資料を映したまま席を立ったら画面が消えていた。長い処理を回している最中にスリープした。会議室のモニターに時計を出していたのに真っ暗になった——パソコンが勝手にスリープする問題は、原因も対処も場面によって変わります。
結論から言うと、対処は「OSの電源設定を変える(恒久)」と「その場だけブラウザで防ぐ(一時的)」の2択です。会社のPCで設定変更が制限されている、あるいは常時スリープしない設定にはしたくない、という人には後者が現実的です。この記事では、Windows 11とmacOSの公式手順を確認したうえで、ブラウザで一時的に防ぐ仕組みと、その方法が効かなくなる条件まで正直に書きます。
Windows 11でスリープしないようにする
Microsoftの公式手順では、次の場所で変更します。
スタート > 設定 > システム > 電源とバッテリー > 画面、スリープ、休止状態のタイムアウト
ここに2種類の設定があります。混同しやすいので分けて理解してください。
- 画面をオフにする時間: ディスプレイだけが消える。PC自体は動き続ける
- デバイスをスリープ状態にする時間: PC本体が休止する。処理も止まる
いずれも「バッテリー駆動時」と「電源接続時」で別々に設定できます。ノートPCでスリープを止めたいなら、電源接続時だけを「なし」にしておくのが無難です。バッテリー側まで無効にすると、カバンの中で電池が尽きます。
あわせて確認したいのが設定 > システム > 電源とバッテリー > 電源モードです。ここが「トップクラスの電力効率」になっていると、バックグラウンドの動作が抑えられます。処理を回し続けたい場面では見直す価値があります。
macOSでスリープしないようにする
macOSは、ディスプレイのオフとロックの設定がロック画面にまとまっています。
アップルメニュー > システム設定 > サイドバーの「ロック画面」
ここで、バッテリー駆動時/電源アダプタ接続時それぞれの「使用していないときにディスプレイをオフにする」時間と、「スクリーンセーバの開始後またはディスプレイがオフになった後にパスワードを要求」までの猶予を設定します。電源に接続しているときだけディスプレイオフを「しない」にしておけば、デスクでの表示は消えなくなります。
設定を変えずに、ブラウザだけで一時的に防ぐ
「共用PCなので電源設定は触れない」「今日この会議の間だけ消えなければいい」——このケースには、ブラウザ側からOSに「今は画面を消さないで」と伝える標準の仕組みがあります。Screen Wake Lock APIです。
MDNの説明では、電子書籍・ナビゲーション・レシピ・プレゼン・バーコード読み取りといった「画面を見続ける」用途のためのAPIとされています。対応状況としてはSafariも16.4で搭載しており、WebKitの公式リリース記事に「Screen Wake Lock APIは、デバイスが画面を暗くしたりロックしたりするのを防ぐ仕組みを提供します」と明記されています。MDN上では2025年3月時点でBaseline(主要ブラウザで新たに利用可能)扱いになりました。
Mihataが無料公開している集中時計は、このスリープ防止を既定でオンにしています(設定でオフにもできます)。会議室のモニターやサブディスプレイに時計を出しっぱなしにする使い方が多いためです。実装は二段構えにしてあります。
- まず標準の
navigator.wakeLock.request("screen")を試す - 非対応・拒否された場合は、無音の極小動画をループ再生するという古典的な代替手段に切り替える(動画再生中はOSが画面を消しにくいという性質を使ったもの)
標準のロックが取れているあいだは代替の動画を止めてバッテリー消費を抑え、標準ロックが外れたら即座に代替へ戻す、という切り替えも入れています。取得に失敗したときは1秒→2秒→4秒→8秒→16秒→30秒→60秒と間隔を広げながら再取得を試み、以降は60秒ごとに健全性を確認し続けます。
この方法が「効かなくなる」条件
ここが一番大事なところなので、正直に書きます。Screen Wake Lockはいつでも勝てるわけではありません。MDNには、次の場合にロックが自動解除されると明記されています。
- そのタブが非表示になった(別タブに切り替えた、ウィンドウを最小化した)
- OS側が上書きした(バッテリー残量が少ない、低電力モード/バッテリーセーバーが有効)
- ユーザーやプラットフォームの設定で禁止されている
つまり「時計のタブを表に出したまま」が前提です。裏に回した瞬間に解除されます。集中時計側では、タブが再び表示されたとき、ウィンドウにフォーカスが戻ったとき、履歴で戻ってきたときにそれぞれ再取得を試みる作りにしていますが、裏に回っている間まで画面を維持することは仕様上できません。
iPhone・iPadは追加で注意が要ります。代替手段の動画再生が自動再生ブロックに引っかかったり、アプリスイッチャーから戻った直後にユーザー操作を要求されたりします。集中時計では「次に画面をタップした瞬間に黙って取り直す」リスナーを仕込んでいますが、それでも一瞬の空白は起こりえます。長時間の常時表示が本当に必要なら、iOSの設定 > 画面表示と明るさ > 自動ロックを「なし」にするほうが確実です。
また、Screen Wake LockはHTTPSのページでしか使えません(セキュアコンテキスト必須)。社内のhttpのページに時計を貼っても効かない、という落とし穴があります。
どちらを選ぶかの判断軸
状況 | 向いている方法 |
|---|---|
自宅の自分のPC・毎日スリープを止めたい | OSの電源設定を変更(恒久) |
会社の共用PC・設定変更が制限されている | ブラウザのスリープ防止(一時的) |
今日の会議・研修のあいだだけ | ブラウザのスリープ防止(一時的) |
長時間の処理・レンダリングを回す | OSの電源設定(+電源モードも見直す) |
ノートPCをバッテリーで持ち歩く | 電源接続時だけ変更。バッテリー側は残す |
一時的な方法は「タブを表に出しておく」という制約とセットです。逆に言えば、画面に何かを出しっぱなしにしたい用途とは相性が完璧です。会議室のモニターに大きな時計を映す、サブディスプレイを時計にする、といった使い方なら、そもそもタブを裏に回しません。具体的な作り方は全画面時計をPCで大きく表示する方法やWindowsのデスクトップに時計を常時表示する方法にまとめています。Chromebookの場合はChromebookで時計を常時表示する方法が近道です。
できないこと・注意点
- タブを裏に回すと解除される。仕様であり回避手段はありません
- 低電力モード・バッテリーセーバー中はOSが優先。ブラウザ側から覆せません
- HTTPSでないページでは動きません
- 「スリープ」自体を止めるものではありません。Screen Wake Lockが防ぐのは画面のオフ/ロックで、システムのスリープを完全に禁止するAPIではありません。本体の休止まで止めたい場合はOS設定が必要です
- ブラウザによっては、ユーザーがスリープ防止を無効化できるUIを持ちます
まとめ
恒久的に止めたいならWindowsは「電源とバッテリー > 画面、スリープ、休止状態のタイムアウト」、Macは「システム設定 > ロック画面」。設定を触れない・今日だけでいいなら、スリープ防止を内蔵したブラウザページを開きっぱなしにするのが早いです。ただしタブを表に出しておくことと低電力モードでは効かないことの2点だけは、事前に理解しておいてください。
Macでスタンバイ時計をおしゃれに常設したい場合は、スリープ設定の考え方に加えてMacスタンバイ時計の作り方も参考になります。
PC全般でおしゃれな時計ウィジェットを常設したい方はおしゃれな時計ウィジェットをPCに常設する方法もあわせてご覧ください。
よくある質問
Windows 11でスリープしないようにするにはどこを設定しますか?
「スタート > 設定 > システム > 電源とバッテリー > 画面、スリープ、休止状態のタイムアウト」です。「画面をオフにする時間」と「デバイスをスリープ状態にする時間」は別物で、それぞれバッテリー駆動時と電源接続時を個別に設定できます。ノートPCなら電源接続時だけ「なし」にするのが安全です。
Macで画面が消えないようにする設定はどこですか?
「アップルメニュー > システム設定 > ロック画面」です。バッテリー駆動時/電源アダプタ接続時それぞれの「使用していないときにディスプレイをオフにする」時間と、パスワード要求までの猶予をここで変更します。
会社のPCで電源設定を変えられません。他に方法はありますか?
ブラウザのScreen Wake Lock APIを使うページを開いておく方法があります。Mihataの集中時計はこのスリープ防止を既定でオンにしており、URLを開くだけで画面のオフを一時的に抑えられます。ただしそのタブを表に出しておく必要があります。
ブラウザのスリープ防止が効かないのはどんなときですか?
(1)そのタブが非表示になった(別タブに切り替え・ウィンドウ最小化)、(2)バッテリー残量が少ない、または低電力モード/バッテリーセーバーが有効、(3)ページがHTTPSでない、の3つが代表的です。いずれもMDNに自動解除の条件として記載されています。ブラウザ側から覆すことはできません。
iPhoneやiPadでも画面を消さずに使えますか?
Safari 16.4以降はScreen Wake Lockに対応しています。ただし自動再生の制限やアプリ切り替えの影響で一瞬途切れることがあります。長時間の常時表示が必要なら、iOSの「設定 > 画面表示と明るさ > 自動ロック」を「なし」にするほうが確実です。
Screen Wake Lockを使えばパソコンのスリープ自体を止められますか?
止められません。このAPIが防ぐのは画面のオフやロックであり、システム全体のスリープを禁止するものではありません。長時間の処理を確実に完走させたい場合は、OSの電源設定でスリープのタイムアウトそのものを変更してください。