「AI検索に自社が出てこない」「検索からの流入が落ちた」という相談が増えています。そこで目に入るのが「LLMO対策」という外注サービスですが、価格の幅が広く、何にいくら払うのかが分かりにくいのが実情です。この記事は、LLMOの手順そのものではなく「誰に・いくら払って・何を任せるか」を判断するための材料をまとめます。
結論から書きます。LLMO対策の外注費用は、単発の診断が数万〜80万円前後、設計・実装が80〜250万円前後、継続の運用コンサルが月額20〜80万円前後というのが公開されている料金表の目安です。一定規模以上の企業を対象にした2026年7月の調査(418名)では、外注費の最多回答は月額40万円(18.4%)でした。ただしこの帯は従業員30名以上・年商5億円以上の企業の数字であり、中小企業がそのまま払う必要はありません。そして最も大事な前提として、Googleは「AI機能に出るための特別なマークアップやllms.txtは不要」と公式に明言しています。つまり費用の大半は、魔法の技術ではなくコンテンツの制作・改善と計測に消えていきます。
LLMO対策の費用相場|作業の種類別に分けて見る
「LLMO対策 費用」で出てくる金額がバラバラなのは、作業の種類が違うものを同じ言葉で呼んでいるからです。まず種類ごとに分けます。以下はWeb制作・SEO支援会社が公開している料金レンジ(SEデザインの公開記事)と、調査データを並べたものです。
作業の種類 | 費用の目安 | 期間 | 成果物の実体 |
|---|---|---|---|
初期診断・現状調査(単発) | 数万〜80万円前後 | 2〜4週間 | 引用状況の調査レポート・改善方針 |
設計・実装(単発) | 80〜250万円前後 | 1〜3か月 | ページ改修・技術面の修正・計測環境 |
運用コンサル(継続) | 月額20〜80万円前後 | 3〜12か月 | 定例報告・改善提案・記事の企画 |
大規模・多言語・EC | 月額50〜150万円前後+初期費用 | 半年〜1年 | データ構造設計を含む全体最適 |
記事制作(本数課金) | 1本あたりの単価で別建てになることが多い | 都度 | 公開された記事そのもの |
調査側の数字も見ておきます。株式会社PRIZMAが2026年7月23〜27日に実施したインターネット調査(対象:LLMO対策を外注している従業員30名以上・年商5億円以上の企業の担当者418名)では、月額費用の最多回答が40万円(18.4%)、次いで50万円(17.2%)、30万円(15.1%)でした。支払い方法は「初期費用+月額」が31.3%で最多、成果報酬型はわずか1.9%です(PRIZMAの調査リリース)。
ここで注意したいのは、成果報酬型がほぼ存在しないという事実そのものです。理由は後述しますが、LLMOには検索順位のような公式の指標がなく、支援側も「成果」を約束しにくい領域だからです。「月額30〜50万円が相場」という言葉だけを持ち帰らず、自社の規模でその作業量が必要かどうかを先に考えてください。
費用が妥当かどうかを自分で判断したい場合は、回収期間から逆算するのが早道です。考え方はコンテンツSEOの費用対効果と回収期間の計算式にまとめています。
「LLMO対策」として売られているものの中身を分解する
見積書に「LLMO対策一式」と書かれていたら、必ず中身を開いてください。実務で見かけるメニューを、Googleが公式ドキュメントで示している見解と並べると、何に払う価値があるのかがはっきりします。
メニュー名 | 実際にやっていること | Google公式の見解 | 払う価値 |
|---|---|---|---|
専門コンテンツの制作 | 一次情報・独自視点の記事を書く | 「独自の視点を持つ、コモディティでないコンテンツ」が最も効く、と明記 | 高い。費用の主役はここ |
既存記事のリライト | 古い記事の情報更新・構成整理 | 読者のために整理するのは推奨。ただし「AI向けに書き直す」必要はない | 中〜高。中身を足すなら価値あり |
引用状況のモニタリング | AI検索での露出・言及を定点観測 | Search Consoleの生成AIレポートで表示回数を確認できる | 中。手段と頻度を要確認 |
技術面の整備 | インデックス・クロール・表示速度・重複解消 | 索引され、スニペット表示可能であることが表示の前提 | 中。ただし通常のSEOと同じ作業 |
構造化データ実装 | schema.orgのマークアップ追加 | 「生成AI検索に構造化データは必須ではなく、特別なスキーマも不要」 | 低〜中。リッチリザルト目的なら価値あり |
llms.txt の設置 | AI向けの説明ファイルを置く | 「Google検索は使っていない」と明言 | 低い。単体で高額請求は要注意 |
コンテンツのチャンク化 | AIが読みやすいよう細切れにする | 「細かく分割する必要はない」 | 低い |
外部メディアへの言及獲得 | 他サイトでの露出を増やす | 「不自然なメンションの獲得は見た目ほど有効ではない」 | 低い。人工的な手法は避ける |
出典はGoogle検索セントラルの「生成AI検索への最適化」ガイドです。同ガイドは「AEO/GEOのハックより、基本的なSEOを優先してください」と結論づけています。
つまり、LLMO専用の魔法に払うお金はほとんど無いというのが公式見解に沿った読み方です。逆に言えば、見積りの中でコンテンツ制作の工数が薄いのに月額が高い提案は、根拠を尋ねる価値があります。施策そのものの手順を自分で確認したい場合は、LLMOのやり方を7手順で解説した記事が対応します。
計測でできること・できないこと
発注前に知っておくべき制約があります。Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」は2026年8月31日に全サイトへ展開されましたが、使える指標は表示回数(インプレッション)だけです。ディメンションはページ・国・デバイス・日付で、クエリ別の内訳や、どの回答で引用されたかは分かりません(Search Consoleヘルプ)。クリック数や掲載順位も提供されていません。
また、Search Consoleの[設定]>[検索の生成AI]では、自サイトを生成AI機能から除外することもできます(既定は「含める」)。除外設定が入ったままだと、どれだけ記事を作っても検索の生成AI機能には出ません。発注先には、この設定の確認を最初に依頼してください。
ChatGPT側も同様です。OpenAIは、検索回答への表示を担うクローラーが OAI-SearchBot であり、これをブロックしているサイトはChatGPTの検索回答に表示されないと明記しています。学習用の GPTBot を拒否しても検索露出には影響しません(OpenAI公式のクローラー仕様)。robots.txt の1行が原因で「AI検索に出ない」状態になっていることは、実務でも珍しくありません。
流入側の計測をどう組むかは、AI検索からの流入をGA4で計測する方法で具体的な設定手順を扱っています。
外注できる部分と、自社にしか出せない部分
ここが発注判断のいちばん大事な線引きです。Googleが最も重視すると明言しているのは「独自の視点」「一次体験」であり、それは外注先が持っていない情報です。
外注に任せやすい | 自社でしか用意できない |
|---|---|
技術面の診断と修正(インデックス・速度・重複) | 実際の施工事例・導入前後の数字 |
競合と検索意図の調査、記事の企画・構成 | 顧客からよく出る質問と、現場の回答 |
文章の執筆・編集・公開作業 | 失敗談、断った案件、やらない理由 |
計測環境の構築と定例レポート | 自社の価格・条件・対応範囲の正確な情報 |
既存記事の棚卸しと更新計画 | 担当者の実名・経歴・資格(E-E-A-Tの根拠) |
実務でうまくいく分担は、ヒアリング1時間を月1〜2回だけ自社が負担し、残りの作業は外に出す形です。逆に「丸投げで一次情報もそちらで作ってください」と頼むと、どこにでもある一般論の記事が積み上がります。それはGoogleが「コモディティコンテンツ」と呼んで評価しないと明言しているものそのものです。
すでにAI Overviewsの表示で流入が減っているなら、外注の前に痛みの構造を把握しておくと発注内容がぶれません。AI Overviewsでアクセスが減ったときの対策で、どの種類のクエリから先に削られるかを整理しています。
私たちMihataも、SEO記事をAIで作って運用するAIブログ運用のサービスを提供しています。記事の途中で恐縮ですが、上の分担表でいう「調査・構成・執筆・公開・計測」の側を月額で引き受け、一次情報のヒアリングだけお願いする形です。自社で回す前提の方にも判断材料になると思いますので、よろしければ料金や進め方だけでも見ていただけたら嬉しいです。
発注前に必ず聞く8つの質問
相見積りを取るときは、金額ではなく答え方を比べてください。以下は実務で効く質問です。
- この契約における「成果」の定義は何ですか。(表示回数か、流入か、問い合わせ件数か)
- その成果を何で計測しますか。Search Consoleの生成AIレポートは表示回数しか出ませんが、それ以外に何を見ますか。
- 引用が取れなかった月は、費用や作業内容がどう変わりますか。
- 月額に含まれる記事の本数と、追加時の単価はいくらですか。
- 一次情報はどうやって集めますか。(ヒアリングの頻度・時間・誰が同席するか)
- 公開した記事の著作権と、解約後の扱いはどうなりますか。
- llms.txtや構造化データを提案する場合、それを何のために入れますか。(Googleは必須でないと明言している前提で聞く)
- robots.txtとSearch Consoleの生成AI設定は確認しましたか。
3番の答え方で相手の姿勢がよく分かります。「必ず引用されます」と即答する会社は避けてください。逆に「表示回数は追えますが引用は保証できません。だから記事の資産性で評価しましょう」と説明する会社は信頼できます。契約書の条項まで踏み込むなら、SEOコンサルの費用相場と契約前の質問の整理が流用できます。
正直に書いておく注意点
売る側が言いたがらないことを並べます。
- LLMOに順位という公式指標はありません。Googleが提供するのは表示回数だけで、掲載順位もクリック数も生成AIレポートには含まれません。「順位が上がりました」という報告が来たら、それは通常の検索順位の話です。
- 引用は保証できません。AI回答は同じ質問でも出力が揺れ、どのページを引くかはその都度変わります。「必ず引用される」と約束する業者は、原理的に守れない約束をしています。
- 効果が出るまでの時間は通常のSEOと同じです。生成AI機能はGoogleの検索ランキングを基盤にしているため、索引されて評価されるまでの時間は短縮されません。
- 「LLMO専用」の技術に高額を払う必要はありません。Googleが不要と明言しているllms.txt・チャンク化・AI向けの書き直しが見積りの主要項目なら、金額の根拠を確認してください。
- 成果報酬型はほぼ市場に存在しません。前述の調査でも1.9%です。「成果報酬でやります」という提案があれば、何をもって成果とするかを書面で固めてください。
中小企業が小さく始めるなら、この順番
月額30万円から始める必要はありません。実務では、次の順に潰すのが費用対効果が高いやり方です。
- 無料で確認できる設定を先に見る。Search Consoleの[設定]>[検索の生成AI]が「含める」になっているか、robots.txtで OAI-SearchBot を弾いていないか。ここは0円で、外注しても数時間の作業です。
- 単発の診断だけ買う。数万〜数十万円で現状と優先順位が出れば、その後を自社で回す選択肢が残ります。いきなり年間契約を結ばない。
- 記事制作に予算を寄せる。自社の一次情報を載せた記事を月2〜4本、継続して出す。ここが結局いちばん効きます。
- 3か月は表示回数と流入だけ見る。引用の有無に一喜一憂せず、指名検索と問い合わせ件数の変化を追う。
この順番なら、最初の3か月を月10万円前後の予算でも始められます。効果が確認できてから継続支援へ広げるほうが、解約時の痛みも小さくなります。
自社のサイトで何から手をつけるべきか分からない、見積りの妥当性を第三者に見てほしい、といった段階でしたらお気軽にご相談ください。提案の中身を一緒に読むだけでも、判断の材料は増えると思います。
よくある質問
LLMO対策の費用相場はいくらですか?
公開されている料金表では、単発の診断が数万〜80万円前後、設計・実装が80〜250万円前後、継続の運用コンサルが月額20〜80万円前後です。2026年7月のPRIZMAの調査(従業員30名以上・年商5億円以上の企業418名)では月額40万円が最多回答でしたが、これは一定規模以上の企業の数字なので、中小企業がそのまま払う必要はありません。
LLMO対策は外注しないとできませんか?
できます。Googleは生成AI機能に出るための特別なマークアップやllms.txtは不要と明言しており、必要なのは独自の視点を持つコンテンツと通常のSEOの基本です。まずSearch Consoleの生成AI設定とrobots.txtを確認し、単発の診断だけ買って自社で回す進め方も現実的です。
LLMOの成果はどうやって計測しますか?
Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで表示回数を確認できます。2026年8月31日に全サイトへ展開されましたが、使える指標は表示回数のみで、クエリ別の内訳・クリック数・掲載順位は提供されていません。実務では指名検索数や問い合わせ件数と併せて評価します。
「必ずAIに引用されます」という業者は信用できますか?
避けたほうが無難です。AI回答は同じ質問でも出力が揺れ、引用されるページもその都度変わるため、原理的に保証できません。実際、外注費の支払い方法のうち成果報酬型は1.9%しかなく、支援側も成果を約束しにくい領域であることを示しています。
構造化データやllms.txtは入れたほうがいいですか?
Googleは生成AI検索に構造化データは必須ではなく特別なスキーマも不要、llms.txtはGoogle検索が使っていないと公式ガイドで明言しています。構造化データはリッチリザルト目的では引き続き有効ですが、これらが見積りの主要項目になっている場合は金額の根拠を確認してください。