Mihata
AI活用2026.09.24更新 2026.10.18

Claude Haiku 5.5が10月7日提供開始|平均75%安・1M対応

Anthropic が 2026年10月7日に Claude Haiku 5.5 の提供を開始しました。この記事は「Haiku 5.5 はいつ出るのか」を追ってきた記事を、発表後に一次ソースを取り直して全面的に書き換えたものです。結論から書きます。

結論:10月7日提供開始・平均75%安・コンテキストは1Mトークン

Claude Haiku 5.5 のモデルIDは claude-haiku-5-5(日付なしのピン留めスナップショット)です。Anthropic は自社の表現として「これまでに出した中で最も安く・最も速く・最も高性能な小型モデル」と書いています。確定している要点は次の5つです。

  • 提供開始日は2026年10月7日。公式のモデルページに「Latest. Released October 7, 2026.」と明記
  • 実行コストは平均で約75%安い(公式本文「On average, it now costs around 75% less to run」)
  • コンテキストウィンドウが20万トークン → 100万トークン、最大出力は6.4万 → 12.8万トークン
  • レイテンシの公式区分は「Fastest」(各モデルの標準速度での比較。Opus の Fast Mode より遅い、という断り書きが公式脚注に付いています)
  • Adaptive thinking が既定でオン。effort(Low / Medium / High / Xhigh / Max)で深さを調整し、既定は medium

用途として公式が挙げているのは、要約・コンパクション・データベースクエリ・分類といった大量かつコスト重視のタスク、ライブのカスタマーサポートやブラウザ操作のような速度が効く用途、そして Opus 5.5 / Sonnet 5.5 のサブエージェントとしてのコーディングです。

Haiku 4.5 から何が変わったか(仕様差の一覧)

「安くなった」以上に効くのは、小型モデルの制約だったコンテキストと出力の上限が外れたことです。公式のモデルページ2枚を並べると差はこうなります。

項目

Haiku 5.5

Haiku 4.5

コンテキストウィンドウ

100万トークン

20万トークン

最大出力

12.8万トークン(Message Batches API では output-300k-2026-03-24 ベータヘッダで30万)

6.4万トークン

思考(thinking)

Adaptive(既定でオン)・effort で調整

非対応

信頼できる知識カットオフ

2026年6月

—

入出力

テキスト+画像 → テキスト

同じ

レイテンシ区分

Fastest

—

退役の保証

2027年10月7日より前にはしない

2026年10月15日より前にはしない

注意が要るのは、thinking トークンが max_tokens に数えられる点です。出力上限が倍になった一方で思考も同じ枠を食うため、4.5 と同じ max_tokens のまま回すと「本文が途中で切れる」形で表に出ます。

料金:10万トークンを境に単価が2段に分かれる

Haiku 5.5 の価格表でいちばん読み違えやすいのは、プロンプト長で単価の段が変わることです。Haiku 4.5 にこの段階制はなく一律でした。100万トークンあたりの公式価格を並べます。

項目

Haiku 5.5(10万トークン以下 / 超)

Haiku 4.5

Sonnet 5.5

入力

$0.10 / $0.50

$1.00

$2.00

出力

$0.50 / $2.50

$5.00

$10.00

キャッシュ読取

$0.01 / $0.05

$0.10

$0.10(10月7日に $0.20 から半額)

キャッシュ書込(5分)

$0.125 / $0.625

$1.25

$2.50

キャッシュ書込(1時間)

$0.20 / $1

$2.00

—

Batch API

入力・出力ともに50%割引

同じ

同じ

「平均75%安」の内訳はこうです。10万トークン以下のリクエストは Haiku 4.5 比で90%安、10万トークン超は50%安。そして Haiku 4.5 ではリクエストの90%が10万トークン以下だったため、加重平均すると約75%になります。つまり自社のプロンプトが10万トークンを跨ぐかどうかで、実際の削減率は50%〜90%の間で大きく振れます。

もうひとつ、単価表だけ見ていると必ず外す罠があります。トークナイザが Claude 4.7 以降と同じものに変わり、同じ文章が Haiku 4.5 比で約30%多いトークン数になります。公式はこの増分を織り込んだうえで「平均75%安」と計算していますが、自社で見積もるときに単価の比だけで計算すると過大に安く見えます。月額の出し方はClaude Haiku 5.5 の料金と月額試算に分けて書きました。

誰が今すぐ使えるか(提供プラットフォーム)

提供開始日から次のチャネルで使えます。

  • Claude API(モデルID claude-haiku-5-5)
  • Amazon Bedrock(anthropic.claude-haiku-5-5)
  • Google Cloud
  • Microsoft Foundry
  • Claude Platform on AWS

モデル一覧やモデル選択に出てこない場合、原因はたいていモデルID の書き方かプラットフォーム側のリージョン・有効化設定のどちらかです。切り分けはHaiku 5.5 が選べない・エラーになるときの確認順にまとめています。

性能はどこまで上がったか(公式ベンチの実数値)

Anthropic が公開したグラフの数値です。Haiku 4.5 からの伸び方が「少し賢くなった」ではないことが分かります。

ベンチマーク

Haiku 5.5

Haiku 4.5

GPT-6 Luna

Sonnet 5.5

GDPval-AA v2.1(Elo・知識労働)

1620

735

1437

1840

AA-Briefcase v1.1(Elo)

1578

614

1336

1824

OSWorld 2.1(コンピュータ操作・offline subset)

72.4%

15.7%

48.9%

83.9%

Humanity’s Last Exam(ツール無し)

45.9%

10.2%

56.9%

—

Humanity’s Last Exam(ツールあり)

57.4%

18.7%

64.5%

—

Terminal-Bench 4.0(エージェント型コーディング)

39.2%

0.0%

16.4%

70.6%

Chartography(視覚推論・ツール無し)

46.4%

6.4%

29.1%

61.6%

正直に書いておきたい点が2つあります。ひとつは、Humanity’s Last Exam では GPT-6 Luna のほうが上だということ(ツール無しで 45.9% 対 56.9%、ツールありで 57.4% 対 64.5%)。もうひとつは、Terminal-Bench 4.0 のような複雑なエージェント型コーディングでは Sonnet 5.5(70.6%)と Opus 5.5 のほうが明確に良い選択で、これは Anthropic 自身が発表文に書いていることです。

公式が Haiku 5.5 の居場所として挙げているのは、コンパクション・要約・サブエージェントのように、従来のモデルではコスト的に無理だった狭いタスクです。「上位モデルの置き換え」ではなく「これまで AI を回せなかった処理を回せるようにする枠」と読むのが実務に近い理解です。線引きの具体例はHaiku 5.5 と Sonnet 5.5 の使い分けに落としました。

早期検証の数字:レイテンシが効く領域で差が出ている

公式発表に掲載された検証コメントのうち、数字が出ているものを並べます。いずれも各社の環境での測定値で、自社で同じ比率になる保証はありません。

  • Asana:AIエージェント製品の評価スイートで、タスク完了のレイテンシが30%以上減り、エージェント1ターンあたりの推論が最大2.5倍速くなった
  • HubSpot:CRMタスクのスイートで3回平均92.8%=これまで見た中で最高スコア。最速・最高ヒット率・最低の誤検出率
  • AlphaSense:週800万コールの「Ask in Document」で400クエリを検証し、Haiku 4.5 の0.76に対し0.84(統計的に有意な改善)
  • Box:早期検証で Haiku 4.5 より11ポイント高いスコアを、レイテンシ約半分で達成

並べてみると、伸びているのは「速さがそのまま体験になる処理」に集中しています。社内の問い合わせ一次対応、ドキュメント横断の検索、分類・タグ付けのような処理を抱えている会社ほど効く変化です。

移行で踏む破壊的変更(4.5 のコードはそのままでは動かない)

公式の移行ガイドが挙げている変更点です。Breaking と書かれているものは、該当するリクエストがエラーになります。

変更

種別

やること

手動の extended thinking がエラーになる

Breaking

budget_tokens をやめ adaptive thinking へ

既定以外のサンプリングパラメータがエラー

Breaking

temperature / top_p / top_k を外す(非既定値は400エラー)

アシスタントメッセージの prefill がエラー

Breaking

messages の最後をユーザーターンで終える

computer use はツールセットが必要(Claude API / Google Cloud)

Breaking

computer_20250124 → computer_toolset_20260801

前のターンを書き換えると thinking ブロックが無効になる

Breaking

thinking ブロックを送り返すなら会話は追記のみに

応答が thinking ブロックから始まることがある

Changed

コンテンツブロックは位置ではなく type で選ぶ

thinking のテキストは既定で省略される

Changed

要約思考が欲しければ thinking.display を "summarized" に

同じ文章のトークン数が増える(約30%)

Changed

プロンプトを数え直し max_tokens とコスト見積もりを見直す

thinking ブロックをアカウント横断で再生できない

Changed

保存した会話を別アカウントで再生しない

adaptive thinking と effort

New

任意。品質と速度・コストのつり合いを調整できる

コンテキストと出力の拡大

New

対応不要。ただし thinking トークンが max_tokens に数えられる

browser use ツール

New

対応不要。Claude API と Google Cloud で利用可

安全性分類器がリクエストを拒否しうる

New

stop_reason: "refusal" をクライアント側で処理する(サーバ側のフォールバックは無い)

実務でいちばん引っかかりやすいのは上から2番目です。temperature を 0 で固定する書き方は非常に多く、それがそのまま400エラーになります。そして最後の行も見落としがちです。拒否時のサーバ側フォールバックが無いため、stop_reason: "refusal" を扱っていないクライアントは「無言で止まる」挙動になります。

Haiku 4.5 はどうなるのか(10月15日の正しい読み方)

ここは誤解が多いので正確に書きます。2026年10月18日時点でAnthropic の提供終了ページを取り直すと、claude-haiku-4-5-20251001 の状態は Active・非推奨日は N/Aのままです。

モデルID

状態

非推奨日

期日の性質

claude-haiku-4-5-20251001

Active

N/A

「2026年10月15日より前には退役させない」という保証の下限

claude-haiku-5-5

Active

N/A

「2027年10月7日より前には退役させない」

つまり2026年10月15日は「提供終了日」ではなく「この日までは消さないと約束した下限」です。その下限日を3日過ぎた10月18日時点でも、提供終了の告知はまだ出ていません。下限を過ぎたので、いつ告知が出てもおかしくない状態ではありますが、同じページには公開モデルの退役は少なくとも60日前に通知する方針("at least 60 days' notice")が明記されています。仮に今日告知が出ても、退役は2026年12月17日以降です。Haiku 5.5 が出たことで置き換え先は Haiku 5.5 で確定しました。

前例として読み方の参考になるのが Sonnet です。claude-sonnet-4-5-20250929 の保証期限は2026年9月29日でしたが当日は Active のままで、翌9月30日に Deprecated(退役日 2026年11月30日)へ変わりました。保証期限の当日に何も起きなくても、その翌日に動くことがあります。社内に散ったモデルIDの棚卸し手順はAIモデル提供終了への企業の対応(移行6手順と期日一覧)にまとめてあります。

同時に出たもう2つの更新(ここも請求に効く)

Haiku 5.5 の発表と同じ日に、費用面で効く更新が2つ出ています。

  • Claude Sonnet 5.5 のキャッシュ読取が10月7日から50%値下げ(100万トークンあたり $0.20 → $0.10)。キャッシュ読取はトークン消費の大半を占めるため、ほとんどのエージェント型タスクで Sonnet 5.5 のコストが約20%下がります
  • Max / Team 契約者に、Claude Platform で使える月次APIクレジットが今週から配布:Max 5x は月$100、Max 20x は月$200、Team はユーザー間でプールして最大$500。どのモデルにも使えます
  • Claude の Python / TypeScript SDK が computer use と browser use にベータ対応

Sonnet 5.5 側の値下げは「Haiku に降ろすか、Sonnet のままキャッシュを効かせるか」の判断を変えます。Sonnet 5.5 そのものの性能と破壊的変更はClaude Sonnet 5.5 の提供開始と移行時の注意、月額の出し方はSonnet 5.5 の料金と請求額の試算に、上位の Opus 側はClaude Opus 5.5 で何が変わったかに分けてあります。

いま何をすべきか

順番はこうです。

  1. 自社プロンプトの長さの分布を測る。10万トークン以下の割合がそのまま削減率を決めます(90%安の帯か、50%安の帯か)
  2. トークン数を数え直す。同じ文章で約30%増えるので、max_tokens と月額見積もりを作り直します
  3. 破壊的変更5点を潰す。とくに temperature の固定指定と prefill は、既存コードに残っている確率が高い箇所です
  4. Haiku 4.5 を直接指定している箇所を洗い出す。保証の下限だった10月15日はすでに過ぎており(10月18日時点で告知はまだなし)、置き換え先は Haiku 5.5 です
  5. 自社データで20〜50件の評価セットを作る。公式ベンチではなく、自社の入力と「これが正解」の出力で比べます

5番目が面倒に見えて、実はいちばん効きます。作るのに半日、以後すべての世代交代で使い回せます。Haiku 5.5 のように「安いが得意不得意がはっきりしている」モデルは、公式ベンチの順位ではなく自社タスクでの合否でしか判断できません。

Mihata では、こうしたモデル選定・評価セットの設計・社内での使い分けを含む AI の導入と運用の伴走支援も行っています。記事の途中で恐縮ですが、地味なところほど効きますので、よろしければご覧いただけたら嬉しいです。

まとめ

Claude Haiku 5.5 は2026年10月7日に提供開始され、平均で約75%安く、コンテキストは100万トークンに広がりました。ただし削減率はプロンプト長で50%〜90%に振れ、トークナイザの変更で同じ文章が約30%増えるため、単価表の比だけで請求額を見積もると外れます。性能も万能ではなく、複雑なエージェント型コーディングは Sonnet 5.5 / Opus 5.5 のほうが良い選択だと公式が明記しています。

実務の要点は2つです。破壊的変更5点を先に潰すことと、自社の評価セットで合否を測ること。この2つを押さえておけば、「これまでコスト的に AI を回せなかった処理」が一気に射程に入る世代です。

AI の導入や社内での使い分けについてご相談があれば、お気軽にどうぞ。

この記事の更新履歴

  • 2026年10月18日:Anthropic の提供終了ページを取り直し、Haiku 4.5 が下限日(10月15日)を過ぎても Active・非推奨日 N/A・提供終了の告知なしであることを確認。60日前通知の方針を追記。
  • 2026年10月9日:Claude Haiku 5.5 が10月7日に提供開始されたため、発表前の「いつ出るか」を追っていた内容を一次ソースで全面的に書き換え(料金・仕様・ベンチマーク・破壊的変更・Haiku 4.5 の扱い)。
  • 2026年10月6日:発表前。現行 Haiku 4.5 の保証期限(10月15日)を追記。
  • 2026年9月24日:公開(Opus 5.5 発表文の「数週間内に続く」のみを根拠にした先回り記事)。

よくある質問

Claude Haiku 5.5 はいつ提供開始されましたか?

2026年10月7日です。公式のモデルページに「Latest. Released October 7, 2026.」と明記されています。モデルIDは claude-haiku-5-5 で、Claude API・Amazon Bedrock(anthropic.claude-haiku-5-5)・Google Cloud・Microsoft Foundry・Claude Platform on AWS で利用できます。

Claude Haiku 5.5 の料金はいくらですか?

プロンプト長で2段に分かれます。10万トークン以下は100万トークンあたり入力$0.10・出力$0.50、10万トークン超は入力$0.50・出力$2.50です。キャッシュ読取は$0.01 / $0.05。Haiku 4.5 は一律で入力$1.00・出力$5.00だったため、公式は実行コストが平均で約75%安くなるとしています。

「平均75%安」はどう計算されていますか?

10万トークン以下のリクエストは Haiku 4.5 比で90%安、10万トークン超は50%安で、Haiku 4.5 ではリクエストの90%が10万トークン以下だったため加重平均すると約75%になります。新しいトークナイザで同じ作業のトークン数が増えることも織り込み済みです。自社のプロンプト長によって実際の削減率は50%〜90%の間で振れます。

Haiku 4.5 から切り替えるときに直すコードはありますか?

Breaking な変更が5つあります。(1) 手動の extended thinking(budget_tokens)はエラーになり adaptive thinking へ、(2) temperature / top_p / top_k の非既定値は400エラー、(3) アシスタントメッセージの prefill はエラー、(4) computer use は computer_toolset_20260801 が必要、(5) 前のターンを書き換えると thinking ブロックが無効になる。加えて同じ文章のトークン数が約30%増えるため max_tokens とコスト見積もりの見直しが必要です。

Claude Haiku 4.5 は2026年10月15日を過ぎたら使えなくなりますか?

いいえ。10月15日は「それより前には退役させない」という保証の下限で、提供終了日ではありません。その日を過ぎた2026年10月18日時点でも claude-haiku-4-5-20251001 の状態は Active・非推奨日は N/A のままで、提供終了の告知は出ていません。下限を過ぎたのでいつ告知が出てもおかしくありませんが、公開モデルの退役は少なくとも60日前に通知されると公式に明記されています。置き換え先は Haiku 5.5 です。

Haiku 5.5 は Sonnet 5.5 の代わりになりますか?

領域によります。Anthropic 自身が「Terminal-Bench 4.0 のような複雑なエージェント型コーディングでは Sonnet 5.5 と Opus 5.5 のほうが良い選択」と明記しています(Terminal-Bench 4.0 は Haiku 5.5 が39.2%、Sonnet 5.5 が70.6%)。Haiku 5.5 が向くのは、コンパクション・要約・分類・サブエージェントのように、従来はコスト的に無理だった狭いタスクです。

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