Garminの時刻は、手で合わせて直すものではありません。Garminの公式マニュアルは「デバイスの時刻は、デバイスを同期したときに自動でアップデートされます」と明記しています。時刻はGPSかペアリング済みスマートフォンから取得される設計なので、ずれたときに見るのは時計の精度ではなく「どの時刻ソースが効いているか」です。
切り分けは3つだけです。①[時刻設定]が[自動]になっているか、②スマートフォン側の時刻が正しいか、③同期が実際に走ったか。公式マニュアルはスマートフォンとの接続条件として「スマートフォンがデバイスの10m(33ft)以内にあること」を挙げています。Bluetoothが切れたままの時計は、何時間でも古い時刻を表示し続けます。
Garminの時刻は3つのソースから来る
Garminのウォッチは、内部の水晶で時を刻みながら、外から正しい時刻を受け取って補正します。受け取り口は大きく3つです。GPS(衛星)、ペアリング済みスマートフォン、そしてPCのGarmin Express経由の同期です。
vívoactive 5の公式マニュアルは「デバイスの時刻は、ペアリング済みスマートフォンとのデータ同期時またはGPS受信時に、自動でタイムゾーンと現在時刻のデータを取得します」と説明しています。タイムゾーンまで一緒に来るのがポイントで、だからこそ海外へ出て同期しないまま使うと、時刻そのものがまるごとずれます。
[時刻設定]の[自動]と[手動]
fēnix 8シリーズの公式マニュアルでは、[時刻設定]について「自動のオプションを選択すると、GPSを受信したときに現在地のタイムゾーンの時刻に設定されます」とされています。そして[時刻]という項目は「時刻設定で手動のオプションを選択した場合に、時刻を手動で設定します」と書かれています。
つまり[手動]にしない限り、時刻を数字で入力する画面は出てきません。「手で直せない」と感じるのは故障ではなく、[自動]のままだからです。そしてほとんどの場合、直し方は[手動]に切り替えることではなく、[自動]のまま同期を走らせることです。
GPSで取り直すという最後の砦
スマートフォンが手元にない、あるいはペアリングが不調でも、衛星からは時刻を取れます。Instinctの公式マニュアルは「タイムゾーンとサマータイムを更新する場合には、次の手順でGPSとの時刻の同期を行います」として、SETキー長押しから[GPSで時刻設定]を選び、上空の開けた屋外で静止して受信を完了させる手順を案内しています。
この「屋外・上空が開けている・静止」という条件は軽視されがちです。室内の窓際や高層ビルの谷間では衛星を掴みきれず、同期したつもりで何も変わっていないことがあります。
スマートフォンが使えないときはPCから
公式マニュアルの手順には「デバイスをPCと同期します」という選択肢も並んでいます。PCにGarmin Expressをインストールしてデバイスを登録しておけば、USBケーブルで繋ぐだけで同期とソフトウェアの更新ができます。スマートフォンを買い替えた直後でペアリングが外れている、機種変更の最中でアプリに入れないといった場面では、こちらのほうが早いことがあります。
ここまでで分かるとおり、Garminの時刻は「どこか1か所から取ってくる」のではなく、GPS・スマートフォン・PCのどれか1つでも通れば直る作りになっています。1つの経路だけで粘らず、通る経路に乗り換えるのが最短です。
症状別の早見表|ずれ方で原因の当たりが付く
ずれの大きさと向きで、疑うべき場所はかなり絞れます。手元の症状に近い行から試してください。
症状 | 考えられる原因 | 最初に試すこと |
|---|---|---|
ちょうど1時間ずれている | サマータイムの切り替わりを同期で受け取っていない | スマートフォンと同期する。届かなければGPSで時刻を取り直す |
数時間単位でずれている | タイムゾーンが渡航前のまま、またはUTCのまま | [時刻設定]が[自動]か確認し、現地でGPS同期を実行 |
数分〜十数分ずれて止まっている | 長期間どのソースとも同期していない(内部時計のドリフト) | スマートフォンと同期。日付も合っているか併せて確認 |
秒だけ少しずれる | スマートフォン側の時刻が正しくない、または最後の同期が古い | スマートフォンの日時設定を自動に戻してから再同期 |
同期しても何も変わらない | Bluetooth切断・機内モード・距離オーバー | 10m以内に近づけ、Bluetoothと機内モードを確認 |
日付までおかしい | ソフトウェアの不具合、または衛星データの破損 | 再起動→ソフトウェアアップデートの順に試す |
時刻の「ずれ方」で原因を当てる考え方は、スマートウォッチ全般で共通です。Garmin以外の端末も併用しているならスマートウォッチの時刻がずれる原因と直し方もあわせて読むと、どこで分岐しているか掴みやすくなります。
機種別のメニュー名(公式マニュアルで確認できたもの)
やることは同じでも、メニューの入り口と項目名は世代とシリーズでばらばらです。ここでは公式マニュアルに記載があるものだけを挙げます。記載が見つからなかった機種は、誤った操作を案内しかねないので割愛しました。
シリーズ | 入り方 | 時刻まわりの項目名 |
|---|---|---|
fēnix 8 | ウォッチフェイスで左中央キー長押し→[ウォッチの設定]>[システム]>[時刻] | [時刻設定]/[時刻]/[時刻同期] |
Forerunner 955 | MENUキー長押し→[システム]>[時刻] | [時刻設定]/[時刻]/[GPSと同期] |
vívoactive 5 | 右下キー長押し→[アラーム&タイマー]>[時間] | [時刻設定]/[時間]/[時刻同期](同期中に[GPS使用]) |
Instinct(初代) | SETキー長押し→メニューをスクロール | [GPSで時刻設定] |
fēnix 8は[時刻同期]、Forerunner 955は[GPSと同期]と、同じ機能でも名前が違います。手元の時計に書かれていない名前を探しても見つからないので、まずは[システム]>[時刻](またはvívoactive系の[アラーム&タイマー]>[時間])まで入ってから、画面にある語を読んでください。
どうしても手動で合わせたいとき
公式マニュアルの手順では、[時刻設定]を[手動]に切り替えると[時刻]の項目が有効になり、数字で入力できます。ただし手動にすると、以降はGPSもスマートフォンも時刻を直してくれません。サマータイムの切り替えも海外のタイムゾーンも、すべて自分で直すことになります。
手動が向くのは、意図的に時刻を進めておきたい場合や、同期できない環境で使い続ける場合だけです。原因がBluetoothの切断なら、手動に逃げるとその不調が見えなくなるだけで、何も解決しません。
タイムゾーン・サマータイム・海外渡航
日本にいる限りサマータイムは関係ありませんが、海外へ出ると一気に効いてきます。vívoactive 5の公式マニュアルは、時刻が正しく表示されないときの手順として「システム設定の時刻設定が[自動]になっていることを確認」「PCまたはスマートフォンが正しい現在時刻を表示していることを確認」「デバイスをPC/スマートフォン/GPSと同期」の3段を挙げています。
渡航後にずれる典型は、機内モードのままスマートフォンを使っていて、着いてからも同期が一度も走っていないケースです。現地でGarmin Connectアプリを開いて同期するか、屋外でGPS同期を走らせれば、タイムゾーンごと現地時刻に入れ替わります。
帰国後も現地時刻を見たいとき
出張や旅行で「現地と日本の両方を見たい」のであれば、時刻そのものを動かす必要はありません。Instinctの公式マニュアルには、最大3つのタイムゾーンを表示できるAlt.タイムゾーンウィジェットの説明があり、初期設定では非表示になっていると注記されています。機種によって名称は異なりますが、同系の機能を持つモデルは多くあります。
逆に、帰国しても現地時刻のままという場合は、たいてい日本で一度も同期していないだけです。[時刻設定]を[自動]のまま、日本国内で同期を1回走らせてください。
記録の時刻だけがおかしいときは別の話
時計の表示は合っているのに、Garmin Connectに上がったアクティビティの開始時刻だけが違う。これは時計側のずれとは別の現象で、アップロード時にどのタイムゾーンで解釈されたかの問題です。
ただしこの設定については、Garminの公式ヘルプおよび公式マニュアルで該当ページを確認できなかったため、本記事では具体的なメニュー名や手順を書きません。フォーラムの投稿には手順を書いているものもありますが、公式の裏が取れないまま案内すると、見つからない項目を探させることになります。該当する症状であれば、Garminのサポートへ直接確認してください。
なお時計本体の表示が合っていれば、日常の時刻確認としては問題ありません。記録の時刻と表示の時刻は、同じ「時刻」という言葉でも別の層の話だと切り分けておくと、調べる先を間違えずに済みます。
秒単位のずれが残るとき|疑うのは時計より手元のスマートフォン
公式マニュアルがそろって「PCまたはスマートフォンが正しい現在時刻を表示していることを確認します」と書いているのは、ここが詰まりやすいからです。スマートフォンの時刻がずれていれば、同期した時計も同じだけずれます。スマートフォン側の日時設定を自動(ネットワーク提供の時刻)に戻してから、もう一度同期してください。
同期そのものが走っていない場合もあります。fēnix 8の公式マニュアルは、スマートフォンと接続できないときの対処として、両方の電源を入れ直す、スマートフォンのBluetoothをオンにする、Garmin Connectアプリを最新版にする、アプリからデバイスを削除して再ペアリングする、10m(33ft)以内に近づける、といった手順を挙げています。機内モードが入っていればBluetoothも落ちるので、ここも併せて確認する価値があります。
秒まで突き合わせたいときは、信頼できる時刻を別画面に出しておくと作業が速くなります。私たちはブラウザで動く全画面の時計を公開していて、秒表示の集中時計や、ラップを取れるブラウザのストップウォッチを、こうした突き合わせの基準として使っていただけます。
なお「電波で自動的に合うはずなのに合わない」という感覚は、電波時計の挙動と混同されやすいところです。GarminはGPSとスマートフォンを使い、標準電波は使いません。電波時計側の話は電波時計が受信しないときの確認手順にまとめています。
上から順に試す5ステップ
迷ったらこの順番で手を動かしてください。前の段で直ることが多いので、後ろの段まで行く必要はまずありません。
- スマートフォンの時刻が正しいかを目で確認する(ここがずれていれば同期しても意味がない)
- 時計の[時刻設定]が[自動]になっているかを確認する
- Bluetoothと機内モードを確認し、スマートフォンを10m以内に置いてGarmin Connectアプリで同期する
- 上空の開けた屋外に出て、GPSで時刻を取り直す
- 再起動し、ソフトウェアアップデートを当てる
5まで試して直らないときだけ、リセットを検討します。2から4までのどこかで直るケースが大半なので、先に端末を初期化してしまうのは割に合いません。
それでも直らないとき|再起動→更新→リセットの順
ここまでやって直らない場合は、設定の問題ではなくソフトウェア側を疑います。影響の小さい順に試すのが原則で、いきなりリセットしないでください。
1. 再起動
fēnix 8の公式マニュアルは、フリーズなどで応答しない場合の再起動として、電源がオフになるまで左上キーを長押しし、オフになったら再度長押しして起動する方法を案内しています。もうひとつの方法として、USB-Cの充電ポートに接続して30秒以上おき、ケーブルを一度外して再接続する手順も挙げられています。データは消えません。
2. ソフトウェアアップデート
公式マニュアルによれば、Garmin Connectアプリでデバイスのデータを同期すると、利用可能な更新ソフトウェアがある場合は自動でデバイスへ送信されます。PCから行う場合はGarmin Expressを使います。時刻や日付がおかしくなる不具合は更新で解消することがあるので、リセットの前に必ず挟んでください。
3. リセット(失うものを確認してから)
fēnix 8の公式マニュアルは、リセットを複数の選択肢に分けています。[設定リセット]はデバイスの設定を初期状態に戻しつつアクティビティと音楽のデータを残し、[データ削除と設定リセット]は設定を初期化したうえですべてのアクティビティと音楽データ、Garmin Payのウォレットまで削除するとされています。
ですから時刻のずれを直す目的なら、選ぶのは[設定リセット]です。実行前に必要なデータをGarmin Connectへ同期しておくことも、公式に求められています。それでも直らないときは、ハードウェア側の可能性が残るのでGarminのサポートへ相談するのが結果的に早いです。
ちなみに、クオーツや機械式の腕時計では「毎日少しずつ進む/遅れる」ことが仕様の範囲内です。同期しない時計のずれ方と比べたい方は機械式時計の時刻がずれる仕組みも参考になります。
まとめ
Garminの時刻は、GPSかペアリング済みスマートフォンから自動で取得される設計です。ずれたときは時計を手で合わせるのではなく、[時刻設定]が[自動]か、スマートフォン側の時刻が正しいか、同期が実際に走ったかの順で切り分けてください。1時間ならサマータイム、数時間ならタイムゾーン、秒単位ならスマートフォン側が怪しい、という当たりの付け方が使えます。再起動とソフトウェアアップデートを先に試し、リセットは[設定リセット]から選ぶのが安全です。
手順の確認には公式マニュアルがいちばん確実で、この記事もそこから辿れた範囲だけを書きました。業務の中の細かな確認作業を仕組みに落とす話であれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Garminの時刻を手動で合わせられないのはなぜですか?
[時刻設定]が[自動]になっていると、時刻はGPSかペアリング済みスマートフォンから取得されるため、数字を入力する画面が出てきません。公式マニュアルでは[時刻設定]を[手動]にしたときだけ[時刻]の項目で手入力できるとされています。
ちょうど1時間ずれているのはなぜですか?
サマータイムの切り替わりを同期で受け取っていない可能性が高いです。公式マニュアルは、タイムゾーンの変更時とサマータイムの更新時にはデバイスを同期する必要があると説明しています。スマートフォンと同期するか、屋外でGPS同期を実行してください。
GPSで時刻を同期する手順はどこにありますか?
機種によって名前が違います。fēnix 8は[システム]>[時刻]>[時刻同期]、Forerunner 955は[システム]>[時刻]>[GPSと同期]、Instinctの初代はSETキー長押しから[GPSで時刻設定]です。いずれも上空の開けた屋外で静止して受信を完了させます。
同期しても時刻が変わりません。どうすればいいですか?
まずスマートフォン側の時刻が正しいかを確認してください。そのうえで、Bluetoothがオンか、機内モードになっていないか、スマートフォンがデバイスの10m以内にあるかを確認します。公式マニュアルはアプリの更新と再ペアリングも対処として挙げています。
リセットすると何が消えますか?
fēnix 8の公式マニュアルでは、[設定リセット]は設定だけを初期状態に戻しアクティビティと音楽のデータを残します。[データ削除と設定リセット]はすべてのアクティビティと音楽データ、Garmin Payのウォレットも削除されます。時刻のずれを直す目的なら前者を選んでください。