Windows 11 のロック画面に時計が出ない、あるいは出てもすぐ真っ暗になる——これは故障ではなく、Microsoft が「仕様(by design)」と明記している動作です。Microsoft の公式サポート記事は、PC をロックすると既定で60秒の無操作でディスプレイの電源が切れると説明しています。しかも、コントロールパネルの「ディスプレイの電源を切る」設定を変えてもこの動作は変わりません。
この記事では、①どこで時計が消えているのかを切り分ける ②ロック中のタイムアウトを実際に伸ばす手順 ③スクリーンセーバーで時計を出す方法とその限界 ④そもそも常時出したい場合の確実なやり方、の順に解説します。
結論:原因は「時計の設定」ではなく「画面が消えている」
「ロック画面の時計が表示されない」という相談のほとんどは、時計そのものの設定ではなくディスプレイが消灯していることが原因です。Windows 11 のロック画面には時計の表示/非表示を切り替えるスイッチが用意されておらず、ロック画面が表示されていれば時計は出ます。したがって切り分けるべきは「時計が出ないのか、画面が出ないのか」です。
症状 | 実際に起きていること | 対処の方向 |
|---|---|---|
ロック直後は見えるが約1分で真っ暗 | コンソールロック時のディスプレイ消灯(既定60秒) | powercfg で VIDEOCONLOCK を変更 |
数分〜十数分で画面が消える | 通常の画面オフ/スリープのタイムアウト | 設定 > システム > 電源 で調整 |
ロック画面が出ずサインイン画面が直接出る | キー入力やマウス操作でロック画面をスキップしている | 仕様。何も触らなければロック画面が出る |
ずっと点いているが時計を大きく見たい | ロック画面の時計はサイズ変更・位置変更ができない | スクリーンセーバーかブラウザ全画面で代替 |
本命:ロック中だけ効いている「60秒」を伸ばす
Microsoft のサポート記事「Monitor powers off when computer is locked」(元 KB 番号 2835052、Windows 8 以降 Windows 11 まで該当)は、この挙動をはっきり説明しています。要点は3つです。
- PC をロックすると、既定で60秒の無操作でディスプレイの電源が切れる
- これは設計どおりの動作であり、既定では Windows の UI から設定できない
- コントロールパネルの「ディスプレイの電源を切る時間の指定」はサインイン中のアイドル時にだけ効き、ロック中には影響しない
ここが「電源設定を長くしたのにロック画面の時計が1分で消える」の正体です。ロック中の消灯タイマーは VIDEOCONLOCK という別のパラメータで管理されており、サインイン中の VIDEOIDLE とは独立しています。
方法A:powercfg でロック中のタイムアウトを直接指定する
管理者としてコマンドプロンプト(またはターミナル)を開き、Microsoft が案内している次のコマンドを実行します。秒数は任意です。
- powercfg.exe /setacvalueindex SCHEME_CURRENT SUB_VIDEO VIDEOCONLOCK [秒数]
- powercfg.exe /setactive SCHEME_CURRENT
たとえば 1800 を指定すればロック中30分は画面が点いたままになります。0 を指定すると消灯しない設定になりますが、その場合は同じ画面を出し続けることになるため、後述の焼き付き・消費電力の注意点を踏まえて判断してください。
注意点として、Microsoft はこれらのコマンドが「AC 電源(電源に接続中)」の設定にだけ適用されると明記しています。ノートPC でバッテリー駆動時にも同じ挙動にしたい場合は、/setacvalueindex の代わりに /setdcvalueindex を使います。「デスクでは消えないのに、電源を抜くとすぐ消える」という現象はこれが理由です。
方法B:隠れている設定項目を電源プランに表示させる
コマンドを毎回打ちたくない場合は、Windows 10/11 では「コンソール ロック ディスプレイ オフ タイムアウト」という設定項目自体を電源プランの詳細設定に出すことができます。管理者権限のコマンドプロンプトで次を実行します。
- 表示する: powercfg.exe -attributes SUB_VIDEO 8EC4B3A5-6868-48c2-BE75-4F3044BE88A7 -ATTRIB_HIDE
- 隠す: powercfg.exe -attributes SUB_VIDEO 8EC4B3A5-6868-48c2-BE75-4F3044BE88A7 +ATTRIB_HIDE
実行後、コントロールパネルの電源オプションで「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」→「ディスプレイ」の中に項目が現れ、GUI で分数を指定できるようになります。共用PCや会社支給PCではセキュリティポリシーの対象になり得るため、管理者に確認してから変更してください。ロック画面が消えないということは、席を離れている間ずっと画面が点灯しているということでもあります。
前段の確認:そもそもスリープに入っていないか
ロック中の60秒問題を解決しても、その先にスリープが控えています。Windows 11 では 設定 > システム > 電源(&バッテリー) > 画面、スリープ、休止状態のタイムアウト で、デバイスを使っていないときに画面をオフにするまでの時間と、スリープに入るまでの時間を、電源接続時とバッテリー駆動時のそれぞれについて指定できます。
「時計として点けっぱなしにしたい」なら、少なくとも画面オフとスリープの両方を「なし」または十分長い値にしておく必要があります。スリープに入ってしまえばロック画面もスクリーンセーバーも表示されません。PC をスリープさせない設定は パソコンをスリープさせない方法(Windows・Mac の設定と一時対処)に手順をまとめています。
加えて、対応機種ではプレゼンス センシング(人が離れたことを検知して画面をオフ/ロックする機能)が有効になっていることもあります。「席を立つとすぐ消える」なら、こちらも設定を確認してください。
スクリーンセーバーで時計を出す方法と、その限界
ロック画面にこだわらず「画面に時刻を出し続けたい」だけなら、スクリーンセーバーという選択肢があります。設定 > 個人用設定 > ロック画面 の下部にある関連設定から「スクリーン セーバー」を開きます。
ただし現実的な制約が2つあります。
- Windows 11 に標準で入るスクリーンセーバーは「3D テキスト」「バブル」「ブランク」「ラインアート(ミスティファイ)」「リボン」「写真」の6種類で、時刻を表示できるのは 3D テキストの「時刻」オプションだけです
- 3D テキストは文字が回転して動くため、時刻を「ちらっと確認する」用途には向いていても、常に視界の端で時間を把握する用途には向きません
また、スクリーンセーバーの設定画面にある「再開時にログオン画面に戻る」にチェックが入っていると、マウスを動かした瞬間にサインイン画面になります。セキュリティ上は推奨される設定ですが、「時計を見るたびにパスワード入力」という運用になる点は理解しておいてください。
確実なのは、ブラウザを全画面にして時計にすること
ここまで読んでお気づきのとおり、Windows のロック画面とスクリーンセーバーは「席を離れている間に画面を守る」ための機能であって、時計として設計されたものではありません。時刻を常に大きく見えるようにしたいなら、サインインしたまま、ブラウザで時計ページを開いて全画面(F11)にするのが最も確実で、設定変更もコマンドも不要です。
この方法なら、①60秒問題もロック解除の手間も発生しない ②サブディスプレイに置けば作業を邪魔しない ③文字サイズが大きく離れた席からでも読める、という利点があります。デスクトップに時計を常駐させる具体的な手順は Windows のデスクトップに時計を常時表示する方法(インストール不要のブラウザ時計)で詳しく解説しています。大きく映したい場合は 全画面時計を PC で大きく表示する方法もあわせてどうぞ。
私たちも「集中時計」という無料の Web 時計を公開しています。インストール不要・登録不要で、ブラウザを開いて全画面にするだけで大きなデジタル時計になります。記事の途中で恐縮ですが、自分たちの作業でも毎日使っているものなので、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。
点けっぱなしにする前に知っておきたい注意点
ロック中の消灯を無効にする、あるいはブラウザ時計を出し続ける場合、次の2点は正直にお伝えしておきます。
- セキュリティ:ロック中に画面が点いたままになるということは、席を離れている間もロック画面の情報(通知の件数や日時、壁紙)が第三者から見える状態になります。共用スペースでは推奨しません
- 消費電力と表示パネルへの負担:同じ静止画を長時間表示し続ける運用になります。ノートPC のバッテリー駆動時は特に消費が増えるため、必要な時間帯だけに限る運用が無難です
この点でも、時計を出しっぱなしにするのは「作業中のサブディスプレイ」、席を離れるときは通常どおりロックして消灯という使い分けが、結局いちばん現実的です。
まとめ:確認する順番
- ロック後約1分で消えるなら、コンソールロック時の消灯(既定60秒)。VIDEOCONLOCK を変更する
- 数分〜十数分で消えるなら、設定 > システム > 電源 の画面オフ/スリープのタイムアウト
- ノートPC で電源を抜くと挙動が変わるなら、/setdcvalueindex 側が未設定
- 時計を大きく見たいだけなら、ロック画面ではなくブラウザ全画面が最短
「時計が見えない」という小さなストレスは、毎日積み重なると集中の質に効いてきます。設定と格闘するより、目的に合った表示手段を選ぶほうが早く片づくことが多い領域です。
よくある質問
Windows 11 のロック画面で時計だけを非表示・表示に切り替えられますか?
Windows 11 のロック画面には時計の表示/非表示を切り替える設定は用意されていません。ロック画面が表示されていれば時計も表示されます。
ロック画面が約1分で真っ暗になるのはなぜですか?
Microsoft の公式サポート記事によると、コンソールがロックされている間は既定で60秒の無操作でディスプレイの電源が切れる設計になっています。コントロールパネルの「ディスプレイの電源を切る」設定はサインイン中にだけ効き、ロック中には影響しません。
ロック画面の消灯時間はどうやって変更しますか?
管理者権限のコマンドプロンプトで powercfg.exe /setacvalueindex SCHEME_CURRENT SUB_VIDEO VIDEOCONLOCK [秒数] を実行し、続けて powercfg.exe /setactive SCHEME_CURRENT を実行します。バッテリー駆動時に適用したい場合は /setdcvalueindex を使います。
設定画面から変更する方法はありますか?
powercfg.exe -attributes SUB_VIDEO 8EC4B3A5-6868-48c2-BE75-4F3044BE88A7 -ATTRIB_HIDE を実行すると、電源プランの詳細設定に「コンソール ロック ディスプレイ オフ タイムアウト」の項目が表示され、GUI で変更できるようになります。
スクリーンセーバーで時計を表示できますか?
Windows 11 標準のスクリーンセーバー6種類のうち、時刻を表示できるのは「3D テキスト」で「時刻」を選んだ場合だけです。文字が回転して動くため、常に時間を把握する用途には向きません。
常に大きな時計を出しておくにはどうすればよいですか?
サインインしたままブラウザで時計ページを開き、F11 で全画面にするのが最も確実です。ロック中の消灯時間の変更もコマンド操作も不要で、サブディスプレイに置けば作業の邪魔にもなりません。