Mihata
仕事効率化(DX)2026.09.19

マラソンのペース計測方法|1kmラップの取り方と早見表

マラソンのペースは「1kmあたり何分何秒」という形で管理します。目標タイム(分)÷42.195で1kmあたりの分数が出るので、目標4時間なら240÷42.195=約5.69分、つまり1kmあたり5分41秒が基準ペースです。あとはこの数字を、①GPSウォッチやスマホアプリ、②トラック周回や1km区間でのストップウォッチのラップ、③心拍や主観的なきつさ、の3つで確かめていきます。

市民ランナーと部活の指導者に向けて、目標タイム別の早見表(すべて自分で計算して検算したもの)、3つの測り方の使い分け、GPSがずれる場面、ラップを押し忘れたときのリカバリまでをまとめました。特別な機材は要らず、スマホでブラウザのストップウォッチを開くだけでも1kmごとのラップは取れます。

ペースの基本は「1kmあたり何分何秒」。目標タイムから逆算する

計算式はひとつだけです。目標タイム(分)÷ 距離(km)= 1kmあたりの分数。出てきた小数部分に60を掛ければ秒になります。フルマラソンは42.195km、ハーフは21.0975kmです。

サブ4(4時間切り)で計算してみます。240分 ÷ 42.195km = 5.6878…分。小数部の0.6878に60を掛けると41.3秒なので、1kmあたり5分41秒です。逆に5分41秒ちょうどで42.195kmを走り切ると3時間59分47秒になり、13秒だけ余裕が出る計算になります。早見表の数字が「41秒」で切られているのは、こうして少し内側に丸めているからです。

もうひとつ覚えておくと便利なのが、1kmあたり1秒の差は、フルマラソンでは約42秒の差になるということです(42.195秒)。5分41秒と5分45秒では、ゴールタイムが約2分48秒変わります。「たかが数秒」に見える1kmラップのブレが、最後にどれだけ効くかはこの換算で見当が付きます。

目標タイム別ペース早見表(フル・ハーフ・トラック1周)

すべて42.195km/21.0975kmで割り直して計算した数値です。「トラック1周」は1kmあたりのペースに0.4を掛けた400mあたりのタイムで、トラック練習でそのまま目安に使えます。

フルの目標タイム

1kmあたり

同じペースのハーフ

トラック1周(400m)

3時間00分(サブ3)

4分16秒

1時間30分

1分42秒

3時間30分

4分59秒

1時間45分

1分59秒

4時間00分(サブ4)

5分41秒

2時間00分

2分17秒

4時間30分

6分24秒

2時間15分

2分34秒

5時間00分(サブ5)

7分07秒

2時間30分

2分51秒

5時間30分

7分49秒

2時間45分

3分08秒

6時間00分

8分32秒

3時間00分

3分25秒

サブ4の通過タイム(5km刻み)

レース当日に見るのは1kmラップよりも、給水所や5km表示での通過タイムです。4時間ちょうどでゴールする場合の通過は次のようになります。

地点

通過タイム

地点

通過タイム

5km

28分26秒

25km

2時間22分11秒

10km

56分52秒

30km

2時間50分38秒

15km

1時間25分19秒

35km

3時間19分04秒

20km

1時間53分45秒

40km

3時間47分30秒

ハーフ(21.0975km)

2時間00分00秒

ゴール

4時間00分00秒

この表を腕に書いて持ち込むと、時計を見るだけで今どれだけ前後しているかが分かります。スタート直後の混雑や給水で数十秒は簡単に前後するので、1地点だけで判断せず、2〜3地点の差の推移で見るのがおすすめです。

ペースの測り方は3つ。役割が違うので組み合わせる

「どれが一番正確か」という問いの立て方だと選べません。3つは測っているものが違うので、役割で分けて使います。

①GPSウォッチ・スマホアプリ(ふだんの記録の主役)

自動ラップを1kmに設定しておけば、走りながら1kmごとのペースが自動で刻まれます。手間がほぼゼロで、ロードでもトレイルでも使えるのが最大の利点です。ふだんの練習記録はこれで十分です。

一方で注意したいのは、GPSが出す距離はあくまで推定値だということです。米国政府のGPS公式サイトによると、GPS対応スマートフォンの精度は開けた空の下で半径4.9m程度で、建物・橋・樹木の近くではそれより悪化します。この誤差は位置ごとに乗るので、距離とペースにそのまま反映されます。

受信機側の対策としては、L1とL5の2つの周波数帯を受信するマルチバンドGNSSがあります。Garminは公式ブログで、壁や谷に反射した信号が混ざる環境や、樹木・林冠で信号が遮られる場面での追従性と精度が向上すると説明しています。ビル街や河川敷の橋の下を通るコースをよく走るなら、この設定を確認しておく価値があります。

②決まった距離+ストップウォッチのラップ(基準をつくる)

トラックや距離表示のある周回コースなら、距離のほうが先に確定しているので、測るべきは時間だけになります。GPSの推定を挟まないぶん、ペース感覚の基準づくりにはこちらが向いています。

やり方はシンプルで、1周ごとにラップを押していくだけです。400mトラックなら1kmは2周半なので、2周半ごとの合計で1kmラップを見ます。専用のストップウォッチが手元になければ、ブラウザのストップウォッチをスマホで開いてトラックサイドに置いておくだけでもラップとスプリットが残ります。指導者が複数人のタイムを読み上げながら押す場面では、画面が大きいほうが実際に楽です。無料で使えるWebツールの違いはストップウォッチでラップ記録できる無料Webツールの比較で整理しています。

トラックで測るときに一点だけ落とし穴があります。1周400mは「レーン1の計測線」を走った場合の長さで、World Athleticsの400mトラック標準図では、レーン1の計測線は縁石の外側0.30mの位置と定められています。レーン2以降は各レーンの内側ラインから0.20m外側が計測線で、400mのスタート位置の前後差(スタッガー)はレーン2で7.038m、レーン8で53.032mです。つまりレーン2を1周すると約407m、レーン8なら約453m走っていることになります。周回でペースを測るなら、毎回同じレーンを走る。これだけで記録の比較可能性が変わります。

③心拍・主観的運動強度(数字を信じすぎないための保険)

同じ5分41秒でも、気温30度と気温10度、睡眠6時間と8時間では体への負荷がまったく違います。ペースは結果を管理する指標であって、負荷そのものではありません。心拍計の数値や、「会話ができるか」といった主観的なきつさを併記しておくと、後から振り返ったときに「この日のペースは速すぎた」という判断ができます。

なお体調や持病に不安がある場合は、ペースや心拍の目標を決める前に医師など専門家にご相談ください。ここで扱っているのは時間の測り方・管理のしかたであり、運動強度の処方ではありません。無理のない範囲で進めるのが前提です。

練習で使う道具は、開いた瞬間に使えるものほど続きます。Mihataでは、ブラウザで開くだけの時計・タイマー・ストップウォッチを無料で公開しています。記事の途中で恐縮ですが、トラックサイドでそのまま使えるものなので、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

GPSがずれる場面と、手動計時が効く場面

「フルを走ったのに時計は42.6kmと表示された」はよくある話です。これはコースが長いのではなく、ほとんどの場合、自分の走行線がコースの計測ルートより長いことと、GPSの位置誤差が積み上がったことの合計です。

日本陸上競技連盟の紹介記事によると、ロードレースのコースはカウンターを付けた自転車で計測され、事前に400mの直線で校正(キャリブレーション)を行い、計測直後にも同じ校正をやり直して温度やタイヤの空気圧の変化を吸収しています。計測の基準になるのは走れる最短ルートで、道路の縁から30cmの線を通ります。実際のレースでは集団を避けて膨らみ、給水所で寄り、カーブの外側を通るので、走行距離は必ずこれより長くなります。

GPSが特に苦しいのは次のような場面です。

  • ビル街:建物に反射した信号が混ざり、位置が数十m飛ぶことがある
  • トンネル・高架下・地下道:信号が遮られ、区間を直線で補間される
  • 林間・樹木の多い公園:樹冠で減衰し、じわじわ誤差が乗る
  • トラックの周回:カーブが連続するため、実際の走行線より内側/外側に描かれやすい

だからこそ、シーズンに一度はトラックか距離表示のある区間で、ストップウォッチによる基準タイムを取っておくことをおすすめします。同じ日のGPSの表示と突き合わせれば、自分の時計が「長めに出る」のか「短めに出る」のかという癖が分かり、以降のGPSラップを補正して読めるようになります。

手動計時そのものにも癖があります。人が押す以上、ストップウォッチのタイムは電気計時より速めに出るため、公認記録と並べるときは加算して換算するのが通例です。この差の扱いは陸上のタイム計測とストップウォッチの使い方(手動計時+0.24秒)で詳しく説明しています。マラソンのペース管理では0.2秒の差は実害になりませんが、部活で短距離のタイムも測る指導者は知っておいて損はありません。

ラップとスプリットの違い、押し忘れたときのリカバリ

ペース計測でいちばん多いつまずきが、この2つの混同です。

  • ラップ:直前の区間だけのタイム(例:3km目にかかった5分41秒)
  • スプリット:スタートからの累計タイム(例:3km地点の17分04秒)

サブ4ペースで3kmまで走った場合の並びは次のようになります。

区間

ラップ

スプリット

1km目

5分41秒

5分41秒

2km目

5分41秒

11分23秒

3km目

5分41秒

17分04秒

重要なのは、スプリットさえ残っていればラップは引き算で復元できるが、ラップしか残っていない場合は押し忘れを取り返せないという非対称性です。記録用のツールを選ぶときは、ラップとスプリットの両方が残るものを選んでください。

押し忘れたときの対処は決まっています。

  • 1区間ぶん押し忘れた:その区間は「2km分のラップ」として扱い、2で割った平均として記録する。1kmずつの数値をでっち上げない
  • スタートを押し忘れた:区間ごとの相対的なペース比較はできるので、その日の絶対タイムは諦めて、ラップの推移だけを見る
  • 周回で押す位置がずれた:毎回ホームストレートの同じ目印(ゴールライン、特定のポール)で押すと決めておく。「体感で1周」は必ずずれる

インターバル走・ペース走は「時間」で管理すると崩れにくい

ペース走は距離基準(1kmラップを揃える)で問題ありませんが、インターバル走は走る時間とレストの時間を固定するほうが再現しやすくなります。距離基準だと、疲れて遅くなった分だけ1本あたりの所要時間が伸び、レストも伸び、メニュー全体の負荷が日によってバラバラになるためです。

崩れるのはたいてい休息側です。「3分レスト」のつもりが、息が整うまで待って4分半になっているというのは珍しくありません。走る側はストップウォッチ、休む側はWebタイマーでカウントダウンを固定してしまうと、メニューの形が毎回そろいます。ブラウザで開くタイプならスマホを地面に置いたまま音で管理でき、走り終わって画面を覗き込む必要もありません。

よく使われる組み立ての例を挙げます(あくまで型の例で、負荷の設定はご自身の状態に合わせてください)。

  • 1000m×5本/レスト3分:1本の走はストップウォッチのラップ、レストはタイマー3分固定
  • 3分走×5本/レスト90秒:走もレストもタイマー。距離は結果として記録する
  • ペース走10km:自動ラップ1kmで走り、目標ペースから±5秒に収まっているかだけを見る

この「休息を固定する」という発想はランニング特有のものではありません。同じ考え方をセット間休息に当てはめた話は筋トレのレストタイマーとセット間60/90/180秒の目安にまとめてあります。走る人が筋力トレーニングも並行しているなら、同じツールでそのまま回せます。

記録は「後で見返せる形」にしないと続かない

ペースを測っても続かない理由のほとんどは、測ったデータが後から比較できない形で散らばっていることです。最低限、次の5つが同じ場所に並んでいれば、判断の材料になります。

  • 日付と時刻(朝と夜では別物として扱う)
  • 距離とコース(同じコースの記録同士でしか比較しない)
  • 区間タイム(1kmラップ、または1周ラップ)
  • 体感(会話できたか、最後まで余裕があったか)
  • 気温・風・路面

凝ったアプリは要りません。同じメニューのラップを1行ずつメモに並べるだけでも、数週間で傾向は見えてきます。トラック練習なら、ストップウォッチの画面をスクリーンショットで残せばラップとスプリットが両方残ります。大事なのは形式ではなく、「同じ条件で並べられること」です。

まとめ

マラソンのペース計測は、次の順番で組み立てると迷いません。

  • 目標タイム ÷ 42.195 で基準ペースを出す(サブ4なら1kmあたり5分41秒、トラック1周2分17秒)
  • ふだんの記録はGPSウォッチの自動ラップに任せ、手間をかけない
  • シーズンに一度、トラックや距離表示区間でストップウォッチの基準タイムを取る。GPSの癖が分かり、以降の数値を補正して読める
  • ラップとスプリットを両方残す。スプリットがあれば押し忘れも復元できる
  • インターバルのレストはタイマーで固定する。メニューの形が毎回そろう
  • 心拍や体感を併記する。ペースは負荷そのものではない

GPSが出す距離は推定値であり、トラックの1周400mはレーン1の計測線の長さです。測り方の前提を知ったうえで数字を読めば、1kmラップのわずかなブレがゴールタイムでどれだけの差になるかまで見通せるようになります。

よくある質問

サブ4のペースは1kmあたり何分何秒ですか。

1kmあたり5分41秒です。240分÷42.195kmで計算すると5.6878分となり、小数部に60を掛けて41.3秒なので5分41秒になります。400mトラックなら1周2分17秒、5km通過28分26秒、ハーフ通過2時間00分00秒、30km通過2時間50分38秒が目安です。

GPSウォッチとストップウォッチはどちらが正確ですか。

測っているものが違うので、役割で分けて使います。GPSは距離を推定しているため、GPS.govによればスマートフォンでも開けた空の下で半径4.9m程度の誤差があり、建物・橋・樹木の近くではさらに悪化します。トラックや距離表示のある区間は距離が先に確定しているので、ストップウォッチで時間だけを測るほうが基準づくりには向いています。

GPSの距離が42.195kmより長く出るのはなぜですか。

コースが長いのではなく、走行線が計測ルートより長いことと、GPSの位置誤差が積み上がることの合計です。日本陸上競技連盟によると、ロードレースのコースは自転車にカウンターを付けて走れる最短ルート(道路の縁から30cmの線)で計測されています。実際のレースでは集団を避けて膨らみ、給水所に寄るため、走行距離は必ずこれより長くなります。

トラックでペースを測るとき、レーンは気にしたほうがいいですか。

はい。1周400mはレーン1の計測線(縁石の外側0.30m)を走った場合の長さです。World Athleticsの400m標準トラックの図では、400mのスタッガーはレーン2で7.038m、レーン8で53.032mとされており、レーン2を1周すると約407m、レーン8なら約453m走ることになります。比較できる記録にするには、毎回同じレーンを走ってください。

ラップとスプリットはどう使い分けますか。

ラップは直前の区間だけのタイム、スプリットはスタートからの累計タイムです。スプリットが残っていればラップは引き算で復元できますが、ラップしか残っていないと押し忘れを取り返せません。記録用のツールは両方が残るものを選び、1区間ぶん押し忘れたときはその区間を2km分の平均として扱ってください。

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