Mihata
AI活用2026.10.15

GPT-4oからgpt-6-lunaへ|移行コストを3ケースで試算

GPT-4o から gpt-6-luna へ移すと、同じトークン量なら月額は約22分の1になります。標準(Standard)料金・短コンテキストで、入力100万トークンあたり$2.50→$0.10、出力100万トークンあたり$10.00→$0.50。入力と出力が10対3の比率なら、月650万トークン規模で$27.50→$1.25、月1億3,000万トークン規模で$550→$25です。

ただし請求が22分の1になるとは限りません。gpt-6-luna はリーズニング(推論)対応のモデルで、既定のままモデル名だけ差し替えると、内部の推論トークンが出力トークンとして課金されます。この記事では、自社の月間トークンから計算する式、小・中・大の3ケースの試算、そして単価表だけ見ていると外す3つの落とし穴を順に示します。

結論:単価は22分の1、実際の請求は「推論の設定」で決まる

  • 対象は2027年1月14日に削除される GPT-4o・GPT-4o mini・GPT-4.1・GPT-4.1 mini の4本。移行先はすべて gpt-6-luna
  • GPT-4o からなら約22分の1、GPT-4.1 からなら約17.6分の1(入力:出力=10:3の前提)
  • GPT-4o mini からは約1.3分の1しか下がりません。mini 系を使っていた会社にとって今回は値下げではなく、ほぼ同額での強制移行です
  • reasoning.effort を none にしないと、推論トークンぶん出力課金が増えます
  • キャッシュ入力の割引率も変わります(GPT-4o は50%引き、Luna は90%引き)

単価表(Standard・100万トークンあたり・短コンテキスト)

まず比較の土台です。短コンテキストは入力27万2,000トークン以下のリクエストを指します(これを超えると後述のとおり単価が上がります)。

モデル

入力

キャッシュ入力

出力

キャッシュの割引率

GPT-4o

$2.50

$1.25

$10.00

50%引き

GPT-4o mini

$0.15

$0.075

$0.60

50%引き

GPT-4.1

$2.00

$0.50

$8.00

75%引き

GPT-4.1 mini

$0.40

$0.10

$1.60

75%引き

gpt-6-luna(移行先)

$0.10

$0.01

$0.50

90%引き

入力単価だけ見れば GPT-4o の25分の1、GPT-4.1 の20分の1です。注目したいのはキャッシュ入力の列です。Luna のキャッシュ入力は通常入力の10%で、GPT-4o の50%・GPT-4.1 の75%より深く効きます。同じ長いシステムプロンプトを毎回送る使い方なら、ここだけで差がさらに開きます(キャッシュの効かせ方はGPT-6 のプロンプトキャッシュで入力代を削るにまとめています)。

自社の月額を出す計算式

単価表の転記では自社の金額は出ません。使うのは次の式ひとつです。

月額(ドル)=(月間入力トークン ÷ 1,000,000 × 入力単価)+(月間出力トークン ÷ 1,000,000 × 出力単価)

月間トークンは、OpenAI の管理画面の使用量(Usage)でモデル別・入力/出力別に出ます。必ず入力と出力を分けて取ってください。合計だけで計算すると、出力単価が入力の4〜5倍あるため金額が大きく外れます。キャッシュを使っている場合は、キャッシュ入力のトークンを入力から引いて、キャッシュ単価で別に足します。

以下の3ケースは、入力:出力=10:3(社内問い合わせや要約のような、読む量が多く書く量が少ない使い方の典型)で置いています。自社の比率が違うなら、上の式に自社の数字を入れてください。円は1ドル=150円で換算しています(為替で動く部分なので、桁の感覚をつかむための目安として見てください)。

3ケースの試算

小規模:月間 入力500万+出力150万トークン

社内の問い合わせ対応ボットを数十人で使う、または記事の要約を日に数十件回す規模です。

移行元

移行前

移行後(Luna)

倍率

GPT-4o

$27.50(約4,125円)

$1.25(約188円)

22.0分の1

GPT-4.1

$22.00(約3,300円)

$1.25(約188円)

17.6分の1

GPT-4.1 mini

$4.40(約660円)

$1.25(約188円)

3.52分の1

GPT-4o mini

$1.65(約248円)

$1.25(約188円)

1.32分の1

この規模では、どのモデルから移っても金額の絶対額は小さいです。判断材料はコストではなく、出力の質と移行の手間になります。

中規模:月間 入力1億+出力3,000万トークン

全社の問い合わせ一次対応、または数万件の文書分類を毎月回す規模です。

移行元

移行前

移行後(Luna)

月の差額

GPT-4o

$550(約82,500円)

$25(約3,750円)

−$525(約78,750円)

GPT-4.1

$440(約66,000円)

$25(約3,750円)

−$415(約62,250円)

GPT-4.1 mini

$88(約13,200円)

$25(約3,750円)

−$63(約9,450円)

GPT-4o mini

$33(約4,950円)

$25(約3,750円)

−$8(約1,200円)

GPT-4o から移る会社にとっては、年間で約94万円の差になります($525×12=$6,300)。この規模なら、移行の工数をかけても1〜2か月で元が取れます。逆にGPT-4o mini から移る会社の差額は月1,200円程度で、移行の工数のほうが確実に上回ります。この違いは意思決定を変えるので、自社がどちらなのかは最初に確認してください。

大規模:月間 入力10億+出力3億トークン

自社サービスに組み込んで一般ユーザーが使っている、または大量のログ・問い合わせを常時処理している規模です。

移行元

移行前

移行後(Luna)

月の差額

GPT-4o

$5,500(約82.5万円)

$250(約3.75万円)

−$5,250(約78.8万円)

GPT-4.1

$4,400(約66万円)

$250(約3.75万円)

−$4,150(約62.3万円)

GPT-4.1 mini

$880(約13.2万円)

$250(約3.75万円)

−$630(約9.5万円)

GPT-4o mini

$330(約5万円)

$250(約3.75万円)

−$80(約1.2万円)

この規模では、下に書く「推論トークン」の扱いだけで月の請求が数千ドル動きます。単価表を見て安心して切り替え、翌月の請求で驚くのは、ほぼこの1点が原因です。

落とし穴①:単価が22分の1でも請求がそう下がらない理由

ここが今回いちばん大事なところです。GPT-4o と GPT-4.1 はリーズニングを持たないモデルでしたが、移行先の gpt-6-luna はリーズニング対応のモデルで、reasoning.effort の既定値は medium です。

そして OpenAI の公式ガイドは、推論トークンについてこう書いています——「reasoning tokens ... are billed as output tokens」。内部の推論は API から見えませんが、出力トークンとして課金されます。どれだけ使うかは問題の複雑さによって変わり、公式には「数百から数万トークン」と書かれています。

つまり、モデル名だけ gpt-6-luna に書き換えると、上の試算の「出力トークン」が想定より増えます。出力が3倍になれば、Luna の月額は中規模ケースで$25→$55前後まで動きます(入力$10+出力$15×3=$55。それでも GPT-4o の$550より十分安いですが、「22分の1」は成立しません)。

対処は1行です。GPT-4o 相当の挙動で動かしたいなら、reasoning.effort に none を明示してください。gpt-6-luna は none・low・medium(既定)・high・xhigh・max に対応しています。Chat Completions で関数呼び出し(function calling)を使う場合は、reasoning_effort を none にすることが条件にもなっています。

逆に、推論を効かせたほうが結果が良くなる用途なら、わざと low 以上を指定して「安くなったぶんを品質に使う」という選び方もできます。移行を「同じものを安く」ではなく「同じ予算で良く」に使う判断です。どちらを選ぶにしても、切替前に自社の代表的な入力10〜30件で、none と low の両方の出力トークン数を実測してから予算を組んでください。応答の output_tokens_details に推論トークン数が入っているので、そこで確かめられます。

私たちは、こうしたモデルの入れ替えと費用の試算を、実際のログを見ながら一緒に組むお手伝いもしています。記事の途中で恐縮ですが、「請求がいくらになるか読めないので動けない」という段階からでもご相談いただけたら嬉しいです。

落とし穴②③:長文リクエストと処理モードで単価が変わる

上の単価表は標準(Standard)・短コンテキストの値です。次の2つは、同じモデルでも単価が変わります。

条件

Luna の単価がどう変わるか

入力が27万2,000トークンを超える

そのリクエスト全体が入力とキャッシュは2倍、出力は1.5倍(入力$0.20・出力$0.75)

Batch / Flex で処理する

標準の50%(入力$0.05・出力$0.25)

Fast モードで処理する

標準の2倍(入力$0.20・出力$1.00)

地域指定(regional processing)を使う

10%上乗せ

長い資料を丸ごと投げる使い方をしている場合、27万2,000トークンの境目をまたぐ回数で請求がはっきり変わります。Luna のコンテキストウィンドウは105万トークン・入力上限は92万2,000トークンあるので「入る」のですが、入ることと安いことは別です。資料を分割して境目の下に収める設計にするだけで、その分の単価が半分に戻ります。

逆に、夜間にまとめて処理してよい業務(分類・要約・タグ付け)は Batch に回せば半額です。移行のタイミングは、処理モードを見直すいい機会でもあります。

トークン代以外にかかるもの

単価の差が大きいので忘れがちですが、移行そのものにも費用がかかります。実務で効くのは次の4つです。

  1. プロンプトの作り直し:出力の形式(文字数・箇条書き・JSON の構造)が変わるため、後段のパーサごと直すことがあります
  2. 検証の工数:過去データ10〜30件で出力を並べ、業務を知る担当者が目視する時間
  3. ファインチューン版の作り直しができない:2027年1月6日から新規ジョブが作れず、gpt-6-luna はファインチューニング非対応です。学習で作り込んでいた精度は、プロンプトと社内データの検索(RAG)で寄せる設計に組み替える必要があります
  4. 外注先への依頼費用:自社に見えていない仕組みの中でモデル名が直書きされている場合

内訳の積み上げ方はAIモデル移行のコスト見積もりと内訳5項目に概算式の形でまとめています。対象かどうかの判定と当日やる手順はGPT-4o 停止の対象4本と今日やる確認手順、そもそも Luna が自社の用途に合っているかはGPT-4.1 の代替を Luna と Sol で分ける境目を先に読んでください。Luna より1段上の gpt-6.1-sol は入力$2.00・出力$10.00で、GPT-4o とほぼ同額です(GPT-6 Sol の料金・GPT-6 Sol から6.1 Sol への移行の料金試算)。

まとめ

GPT-4o から gpt-6-luna への移行は、単価では約22分の1、中規模(月1億3,000万トークン)で月$525・年$6,300の差になります。ただしこの数字は reasoning.effort を none にしたときの話で、既定のまま入れ替えると出力課金が増えます。

そしてGPT-4o mini から移る会社の差額は月1,200円程度です。コストを理由に急ぐ話ではないので、出力の質の検証に時間を使ってください。期日は2027年1月14日、ファインチューン版の作り直しが閉じるのは1月6日です(各社の期日をまとめた一覧はAIモデル提供終了への企業の対応と期日カレンダーで毎日更新しています)。

自社のログから試算を出すところ、切替後の出力を並べて確かめるところは、ご一緒できます。

よくある質問

GPT-4o から gpt-6-luna に移すと月額はどれくらい下がりますか?

標準料金・短コンテキストで、入力と出力が10対3の比率なら約22分の1です。月間で入力1億・出力3,000万トークンなら$550から$25(1ドル150円換算で約82,500円から約3,750円)になります。ただし reasoning.effort を none にしない場合は推論トークンが出力課金に乗るため、この比率どおりには下がりません。

GPT-4o mini から移る場合も安くなりますか?

ほとんど変わりません。入力と出力が10対3の比率なら約1.3分の1で、中規模(月間 入力1億・出力3,000万トークン)でも差額は月$8程度です。GPT-4o mini を使っていた会社にとって、今回はコスト削減ではなく期日に合わせた強制移行として扱うのが現実的です。

自社の月額はどう計算すればいいですか?

月額(ドル)=(月間入力トークン÷1,000,000×入力単価)+(月間出力トークン÷1,000,000×出力単価)です。月間トークンは OpenAI の管理画面の使用量からモデル別・入力/出力別に取れます。合計だけで計算すると出力単価が入力の4〜5倍あるため大きく外れます。

推論トークンの分はどうやって確認できますか?

応答の usage の output_tokens_details に推論トークン数が入っています。切替前に自社の代表的な入力10〜30件で reasoning.effort を none と low にしたときの出力トークン数を実測し、その数字で予算を組むのが確実です。

Batch を使うとどれくらい安くなりますか?

gpt-6-luna の Batch と Flex は標準の50%で、入力$0.05・出力$0.25です。夜間にまとめて処理してよい分類・要約・タグ付けのような業務は、移行と同時に Batch へ寄せると単価が半分になります。逆に Fast モードは標準の2倍です。

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