会議室の在席表示、受付のサイネージ、勉強中の残り時間。「画面は消さずに、時計だけ出しておきたい」という用途は意外と多いのに、検索すると出てくるのは「スリープをオフにする方法」ばかりです。
結論:スリープを全部切らず、副作用の小さい手から順に試す
画面を消さずに時計だけ出す手は3つあり、電源設定を丸ごと無効化するのは一番副作用が大きい最後の手段です。弱い順に、①画面が消えるまでの時間だけ延ばす ②スクリーンセーバを時計にする ③ブラウザを全画面にして画面オンを維持する(Screen Wake Lock)の3段階で考えます。必要な時間だけ・必要な画面だけに効かせるほど、電気代・パネルの焼き付き・セキュリティのリスクが小さくなります。
実務で「スリープをオフ」を勧めにくい理由ははっきりしています。Dell の公式ガイドラインでは、LCD モニターのパネルは1日12時間・週7日のデューティーサイクルで設計されており、バックライトの寿命の目安は約30,000時間(モデルによる)とされています。設計を超えた使い方は輝度の早期低下につながり、保証対象外になる場合があるとも明記されています。24時間つけっぱなしは、メーカーが想定している使い方ではありません。
3つの手の副作用比較
手 | やること | 効く範囲 | 電力・パネルへの負担 | セキュリティ | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|---|
① 消灯時間を延ばす | 画面が消えるまでの分数を30分〜数時間に変更 | OS 全体(常時) | 小〜中(時間が来れば消える) | ロックは従来どおり効く | 作業中に何度も画面が消えて困る |
② スクリーンセーバを時計に | 放置後に大きな時計の画面へ切り替える | 放置時だけ | 小(表示は動き、焼き付きに強い) | 復帰時パスワードを併用できる | 離席中も時計を見せたい・共有 PC |
③ ブラウザ全画面+画面オン維持 | 時計ページを全画面にし Wake Lock で消灯を抑止 | そのタブを開いている間だけ | 中〜大(ずっと点灯) | OS 設定は無傷。閉じれば即戻る | 会議・イベント・サイネージなど時間限定 |
(参考)スリープを全部オフ | 電源設定で「なし」にする | OS 全体(恒久) | 大(戻し忘れると常時点灯) | 自動ロックが働かず持ち出し時が危険 | 原則おすすめしない |
ポイントは「効く範囲」の列です。①は一度変えると全部の場面に効き続け、③はそのタブを閉じた瞬間に元に戻ります。一時的な用途ほど③、恒常的な作業環境ほど①が合います。
手①:画面が消えるまでの時間だけ延ばす
まず試すべきはこれです。スリープ(本体のスリープ)はそのままに、ディスプレイの消灯時間だけを延ばします。時計は出し続けられて、席を長く外せば結局消えるので、電気代もパネルも守れます。
Windows 11 の手順
- [スタート]→[設定]を開く
- [システム]→[電源とバッテリー]を選ぶ
- [画面、スリープ、休止状態のタイムアウト]を開く
- [次の後で画面をオフにします]を、必要な長さ(例:30分・1時間)に変更する
- スリープ自体を遅らせたいときだけ、[次の後でデバイスをスリープ状態にする]も変更する
ノート PC では「バッテリー駆動時」と「電源に接続時」で別々に設定できます。電源に接続時だけ延ばすのが、外に持ち出したときにバッテリーを溶かさないコツです。
Mac(macOS 26 Tahoe)の手順
- アップルメニュー →[システム設定]を開く
- サイドバーで[ロック画面]を選ぶ
- [電源アダプタ接続時に使用していない場合はディスプレイをオフにする]のポップアップメニューで時間を変更する
- ノートブックなら[バッテリー駆動時に使用していない場合はディスプレイをオフにする]は短いまま残す
macOS では「ディスプレイをオフにするまでの時間」が[ロック画面]の中にあります。旧バージョンの記事は「省エネルギー」やディスプレイ設定を案内していることがあるので、見つからないときはここを確認してください。ノート/デスクトップの追加のスリープ挙動は、それぞれ[バッテリー]/[エネルギー]にあります。
この段階で足りるなら、これ以上は触らないのが一番安全です。電源設定そのものの考え方はパソコンをスリープさせない方法とその一時的な対処で詳しくまとめています。
手②:スクリーンセーバを時計にする(離席中も出しっぱなし)
「使っていない間こそ時計を見せたい」なら、画面を消さないのではなくスクリーンセーバを時計にするのが最も筋のいい解です。表示が動くため静止画より焼き付きに強く、復帰時のパスワード要求も併用できます。Dell の公式ガイドラインも、残像防止の推奨として「スクリーンセーバーを実装する」「省電力モードを実装する」の2点を挙げています。
Mac は標準で大きな時計を出せる
- アップルメニュー →[システム設定]→ サイドバーの[壁紙]を開く
- [スクリーンセーバ]で使うスクリーンセーバを選ぶ
- 同じ[壁紙]の中にある[時計の外観]で、大きな時計を表示するかどうかを選ぶ
- 表示場所を[スクリーンセーバとロック画面]にすると、放置後の画面にも時計が出る
- 時計のフォントと太さもここで選べる(サイズの変更はできない)
macOS 26 Tahoe では、スクリーンセーバとロック画面の時計まわりの設定が[ロック画面]ではなく[壁紙]に集約されています。「ロック画面を探したのに時計の項目が無い」と迷う人が多いのはこのためです。復帰時のパスワード要求だけは従来どおり[ロック画面]側にあります。
Windows 11 には時計のスクリーンセーバーが無い
ここは正直に書きます。Windows 11 の標準スクリーンセーバーに、時刻が動く時計はありません。設定画面自体は残っていて、[設定]→[個人用設定]→[ロック画面]→(関連設定の)[スクリーンセーバー]から、待ち時間(分)と「再開時にログオン画面に戻る」を指定できます。ただし選べるのは 3D テキストや写真などで、3D テキストで出せるのは固定の文字列であり、時刻表示には使えません。
したがって Windows では、スクリーンセーバー型の常時時計をやりたい場合は手③のブラウザ全画面に進むのが現実的です。サードパーティのスクリーンセーバーを入れる手もありますが、共用 PC や業務端末に .scr 形式の実行ファイルを追加するのは情報システム部門の許可が要ることが多く、おすすめしにくい選択です。
手③:ブラウザを全画面にして画面オンを維持する
OS の設定を一切変えずに、「今だけ」画面を点けたままにする方法です。ブラウザには Screen Wake Lock API(navigator.wakeLock)という仕組みがあり、対応ページを開いている間だけ、画面が暗くなる・消える・スクリーンセーバーが始まるのをブラウザが抑止します。2024年に主要ブラウザすべてで利用できるようになりました。
手順はシンプルです。
- 時計を表示する Web ページを開く
- ページ側の「画面スリープ防止」に相当する設定をオンにする(初回は許可を求められることがあります)
- F11(Windows)/control+command+F(Mac)で全画面にする
- 終わったら Esc で全画面を解除し、タブを閉じる
この方式の利点は後始末が要らないことです。電源設定を書き換えていないので、タブを閉じれば普段の消灯・ロックの挙動がそのまま戻ります。「イベントの間だけ」「会議の間だけ」のように期間が決まっている用途では、これが最も事故の少ない手です。
制約も押さえておきます。Wake Lock はそのページが画面に見えている間しか効きません。別のタブに切り替えたりウィンドウを最小化したりすると解除され、戻ってきても自動では復帰しないことがあります。だから全画面にして前面に置いておくのが前提になります。また、当然ながら画面は点きっぱなしなので、ノート PC をバッテリーで使うと消費は増えます。電源につないで使ってください。
Mihata が公開している「集中時計」も、この Wake Lock を使った[画面スリープ防止]の設定を持っています。ページを開いている間だけ画面が自動で消えないようにする作りで、インストールも会員登録も不要です。記事の途中で恐縮ですが、この用途にはそのまま使えるものだと思っておりますので、よろしければ実際の画面をご覧いただけたら嬉しいです。
ブラウザ時計そのものの選び方や見せ方は、全画面時計を PC で大きく表示する方法にまとめています。
OLED の焼き付きと、輝度の落とし方
「画面を消さない」という判断をする以上、ここは避けて通れません。有機EL(OLED)パネルは、同じ位置に同じ絵を出し続けると残像が残り、進行すると元に戻りません。Dell は OLED モニターのサポート文書で、有機材料の特性が変化すると回復できないため、画像の保持(焼き付き)は永続的であると説明しています。液晶(LCD)は原理上 OLED ほど焼き付きませんが、代わりにバックライトが確実に消耗します。
時計は「数字の位置が固定」「背景が動かない」という、焼き付きに最も不利な絵柄です。そのうえで出し続けるなら、次の4つで負担を下げます。
- 輝度を下げる:常時表示の時計に最大輝度は要りません。部屋が明るいなら30〜50%程度でも十分読めます。輝度は焼き付きと消費電力の両方に効く、最も費用対効果の高いレバーです。
- 背景を黒、文字を白にする:OLED は黒い画素を消灯させるため、黒背景は発光面積そのものを減らします。
- 位置が動く表示を選ぶ:時計の位置がゆっくり移動する表示(バーンイン対策モード)があるなら使います。スクリーンセーバ方式が有利なのもこの理由です。
- 用途が終わったら消す:一番効きます。「会議の間だけ」「イベントの間だけ」と決めて、終わったら閉じる運用にします。
夜間に机の上で光らせ続ける場合は、輝度の落とし方そのものが快適さに直結します。具体的な調整は夜まぶしくない時計表示にする方法が参考になります。焼き付きとバッテリー消費のトレードオフは時計の常時表示とバッテリー消費・焼き付きの関係でも掘り下げています。
目的別・どれを選ぶか
やりたいこと | 選ぶ手 | 理由 |
|---|---|---|
作業中に画面が消えるのが煩わしい | ①消灯時間を延ばす | 一度直せば済む。離席すれば消える |
離席中も時刻を見せたい(共用 PC) | ②スクリーンセーバ(Mac)/③全画面(Windows) | 復帰時パスワードと両立できる |
会議・イベントの間だけ大きく出す | ③ブラウザ全画面 | 終われば設定が元に戻る |
受付・工房などに常設したい | ③+専用の端末/サブモニター | メイン PC の電源設定を汚さない |
メイン画面は使いつつ時計も出したい | ③をサブモニターで | 作業画面と表示画面を分けられる |
常設用途では、使っていない古いノート PC やタブレットを表示専用にしてしまうのが結局いちばん安上がりです。サブモニターがある環境なら、サブモニターを時計にする方法のように、片側だけを時計にする構成も取れます。
よくある落とし穴
- スリープを「なし」にして戻し忘れる:社外に持ち出したときに自動ロックが働かず、離席時に画面が見えたままになります。恒久設定を変えるなら、必ず「ロックまでの時間」は短いままにしてください。
- グループポリシーで上書きされている:会社支給の PC では、設定を変えても再起動やログオンのたびに元に戻ることがあります。この場合、OS 設定を直すのではなく手③に切り替えるのが早いです。
- Wake Lock がいつの間にか外れている:別タブへ切り替えた、OS が低電力モードに入った、バッテリー残量が少ない、といった条件で解除されます。長時間使うなら、電源に接続して全画面のまま前面に置いておくのが確実です。
- バッテリー節約機能が勝つ:Windows の「バッテリー節約機能」や Mac の「低電力モード」がオンだと、ブラウザ側の抑止より OS の省電力が優先される場面があります。うまくいかないときは、まずここを疑ってください。
- 輝度が最大のまま:焼き付きも電気代も輝度に比例します。常時表示に切り替えたら、輝度を下げるところまでをセットで行います。
まとめ
「画面を消さずに時計だけ出す」は、スリープを切ることではありません。必要な時間・必要な画面にだけ効かせるほど、副作用が小さくなります。まず消灯時間を延ばし、離席中も見せたいならスクリーンセーバ(Mac なら標準で時計が出せます)、期間限定ならブラウザ全画面と Wake Lock。この順に試せば、電源設定を壊さずに目的を達成できます。
Mihata では、こうした「現場の小さな面倒」を Web の仕組みで解く仕事をしています。社内の掲示や受付の表示、業務の定型作業まわりで困っていることがあれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
スリープを完全にオフにしてはいけませんか?
禁止ではありませんが、最後の手段です。自動ロックが働かなくなるためセキュリティ上のリスクがあり、戻し忘れると常時点灯で電力とパネルを消耗します。まずは画面が消えるまでの時間を延ばす、ブラウザのタブを開いている間だけ点灯させる、といった範囲の狭い手から試してください。
Windows 11 に時計のスクリーンセーバーはありますか?
標準ではありません。設定→個人用設定→ロック画面→スクリーンセーバーから待ち時間などは設定できますが、選べるのは3Dテキストや写真などで、3Dテキストで表示できるのは固定の文字列です。Windows で離席中も時刻を出したい場合は、時計ページをブラウザで全画面にする方法が現実的です。
Mac で時計の表示設定が「ロック画面」に見当たりません。
macOS 26 Tahoe では、大きな時計を出すかどうか・表示場所・フォント・太さの設定は「システム設定 > 壁紙」の時計の外観にまとまっています。表示場所を「スクリーンセーバとロック画面」にすると、放置後の画面にも時計が出ます。復帰時のパスワード要求だけは従来どおり「ロック画面」側です。
ブラウザで画面を点けたままにする機能が途中で切れます。
Screen Wake Lock はそのページが画面に見えている間しか効きません。別のタブに切り替えた、ウィンドウを最小化した、OSの低電力モードやバッテリー節約機能がオンになった、といった条件で解除されます。電源に接続し、全画面のまま前面に置いておくのが確実です。
時計を出しっぱなしにすると焼き付きますか?
有機EL(OLED)では起こり得ます。Dell は、有機材料の特性が変化すると回復できないため焼き付きは永続的だと説明しています。輝度を下げる、黒背景に白文字にする、位置が動く表示を選ぶ、用途が終わったら消す、の4つで負担を下げられます。液晶は焼き付きにくい代わりにバックライトが消耗します。