OpenAI が 2026年9月22日に、GPT-6 ファミリーのコスト効率ラインとして GPT-6 Sol と GPT-6 Luna を公開しました。料金は Sol が入力 $2 / 出力 $10、Luna が入力 $0.10 / 出力 $0.50(いずれも 100万トークンあたり)で、GPT-5.6 のプロモ価格比でちょうど50%引きです。提供は ChatGPT Work と Codex で本日から始まりました。そして2026年10月7日、GPT-6 は ChatGPT の「Chat」タブにも展開されました(Plus・Pro・Business・Enterprise は GPT-6 Sol、Free・Go は GPT-6 Luna が動かします。詳細は記事末の更新)。
この記事では、Sol と Luna が何者で、今月初めに出た GPT-6 Astra とどう使い分けるのか、そして自分の環境で今日使えるのかを、公式発表の数値だけで整理します。
GPT-6 SolとLunaとは何か
GPT-6 Astra が「全方位で最良の1台」だとすれば、Sol と Luna は同じ訓練手法のまま、コスト側に振ったラインです。OpenAI は Sol / Luna を Astra と同様の手法で訓練したと説明しており、性能の系譜としては地続きになります。
役割はおおまかに三段構えです。Astra=最高の結果と妥協のない体験が要るとき、Sol=エージェントやコーディングを日常的に大量に回すとき、Luna=分類・抽出・要約のように回数が支配的な処理を安く回すとき。Astra の発表内容はGPT-6 Astra の発表内容と使えるタイミングをまとめた記事で整理しています。
文体も更新されました。Astra で改善された対話スタイルが Sol / Luna にも展開され、専門用語が減り、冗長な繰り返しが減って、全体にやや短い返答になります。
料金|Sol $2/$10・Luna $0.10/$0.50
100万トークンあたりの API 料金です。旧価格は GPT-5.6 世代のプロモ価格で、Sol・Luna ともに入力・出力の両方が一律50%引きになっています。
モデル | 入力(/1Mトークン) | 出力(/1Mトークン) | 旧価格からの変化 |
|---|---|---|---|
GPT-6 Sol | $2(旧 $4) | $10(旧 $20) | 入出力とも -50% |
GPT-6 Luna | $0.10(旧 $0.20) | $0.50(旧 $1.20) | 入力 -50% / 出力 -58% |
Sol と Luna の差は入力で20倍、出力で20倍です。実務では「1本の重い仕事に Sol、大量の軽い仕事に Luna」と切り分けるだけで月額が桁で変わります。月額の試算の考え方はGPT-6 Sol の料金を旧価格と並べて計算した記事に細かく置きました。Astra 前提で組んでいたコストとの比較はGPT-6 Astra の月額を3ケースで試算した記事が土台になります。
どこで使えるか|2026年10月7日にChatへ展開
今回いちばん誤解が多いのがここです。同じアカウントでも、開く場所とプランによって出てくるモデルが変わります。発表当初の Work・Codex 限定から、2026年10月7日に Chat へ広がったことで条件が増えました。
プラン / 経路 | GPT-6 Sol | GPT-6 Luna |
|---|---|---|
Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu(ChatGPT Work・Codex) | 本日から利用可 | 本日から利用可 |
Free / Go(デスクトップアプリ) | 提供なし | 利用可 |
Chat(Plus / Pro / Business / Enterprise) | 2026年10月7日から順次 | — |
Chat(Free / Go) | — | 2026年10月8日から順次 |
API | gpt-6-sol | gpt-6-luna |
さらに ChatGPT 側は一日かけて段階的にロールアウトされます。OpenAI 自身が「ChatGPT Work や Codex に新モデルが見えなければ、時間をおいて再度試してほしい」と明記しているので、発表直後に見えないこと自体は異常ではありません。切り分けの順番はGPT-6 Sol が出てこないときの確認手順をまとめた記事にしてあります。
実務で先に決めておくとよいのは「社内への案内をプラン別に分けるか」です。Chat では Plus 以上に Sol、Free・Go に Luna という割り当てなので、全社に同じモデル名を案内すると必ず「書いてあるモデルが無い」と言われます。プランが混在している会社では、無料プランと有料プランで何が変わるかを先に揃えておくほうが問い合わせが減ります。
ベンチマーク|Opus 5を9%のコストで上回った
先に前提を1つ。ここで挙げる数値は、各社が自社に有利な effort 条件で測った値です。同じ AutomationBench でも、OpenAI の表では Claude Opus 5 (max) が 26.9%、Anthropic の表では GPT-6 Astra が 41.4%・Claude Opus 5.5 が 40.0% と、出てくる数字がそろいません。どちらが上かを断定する材料にはならない、という前提で読んでください。Anthropic 側の発表はClaude Opus 5.5 の変更点をまとめた記事にあります。
そのうえで、OpenAI 公表値では次のようになっています。
- AutomationBench 1.0.6(Zapier): GPT-6 Sol (xhigh) が 33.2%・1タスクあたり $0.27。Claude Opus 5 (max) は 26.9% で Sol の11.1倍のコスト。OpenAI は「Opus 5 (max) を 9% のコストで上回る」と表現しています。
- Agents' Last Exam: GPT-6 Sol (max) が 56.4%。Opus 5 の最高スコアを上回り、コストは60%減。
- DeepSWE v1.1: GPT-6 Sol (max) が 68.8%。Claude Fable 5 の最高 69.9% と1.1pt差で、コストは約80%減。
- OSWorld 2.0 offline: GPT-6 Sol (xhigh) が 60.5%。Claude Opus 5 (medium) の 60.3% とほぼ同じで、コストは約80%減。
読み方としては、スコアの絶対値より「同じ水準にいくらかかるか」が今回の主題です。Sol が狙っているのは「最強」ではなく「同等の結果を一桁安く」というポジションで、公表値の並べ方もその文脈で作られています。
なお、コンピュータ操作の最強は引き続き GPT-6 Astra だと OpenAI 自身が書いています。ファクト性については、内部評価で Sol は前世代比でミスが約半分に減り、Astra の水準に近づいたとされています。
キャッシュが効くようになった
料金表より実効コストに効くのがキャッシュの改善です。今回は既定の設定でキャッシュヒット率が上がり、キャッシュされた入力トークンの読み出しが90%引きになりました。
加えて、Prompt Caching のダッシュボードと診断ツール、明示的なブレークポイントの指定が提供され、reasoning effort やツールの有効・無効を切り替えてもキャッシュが壊れないようになっています。これまでは設定を少し変えるたびにキャッシュが外れ、長いシステムプロンプトを毎回フル課金で送り直すのが当たり前でした。
効果の実例として、GitHub は数か月のうちに新規に処理が必要なプロンプトトークンの割合が50%超減ったと報告しています。長いシステムプロンプトや社内ドキュメントを毎回前段に積むタイプの運用ほど、表示価格の50%引きよりキャッシュ側の効きが大きくなります。
実務での落とし穴は、キャッシュを効かせるつもりでプロンプトの冒頭に日付や乱数を入れてしまうケースです。先頭が毎回変わるとその後ろも巻き添えでヒットしなくなるので、可変要素はできるだけ後ろへ寄せるのが鉄則になります。
Mihata ではこうしたモデルの切り替えやコスト設計のご相談も承っております。記事の途中で恐縮ですが、どのモデルをどこに割り当てるかは月額に直結する部分ですので、よろしければあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
Astraは引き続き全方位で最良
値下げの話に引きずられて全部 Sol に寄せたくなりますが、OpenAI は今回の発表で「GPT-6 Astra は引き続き全方位で最良のモデル」とはっきり書いています。最高の結果と妥協のない体験が必要なときは Astra、というのが公式の案内です。
判断の目安はシンプルです。失敗したときのやり直しコストが、モデル単価の差より大きい仕事は Astra。逆に、失敗しても投げ直せばいい仕事・自動で何十回も回る仕事は Sol。Sol と Astra の具体的な分岐はGPT-6 Sol と Astra の違いと判断軸を整理した記事にまとめています。
Lunaの立ち位置|Opus 5比でコスト93%減
Luna は「安い代わりに使えない」枠ではありません。DeepSWE v1.1 では max effort で 66.6% を記録しており、これは Claude Opus 5 / Fable 5 の medium 相当にあたります。そのうえでコストは Opus 5 比で93%減、Fable 5 比で96%減です。
AutomationBench でも GPT-6 Luna (high) は前世代比で +5.4pt、コストは58%減。ファクト性では、高い effort をかけると GPT-5.6 Sol 相当の水準を約1/100のコストで出せるとされています。
実務での使いどころは、メール分類・問い合わせの一次仕分け・議事録の要約・タグ付けのように1件あたりは軽いが件数が多い処理です。ここを Sol や Astra で回していると、精度が上がった実感がないまま請求だけが積み上がります。Luna で回して、閾値を下回った案件だけ Sol にエスカレーションする二段構えが、今のところ費用対効果がいちばん素直です。
今日やることの整理
- ChatGPT の有料ユーザー: Chat・Work・Codex のどれを開いているかを確認する。Chat では2026年10月7日から GPT-6 Sol が順次。見えなければ段階配信なので時間をおく。
- Free / Go ユーザー: デスクトップアプリに加えて、2026年10月8日から Chat でも GPT-6 Luna が順次使える。Sol は対象外。
- API ユーザー: モデル ID を gpt-6-sol / gpt-6-luna に差し替え、まずキャッシュのヒット率をダッシュボードで測る。
- 全員: 最高品質が要る仕事は Astra のまま据え置く。
2026年後半に控えている各社のモデル更新はAIモデル2026年後半のロードマップ記事に信頼度つきで並べています。今回のように「安いラインが先に来て、上位は据え置き」というパターンは各社で繰り返されているので、乗り換えの判断はモデル単体ではなくラインナップ全体で見るのが安全です。
モデルの選定や社内展開でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
【2026年10月2日更新】GPT-6.1 Sol の登場と、GPT-6 Sol をめぐる当サイトの訂正
OpenAI は 2026年9月29日に GPT-6.1 Sol(gpt-6.1-sol)を提供開始しました。入力 $2・出力 $10 という単価は GPT-6 Sol と同額で、キャッシュ読み込みだけが $0.20 → $0.10 へ半額になっています。
あわせて公式側の変化を確認しました。料金ページの主要モデル表は、既定で gpt-6-astra / gpt-6.1-sol / gpt-6-luna の3行だけを表示する形になり、モデル一覧の推奨3枠も同じ並びに入れ替わりました。
訂正(2026年10月2日)。当サイトは当初ここに「gpt-6-sol は料金ページ内に1件も出てこなくなった」と書いていましたが、これは誤りでした。2026年10月2日に同じ料金ページを取り直したところ、gpt-6-sol の行は Standard・Batch・Flex・Fast の4つの料金タブすべてに存在し、単価も入力 $2 / キャッシュ読み $0.20 / キャッシュ書き $2.50 / 出力 $10 のままでした。既定表示が上位3行だけで、4行目以降が折りたたまれているために見えなかったものです。料金表は折りたたみを開いてから判定してください。
ただし GPT-6 Sol は廃止されていません。全モデル一覧には残っており、公式の Deprecations に停止日の行もありません(2026年10月2日に再確認)。さらに 2026年10月1日の廃止告知で、OpenAI 自身が gpt-5.1 と gpt-5.3-codex の推奨移行先として gpt-6-sol を指定しています(この2本の停止日は2027年4月1日)。「料金表の既定表示から外れたこと」を廃止の前兆と読むのは誤りで、実態は「推奨の先頭3枠から外れただけで、移行の受け皿としては公式が指名している」状態です。
移行時の注意は1点だけ押さえてください。GPT-6.1 Sol は reasoning.effort の none と minimal をサポートしません(GPT-6 Sol は使えました)。詳細は GPT-6.1 Sol の料金・性能まとめ、料金差の試算は GPT-6 Sol から 6.1 Sol へ移行したときの料金試算にあります。
GPT-6 Luna は今回の入れ替えの影響を受けていません。料金ページにも推奨3枠にも gpt-6-luna の行がそのまま残っており、単価(入力 $0.10 / 出力 $0.50)も変わっていません。3本のうち真ん中だけが差し替わったと理解してください。
【2026年10月9日更新】Chat に展開され「使える場所」が変わった
OpenAI は2026年10月7日より、Intelligent UI を備えた GPT-6 を世界中の ChatGPT Plus・Pro・Business・Enterprise の「Chat」タブで順次提供開始しました。翌10月8日からは Free プランと Go プランにも順次拡大しています。この記事に書いていた「Chat ではまだ使えない」は、もう当てはまりません。
プランと動くモデルの対応はこうなりました。
プラン | Chat で動くモデル | 提供開始 |
|---|---|---|
Plus / Pro / Business / Enterprise | GPT-6 Sol | 2026年10月7日から順次 |
Free / Go | GPT-6 Luna | 2026年10月8日から順次 |
注意点が3つあります。Enterprise での利用可否は職場の管理者設定によります。そしてこのアップデートが適用されるのは ChatGPT の「Chat」で、Work と Codex の基盤モデルは今回変わりません(Work や Codex で探しても出てこないのは仕様です)。公式は先月に有料プラン向けの最初の GPT-6 モデルを出したうえで、今回は週に12億人以上が使う ChatGPT の利用者に向けた新しい GPT-6 モデルだと説明しています。
Chat 側では、回答がテキストだけでなく、グラフィック・タップできるボタン・フォーム・グラフなど会話の中で直接操作できる形で返るようになりました。中身はChatGPT の回答がボタンやグラフで返る Intelligent UIにまとめています。プランごとに何が出るのかを取り違えて「出てこない」と感じている場合は、GPT-6 Sol が使えないときの原因4つを上から当てはめてください。法人ワークスペースの管理者側の効き方はプラン別の利用上限と管理者設定が参考になります。
API 側も同じ週に動いています。2026年10月6日に Decisions API(v1/decisions)が gpt-6-luna でベータ公開され、公式表記ではテキストと画像を型付きの回答に変える用途で Responses API より10倍速いとされています。2026年10月8日には GPT-6.1 Sol に Ultrafast モードが追加され、gpt-6.1-sol に service_tier: "ultrafast" を指定すると出力トークン間の時間が縮みます(全 API ユーザー、レート上限あり。グローバル処理と US・EU のデータレジデンシーに対応)。Luna は安い枠、Sol は速さを選べる枠という役割分担がより明確になったと見ておくとよいです。
地域による制限の有無や、Free プランでの回数上限の具体的な数字は、公開情報では確認できませんでした。推測が独り歩きしやすい部分なので、社内の案内文には公式の表記だけを根拠にしてください。
同じ「安い枠」では、Anthropic が2026年10月7日に出した Claude Haiku 5.5 も入力 $0.10 / 出力 $0.50(プロンプト10万トークン以下)で並びます。公式ベンチでは分野ごとに勝ち負けが割れており、Haiku 5.5 と Sonnet 5.5 の使い分けを整理した記事で GPT-6 Luna を含めた3モデルの数値を並べています。
この記事の更新履歴
- 2026年10月9日: 2026年10月7日の Chat への展開(Plus・Pro・Business・Enterprise は Sol、Free・Go は10月8日から Luna)を反映し、「Chat ではまだ使えない」という記述を全面的に差し替え。10月6日の Decisions API ベータ、10月8日の GPT-6.1 Sol Ultrafast モードを追記。
- 2026年10月2日: GPT-6.1 Sol の提供開始と、GPT-6 Sol が料金ページから消えたという当サイトの記述の訂正を追記。
Sol と Luna の間の価格帯には、10月26日に GPT-6.1 Terra(入力 $1・出力 $5)が加わっています。
gpt-6-luna は、10月22日に一般提供になった判定専用の OpenAI Decisions API(確率・選択・段階評価を返し、出力は課金なし)で現在ただ1つ対応しているモデルでもあります。分類や振り分けだけが目的なら、通常の生成で呼ぶより向いています。
よくある質問
GPT-6 SolはChatGPTのChatで使えますか?
使えます。発表当初(2026年9月22日)は ChatGPT Work と Codex のみでしたが、2026年10月7日より Intelligent UI を備えた GPT-6 が Plus・Pro・Business・Enterprise の「Chat」タブで順次提供開始され、この4プランでは GPT-6 Sol が動きます。Free と Go は10月8日から GPT-6 Luna です。
GPT-6 Solの料金はいくらですか?
100万トークンあたり入力 $2 / 出力 $10 です。GPT-5.6 のプロモ価格(入力 $4 / 出力 $20)からちょうど50%引きになっています。GPT-6 Luna は入力 $0.10 / 出力 $0.50 です。
無料プランでもGPT-6 Sol・Lunaは使えますか?
GPT-6 Luna は使えます。Free と Go はデスクトップアプリに加えて、2026年10月8日から ChatGPT の「Chat」タブでも順次 GPT-6 Luna が利用できます。GPT-6 Sol は対象外です。
GPT-6 AstraとSolはどちらを使えばよいですか?
OpenAI は GPT-6 Astra が引き続き全方位で最良のモデルだと明記しています。最高の結果が必要な仕事は Astra、エージェントやコード生成を大量に回す仕事は Sol、件数が支配的な軽い処理は Luna という使い分けが目安です。