Googleが2026年7月21日、新しい高速・低コストAIモデル「Gemini 3.6 Flash」を発表しました。日々の業務でAIをたくさん使う「働き者(ワークホース)」として位置づけられたモデルで、前世代の3.5 Flashから料金と処理効率が大きく改善しています。この記事では、Gemini 3.6 Flashの料金・使い方・3.5 Flashとの違いを、中小企業が使う視点でわかりやすく整理します。あわせて、2026年8月13日に一般提供(GA)が始まった後継のGemini 3.7 Flashとの関係と、いまどちらを選ぶべきかも整理します。
【2026年8月26日】Gemini 3.5 Transcribe が一般提供(GA)になりました。Flash 系とは別枠の音声認識専用モデルで、ファイル向けの gemini-3.5-transcribe と、WebSocket 双方向の gemini-3.5-transcribe-live の2本です。日本語を含む85言語超の自動判別、話者分離(最大8人)、単語単位のタイムスタンプ、最大1,000語のカスタム語彙に対応し、料金は音声1分あたり約0.005ドル(Live は約0.009ドル)。これまで Flash 系に音声を投げて文字起こしさせていた用途は、専用モデルのほうが単価も低く機能も揃っています。詳細はGemini 3.5 Transcribeの料金と日本語文字起こしの記事にまとめました。なお Flash 系そのものは、2026年9月2日に Gemini 3.8 Flash が一般提供(GA)となり、最新版がさらに1つ先へ進みました(下の節で詳しく扱います)。
結論から言うと、Gemini 3.6 Flashは2026年7月21日にGoogleが発表し、同日に一般提供(GA・正式版)を開始した高速・低コストモデルです。ただしFlash系はその後2代進み、2026年8月13日に Gemini 3.7 Flash、2026年9月2日に Gemini 3.8 Flash(モデルID: gemini-3.8-flash)がGAして、最新版はそちらへ移りました。3.6 FlashのAPI料金は、公開時の入力$1.50/出力$7.50から、2026年9月時点のGoogle公式料金ページでは入力$0.75/出力$3.75(100万トークンあたり・2026年12月31日まで。2027年1月1日から$1.50/$7.50)へ下がっています。3.7 Flash も 3.8 Flash もまったく同じ単価なので、これからAPIで新規に組むなら3.8 Flashを選ぶのが素直です(ただし後述のとおり、3.8 Flash は「よく考える」ぶんトークンを多めに使うことがあり、効率優先の処理では 3.7 Flash を続ける選択も公式に案内されています)。3.6 Flashは引き続き提供されており、3.5 Flash比で出力トークンの使用量を17%削減、コンテキストウィンドウは入力100万トークン、テキスト・画像・動画・音声・PDFに対応します。Geminiアプリなら一般ユーザーも無料枠で試せます。なお本記事の料金・提供状況は2026年9月1日時点のGoogle公式情報にもとづきます。2026年9月3日時点でGoogle公式のモデル一覧は、3.8 Flashを「our most intelligent Flash model(最も賢いFlashモデル)」、3.7 Flashを「高速で効率的なFlashモデル」、3.6 Flashを「Our previous-generation Flash model(前世代のFlashモデル)」と表記しており、3.6 Flashは提供継続中ながら位置づけは2つ後ろに下がっています。Geminiは更新が速いため、最新の数値はGoogle公式でご確認ください。
【2026年9月2日】Gemini 3.8 Flashと3.8 Flash CyberがGA|6週間で3世代目のFlash
Googleは2026年9月2日、Gemini 3.8 Flash(モデルID: gemini-3.8-flash)の一般提供(GA)を開始しました。Gemini APIのリリースノートには同日付で「Gemini 3.8 Flash generally available (GA)」「our most intelligent Flash model, engineered for long-horizon software engineering, autonomous agents, and complex enterprise workflows(長時間にわたるソフトウェア開発、自律エージェント、複雑な業務ワークフローのために設計された、最も賢いFlashモデル)」と記載されています。公式ブログは「3週間前の3.7 Flashに続き、6週間で3本目のFlashリリース」と自ら書いており、3.6 Flash(7月21日)→3.7 Flash(8月13日)→3.8 Flash(9月2日)と、Flash系はいま最も更新が速い系列です。
実務でまず押さえる点は3つです。①料金は3.7 Flashと完全に同額(入力$0.75/出力$3.75・100万トークンあたり・2026年12月31日まで。2027年1月1日から$1.50/$7.50。バッチは半額の$0.375/$1.875、コンテキストキャッシュは$0.075、無料枠あり)。②入出力の器も同じ(入力100万トークン/出力6.4万トークン、テキスト・画像・動画・音声・PDF入力、テキスト出力、知識のカットオフは2026年3月)。③つまり同じ値段・同じ器で中身だけが良くなったので、これから新規に組むなら3.8 Flashが素直な既定値になります。
ただし移行前に必ず確認したい非互換が1つあります。3.8 Flash の thinking(思考モード)は low/medium/high の3段で、minimal は非対応でエラーになります(公式モデルページに明記)。3.6/3.7 Flash で「定型処理は minimal で最安に倒す」という組み方をしている場合、モデルIDを差し替えただけでその呼び出しが落ちます。あわせて 3.8 Flash は Live API と画像生成に非対応(Computer use はプレビュー対応、Batch/Flex/Priority は対応)なので、音声のリアルタイム対話を含む実装は素直に移りません。
性能面では、Googleは長時間のソフトウェア開発を測る DeepSWE v1.1 で「より大きく高価なフロンティアモデルの多くを上回る」とし、HLE-Verified で54.9%、金融の Vals Finance Agent V2 や法務の Harvey's Legal Agent Benchmark でも3.7 Flashを上回ったと公表しています。一方で公式は「3.8 Flash はより働く(works harder)=複雑なタスクでは推論の手数とツール呼び出しが増え、とくに高いエフォートではトークンを多く使うことがある」とも明記し、計算コスト優先の用途では低いエフォートを使うか、引き続き3.7 Flashを使うことを公式に案内しています。単価が同じでも実費は用途で逆転しうる、という点は見落としやすいところです。
安全性の公表値には、素直に「悪くなった」と書かれている項目もあります。公式モデルカードの内部評価では、テキスト安全性は3.7 Flash比で-0.4pp(低いほど良い)と改善している一方、多言語(非英語)の安全性は+5.4pp と悪化し、不当な拒否も+1.1ppと増えています。日本語で運用する場合は、モデルを上げたら自社の評価データで拒否率と誤検知を測り直すのが安全です。
同時に発表されたGemini 3.8 Flash Cyberは、脆弱性の発見と自動修正に特化したセキュリティ向けモデルで、誰でも使えるモデルではなく、Googleの新しい「Fairwind Program」を通じて信頼できる防御側(trusted defenders)にのみ提供されます。公表値は、脆弱性発見のCyberGymで従来の3.5 Flash Cyberと大型フロンティアモデルを上回る、20言語のコードベースを対象にした社内ベンチで成功率70%超、修正パッチのCWE-Benchで pass@1 47.2%(首位モデルは47.8%だが3.8 Flash Cyberは大幅に低コスト)。実運用の例として、Chromeセキュリティチームでははるかに大きい商用モデルより正しいパッチを2.6倍多く生成し、Wizの社内ペネトレーションテスト評価では再現率が7.5〜9.7ポイント高く、コストは2.3〜5.2分の1だったと公表されています。「攻撃側の能力より修正(パッチ)を先に伸ばす」という設計方針を明示している点が、この系列の特徴です。
中小企業の実務としては、Cyber版は当面「使えるかどうかを検討する対象」ではありません(申込み型の限定プログラム)。まず効くのは通常の3.8 Flashのほうで、同じ料金のまま長い手順の自動化が通りやすくなる点です。切り替えの手順は3.7 Flashのときと同じで、minimal を使っていないかの確認とエフォート設定の見直しを足すだけで済みます。
【2026年8月13日】後継のGemini 3.7 FlashがGA|3.6 Flashと同額で上位互換
Googleは2026年8月13日にGemini 3.7 Flash(モデルID: gemini-3.7-flash)の一般提供(GA)を開始しました。Gemini APIのリリースノート(changelog)には同日付で「Gemini 3.7 Flash generally available (GA)」「Released our most intelligent workhorse model yet for coding and agents(コーディングとエージェント向けに、これまでで最も賢いワークホースモデルをリリース)」と記載されています。公式モデル一覧でも安定版(Stable)として掲載され、説明文は「Our latest and most capable Flash model, built for complex coding, agentic workflows, and reliable multi-step execution.(複雑なコーディング、エージェント的なワークフロー、確実なマルチステップ実行のために作られた、最新かつ最も高性能なFlashモデル)」です。3.6 Flashの公開(7月21日)からわずか3週間後の投入でした。その3.7 Flashも、2026年9月2日の3.8 Flash GAで最新の座を明け渡しています(3.7 Flashは引き続き提供され、公式は効率優先の用途での継続利用を案内しています)。
実務でまず押さえるべきは、3.7 Flashの導入価格が3.6 Flashとまったく同じ入力$0.75/出力$3.75(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)だという点です。つまり「同じ値段で性能が上」という関係なので、これからAPIで新規に組むなら3.7 Flashを選ぶのが素直です。すでに3.6 Flashで動いているシステムも、モデルIDを差し替えるだけで移行できます(ただし本番投入前に自社の評価データで出力を比較してください)。
項目 | Gemini 3.7 Flash | Gemini 3.6 Flash |
公開日(GA) | 2026年8月13日 | 2026年7月21日 |
モデルID | gemini-3.7-flash | gemini-3.6-flash |
入力(100万トークン) | $0.75(2026/12/31まで。以降$1.50) | $0.75(2026/12/31まで。以降$1.50) |
出力(100万トークン) | $3.75(2026/12/31まで。以降$7.50) | $3.75(2026/12/31まで。以降$7.50) |
コンテキスト | 入力100万トークン/出力6.4万トークン | 入力100万トークン/出力6.4万トークン |
知識のカットオフ | 2026年3月(公式モデルカード) | — |
性能面では、Google公式ブログが3.6 Flashとの比較スコアを公開しています。コード品質のFrontierCode 1.1 Mainが34.4%→43.6%、ソフトウェア開発のDeepSWE v1.1が49.0%→65.3%、Web開発のWebDev Arena(Elo)が1538→1588、資料読解のGDP.pdfが22.0%→34.0%、業務自動化のAutomationBenchが17.0%→30.4%です。伸びが大きいのはコーディングとエージェント系で、要約や文章作成のような日常業務では体感差が小さい可能性があります。
提供面は、Google公式ブログによればGoogle AI Studio・Android Studio(開発者向け)、Gemini Enterprise Agent PlatformとGemini Enterpriseアプリ(法人向け)、およびGoogle AI Pro/Ultra契約者向けのGemini Spark(160か国以上)で使えます。Geminiアプリの無料枠で3.7 Flashが選べるかどうかは、本記事の執筆時点でGoogle公式の記載を確認できなかったため、ここでは断定しません。無料で試したい場合は、まず後述の方法で3.6 Flashを触ってみるのが確実です。
以下は、引き続き提供されているGemini 3.6 Flashの詳細です。3.7 Flashとの比較検討にもそのまま使えます。
Gemini 3.6 Flashとは?2026年7月にGoogleが発表した最新モデル
Gemini 3.6 Flash(モデルID: gemini-3.6-flash)は、GoogleとGoogle DeepMindが2026年7月21日に発表した最新の高速AIモデルです。発表と同日に一般提供(GA)を開始しており、Gemini APIのリリースノートでも「generally available(正式版)」として案内されています。前世代3.5 Flashの後継にあたります。Googleはこのモデルを、大量のタスクを安く速くこなす「ワークホース(働き者)」モデルと説明しています。
大きな特徴は、より少ない推論ステップとツール呼び出しでマルチステップ作業をこなせるようになった点です。同じ仕事を以前より少ないトークンで処理できるため、実質的なコストがさらに下がります。テキストだけでなく画像・動画・音声・PDFを入力として扱えるマルチモーダル対応で、文書解析やグラフ分析も強化されました。
提供場所も幅広く、Google公式によれば、Geminiアプリ(一般ユーザー向け)、Gemini API(Google AI Studio・Android Studio)、Google Antigravity、Gemini Enterprise(アプリ/エージェント基盤)で発表初日から利用できます。一般ユーザーもGeminiアプリで当日からロールアウトされました。詳細はGoogle公式ブログ(Gemini 3.6 Flash発表記事)で確認できます。
Gemini 3.6 Flashの料金|3.5 Flashから何が安くなった?
Gemini 3.6 FlashのAPI料金は、2026年9月1日時点のGoogle公式料金ページで入力が100万トークンあたり$0.75、出力が$3.75です。これは2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日から入力$1.50/出力$7.50に上がります。公開直後は入力$1.50/出力$7.50でしたが、同額の導入価格で後継の3.7 Flashが登場したタイミングで、3.6 Flashも同じ水準まで下がっています(Google公式ブログは3.7 Flashの導入価格を「3.6 Flashの当初価格の半額」と説明しています)。前世代の3.5 Flashは入力$1.50/出力$9.00のままなので、出力側では2.4倍の差がついた計算です。さらに7月21日には激安モデルの3.5 Flash-Liteも登場し、価格帯の選択肢が広がりました。
モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
Gemini 3.7 Flash(最新) | $0.75 | $3.75 |
Gemini 3.6 Flash | $0.75 | $3.75 |
Gemini 3.5 Flash | $1.50 | $9.00 |
Gemini 3.5 Flash-Lite | $0.30 | $2.50 |
※3.7 Flash・3.6 Flashの$0.75/$3.75は2026年12月31日までの導入価格で、Google公式の料金ページには「2027年1月1日から入力$1.50/出力$7.50」と明記されています。年をまたぐ運用コストを見積もるときは、この2倍の値上がりを織り込んでください。3.5 Flashは入力$1.50/出力$9.00です。
注目すべきは、料金表に出てくる単価以上に「実質コスト」が下がっている点です。Googleは3.6 Flashが3.5 Flash比で出力トークンの使用量を17%削減すると説明しています。つまり同じ回答をより少ないトークンで返せるため、単価の値下げと合わせて、実際に支払う金額はさらに小さくなります。大量の問い合わせ対応や文書生成をAPIで回す事業者ほど、この効率化の恩恵は積み重なって効いてきます。
レート制限(1分あたりのリクエスト数などの上限)は、モデル自体ではなく利用プロジェクトの「ティア(Tier)」で決まります。まず無料枠(Free Tier)から始められ、支払い実績に応じて上限が段階的に引き上がる仕組みです。具体的な上限値はプロジェクトごとに異なるため、本番投入前にGoogle公式のRate limitsページで自社の枠を確認してください。また、即時性が不要な大量処理であれば、料金が半額になるバッチ処理(入力$0.375/出力$1.875・2026年12月31日まで)を使うことで実質コストをさらに下げられます。
Gemini 3.6 Flashの性能とベンチマーク|前モデル3.5 Flashとの違い
Gemini 3.6 Flashは、コーディング・PC操作・知識作業といった実務系タスクで前世代3.5 Flashを明確に上回るスコアを出しています。Googleが公開したベンチマークを見ると、特にソフトウェア開発やML研究タスクでの伸びが目立ちます。
ベンチマーク(測るもの) | Gemini 3.6 Flash | Gemini 3.5 Flash |
|---|---|---|
DeepSWE(ソフト開発) | 49% | 37% |
MLE Bench(ML研究) | 63.9% | 49.7% |
OSWorld-Verified(PC操作) | 83.0% | 78.4% |
GDPval-AA v2(知識作業) | 1421 | 1349 |
このほか、SWE-Bench Proで58.7%、Terminal-bench 2.1で78.0%を記録しています。実務目線で言うと、コーディングでは不要な編集が減って精度が上がり、PC操作(エージェント的にアプリを操作する作業)や文書・グラフの読み取りといったマルチモーダルタスクが強化された、というのが3.5 Flashとの違いです。生成AI自体をこれから学ぶ方は、生成AIの基礎から知りたい初心者向け解説も合わせて読むと、こうしたベンチマークの意味がつかみやすくなります。
スペック面では、コンテキストウィンドウが入力100万トークン、出力64,000トークンです。入力はテキスト・画像・動画・オーディオ・PDFに対応し、出力はテキストです。関数呼び出し、構造化出力、検索ツール、コード実行に加え、Google公式のモデル仕様ではアプリを自動操作する「コンピュータ操作(computer use)」への対応も明記されており、単に文章を書くだけでなく、業務アプリやAIエージェントに組み込む「部品」として扱いやすくなっています。
より詳しいモデル仕様や最新の料金は、記事末尾に挙げたGoogle公式(発表ブログ・API料金・リリースノート・DeepMindモデルページ)の一次情報で確認できます。
Gemini 3.6 Flashのthinking(思考モード)とthinking_levelの使い分け
Gemini 3.6 Flashは、答える前に内部で考える「thinking(思考)」が標準でオンのモデルです。Google公式のThinkingドキュメントによれば、gemini-3.6-flashの既定は「On(medium)」で、開発者はthinking_levelパラメータで思考の深さをminimal / low / medium / highの4段階から選べます。3.x系では思考を完全にオフにはできず、最小化(minimal)できるだけ、という点も明記されています。
これは料金と速度に直結します。思考した分のトークンも出力として課金されるため、thinking_levelを上げるほど回答は堅くなるが、遅く・高くなるという関係です。3.6 Flashが「同じ仕事をより少ないトークンで終える」と言われるのは、この思考の効率が上がったからでもあります。
thinking_levelはどう選ぶ?
実務での目安は次のとおりです。分類・抽出・定型の言い換えのように答えが一意に決まる処理はminimal〜lowで十分で、コストと待ち時間を大きく削れます。社内文書の要約や問い合わせの一次回答など、判断がやや入るものは既定のmediumのまま。複数ステップの調査やコード修正のように途中で方針を立て直す作業だけhighにする、という配分が現実的です。最初から全部highにすると、精度の伸び以上に費用が膨らみます。
もうひとつ押さえておきたいのがthought signature(思考署名)です。Google公式は、これを「モデルの内部推論を暗号化して表したもの」と説明しており、複数ターンの会話で推論の連続性を保つために必要とされています。ステートフルな利用ではサーバー側で自動的に扱われますが、自前で会話履歴を組み立てて渡す実装では、この署名を捨ててしまうと会話の途中で推論の文脈が切れます。エージェントを組む場合はここが落とし穴になりやすい部分です。
Gemini 3.6 Flashと2.5 Flashはどちらを選ぶ?乗り換えの判断
すでにGemini 2.5 Flashを使っている場合、3.6 Flashへ乗り換えるべきか迷うところです。Google公式の料金ページ(2026年9月時点)では、2.5 Flashが100万トークンあたり入力$0.30/出力$2.50なのに対し、3.6 Flash(および3.7 Flash)は入力$0.75/出力$3.75です。単価だけ見ると2.5 Flashのほうが安く、シンプルな要約や分類のように「そこそこの精度で十分」な大量処理なら、2.5 Flash(や同価格帯の3.5 Flash-Lite)を続ける選択も合理的です。
一方で3.6 Flashは、コーディング・PC操作・文書解析といった実務タスクの精度が上がり、出力トークンを約17%削減できるため、複雑な作業ほど「単価は高いが少ないトークンで正確に終わる」ぶん総額が見合いやすくなります。判断の目安は、タスクが単純で量が多いなら安価な2.5 Flash系、精度やマルチステップ処理が要るなら3.6 Flash。まずは影響の小さい業務で両者を同じ入力で走らせ、出力の質と実際のトークン消費を見比べてから決めるのが堅実です。なお料金はGeminiの更新が速いため、最新値はGoogle公式でご確認ください。
Gemini 3.6 Flashと3.1 Proはどちらを使う?(Pro級との比較)
「Flashではなく上位のProを使うべきか」も迷いどころです。2026年9月時点でGoogle公式の料金ページに載っているPro級はGemini 3.1 Pro(Preview)で、Flash系との違いは料金・提供状況・思考の既定値の3点に集約されます。
項目 | Gemini 3.6 Flash | Gemini 3.1 Pro(Preview) |
|---|---|---|
入力(100万トークン) | $0.75 | $2.00(20万トークン超は$4.00) |
出力(100万トークン) | $3.75 | $12.00(20万トークン超は$18.00) |
提供状況 | 一般提供(GA・安定版) | プレビュー |
無料枠 | あり | なし(有料ティアのみ) |
thinkingの既定 | medium(minimal〜highを選択可) | high(low〜highを選択可) |
出力側で見ると3.1 Proは3.6 Flashのおよそ3.2倍の単価で、しかも思考の既定がhighなので、実際の請求額の差は単価差以上に開きます。加えて3.1 Proはプレビュー扱いで無料枠もないため、「まず3.6 Flashで試し、精度が足りない工程だけをPro級に上げる」のが費用対効果の高い順序です。長い資料を丸ごと読ませる用途では、20万トークンを超えると入力・出力とも単価が上がる点にも注意してください。
Gemini 3.6 Flashの使い方|無料で試す3つの方法
Gemini 3.6 Flashは、開発者でなくてもすぐに触れます。ここでは無料枠を含めて試せる3つの入り口を紹介します。まずは軽く試してから、業務に組み込むか判断するのがおすすめです。
(1) Geminiアプリ(一般ユーザー・無料枠):もっとも手軽な方法です。GeminiアプリからGemini 3.6 Flashが当日からロールアウトされており、一般ユーザーも無料枠で会話しながら試せます。まずは普段の調べ物や文章作成を投げてみて、返答の速さと質を体感するのが第一歩です。
(2) Google AI Studio(開発者・API):自社サービスや社内ツールに組み込みたい場合は、Gemini APIを使います。Google AI StudioやAndroid Studioからモデルを呼び出せます。料金は前述のとおり入力$0.75/出力$3.75(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)で、まずは小さく試して使用量を見ながら本番投入する流れが安全です。なお2026年7月21日の更新で、このモデル系ではtemperature・top_p・top_kといったサンプリング系パラメータが非推奨(deprecated)になりました。既存コードから移行する際は、これらの指定を外しておくと安心です。
Gemini 3.6 FlashのモデルIDは?APIでの指定方法
APIから呼ぶときのモデルIDはgemini-3.6-flashです。Google公式のモデル一覧では安定版(Stable)として掲載されており、プレビュー用のサフィックスは付きません。既存コードのモデル名をこの文字列に差し替えるだけで移行できます。あわせて、前述のthinking_levelを指定すれば思考の深さを制御できます。後継のGemini 3.7 Flashはgemini-3.7-flash(安定版)、前世代のGemini 3.5 Flashはgemini-3.5-flash、Pro級のGemini 3.1 Proはgemini-3.1-pro-preview(プレビュー)です。モデルIDは改定されることがあるため、本番投入前にGoogle公式のモデル一覧で現行の表記を確認してください。
(3) Google AntigravityやGemini Enterprise:開発環境のAntigravityや、企業向けのGemini Enterprise(アプリ/エージェント基盤)からも利用できます。チームでの利用や既存の業務基盤に載せたい場合はこちらが選択肢になります。
ひとつ注意点として、Gemini 3.6 Flashは一般提供(GA)済みの正式版ですが、Geminiシリーズは新モデルの追加や料金・仕様の見直しが非常に速いのが特徴です。本番の重要業務に一気に載せるより、まずは影響の小さい業務から段階的に試し、公式のリリースノート(変更履歴)を時々確認するのが堅実です。
Google AntigravityでGemini 3.6 Flashを使う(無料プランでも選べる)
Googleの開発環境Google Antigravityでも、Gemini 3.6 Flashを選べます。Antigravity公式のモデル一覧では、選択できるGeminiとしてGemini 3.6 Flash・Gemini 3.5 Flash・Gemini 3.1 Proが挙げられており、Free(無料)およびGoogle AI Plusのプランから利用できると案内されています。APIキーを自分で用意しなくても、まずはこの中で3.6 Flashの挙動を確かめられるということです。
特徴的なのは、Antigravityでは3.6 FlashがLow / Medium / Highの3つのバリアントとして並ぶ点です。これは前述のthinking_levelに対応する選び方で、同じモデルでも「速さ寄り」「思考寄り」を切り替えられます。軽い編集やファイル操作はLow、設計を伴う変更はHighというように、作業の性質で選び分けるとクレジットの消費を抑えられます。
ただし無料プランで使えるリクエスト量には上限があり、具体的な数値はプランごとに異なります(Antigravity公式はモデル一覧ではなくプランのページを参照するよう案内しています)。日常的に長時間回すなら、利用枠と料金の条件を先に確認しておくのが安全です。
Gemini 3.5 Flash-Liteと3.5 Flash Cyberとは?同時発表の2モデル
7月21日には、Gemini 3.6 Flashと同時に2つのモデルも発表されました。用途が明確に分かれているので、あわせて押さえておくと選びやすくなります。
Gemini 3.5 Flash-Liteは、3.5シリーズで最速の激安モデルです。料金は入力$0.30/出力$2.50(100万トークンあたり)と非常に安く、低レイテンシ・高スループットが求められる用途、たとえばエージェント検索や大量の文書処理に向いています。出力速度はGoogle公式で約350トークン/秒とされ、前世代の3.1 Flash-Liteから品質が大幅に向上しています。Google検索にもロールアウト中です。「とにかく速く安く大量にさばきたい」ならFlash-Lite、「もう少し賢さが欲しい」なら3.6 Flash、という住み分けになります。
Gemini 3.5 Flash Cyberは、サイバーセキュリティの脆弱性検出・修正に特化したモデルで、GoogleのCodeMenderに統合されています。ただしこちらは政府や信頼できるパートナー向けの限定パイロットのみで、一般提供ではない点に注意してください。
中小企業はGemini 3.6 Flashをどう活かすべきか
安く速いFlash系モデルは、中小企業のAI活用と非常に相性が良いというのが私たちの実感です。実務では、ブログ記事の下書き生成、会議の議事録要約、問い合わせの一次対応、社内ナレッジ検索といった「量が多く、そこそこの精度で十分な」業務にこそ、こうした低コストモデルが効きます。1件あたりのコストが小さいほど、日々の積み重ねで人手を大きく減らせるからです。
一方で、モデル選定は「新しくて安いから全部これ」ではなく、用途で線を引くのが現場のコツです。契約書レビューや医療・法務のような、間違いが許されない高精度領域は、無理にFlash系で押し切らず、より高精度なPro級モデル(後述のGemini 3.5 Proなど)の提供を待って使い分ける判断も十分アリです。速さ・コストと、求められる正確さのバランスで選ぶ——ここを外さないことが、AI導入の失敗を防ぐいちばんの近道です。
私たちMihataは、こうした「どのモデルをどの業務に、いくらで使うか」の設計から、実際の社内フローへの組み込みまでを支援するAI導入のお手伝いをしています。自社のどの業務にFlash系が効くか判断に迷う場合は、よろしければ一度ご相談ください。
今後の展開|Gemini 3.5 ProとGemini 4は?
Googleは、より高精度なGemini 3.5 Proを現在パートナーとテスト中で、準備が整い次第、広く提供する予定だと公表しています。ただし2026年9月1日時点でも一般提供(GA)もAPI提供も始まっておらず、Google公式のモデル一覧・API料金ページのどちらにも掲載されていません(掲載されているPro級はGemini 3.1 Proのプレビュー版のみです)(具体的な提供状況はリンク先の解説記事で継続的に追っています)。高精度が必要な業務でFlash系に不安がある場合は、このPro級の正式提供を待つのも現実的な選択肢です。
さらにその先として、次世代のGemini 4も開発(プレトレーニング)が進行中であることをGoogleが明らかにしています(発表時期は未定)。発表時期の見通しについては、Gemini 4の発表時期の最新予想で継続的に追っています。他社モデルとの比較で検討したい方は、GPT-5.6の料金や使い方との比較もあわせてご覧ください。
まとめ
Gemini 3.6 Flashは、2026年7月21日にGoogleが発表した高速・低コストモデルです。3.5 Flash比で出力トークンを17%削減し、Geminiアプリなら無料枠で試せます。API料金は2026年9月1日時点で入力$0.75/出力$3.75(2026年12月31日まで。2027年1月1日から$1.50/$7.50)です。ただし2026年8月13日に後継のGemini 3.7 Flashが同じ単価でGAしたため、これから新しく組むなら3.7 Flashが第一候補になります。大量処理向けの3.5 Flash-Lite(入力$0.30/出力$2.50)とあわせ、用途と精度で使い分けるのが賢い選び方です。ただし一般提供(GA)済みの正式版とはいえ、Geminiは更新が速く料金・仕様の見直しもあり得る点、高精度が必要な業務は正式提供前のPro級を待つ選択肢もある点は正直にお伝えしておきます。
「自社のどの業務にどのAIモデルを、どう組み込めばコストと効果が見合うのか」——ここは一社ごとに答えが変わるところです。判断に迷われたら、無理な売り込みはいたしませんので、よろしければお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
Gemini 3.8 Flashとは?3.7 Flashと何が違う?
2026年9月2日に一般提供(GA)が始まったGeminiの最新Flashモデルです(モデルID: gemini-3.8-flash)。料金は3.7 Flashと同額の入力0.75ドル/出力3.75ドル(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)、コンテキストも入力100万トークン・出力6.4万トークンで同じです。違いは中身で、長時間のソフトウェア開発やエージェント作業の精度が上がり、HLE-Verifiedで54.9%を記録しています。ただし思考モードのminimalが非対応(指定するとエラー)で、Live APIと画像生成にも対応していないため、移行前に自社の呼び出しを確認してください。
3.8 Flashが出たら3.7 Flashは使わないほうがいい?
いいえ。Google公式は、計算コストが最優先の用途では低いエフォートを使うか、引き続き3.7 Flashを使うことを案内しています。3.8 Flashは複雑なタスクで推論の手数とツール呼び出しを増やす設計のため、単価が同じでも実際のトークン消費が増える場合があるためです。精度が要る工程だけ3.8 Flashに上げ、定型の大量処理は3.7 Flashのまま、という使い分けが実務的です。
Gemini 3.8 Flash Cyberは誰でも使える?
使えません。脆弱性の発見と自動修正に特化したモデルで、Googleの「Fairwind Program」を通じて信頼できる防御側(trusted defenders)にのみ提供される限定モデルです。通常のGemini APIやGeminiアプリからは選べません。
Gemini 3.7 Flashが出たのに、いま3.6 Flashを使う理由はある?
料金が同じなので、これからAPIで新規に組むなら3.7 Flashを選ぶのが素直です。Gemini 3.7 Flash(モデルID: gemini-3.7-flash)は2026年8月13日に一般提供が始まり、導入価格は3.6 Flashと同じ入力0.75ドル/出力3.75ドル(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)です。Google公式ブログの比較では、コード品質のFrontierCode 1.1 Mainが34.4%から43.6%、ソフトウェア開発のDeepSWE v1.1が49.0%から65.3%へ改善しています。3.6 Flashは引き続き提供されているので、すでに動いている仕組みを慌てて止める必要はありません。
Gemini 3.7 Flashとは?
2026年8月13日に一般提供(GA)が始まったGeminiの最新Flashモデルです。Google公式のモデル一覧では「複雑なコーディング、エージェント的なワークフロー、確実なマルチステップ実行のために作られた、最新かつ最も高性能なFlashモデル」と説明されています。コンテキストは入力100万トークン・出力6.4万トークン、知識のカットオフは2026年3月(公式モデルカード)です。料金は3.6 Flashと同額です。
Gemini 3.6 Flashはいつ発表された?
2026年7月21日にGoogleが発表し、同日に一般提供(GA・正式版)を開始しました。Geminiアプリで一般ユーザーも当日から利用できます。
Gemini 3.6 Flashは無料で使える?
Geminiアプリの無料枠で試せます。API経由で本格利用する場合は、2026年9月1日時点で入力が100万トークンあたり0.75ドル、出力が3.75ドルの料金がかかります(2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日から1.50ドル/7.50ドルに上がります)。
3.5 Flashと何が違う?
出力トークンの使用量を17%削減し、コーディングやPC操作、文書・グラフ解析などのマルチモーダル性能が向上しています。料金も、3.5 Flashの入力1.50ドル/出力9.00ドルに対し、3.6 Flashは2026年9月1日時点で入力0.75ドル/出力3.75ドル(2026年12月31日まで)と安くなっています。
料金は?
Google公式の料金ページによれば、2026年9月1日時点でAPIの料金は入力が100万トークンあたり0.75ドル、出力が3.75ドルです。これは2026年12月31日までの導入価格で、2027年1月1日から入力1.50ドル/出力7.50ドルになります。前世代3.5 Flashは入力1.50ドル/出力9.00ドルです。バッチ処理ならさらに半額の入力0.375ドル/出力1.875ドルになります。
3.5 Flash-Liteとの違いは?
3.5 Flash-Liteは同日発表された激安・最速モデルで、入力0.30ドル/出力2.50ドルです。低レイテンシで大量処理向き。より賢さが必要なら3.6 Flash、とにかく速く安くさばきたいならFlash-Liteという使い分けになります。
Gemini 3.6 Flashのthinking(思考モード)はオフにできる?
完全にはオフにできません。Gemini 3.x系は思考が標準で有効で、thinking_levelをminimal・low・medium・highから選んで深さを調整する形になります。gemini-3.6-flashの既定はmediumです。速さとコストを優先する定型処理はminimal〜low、方針を立て直すような複雑な作業だけhighにするのが実務的です。
Gemini 3.6 FlashのモデルIDは?
APIで指定するモデルIDはgemini-3.6-flashで、Google公式のモデル一覧に安定版として掲載されています。プレビュー用のサフィックスは付きません。参考に、Pro級のGemini 3.1 Proはgemini-3.1-pro-previewというプレビュー版のIDです。
Gemini 3.6 FlashはGoogle Antigravityで使える?
使えます。Antigravity公式のモデル一覧では、Gemini 3.6 Flash・3.5 Flash・3.1 Proが選択でき、無料(Free)およびGoogle AI Plusのプランから利用できると案内されています。3.6 FlashはLow/Medium/Highのバリアントで並び、思考の深さを作業に合わせて選べます。ただし利用できるリクエスト量はプランごとに上限があります。
Gemini 3.6 Flashと3.1 Proはどちらが良い?
用途次第です。3.1 Proは出力が100万トークンあたり12.00ドル(20万トークン超は18.00ドル)で3.6 Flashの3.75ドルより高く、プレビュー扱いで無料枠もありません。思考の既定もhighのため実費の差は単価差以上に開きます。まず3.6 Flashで試し、精度が足りない工程だけをPro級に上げるのが費用対効果の高い順序です。