「スマホで見ると文字が小さく、指で広げないと読めない」。そんな自社サイトを前に、まず知りたいのは「直すのにいくらかかるのか」と「そもそも直すべきか、作り直すべきか」の2点だと思います。
結論から書きます。スマホ対応の改修費用は「どこまで直すか」ではなく、既存サイトのHTMLとCSSが手直しできる形になっているかでほぼ決まります。ページ数が少なく、HTMLが1ページ1ファイルで素直に書かれていれば、CSSの追加と viewport の設定だけで部分対応が成立します。逆に、レイアウトが表組み(テーブル)で組まれている・画像に文字が焼き込まれている・スマホ用に別ドメイン(m.〜)を持っている、のいずれかに当てはまると、部分対応の工数が作り直しを上回りやすく、作り直しのほうが安く早く終わります。判断材料は見積書ではなく、貴社サイトのソースの中にあります。
そしてこれは、もう「余裕があればやる」課題ではありません。Googleは2024年7月5日以降、すべてのサイトをスマートフォン用Googlebotのみでクロール・インデックスすると公式に告知し、「コンテンツをスマートフォンでまったく閲覧できないウェブサイトは、インデックス登録の対象外となります」と明記しています(Google 検索セントラル ブログ)。検索に載るか載らないかの話になっています。
スマホ対応していないと、実際に何が起きるのか
影響は「見づらい」で止まりません。集客の入口そのものが細ります。
総務省『令和6年版 情報通信白書』によると、2023年の端末別インターネット利用率(個人)はスマートフォンが72.9%で、パソコンの47.4%を25.5ポイント上回っています(総務省 令和6年版 情報通信白書)。BtoBであっても、最初の接触が移動中のスマートフォンというケースは普通にあります。
そこにインデックスの話が重なります。Googleは2023年10月にモバイルファーストインデックスへの移行完了を宣言し、「スマートフォンからウェブサイトにアクセスしたときに表示されるコンテンツ」をインデックスの対象としました(Google 検索セントラル ブログ)。つまり、PC版にどれだけ丁寧な説明文が書かれていても、スマホで表示されないなら検索エンジンにとっては存在しないのと同じ扱いになります。
実務でよく見るのは、「順位が落ちた」ではなく「問い合わせフォームがスマホで押せないまま何年も放置されていた」というパターンです。順位が残っているぶん気づきにくく、流入はあるのにCVだけがゼロ、という状態が続きます。改修の費用対効果を測るときは、順位よりも先にこの取りこぼしを見てください。
改修費用を決める3つの変数
スマホ対応の見積金額は、次の3つでほぼ説明がつきます。逆に言うと、この3つを伝えられれば見積の精度は一気に上がります。
1. 改修範囲(ページ数ではなく「テンプレート数」)
費用は総ページ数に比例しません。効くのはレイアウトの種類の数です。トップ・一覧・詳細・お問い合わせの4種類しかなければ、200ページあってもCSSの調整対象は4パターンです。逆に、10ページしかなくても全ページが手作りで構造がバラバラなら、10回分の作業になります。見積もりを取るときは「何ページか」ではなく「同じ見た目のページがいくつあるか」を伝えるほうが正確です。
2. 既存サイトの構成(HTMLの書かれ方)
ここが最大の分岐点です。中身を見ずに金額だけ比べても意味がありません。具体的には次を確認します。
- レイアウトがテーブル(<table>)で組まれていないか:2000年代前半のサイトに多い構造。表組みは列幅が固定されるため、CSSだけで縦積みに変えるのは困難で、HTMLの書き換えが必須になります。
- 幅がピクセル固定になっていないか:width:950px のような固定値が全体に散っていると、1か所直すたびに別の場所が崩れます。
- 文字が画像に焼き込まれていないか:見出しやキャンペーン情報が画像の場合、縮小すると読めなくなります。文字を起こし直す作業が別途発生し、ここは制作というより編集の工数です。
- スマホ用に別ドメイン・別ディレクトリを持っていないか:m.〜 や /sp/ を分けている場合、統合の判断が絡むため部分対応では収まりません。
3. CMSの有無と、その状態
WordPressなどのCMSで動いていれば、テーマのCSSに手を入れるだけで全ページに反映できます。これが部分対応がいちばん安く済むケースです。ただし条件があります。テーマが更新可能な状態で、かつPHPやプラグインのバージョンが今も動く範囲にあること。数年放置されたWordPressは、CSSを触る前にPHPの更新で表示が崩れることが多く、その復旧に部分対応の予算を使い切ってしまいます。この場合は作り直しのほうが結果的に安くなります。
逆にCMSがなく静的HTMLだけの構成でも、テンプレート数が少なければ部分対応は十分に成立します。「CMSがない=作り直し」ではありません。
部分対応と作り直しの分岐点
上の3変数を、実務で使っている判断表に落とすとこうなります。
確認項目 | 部分対応で足りる | 作り直しを推奨 |
|---|---|---|
レイアウトの組み方 | div+CSSで組まれている | テーブルレイアウト/フレーム |
テンプレート数 | おおむね5種類以内 | ページごとに構造がバラバラ |
文字情報 | テキストで書かれている | 主要な文言が画像化されている |
CMS | 動いていて更新できる/静的でも整っている | 放置され更新すると壊れる状態 |
スマホ用URL | PCと同一URL | m.〜 や /sp/ で分離 |
ソースの入手 | FTP等で全ファイルを取得できる | 制作会社と連絡が取れずファイルがない |
直したい範囲 | 見た目が崩れる箇所だけ | 導線・問い合わせ設計も変えたい |
目安として、右列に2つ以上当てはまるなら作り直しを検討してください。部分対応は「安い選択肢」ではなく「条件が揃ったときだけ安い選択肢」です。条件が揃っていない状態で無理に部分対応を選ぶと、崩れの修正が延々と続き、最終的に作り直しの費用を上回ります。
最後の行は見落とされがちですが重要です。元のファイル一式が手元にないと、部分対応はそもそも見積もれません。制作会社と連絡が取れない、サーバーのログイン情報が分からない、という状態なら、実質的に作り直し一択です。この確認は改修の相談をする前に、貴社側で済ませておくと話が早く進みます。
なお「どの範囲を直すか」の前に、そもそも今リニューアルすべき時期なのかを整理したい場合は、ホームページをリニューアルすべき7つのサインをまとめた記事で全体の判断軸を確認してから戻ってくると、見積の読み方が変わります。
見積もりを取る前に、自分で確認できる3つのこと
専門知識がなくても、次の3点は貴社ご自身で確認できます。ここまで持って相談すれば、初回のやり取りが1往復で済みます。
viewport の指定があるか
PCのブラウザでサイトを開き、ページ上で右クリック →「ページのソースを表示」。<head> の中に <meta name="viewport"> という1行があるかを探します。この行がなければ、スマホ対応の作業は一切されていません。逆にこの行だけあってレイアウトが崩れている場合は、CSSの調整が中途半端に終わっている状態で、部分対応で直せる可能性が高くなります。
レイアウトがテーブルかどうか
同じソース画面で <table を検索(Ctrl+F/⌘+F)します。料金表など「表として意味のある表」ではなく、ヘッダーやメニューまで <table> で囲まれているなら、テーブルレイアウトです。作り直しを前提に話を進めたほうが安全です。
実機とブラウザの検証ツールで見る
かつて広く使われていたGoogleの「モバイルフレンドリー テスト」は2023年12月に提供を終了しています。現在は、Chromeの検証ツール(F12 → デバイスツールバー)で幅375px前後に切り替えて見るか、単純にご自身のスマートフォンで開くのが確実です。横スクロールが発生するか、フォームの入力欄と送信ボタンが指で押せるか——この2点だけでも、改修の緊急度は十分判断できます。
表示速度まで含めて整理したい場合は、スマホサイトの表示速度を改善する手順をまとめた記事も合わせてご覧ください。改修と同時にやると二度手間が減る領域です。
Mihataの場合の費用の考え方
ここで自社の話をさせてください。記事の途中で恐縮ですが、費用の実例が1つあると比較の軸ができると思うので、公開している内容だけをそのまま書きます。
Mihataのホームページ制作は、初期費用0円・月額10,000円〜(税別)の月額制です。月額ライトはLP1ページとお問い合わせフォーム、月額スタンダードは20,000円〜(税別)でトップ+下層5ページとブログ機能。いずれもサーバー・ドメイン維持費、SSL・セキュリティ更新、公開後の修正対応が月額に含まれます。まとめて資産として持ちたい場合は買い切りプランもあり、ライト30万円〜/スタンダード50万円〜/プレミアム80万円〜(いずれも税別)です。レスポンシブ対応は、どのプランにも標準で含まれます。
既存サイトの部分改修については一律の金額を出していません。上に書いたとおり、元のHTMLの状態で工数が10倍変わるためです。そのかわり、10個の質問に答えていただければ2営業日以内に貴社専用のサイトイメージを無料でお届けしています。作り直した場合の見た目を先に見てから、部分対応と比べて決めていただくのがいちばん判断を誤りにくい進め方だと考えています。見たうえでお断りいただいても費用はかかりません。
プランごとの内訳や含まれる範囲は、ホームページ制作の料金プランのページにすべて掲載しています。良いサービスだと思っておりますので、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。
改修でよくある失敗
最後に、実務で繰り返し見てきた落とし穴を3つだけ挙げます。
- トップページだけスマホ対応する:見た目のインパクトは大きいのですが、検索から入ってくるのは下層ページです。フォームと、問い合わせ直前に読まれるページ(料金・アクセス・実績)を優先してください。
- URLを変えてしまう:作り直しでページ構成を変えると、旧URLの評価が失われます。旧URLから新URLへ301リダイレクトを設定するところまでを、必ず見積の範囲に入れてください。ここが抜けた見積は安く見えます。
- 画像をそのまま流用する:PC向けの横長・大容量の画像をスマホでそのまま読み込ませると、レイアウトは直っても表示が遅くなります。改修時に画像の書き出しを見直すかどうかは、事前に確認しておく項目です。
スマホ対応は、直せば必ず順位が上がる施策ではありません。ただし、直さなければインデックスの土俵から外れうる、という意味では前提条件です。まずは viewport の1行を確認するところから始めてみてください。
判断に迷う場合や、ソースを見ても分からない場合は、URLをお送りいただければ現状の構成を確認したうえで、部分対応と作り直しのどちらが妥当かをお伝えします。
あわせて、SEO記事の外注費用の相場も参考にしてください。
よくある質問
スマホ対応の改修費用は、ページ数で決まりますか?
総ページ数ではなく、レイアウトの種類(テンプレート数)で決まります。同じ見た目のページが200ページあってもCSSの調整対象は1パターンです。逆に10ページでも全ページ構造がバラバラなら10回分の作業になります。見積もり依頼時は『何ページか』より『同じ見た目のページがいくつあるか』を伝えると精度が上がります。
部分対応と作り直しは、どこで線を引けばよいですか?
記事内の判断表で、右列(テーブルレイアウト・構造がバラバラ・文言の画像化・更新すると壊れるCMS・m.〜での分離・元ファイルが入手できない・導線も変えたい)に2つ以上当てはまるなら作り直しを検討してください。部分対応は条件が揃ったときだけ安く済む選択肢です。
スマホ対応していないと、検索結果から消えてしまいますか?
Googleは2024年7月5日以降、すべてのサイトをスマートフォン用Googlebotのみでクロール・インデックスすると告知し、コンテンツをスマートフォンでまったく閲覧できないウェブサイトはインデックス登録の対象外になると明記しています。スマホで何も表示されない状態は、検索に載らないリスクがあります。
自分のサイトがスマホ対応済みかどうか、簡単に確認する方法はありますか?
ページのソースを表示し、head内に meta name=viewport の1行があるかを探してください。この行がなければスマホ対応の作業はされていません。あわせて table を検索し、ヘッダーやメニューまで table で囲まれていればテーブルレイアウトで、作り直し寄りの判断になります。
Googleのモバイルフレンドリー テストは今も使えますか?
2023年12月に提供を終了しています。現在はChromeの検証ツールで幅375px前後に切り替えて確認するか、実際のスマートフォンで開くのが確実です。横スクロールが出ないか、フォームの入力欄と送信ボタンが指で押せるかの2点で緊急度は判断できます。
作り直す場合、今のURLはどうなりますか?
ページ構成を変えると旧URLの検索評価が失われます。旧URLから新URLへの301リダイレクト設定までを見積の範囲に必ず含めてください。この工程が抜けている見積もりは安く見えますが、公開後に検索流入を落とす原因になります。