ChatGPT の Library が見当たらないのは、機能が削除されたからではありません。OpenAI は 2026年9月29日のリリースノートで、新しい「Space」を紹介したうえで「Space replaces Library for accounts with access(アクセス権のあるアカウントでは Space が Library を置き換える)」と書いています。つまり Library は無くなったのではなく、対象アカウントでは入れ物が Space に替わったという状態です。
もうひとつ、同じ一文に「your existing Projects remain separate(既存の Projects は別のまま)」とあります。Projects は Space に吸収されていません。「Library が消えた代わりに Projects にまとめられた」という読み方は、公式の記載とは違います。設定を間違えたわけでも、データを消してしまったわけでもないので、まずここで安心してよい部分です。
2026年9月29日の公式リリースノートに書かれていること
一次情報はシンプルで、Space の項目は数行しかありません。書かれている内容を分解すると次の4点です。
- Space とは何か: Pages・ファイル・関連する作業を ChatGPT の中で1か所にまとめるもの。プロジェクトごとに space を作り、必要な材料を入れ、他の人と共有して同じ作業を積み上げていける。
- Library との関係: アクセス権のあるアカウントでは Space が Library を置き換える。
- Projects との関係: 既存の Projects は別のものとしてそのまま残る。
- 対象: 対象となる(eligible)Pro・Business・Enterprise のユーザー向けで、ChatGPT のデスクトップアプリと web。管理されたワークスペースでの共有は組織の設定に従い、Enterprise の共有はオプトインのプレビュー。
この短さが、混乱のほぼ全ての原因です。「Library のデータはどこへ行くのか」「Plus はどうなるのか」といった実務で一番気になる部分が、そもそも書かれていないのです。だからこそ、書かれていることと書かれていないことを分けて持っておくのが、いま一番役に立ちます。
早見表:置き換わる/そのまま残る/公式に記載が無い
実務でよく聞かれる項目を、公式リリースノートの記載だけで3分類にしました。記載が無いものは「記載が無い」と書いてあります。推測で埋めていません。ここが、他の解説記事と読み比べてほしいところです。
項目 | どうなったか | 公式の記載 |
|---|---|---|
Library | アクセス権のあるアカウントでは Space に置き換わる | 記載あり(2026年9月29日・Space replaces Library for accounts with access) |
Projects | 別物としてそのまま残る(Space に吸収されない) | 記載あり(your existing Projects remain separate) |
Pages | Space の中で作る・編集する前提。会話を Page にする/テンプレートから始める/Space で直接書く | 記載あり(同日の Pages の項目) |
Page を共有したときの範囲 | 共有しても自分の非公開チャットやメモリへのアクセスは渡らない。Page に入れた情報だけが閲覧できる人に見える | 記載あり |
ファイルとフォルダの共有 | Library の機能として先に追加済み(閲覧者/編集者の割り当て、ワークスペース全体への公開、アクセスの見直し) | 記載あり(2026年9月9日) |
Box・Dropbox・SharePoint 連携 | Google Drive に続いて Library に追加済み。再アップロードせずに会話へ持ち込める | 記載あり(2026年9月10日) |
対象プラン | 対象となる Pro・Business・Enterprise のユーザー | 記載あり |
対象の環境 | ChatGPT のデスクトップアプリと web | 記載あり(モバイルアプリについては言及なし) |
Enterprise での共有 | オプトインのプレビュー(組織が有効化していなければ共有は使えない) | 記載あり |
Plus・Free の扱い | 対象として挙げられていない(対象外と書かれているわけでもない) | 公式に記載なし |
既存の Library のデータがどう移るか | ― | 公式に記載なし |
置き換えの対象が今後どこまで広がるか | ― | 公式に記載なし |
表の下3行が、いま最も間違った説明が流れている部分です。「Plus は対象外」と断定している記述を見かけても、リリースノートにその一文はありません。「対象として名前が挙がっていない」だけで、対象外と宣言されたのとは意味が違います。社内で説明するときは、ここを言い換えずにそのまま伝えるのが安全です。
こうした「どこまでが公式の記載で、どこからが推測か」の切り分けは、社内に数人いるだけでも説明の手間になります。私たちは中小企業向けに、ツール側の変更の棚卸しから社内での使い方の整理まで伴走する AI 導入支援も行っています。記事の途中で恐縮ですが、月1回のミーティングで足並みを揃えるだけでも効く場面は多いので、よろしければ覗いてみてください。
自分のアカウントがどちら側かを切り分ける手順
「自分は置き換わった側か、まだ Library のままの側か」は、次の順番で見れば数分で判断できます。公式が対象として挙げている条件を、そのまま上から確認していくだけです。
- 開いている環境を確認する。記載の対象はデスクトップアプリと web です。スマートフォンのアプリで探していて見つからない場合は、置き換えの有無ではなく環境の問題である可能性が先に来ます。デスクトップアプリか web ブラウザで開き直して確かめます。
- プランを確認する。対象として挙がっているのは Pro・Business・Enterprise です。Plus や Free を使っている場合、Space が出てこないこと自体は公式の記載と矛盾しません(前述のとおり対象外とも書かれていないため、出てくる場合もあり得ます)。
- 管理されたワークスペースかどうかを確認する。会社から配られたアカウントの場合、共有は組織の設定に従います。Enterprise では共有がオプトインのプレビューなので、管理者が有効化していないと共有だけが使えないという状態になります。「Space はあるのに他の人に渡せない」ときは、まず管理者設定を疑います。
- 「対象(eligible)」という条件を思い出す。公式は Pro・Business・Enterprise の中でもさらに「eligible な」ユーザーと書いています。同じプランでも全員が同時に切り替わるとは書かれていないため、同僚と画面が違っても異常ではありません。
- 名前だけで判断しない。置き換え後に出た2026年10月1日のリリースノートでも、買い物機能の説明に「your ChatGPT Library」という表記がそのまま使われています。公式の文書内でも Library という言葉は現役ですから、どこかに Library の文字が残っていても「置き換わっていない証拠」にはなりません。
この手の「入れ物の名前が変わる」変更は、ChatGPT ではここ数週間で続いています。2026年9月11日に発表されたカスタムGPTの終了と plugins への移行も同じ型で、機能が消えるのではなく置き場所と呼び方が替わるタイプの変更でした。社内で ChatGPT を使っているなら、この2つは同じ注意の仕方で扱えます。
Space と Projects はどう使い分けるのか
「Projects が残るなら、Space と何が違うのか」は当然出てくる疑問です。ここは公式に書かれている範囲だけで線を引きます。推測で役割分担を決めると、社内の運用ルールごと作り直しになるので踏み込みません。
Space に書かれている役割
Space は「Pages・ファイル・関連する作業をまとめる」入れ物として説明されています。プロジェクト単位で作り、材料を入れ、他の人と共有して同じ作業を積み上げるところまでが明記された用途です。つまり Space の説明の中心は「共同作業の置き場」にあります。
同じ9月29日には Meetings プラグインも発表され、会議のメモと要点が ChatGPT Space に保存されると書かれています。保存先として Space が指定されている機能が既にある、という点は使い分けを考えるときの手がかりになります。
Projects について書かれていること
Projects について9月29日のリリースノートが書いているのは、「別のまま残る」という一点だけです。統合の予定も、将来どちらに寄せるのかも書かれていません。したがって現実的な構えは「いま Projects で回している作業はそのまま続け、新しく共同で進める作業から Space を試す」という置き方になります。
Pages は Space の設定に従う
Pages は会話を Page に変える、テンプレートから始める、Space で直接書き始める、の3通りで作れます。自分で直してもよく、ChatGPT に書き直させたり、チャートや対話型のコンテンツを足したりもできます。共同編集とコメントにも対応します。重要なのはPages が Space の提供範囲と共有設定に従う点で、Space が使えないアカウントでは Pages も同じ条件になります。
共有の安全側も明記されています。Page を共有しても、相手に自分の非公開のチャットやメモリへのアクセスが渡ることはありません。見えるのは Page に入れた情報だけです。社内で共有の是非を検討するときは、この一文が判断の土台になります。もっと手前から、社内の資料を外に出さない形で ChatGPT を使う構成を検討している段階なら、共有機能を開ける前にそちらを先に決めておくほうが手戻りが少なくなります。
機能が足された直後に入れ物の名前が変わった
「自分の操作が原因ではない」と確信できる材料として、直前の時系列が効きます。Library は消される直前まで機能が足されていたのです。
- 2026年9月9日: Library のファイルとフォルダの共有を追加。相手ごとに閲覧者/編集者を割り当て、ワークスペース全体へ公開し、アクセス状況を見直せるようになった。
- 2026年9月10日: Box・Dropbox・SharePoint が Google Drive に続いて Library に加わった。接続すればファイルやフォルダを探して、再アップロードなしで会話に持ち込める。
- 2026年9月29日: Space を発表。アクセス権のあるアカウントでは Space が Library を置き換える。
約3週間で「機能追加 → 入れ物の置き換え」が続いた形です。追加されたばかりの共有や外部ストレージ連携が消えたという記載はどこにもありません。画面の呼び方が替わったことと、機能が失われたことを混同しないのが大事です。なお9月29日は Pro 500 プランや Sites の編集・スケジュール機能も同時に出た日で、発表量そのものが多い日でした。プラン側の動きは同日に発表された Pro 500 と Astra Ultrafast の中身に整理しています。
読み違えやすい3つの点
実務で説明するときに、特に誤解が起きやすい箇所を挙げます。
「Plus は使えない」とは書かれていない
対象として挙がっているのは Pro・Business・Enterprise ですが、Plus や Free が除外されたとは書かれていません。「対象プランに挙がっていない」と「対象外と発表された」は別の情報です。社内アナウンスで断定すると、後から覆って信用を落とすことになります。
Enterprise は「Space がある」と「共有できる」が別
Enterprise の共有はオプトインのプレビューです。管理者が有効化するまでは、Space を開けても他の人に渡せません。共有前提で業務フローを作ってしまうと手戻りになるので、先に管理者設定を確認します。管理されたワークスペース側の設定の考え方は、ChatGPT Work の管理者設定とプラグインの扱いも合わせて見ると全体像がつかめます。
データの移り方は公表されていない
Library に入れていたファイルやフォルダが Space でどう扱われるのかは、リリースノートに書かれていません。重要なファイルを ChatGPT の中だけに置いている場合は、置き換えの前後にかかわらず元のストレージ側にも実体を残しておくのが堅い運用です。Box・Dropbox・SharePoint・Google Drive の連携はまさに「元の場所に実体を置いたまま参照する」やり方なので、これを前提にしておくと入れ物の名前が今後また変わっても困りません。
まとめ
Library が見当たらないのは不具合ではなく、対象アカウントで Space に置き換わったためです。既存の Projects は別枠で残り、Pages は Space の提供範囲と共有設定に従います。対象はデスクトップアプリと web の Pro・Business・Enterprise で、Enterprise の共有だけオプトインのプレビューです。Plus・Free の扱い、既存データの移り方、今後の対象拡大は公式に記載がありませんから、そこは「未発表」として扱うのが正確です。
名前が替わっただけの変更でも、社内に数人いれば画面の食い違いは必ず起きます。どのプランの誰が何をどこに置くのか、という運用の決め方まで含めて相談先が必要なときは、Mihata でもお手伝いできます。気になることがあれば、お気軽にお声がけください。
同じ2026年9月29日の更新では、常時稼働エージェントの dots も同時に発表されています。こちらは対象プランに加えて地域の除外条件まであるため、dots が出てこないときに見る4つの切り分けに分けて整理しました。
よくある質問
ChatGPT の Library は削除されたのですか?
削除ではありません。2026年9月29日の公式リリースノートに「アクセス権のあるアカウントでは Space が Library を置き換える」と書かれています。入れ物が Space に替わった状態です。
Library が Space になったら、Projects も統合されるのですか?
されません。同じリリースノートに「既存の Projects は別のまま残る」と明記されています。統合の予定については書かれていません。
Plus や Free でも Space は使えますか?
公式には記載がありません。対象として挙がっているのは対象となる Pro・Business・Enterprise のユーザーですが、Plus や Free が対象外とは書かれていないため、断定はできません。
Space があるのに他の人と共有できないのはなぜですか?
管理されたワークスペースでの共有は組織の設定に従い、Enterprise の共有はオプトインのプレビューです。管理者が有効化していないと共有が使えません。
Library に入れていたファイルはどうなりますか?
データの移り方はリリースノートに書かれていません。Box・Dropbox・SharePoint・Google Drive の連携のように、元のストレージ側に実体を残して参照する形にしておくと安全です。