Mihata
AI活用2026.09.11

DeepSeek V4.1 Flashとは?料金と9/14のPro切替

DeepSeek から新しいモデルが出た、という話は毎回ざわつきますが、今回は「新しいモデルが増えた」では済みません。これまで使っていた deepseek-v4-pro の行き先が、2026年9月14日に切り替わります。API を業務に組み込んでいる会社にとっては、見て終わりにできない変更です。この記事では、2026年9月11日時点で公式に確認できる事実だけを使って、料金・仕様・そして「今日やること」を整理します。

結論|DeepSeek V4.1 Flash は2026年9月10日公開、API のモデル名は deepseek-flash

DeepSeek は2026年9月10日に DeepSeek-V4.1-Flash を正式公開しました。DeepSeek API からすぐ使えて、画像を直接読ませられるネイティブのマルチモーダル(視覚理解)に対応しています。API で指定するモデル名は deepseek-flash です。

そしてもう一つ、見落とすと請求とコードの両方に影響する話があります。2026年9月14日 北京時間12:00(=04:00 UTC、日本時間では同日13:00。UTC+9 での換算)以降、deepseek-v4-pro への全リクエストは V4.1 Flash へルーティングされ、V4.1 Flash の価格で課金されます。V4.1 Pro がいつ出るかは公表されていません。

料金のインパクトは小さくありません。出力トークンはオフピークで100万トークンあたり $0.60(deepseek-v4-pro は $1.98)。つまり同じ使い方なら出力側は3分の1以下になります。数字の出どころは後半の比較表と参照カードで示します。

9月14日に何が起きるか|deepseek-v4-pro は V4.1 Flash へルーティングされる

公式の API Change Log は、はっきりこう書いています。2026年9月14日 北京時間12:00 以降、V4.1 Pro が将来リリースされるまでの間、deepseek-v4-pro 宛のリクエストはすべて V4.1 Flash にルーティングされ、V4.1 Flash の価格で課金される、と。

大事なのは「エラーになる」とは書かれていない点です。リクエストは通り続けます。通り続けたまま、中身のモデルだけが入れ替わります。つまり監視していなければ、障害としては何も起きず、出力の傾向と請求額だけが静かに変わる、という形になります。これが一番やりにくいタイプの変更です。

今日やること|コードに書いてあるモデル名を見る

まずやるべきは、調べ物ではなく grep です。自社のリポジトリ・n8n や Zapier のワークフロー・GAS・社内ツールの設定画面を横断して、deepseek-v4-pro と deepseek-v4-flash という文字列を探してください。ヒットした箇所が、9月14日に挙動の変わる場所そのものです。

後方互換として deepseek-v4-flash と deepseek-v4-flash-vision-exp も当面 V4.1 Flash にルーティングされます。ただし公式の表現は「一時的に(temporarily)」です。動いているからといって旧名のまま放置せず、deepseek-flash に寄せておくのが安全です。この手の「動くけど非推奨」の扱いは、AIモデルの提供終了に企業がどう備えるかで整理した考え方がそのまま使えます。

料金|V4 Pro との比較と、ピーク/オフピークの使い分け

公式の料金ページ(USD/100万トークン)をそのまま並べます。新料金は2026年9月10日 04:00 UTC から適用されています。

項目

deepseek-flash(オフピーク / ピーク)

deepseek-v4-pro(オフピーク / ピーク)

入力(キャッシュヒット)

$0.003 / $0.006

$0.022 / $0.044

入力(キャッシュミス)

$0.15 / $0.30

$0.66 / $1.32

出力

$0.60 / $1.20

$1.98 / $3.96

表の読みどころは2つあります。1つはキャッシュヒットとキャッシュミスで入力単価が50倍違うこと($0.003 対 $0.15)。同じプロンプトの前半を固定して使い回す設計にできるかどうかが、そのまま請求額になります。もう1つはピークとオフピークで単価がちょうど2倍違うことです。

オフピーク割引の時間帯を日本時間に直す

公式が定めるピーク時間は 月〜金の 01:00–04:00 UTC と 06:00–10:00 UTC。それ以外はすべてオフピークで、ピークの半額です。UTC+9 で日本時間に換算すると次のようになります(以下は当方による換算です。公式表記は UTC)。

区分

UTC(公式表記)

日本時間(UTC+9 換算)

ピーク(通常単価)

月〜金 01:00–04:00

月〜金 10:00–13:00

ピーク(通常単価)

月〜金 06:00–10:00

月〜金 15:00–19:00

オフピーク(半額)

上記以外のすべて

平日 13:00–15:00、19:00〜翌10:00、土日終日

日本で働いている会社にとって、これは都合のいい形です。平日日中の「人が画面の前にいる時間」がちょうどピークに重なり、夜間バッチと週末はまるごと半額になります。記事生成・議事録の要約・問い合わせ履歴の分類といった「今すぐ返ってこなくていい処理」を日本時間19時以降や土日に寄せるだけで、入力・出力ともに単価が半分になります。単価と業務量から効果を見積もる手順は、生成AIの費用対効果を計算する方法のやり方をそのまま当てられます。

逆にチャットボットのような対話用途は、人がいる時間=ピークに張り付くので割引は効きません。ここは素直に割り切って、バッチ側で効かせるのが現実的です。値上げ局面でのコスト管理の発想は生成AI料金の値上げへの対策でも触れています。

何が変わったのか|アーキテクチャと効率

安くなった理由は、値下げキャンペーンではなく構造の作り替えです。公式の説明によると V4.1 Flash は 552B パラメータの MoE(Mixture of Experts)で、新しい Causal Encoder–Decoder アーキテクチャを採用しています。

特徴的なのは非対称な構成です。入力側は約8B、出力側は約16B のアクティブパラメータで動きます。MoE は「巨大な専門家集団を抱えつつ、1回の処理では一部の専門家だけを起こす」仕組みで、アクティブパラメータとは「実際に起きた分」のこと。552B を全部動かすわけではないので、総パラメータの規模からすると計算量がかなり軽い、という意味になります。

メモリ側の効果も公式に示されています。KV キャッシュ(会話の文脈を保持しておく領域)に必要な HBM が従来世代の約1/4、SSD が約1/8。HBM は GPU に直結した高速メモリで、長文を扱うときに最初に足りなくなる資源です。ここが4分の1で済むなら、長いコンテキストを安く回せる理屈が通ります。

性能について公式は「複数者のテストで、V4.1 Flash が性能・コスト・速度・総所要時間のすべてで V4 Pro を上回った」としています。ただし個別のベンチマークスコアは公式テキストに示されていません。ここは数字を添えられないので、自社のプロンプトで比べるしかない部分です。

加えて、ネイティブのマルチモーダル対応により画像をそのまま入力できます。図面・帳票・スクリーンショットを読ませる用途が、別モデルを立てずに同じモデル名で完結するようになりました。

スペック早見表

項目

deepseek-flash(V4.1 Flash)

API モデル名

deepseek-flash(旧 deepseek-v4-flash / deepseek-v4-flash-vision-exp も当面ルーティング)

コンテキスト長

100万(1M)トークン

最大出力

384K トークン

画像理解

対応(ネイティブのマルチモーダル)

Function calling

対応(V4 系列から継続)

JSON 出力

対応(V4 系列から継続)

公開日

2026年9月10日

コンテキスト長1M・最大出力384K は deepseek-v4-pro と同じです。つまり9月14日のルーティング切替で、長さの制約が厳しくなる心配はありません。変わるのは中身のモデルと単価だけ、という理解で差し支えありません。

移行チェックリスト|9月14日までに見る5点

  1. モデル名のハードコードを洗い出す。リポジトリ・環境変数・ワークフローツール・スプレッドシートの関数まで含めて deepseek-v4-pro を検索し、ヒット箇所を一覧にする。
  2. 旧名への依存を切る。deepseek-v4-flash / deepseek-v4-flash-vision-exp は「一時的に」ルーティングされている状態なので、deepseek-flash に書き換える。モデル名は定数1か所に集約しておくと次回が楽になります。
  3. コスト試算を置き換える。社内の見積りや予算表が V4 Pro の単価で作られているなら、新しい単価で引き直す。下がる方向ですが、桁が変わるので「このくらいなら使っていい」の線も引き直せます。
  4. 画像入力を使うか決める。帳票や図面の読み取りを別サービスに出していた場合、同じモデルに寄せられるか検討する。精度は用途ごとに実物で確認してください。
  5. バッチ処理をオフピークに寄せられるか確認する。日本時間19時以降と土日が半額です。cron や定期実行の時刻を動かすだけで効く処理がないか棚卸しする。

実務で多いのは、1番の棚卸しで「誰も把握していなかった呼び出し箇所」が出てくるパターンです。検証用に作ったスクリプトや、退職者が作った自動化がそのまま動いていることは珍しくありません。

記事の途中で失礼いたします。こうした社内のAI呼び出しの棚卸しや、モデル差し替えに強い作りへの整理は、私たちが日々ご相談をいただいている領域でもあります。もしご自社だけで追い切れないようであれば、独自AI開発のサポートもご検討いただけたら嬉しいです。

業務で使うときの判断軸

単価表だけを見ると「置き換えない理由がない」ように見えます。ただ業務で使うモデルの選定は、単価の比較だけでは終わりません。以下は煽りでも擁護でもなく、実際に社内で合意を取るときに必ず聞かれる論点です。

1つめは、データがどこへ行くかです。 どのAPIを使う場合でも、送信したデータの保存場所・保存期間・学習利用の有無は、提供元の規約で確認して社内で説明できる状態にしておく必要があります。これはモデルの優劣の話ではなく、自社の情報管理の話です。

2つめは、契約と責任の所在です。 個人のクレジットカードで API キーを取って業務に使い始める、という形は、止まったときにも漏れたときにも誰も動けません。法人として契約し、キーの管理者を決めておくだけで相当違います。

3つめは、社内規程との整合です。 顧客データや人事情報を外部APIに送ってよいかは、モデルの性能とは別に線を引く問題です。中国系のモデルを業務で使う際に実際に論点になる点は、中国製AIモデルを業務利用するときのリスクの整理にまとめてあります。「安全/危険」と一言で決めつけず、自社のどのデータなら出せるかを用途ごとに切り分けるのが現実的です。

そのうえで実務的な落としどころとしては、社外に出せない情報を含まない処理(公開情報の要約、文章の整形、社内向け下書きの生成、分類)から入れて、顧客データを含む処理は別の線で判断する、という二段構えがよく機能します。モデル選定の全体像は2026年後半のAIモデル一覧も合わせて見ていただくと、相対的な位置づけが掴みやすいはずです。

まとめ

2026年9月11日時点で押さえるべきことは、次の4つです。

  • DeepSeek V4.1 Flash は2026年9月10日公開。API のモデル名は deepseek-flash。コンテキスト1M・最大出力384K・画像理解に対応。
  • 2026年9月14日 北京時間12:00(04:00 UTC、日本時間13:00=UTC+9 換算)以降、deepseek-v4-pro は V4.1 Flash にルーティングされ、V4.1 Flash の価格で課金される。V4.1 Pro のリリース日は公表されていない。
  • 料金は出力オフピークで $0.60/100万トークン(V4 Pro は $1.98)。ピークは月〜金 01:00–04:00 / 06:00–10:00 UTC=日本時間 10:00–13:00 / 15:00–19:00(当方換算)で、それ以外は半額。
  • 今日やるのは調べ物ではなく grep。コードと自動化の中のモデル名を洗い出すところから始める。

期日のある変更は、気づいた日に手を動かせるかどうかで差がつきます。自社のAI周りの棚卸しや、モデルが入れ替わっても壊れない作りへの整理でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

よくある質問

DeepSeek V4.1 Flash を API で呼ぶときのモデル名は何ですか?

deepseek-flash です。後方互換として deepseek-v4-flash と deepseek-v4-flash-vision-exp も当面は V4.1 Flash にルーティングされますが、公式には「一時的に」と記載されているため deepseek-flash に寄せておくのが安全です。

deepseek-v4-pro はいつ使えなくなりますか?

公式の Change Log では、2026年9月14日 北京時間12:00(04:00 UTC、UTC+9 換算で日本時間13:00)以降、V4.1 Pro が将来リリースされるまで deepseek-v4-pro への全リクエストが V4.1 Flash にルーティングされ、V4.1 Flash の価格で課金されると記載されています。V4.1 Pro のリリース日は公表されていません。

オフピーク割引はいつ適用されますか?

公式が定めるピーク時間は月〜金の 01:00-04:00 UTC と 06:00-10:00 UTC で、それ以外はすべてオフピークとなりピークの半額です。UTC+9 で日本時間に換算すると、ピークは月〜金の 10:00-13:00 と 15:00-19:00 にあたります。

V4.1 Flash のコンテキスト長と最大出力は?

コンテキスト長は100万(1M)トークン、最大出力は384Kトークンです。deepseek-v4-pro と同じ値なので、9月14日のルーティング切替で長さの制約が厳しくなることはありません。

V4 Pro と比べた性能はどれくらい違いますか?

公式は「複数者のテストで V4.1 Flash が性能・コスト・速度・総所要時間のすべてで V4 Pro を上回った」としていますが、個別のベンチマークスコアは公式テキストに示されていません。自社のプロンプトで実際に比較して判断するのが確実です。

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