Mihata
仕事効率化(DX)2026.09.04

SEO外注|契約書 確認9条項と危ない書き方【2026】

SEO外注で揉めるのは、たいてい記事の出来そのものではありません。「これは修正に入るのか」「解約したら記事は誰のものか」といった、線引きが書かれていない場所で止まります。そして線引きは、提案書ではなく契約書にしか残りません。

この記事は、SEO・記事制作を外注するときに契約書のどこを見るかだけに絞ってまとめました。費用の相場や、業者に投げる質問の作り方は別の記事に譲り、ここでは条文の言い回しだけを扱います。読む順番は、成果物の権利 → 検収と修正 → 出口(解約)です。この順で見ると、危ない契約書はだいたい最初の3つで分かります。

契約書で確認するのは「品質」ではなく「線引き」

SEO外注の契約書は、たいてい先方の雛形が出てきます。雛形が悪いという話ではなく、雛形は受注側が困らないように書かれているだけです。発注側が困る場面——修正が止まらない、解約後に記事が使えない、順位が動かないのに費用だけ続く——は、雛形では想定されていません。

なので確認の目的は、相手を疑うことではなく、お互いが同じ絵を見ているかを文字で確かめることです。口頭で「もちろん御社のものになります」と言われた内容が、条文だと逆になっていることは珍しくありません。悪意がなくても、雛形を使い回していればそうなります。

費用感そのものの相場観はSEO記事の外注費用SEOコンサルの月額費用で整理しています。この記事は、その見積もりに添えられてくる契約書の側だけを見ます。

確認する9条項:ありがちな書かれ方 × こう直してもらう

まず一覧です。左が条項名、真ん中が雛形でよく見る書き方、右が発注側から出す修正案です。全部を通す必要はありません。1〜3が通らない相手とは、その先を詰めても意味が薄いという順に並べてあります。

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条項

ありがちな書かれ方

こう直してもらう

1

成果物の著作権

「本件成果物の著作権は、代金完済をもって甲に移転する」とだけ書かれている

「著作権法第27条および第28条の権利を含む一切の著作権を譲渡する」と特掲してもらう

2

著作者人格権

記載なし

「乙は甲および甲の指定する第三者に対し著作者人格権を行使しない」を入れてもらう

3

二次利用の範囲

「本件ウェブサイトへの掲載を目的とする」と用途が限定されている

自社媒体・広告・資料・書籍などへの転載と改変を、期間・地域の制限なく認めてもらう

4

検収基準

「甲の検査に合格したときをもって納品とする」(基準も期限もない)

検査項目(キーワード・文字数・構成・一次情報の有無)と、検査期間・無通知時の扱いを日数で書く

5

修正回数

「軽微な修正は無償で対応する」(何が軽微かは書いていない)

無償修正の回数を数字で決め、事実誤りと指示との相違は回数に含めないと明記する

6

解約予告期間

「甲は1か月前に書面で通知して解約できる」だけ、または受注側だけに即時解除権がある

双方対等な予告期間にし、途中解約時の既履行分の精算方法(着手・初稿・納品の段階別)を書く

7

順位保証

「検索順位◯位以内を保証する。未達の場合は翌月無償」

順位の保証条項は入れない。KPIは公開本数・表示回数・クリック数など、双方が観測できる指標にする

8

再委託

「乙は本業務の全部または一部を第三者に再委託できる」

事前承諾または事前通知を条件にし、再委託先にも同等の秘密保持義務を課す旨を書く

9

データ・権限の帰属

記載なし(アカウントは受注側が作って持っている)

GA4・Search Console・CMSは自社アカウントを親にし、契約終了時の権限削除とデータ引き渡しを条文にする

この表をそのまま先方に送っても構いません。9項目すべてに理由を説明できる相手なら、契約後の運用も揃っていることが多いです。

1〜3:著作権は「譲渡する」だけでは足りない

いちばん多い取りこぼしがここです。著作権法第61条第2項は、「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する」と定めています。第27条は翻案権(=書き換える権利)、第28条は二次的著作物の利用権です。

つまり「著作権を譲渡する」とだけ書いた契約書では、納品された記事をあとから自社でリライトする権利が、受注側に残っていると推定されることになります。SEO記事は公開して終わりではなく、半年後に加筆したり構成を組み替えたりするのが前提なので、ここが抜けているのは実害が出ます。「第27条および第28条の権利を含む」の一言を足してもらうだけで済みます。

あわせて著作者人格権も見ておきます。同法第59条は「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」としており、譲渡はそもそもできません。実務では代わりに「行使しない」という不行使の約束を入れる形が広く使われています。無断で見出しを直したときに氏名表示や同一性保持を持ち出されないための備えです。

4〜5:検収と修正回数は「日数」と「除外」で書く

検収条項で危ないのは、基準がないことよりも期限がないことです。「甲の検査に合格したとき」とだけ書くと、発注側が忙しくて放置した納品物がいつまでも未検収のまま残り、支払いも権利移転も宙に浮きます。受注側にとっても不利なので、ここは双方の利益が一致します。「納品後7営業日以内に書面で指摘がなければ合格とみなす」といった形が扱いやすいでしょう。

修正回数は、回数そのものより何を1回と数えるかです。実務では次の3つを分けて書くと揉めにくくなります。

  • 事実誤り・指示との相違の訂正——回数に含めない(そもそも仕様を満たしていないため)
  • 構成やトーンの変更——回数に含める(発注側の判断が変わったため)
  • 公開後の追記・リライト——別費用(納品後の新しい作業のため)

なお民法第637条は、請負の目的物が契約の内容に適合しない場合、注文者がその不適合を知った時から1年以内に通知しなければ、追完請求や損害賠償ができなくなると定めています。検収で見落とした事実誤りを後から言うときの期限がここになるので、社内の確認体制と合わせて見ておくと安心です。

6:解約予告は「出口」から先に読む

契約書は入口から読みたくなりますが、SEO外注は出口の条文で損得が決まります。半年やって数字が動かなかったときに、何か月分を払って抜けられるのかが実質的なリスク量だからです。

参考までに、民法の原則では請負契約は第641条により「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」とされ、委任契約は第651条により各当事者がいつでも解除できます。ただしどちらも損害賠償の話が残るため、実務では契約書に予告期間と精算方法を書いて、その不確実性を消しておくのが普通です。

見るポイントは3つだけです。予告期間が双方同じか、最低契約期間(縛り)の長さと自動更新の有無、そして途中解約時に着手済み・初稿提出済みの記事をいくらで精算するか。3つ目が書かれていない契約書はかなり多く、抜けるときに必ず交渉になります。

Mihataでも記事制作を受けていますが、契約書に順位保証は入れず、著作権は第27条・第28条を含めて全部お渡しする形にしています。条文の考え方も含めてAIブログ運用代行のサービス内容に書いてあるので、比較検討のたたき台としてお使いください。

7:「順位保証」「上位表示保証」はなぜ危ないのか

これは好みの問題ではなく、Google自身が名指しで注意を促している論点です。Google 検索セントラルの「SEO業者が必要かどうか」というページでは、「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」とした上で、サイトの掲載順位を保証すると主張する業者、Googleとの「特別な関係」を強調する業者、Googleへの「優先登録」を宣伝している業者には注意が必要だ、と述べられています。

ではなぜ保証が成立してしまうのか。契約書を読むと、たいてい保証の定義が緩められています。よくある逃げ道は次のようなものです。

  • 検索ボリュームがほぼゼロの複合キーワードで達成する(「地域名+業種+こだわりの◯◯」など)
  • 測定に使う場所・端末・ログイン状態を指定していない(パーソナライズで結果が変わる)
  • 未達時の救済が「翌月無償」だけで、契約期間が長いほど発注側の損が積み上がる

もし先方が順位保証をどうしても外せないと言うなら、せめて対象キーワードの月間検索ボリューム、測定条件、未達時の解約権の3点を条文に落としてもらってください。3点とも書けるなら、それは実質的に保証ではなく成果条件なので、判断できる話になります。

あわせて、Googleが挙げている「注意が必要な業者」の特徴には、事前承認なしの営業メールや、数千の検索エンジンへの登録申請の効果をうたうこと、サイト変更の理由を明確に説明しないことなども含まれています。契約書だけでなく、そこに至るまでの接触の仕方も判断材料になります。

8〜9:再委託・秘密保持と、取適法(旧・下請法)が効く場合

再委託そのものは悪ではありません。SEO記事の制作は、ディレクションと執筆が分かれているのが普通です。確認したいのは、誰が書いても同じ秘密保持義務がかかるかと、生成AIに何を入力してよいかの2点です。後者は雛形にはまず書かれていないので、こちらから足す項目になります。自社の未公開情報や顧客名を、学習に使われる設定のツールへ入れない、といった具合です。

データと権限も同じ発想です。GA4やSearch Consoleを受注側のアカウントで作られてしまうと、解約と同時に過去の計測履歴ごと失います。アカウントの所有者は自社、代行会社にはアクセス権を付与するだけにして、契約終了時に権限を削除する手順まで書いておくのが安全です。

もうひとつ、発注側の規模によっては法律が味方になります。2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(通称:取適法。旧「下請代金支払遅延等防止法」=下請法)は、記事制作のような情報成果物作成委託について、委託事業者が資本金5千万円超または従業員100人超で、受注側がそれ以下という場合に適用されます。公正取引委員会のリーフレットでは、委託事業者に4つの義務と11の遵守事項が課され、禁止項目のひとつとして「不当な給付内容の変更、やり直し」——中小受託事業者に責任がないのに、発注の取消しや発注内容の変更を行ったり、無償でやり直しや追加作業をさせることが挙げられています。

これは発注側にとっては「やりすぎると違法になる」線でもあり、同時に契約書の修正回数条項を常識的な水準に保つ根拠にもなります。適用の有無は資本金・従業員数で決まるので、自社がどちら側かは一度確認しておくとよいでしょう。

確認の進め方:30分で終わらせる順番

全条項を法務レベルで読む必要はありません。実務では次の順で見れば足ります。

  1. 著作権の条文を検索する——「27」「28」の数字があるか。無ければ追記依頼(5分)
  2. 解約・有効期間の条を読む——予告期間、最低期間、自動更新、途中精算(10分)
  3. 検収・修正の条を読む——日数が書いてあるか、無償の範囲が定義されているか(5分)
  4. 保証の文言を探す——「保証」で検索して順位保証が無いか確認(3分)
  5. 残り(再委託・秘密保持・データ)をまとめて1通で質問する(7分)

修正依頼は、条文案を添えて出すと通りやすくなります。「著作権のところ、27条28条を含む形にしていただけますか」のように、相手が差し替えるだけで済む形にするのがコツです。

契約書を見る前段階、つまり業者そのものの選び方はAI記事作成代行の選び方チェックリストにまとめてあります。

よくある質問

よくある質問

「著作権を譲渡する」と書いてあれば十分ではないのですか?

足りないことがあります。著作権法第61条第2項は、譲渡契約で第27条(翻案権)または第28条(二次的著作物の利用権)が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定する、と定めています。納品後に自社でリライトする前提なら、27条・28条を含む旨を明記してもらってください。

著作者人格権も譲ってもらえますか?

譲渡はできません。著作権法第59条で著作者人格権は著作者の一身に専属し譲渡できないと定められています。実務では代わりに、著作者が権利を行使しないという不行使の約束を契約に入れる形が広く使われています。

順位保証をうたう会社は避けたほうがよいですか?

Google 検索セントラルは、Googleで一番上に掲載されることは誰にも保証できないとした上で、掲載順位を保証すると主張する業者には注意が必要だとしています。どうしても保証条項を残すなら、対象キーワードの検索ボリューム、測定条件、未達時の解約権の3点を必ず条文に書いてもらってください。

修正回数は何回にするのが妥当ですか?

回数より、何を1回と数えるかの定義が先です。事実誤りや指示との相違の訂正は回数に含めない、構成やトーンの変更は含める、公開後の加筆は別費用、というように種類で分けて書くと揉めにくくなります。

解約するとき、書いてあるべきことは何ですか?

予告期間が双方同じか、最低契約期間と自動更新の有無、そして途中解約時に着手済み・初稿提出済みの記事をいくらで精算するか、の3点です。3つ目は抜けている契約書が多く、実際に抜けるときの交渉材料になります。

契約書の条文だけを見てもらう相談も承っています。自社の雛形でよいのか迷っている段階でも構いません。

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