Grok 4.7 が2026年9月21日に公開されました。ところが「発表は見たのに、自分の画面やコードから使えない」という状態になる方が一定数います。原因のほとんどは不具合ではなく、公式が定めた提供範囲か、設定の書き方です。
いちばん多いのはこれです。Grok 4.7 の公式な提供先リストに、grok.com・X アプリ・iOS/Android は入っていません。公式ブログと開発者ドキュメントが挙げているのは、xAI API・US リージョンエンドポイント・Grok Build・Cursor・モデルゲートウェイ(OpenRouter / Vercel / Cloudflare)の5経路だけです。消費者向けアプリで見つからないのは、いまのところ正常な状態です。以下、確認すべき7点を、当てはまりやすい順に並べます。
① 消費者向けアプリ(grok.com・X・スマホ)には、まだ来ていない
公式ブログ「Introducing Grok 4.7」の提供状況の節に書かれているのは Cursor / Grok Build / Grok API / サードパーティのコーディングハーネス / モデルルーターとクラウド基盤です。開発者ドキュメントの「Where it runs」も同じで、grok.com やスマホアプリへの言及はありません。
過去の例を見ると、これは順番の問題である可能性が高いです。Grok 4.5 は2026年7月16日に発表され、消費者向けアプリへの展開は6日後の7月22日に「Bringing Grok 4.5 to iOS, Android, Web, and X」という別記事で告知されました。同じ形なら、4.7 も数日から1週間程度あとに別記事が出る見込みです。ただしこれは過去の1例からの推測であり、公式に予告されているわけではありません。確実なのは「いま来ていないのは異常ではない」という点だけです。
いま確実に使える場所
- Cursor:全プランで利用可(公式ドキュメントに「available on all plans」と明記)
- Grok Build:コーディングエージェントの既定モデルになっている
- xAI API:コンソールでAPIキーを発行すれば即利用可
- OpenRouter / Vercel / Cloudflare:モデルゲートウェイ経由
② モデルIDの書き方が違う(ハイフンではなくドット)
APIで 404 や「model not found」が返る場合、まずここを疑ってください。正しいモデルIDは grok-4.7 です。先頭は「grok-」とハイフンですが、バージョン部分は「4.7」とドットです。grok-4-7 と書くと存在しません。Grok 4.6 を grok-4.6 と書いていたなら、その表記の数字だけを変えれば通ります。
③ 旧バージョンにピン留めしている
xAI のモデル名にはエイリアスの仕組みがあり、公式ドキュメントは次のように説明しています。
書き方 | 指す先 |
|---|---|
モデル名のみ(例 grok-4.7) | 最新の安定版 |
モデル名-latest | 最新版(新機能をすぐ使いたい人向け) |
モデル名-日付 | その版に固定。更新されない |
再現性のために日付つきのモデル名で固定していると、いつまで経っても新モデルは降りてきません。これは仕様どおりの挙動です。新しい世代を自動で拾いたいなら、モデル名のみかモデル名-latest に変えてください。逆に、本番環境で出力を安定させたいなら固定のままが正解です。
④ Grok 4.7 Fast を API で呼ぼうとしている
Grok 4.7 Fast は公開の xAI API では提供されていません。公式ドキュメントは「Cursor と Grok Build でのみ利用可能で、公開 xAI API では利用できない」と明記しています。さらにGrok Build の無料枠にも含まれません。単価は標準の2倍です。
Grok 4.6 のときは高速版を API 経由で使えていたため、同じ書き方を 4.7 に持ち込んでエラーになるケースが出ます。速度が必要なら Cursor か Grok Build に寄せる、という判断になります。料金まわりの整理はGrok 4.7 の料金を月間トークン数から試算する記事にまとめました。
⑤「最近のことを知らない」=故障ではなく知識カットオフ
Grok 4.7 の知識カットオフは2026年5月です(Grok 4.6 は2026年2月1日)。公式ドキュメントは「検索ツールを有効にしない限り、リアルタイムの出来事や学習データ以降のデータにはアクセスできない」と明記しています。
新しいモデルなのに直近のニュースを知らない、という状態は正常です。最新情報を扱いたいなら、サーバー側ツールの Web Search または X Search を明示的に有効にしてください。ただし有効にすると、トークン課金とは別にツール呼び出しの課金が乗ります。X Search は2026年9月21日(米国太平洋時間12:00)から「1,000コールあたり$5」から「取得した投稿1,000件あたり$5・ユーザープロフィール1,000件あたり$10」へ課金方式が変わりました。検索1回で何十件も返るので、以前と同じ感覚で有効にしていると請求が跳ねます。
⑥ レスポンスのパースで落ちている(Responses API)
これはエラーメッセージが分かりにくい分、原因にたどり着きにくい項目です。Responses API では、grok-4.7 は include に指定していなくても必ず reasoning.encrypted_content を返します。公式ドキュメントが明記している仕様変更で、Chat Completions 側は従来どおりです。
返ってくる JSON を厳密に検証している実装(想定外のフィールドがあると弾く作りなど)では、ここで落ちます。マルチターンで使う場合、公式は「reasoning のアイテムをそのまま次のリクエストの input に戻す」ことを求めています。切り替える前に、実物のレスポンスを1回だけ目視してください。
もうひとつ、地味に踏みやすい仕様があります。logprobs と top_logprobs は grok-4.20 以降のモデルではサポートされず、指定しても黙って無視されます。エラーにならないので、「値が返ってこない」という形でだけ気づくことになります。
⑦ 請求額が急に増えた(使えている場合の落とし穴)
「使えない」ではありませんが、切り替え直後に一番驚かれるのがこれです。原因は3つに絞れます。
- 20万トークンの閾値を超えた。プロンプトが20万トークンに達すると、そのリクエストの全トークンが長コンテキスト単価(入力$4/出力$12)になります。超えた分だけではありません
- prompt_cache_key を設定していない。公式は設定を強く推奨し、「設定しないとキャッシュが冷えたサーバーに振られ、入力の全額を払うことがよくある」と書いています。キャッシュ入力は $0.50 で通常の4分の1です
- US リージョンエンドポイントを使っている。us.api.x.ai は推論を米国内で完結させる代わりに、トークン課金が1.1倍です
Mihata でも社内の自動化ツールでモデルを入れ替えるたびに、この手の「動くけれど想定と違う」に当たります。記事の途中で恐縮ですが、社内でのAI導入や検証の進め方についてのご相談も承っています。よろしければあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
確認の順番(まとめ)
症状 | まず見るところ |
|---|---|
アプリのモデル選択に出てこない | ①消費者向けアプリは公式の提供先に含まれていない。Cursor・Grok Build・API を使う |
APIで model not found | ②モデルIDは grok-4.7(ドット)/③日付つきでピン留めしていないか |
Fast が呼べない | ④公開APIでは提供されていない(Cursor / Grok Build 限定) |
最近の出来事を知らない | ⑤知識カットオフは2026年5月。Web Search / X Search を有効化 |
レスポンスのパースで例外 | ⑥Responses API は reasoning.encrypted_content を常に返す |
logprobs が返らない | ⑥grok-4.20 以降は非対応。指定しても黙って無視される |
請求が急増した | ⑦20万トークン閾値/キャッシュキー未設定/USリージョン1.1倍 |
関連記事として、Grok 4.7 と Grok 4.6 をベンチ7項目で比べた記事、月間トークン数から Grok 4.7 の料金を試算する手順、Grok 5 の現在地と 4.x のリリース間隔を追った記事もあわせてご覧ください。ひとつ前の世代の仕様はGrok 4.6 の料金と50万トークンの解説にあります。
社内でのAI活用について具体的にご相談されたい方は、下記からお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Grok 4.7がgrok.comやスマホアプリに出てこないのはなぜですか?
公式の提供先リストに消費者向けアプリが含まれていないためです。公式ブログと開発者ドキュメントが挙げているのは、xAI API・USリージョンエンドポイント・Grok Build・Cursor・モデルゲートウェイ(OpenRouter / Vercel / Cloudflare)です。Grok 4.5のときは発表の6日後に消費者向けアプリへの展開が別記事で告知されており、同じ順番なら後日追ってくる可能性がありますが、公式に予告されているわけではありません。
APIでmodel not foundになります
モデルIDの表記を確認してください。正しくはgrok-4.7で、先頭はハイフン、バージョン部分はドットです。grok-4-7では存在しません。また日付つきのモデル名でピン留めしている場合は、その版に固定される仕様なので新モデルは降りてきません。モデル名のみ、またはモデル名-latestに変更してください。
Grok 4.7 FastがAPIから呼べません
仕様どおりです。Grok 4.7 FastはCursorとGrok Buildでのみ利用可能で、公開のxAI APIでは提供されていません。Grok Buildの無料枠にも含まれず、単価は標準の2倍です。Grok 4.6の高速版をAPI経由で使っていた場合は、この前提が変わっています。
最新の出来事を答えてくれないのですが故障ですか?
故障ではありません。Grok 4.7の知識カットオフは2026年5月で、公式ドキュメントも検索ツールを有効にしない限りリアルタイムの情報にはアクセスできないと明記しています。Web SearchまたはX Searchを明示的に有効にしてください。ただしトークン課金とは別にツール呼び出しの課金が発生します。
切り替えたら請求額が急に増えました
3つの原因が考えられます。プロンプトが20万トークンに達するとそのリクエストの全トークンが長コンテキスト単価(入力4ドル・出力12ドル)になること、prompt_cache_keyを設定していないとキャッシュが効かず入力を全額払うこと、USリージョンエンドポイントはトークン課金が1.1倍であることです。