見積もりでご確認ください。

ここまで主要サービスを見てきましたが、既製のボイスボットは「定型の一次対応を安く早く無人化する」のは得意な一方、自社独自の業務フローや基幹システムと深く連携させたい場合は、パッケージの枠に収まりきらないこともあります。記事の途中で恐縮ですが、私たちMihataは、そうした場合の受け皿として、業務に合わせた独自AIの開発も行っています。既製ツールで十分なら無理に作る必要はありません。

導入前に押さえる注意点|通話録音・個人情報・誤認識

ボイスボットは便利な反面、通話音声を扱う以上、個人情報の観点と誤認識のリスクを設計段階で押さえておく必要があります。ここは導入可否を左右する重要ポイントです。

通話録音と個人情報の扱い(利用目的の通知・委託先監督)

個人情報保護委員会のFAQによれば、通話内容から特定の個人を識別できる場合、その通話内容は個人情報に該当します。個人情報取扱事業者は利用目的を通知または公表する義務を負う一方で、「録音していること自体を相手に伝える義務までは負わない」とされています(利用目的の扱いと、録音の告知義務は別)。また、単独では個人を識別できない録音でも、他の情報と容易に照合して個人を特定できる場合は、全体として個人情報に該当し得るため、個別の判断が必要です。

ボイスボットはクラウドや外部サービスに音声データを預ける構成が一般的なので、実務では「利用目的を特定して通知・公表する」「委託先(サービス事業者)を適切に監督する」「第三者提供や保管の整理をする」といった対応が前提になります。詳細は個人情報保護委員会のFAQを確認し、自社の運用に落とし込んでください(本記事は一般的な注意点の紹介であり、法的助言ではありません)。

誤認識・複雑な要件の限界と、有人へのエスカレーション設計

音声認識は万能ではなく、騒音・訛り・専門用語では聞き取りを外すことがあります。だからこそ、うまくいかないときに人へ渡す「エスカレーション設計」が要になります。実務では、「オペレーターにつないで」と言われたら即転送する、一定回数聞き取れなければ有人へ回す、営業時間内は人がフォローする、といったルールを最初から組み込みます。とくに感情的な相手や込み入った要件は、早めに人へ引き継ぐのが鉄則です。電話口で出やすいクレームの一次対応の返信文をAIで用意しておくと、有人に引き継ぐ際の初期対応もぶれにくくなります。

電話一次対応をボイスボットで無人化する導入ステップ

いきなり全部を自動化しようとすると失敗しがちです。範囲を絞って小さく始め、ログを見ながら広げるのが定石です。

  1. 電話の内容を棚卸しし、無人化する一次対応の範囲を切り分ける(定型/非定型を仕分ける)。
  2. 会話シナリオ(分岐・ヒアリング項目・回答文・転送条件)を設計する。
  3. 電話番号・転送・営業時間外ルールを設定する(既存番号の転送か、新規番号の発番か)。
  4. 少数の実通話でテストし、誤認識や言い回しのズレを調整する。
  5. 通話ログ・録音を見ながら未対応パターンを追加し、運用改善を回す。

ボイスボット導入は自社に合うか?判断チェックリスト

次の項目に当てはまるほど、電話の一次対応をAIに任せる効果が出やすくなります。

  • 1日の入電に、営業時間・場所・予約・在庫・取次といった同じ用件が多い。
  • 営業時間外・昼休み・繁忙時間帯の取りこぼしが、機会損失や折り返し工数になっている。
  • 一次対応が交渉や専門判断中心で複雑 → 既製ボイスボットは不向き。有人や独自設計を検討する。
  • 通話録音・個人情報を扱う体制(利用目的の公表・委託先監督)を整えられる。
  • 電話だけでなくカスタマーサポート全体をAIで自動化する進め方まで含めて設計したい。

電話の一次対応をどこまで、どのツールで無人化するかは、入電内容と体制によって最適解が変わります。まずは自社の一次対応を棚卸しし、既製サービスで足りるか、独自設計が要るかを一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。

出典・参考

よくある質問

ボイスボットと従来のIVRの違いは?

従来のIVRは「1番を押してください」というプッシュ操作で用件を振り分ける方式です。ボイスボット(音声AI)は自由に話した内容を音声認識で聞き取り、会話しながらヒアリング・振り分け・要約・予約受付まで行える点が異なります。

電話の一次対応はどこまでAIに任せられますか?

用件のヒアリングと要約、営業時間や場所などの定型回答、予約・折り返し希望の受付、担当部門への振り分け、SMSでのURL送付、繁忙時のあふれ呼の受け皿までが得意です。感情的なクレームや複雑な交渉、専門判断が要る要件は有人へ引き継ぐ設計が現実的です。

中小企業でも導入できますか?料金の目安は?

IVRyはフリー0円(30着電まで)やスターター月払い3,980円〜など公式サイトに料金が公開されており、小さく始められます(別途、電話番号維持費と従量料金)。PKSHA VoiceAgent・MOBI VOICE・AI ShiftのサービスはコンタクトセンターやAI向けで、公式サイトに金額の記載がなく要問い合わせです(2026年7月時点)。

通話を録音すると個人情報保護の問題はありますか?

個人情報保護委員会のFAQでは、通話内容から特定の個人を識別できる場合は個人情報に該当するとされています。利用目的の通知・公表が必要で、外部サービスに音声データを預ける場合は委託先監督や第三者提供・保管の整理が前提になります。録音していること自体を伝える法的義務はないとされていますが、利用目的の扱いは必要です。

既製サービスが自社の業務に合わない場合はどうすればいい?

定型の一次対応なら既製ボイスボットで十分なことが多い一方、独自の業務フローや基幹システムと深く連携させたい場合は、業務に合わせた独自AIの開発も選択肢になります。既製で足りるならそのまま使うのが合理的です。

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