GPT-4.1 と GPT-4.1 mini の代替として OpenAI が指定しているのは gpt-6-luna 一本です。2026年10月14日の告知で、GPT-4o・GPT-4o mini・GPT-4.1・GPT-4.1 mini の4本すべてが2027年1月14日に API から削除され、推奨移行先は4本とも同じ gpt-6-luna になりました。モデルごとに行き先が分かれていません。
ただし公式が1本に寄せたのは「置き換え先の提示」であって、「あなたの用途に最適なのはこれ」という意味ではありません。実務では、GPT-4.1 を使っていた用途のうち一定の割合は gpt-6.1-sol が妥当です。この記事では、公式が書いていないLuna と Sol を分ける境目を、単価・reasoning の対応値・ファインチューニング可否という確認できる事実から3つ示します。
結論:既定は Luna。次の3つのどれかに当たるなら Sol を検討する
- GPT-4.1 を「価格帯」ではなく「能力」で選んでいた——入力単価が GPT-4.1 と
gpt-6.1-solで同額($2.00)なので、予算は変わりません - 複数ステップの技術作業や、作り直しながら仕上げる成果物に使っていた——公式の使い分けガイドが Sol の区分に置いている用途です
- 推論を効かせたい——ただし逆向きの条件に注意。推論を完全に止めたいなら Sol は選べません(後述)
逆に、分類・抽出・短い書き換え・定型フォーマットの生成といった範囲が決まったタスクなら、公式の推奨どおり Luna で十分です。単価は20分の1になります。
公式が書いていること(移行先の指定)
廃止されるモデル | スナップショット | 削除日 | 公式の推奨移行先 |
|---|---|---|---|
GPT-4.1 |
| 2027-01-14 |
|
GPT-4.1 mini |
| 2027-01-14 |
|
GPT-4o / GPT-4o mini |
| 2027-01-14 |
|
GPT-4.1 nano(今回の対象外) |
| 2026-10-23 |
|
注意点が1つあります。GPT-4.1 nano だけは今回の告知に含まれておらず、2026年4月22日の別の告知で2026年10月23日に止まります。移行先も gpt-5.6-luna で別です。「4.1 系はまとめて2027年1月14日」と読むと、nano を使っている箇所だけ先に落ちます。期日の全体像はAIモデル提供終了への企業の対応と期日カレンダーで確認してください。
Luna と Sol の仕様差(確認できる事実だけ)
ベンチマークの比較ではなく、公式ドキュメントに書かれている仕様だけを並べます。判断に効くのはこの表の下3行です。
項目 | GPT-4.1(廃止) |
|
|
|---|---|---|---|
入力単価(100万トークン) | $2.00 | $0.10 | $2.00 |
出力単価(100万トークン) | $8.00 | $0.50 | $10.00 |
キャッシュ入力 | $0.50(75%引き) | $0.01(90%引き) | $0.10(95%引き) |
コンテキストウィンドウ | — | 105万トークン | 105万トークン |
知識のカットオフ | — | 2026年5月18日 | 2026年4月30日 |
| リーズニングなし |
|
|
ファインチューニング | 対応(2027-01-06 で新規不可) | 非対応 | 非対応 |
Ultrafast モード | — | 記載なし | 対応(標準の6倍) |
境目①:推論を「止めたい」なら Sol は選べない
これが最初に効く線引きです。gpt-6-luna は reasoning.effort に none を指定できますが、gpt-6.1-sol は none と minimal に対応していません。Sol の最小は low です。
GPT-4.1 はリーズニングを持たないモデルでした。つまり「入力を入れたら即座に答えが返る」前提で組んである仕組み——チャットのその場の応答、フォーム入力の自動補完、画面に出す文章のリアルタイム生成、大量の分類をループで回すバッチ——は、Sol に置くと必ず推論が入ります。推論トークンは出力トークンとして課金されるため、応答時間と請求の両方が動きます。
逆向きも大事です。GPT-4.1 からの移行で「出力が長くなった」「遅くなった」と感じたときの原因は、たいてい Luna の既定値 medium です。none を明示すれば GPT-4.1 に近い挙動に戻ります。Luna を試して「質が落ちた」と判断する前に、low を一度試してください。単価が20分の1なので、推論を少し足しても GPT-4.1 より安いままです。移行後の請求の動き方はGPT-4o から gpt-6-luna への移行コストを3ケースで試算に数字で出しています。
境目②:GPT-4.1 を「価格帯」で選んでいたか「能力」で選んでいたか
単価表に、公式が説明していない符合があります。GPT-4.1 の入力単価$2.00は、gpt-6.1-sol と同額です(出力は$8.00→$10.00で25%上がります)。一方 gpt-6-luna は入力$0.10=20分の1で、これは GPT-4.1 とは別の価格帯の製品です。
ここから、自分がどちらのタイプだったかを振り返れます。
GPT-4.1 を選んだ理由 | 妥当な移行先 | 予算の動き |
|---|---|---|
mini / nano では質が足りず、$2.00の帯を選んだ |
| 入力は同額・出力は25%増。ほぼ据え置き |
量が多いので、安くて十分な帯として選んだ |
| 約17.6分の1 |
「公式が Luna と言っているから Luna」で決めると、前者のタイプは品質の帯を1段落とすことになります。新しい世代は前の世代より性能が上がっているので、Luna でも GPT-4.1 を上回る可能性は十分あります。ただしそれは自社のタスクで確かめることで、価格の20分の1という事実から導けることではありません。入力単価が同じ Sol という選択肢があることは、少なくとも検証の候補に入れてください。Sol 系の違いはGPT-6.1 Sol の料金・性能と GPT-6 Sol との違いとGPT-6.1 Sol と Astra の使い分けにまとめています。
境目③:公式の使い分けガイドに自社のタスクを当てる
OpenAI の model selection ガイドは、モデルと reasoning.effort の組み合わせを7段階に並べ、それぞれにどんな仕事が向くかを書いています。GPT-4.1 の代替を考えるときに使える部分を抜くと、こうなります。
公式の区分 | 向く仕事(公式の記述) | GPT-4.1 でやっていたことの例 |
|---|---|---|
Luna・ | 細かい編集、範囲の明確な問題解決、単純なデータ抽出 | 問い合わせの分類、文書からの項目抽出、定型文の生成、要約 |
Luna・ | 複数のアプリをまたいで今の状況を集める、仕事の優先順位づけ、制約が明確な問題を解く | 社内データを集めて答える問い合わせ対応、ルールが決まった判定 |
GPT-6.1 Sol・ | 複雑な技術作業と、あとから直す前提の調整が要る成果物 | 仕様書からのコード生成、長い資料を読んだうえでの判断、複数ステップの処理 |
GPT-6.1 Sol・ | 仕上がりを求める成果物、つながりのある図表の体系、矛盾する材料からの意思決定 | 提案書・レポートの下書き、矛盾するデータの突合 |
実務的な読み方はこうです。「出力をそのまま機械が受け取る仕事」は Luna、「出力を人が読んで直す仕事」は Sol。前者は形式の安定が命で推論は邪魔になりがち、後者は内容の深さが価値になるので推論が効きます。この分け方なら、ベンチマークの点数を追わなくても社内で合意が取れます。
私たちは、どのモデルにどの業務を載せるかを、実際の入出力を見ながら決めるところからご一緒しています。記事の途中で恐縮ですが、「公式がLunaと言っているが本当にそれでいいのか」で止まっている段階でも力になれると思っておりますので、よろしければあわせてご覧ください。
どちらを選んでもファインチューニングは引き継げません
最後に、Luna と Sol のどちらを選んでも避けられない制約があります。GPT-4.1 と GPT-4.1 mini はファインチューニングに対応していましたが、gpt-6-luna も gpt-6.1-sol もモデルページのエンドポイント対応表で v1/fine-tuning が「Not supported」です。
さらに OpenAI は、セルフサーブのファインチューニングについて2027年1月6日から既存の利用者も新しいジョブを作れなくなると告知しています。基盤モデルの削除が1月14日なので、作り直す窓はその8日前に閉じます。
GPT-4.1 や GPT-4.1 mini をファインチューニングして分類や定型フォーマットの生成に使っていた場合、取れる道は実質2つです。
- プロンプトと社内データの検索(RAG)で寄せる——学習の代わりに、正解例を数件プロンプトに入れ、参照データを検索して渡す形に組み替える。Luna の105万トークンのコンテキストとキャッシュ90%引きは、この設計と相性がよい組み合わせです
- 学習済みモデルを提供している他の経路を探す——ただし期日までに検証が終わる見込みが立つかを先に確かめてください
どちらにしても、学習に使ったデータセットが今も手元にあるかの確認を、期日より前に済ませてください。これが無いと、1番の道でも正解例を作り直す工数がそのまま増えます。対象の判定と当日やる手順はGPT-4o 停止の対象4本と今日やる確認手順にまとめました。
まとめ
公式が示す GPT-4.1・GPT-4.1 mini の代替は gpt-6-luna 一本で、これは単価20分の1の別の価格帯の製品です。範囲の決まったタスク(分類・抽出・定型生成・要約)なら、そのまま Luna で問題ありません。
一方、GPT-4.1 を「$2.00の帯の能力」として選んでいた用途は、入力単価が同額の gpt-6.1-sol を検証の候補に入れてください。そして推論を完全に止めたい用途は Sol を選べません(none 非対応)。この2点が、公式の推奨だけでは見えない線引きです。
期日は2027年1月14日、ファインチューニングの新規ジョブが閉じるのは1月6日、GPT-4.1 nano だけは2026年10月23日です。どのモデルにどの業務を載せるかの切り分けから、ご一緒できます。
よくある質問
GPT-4.1 の代替はどれを選べばいいですか?
OpenAI が推奨移行先として指定しているのは gpt-6-luna 一本です。分類・抽出・定型フォーマットの生成・要約のように範囲が決まったタスクはそのまま Luna で問題ありません。GPT-4.1 を mini では足りない能力の帯として選んでいた場合は、入力単価が同額(100万トークンあたり$2.00)の gpt-6.1-sol も検証の候補に入れてください。
gpt-6-luna と gpt-6.1-sol の決定的な違いは何ですか?
単価のほかに、reasoning.effort の対応値が違います。Luna は none を指定して推論を止められますが、Sol は none と minimal に対応しておらず最小が low です。即座の応答が必要な用途や大量のループ処理では、この差がそのまま応答時間と出力課金に出ます。
Luna に移したら出力が長くなり遅くなりました。
Luna はリーズニング対応モデルで reasoning.effort の既定値が medium のためです。GPT-4.1 はリーズニングを持たないモデルだったので、既定のまま入れ替えると挙動が変わります。reasoning.effort に none を明示すると GPT-4.1 に近い挙動に戻ります。
ファインチューニングした GPT-4.1 mini はどう移行しますか?
同じ形では移行できません。gpt-6-luna も gpt-6.1-sol もファインチューニングに対応しておらず、2027年1月6日から新規のファインチューニングジョブ自体が作れなくなります。正解例をプロンプトに入れ、参照データを検索して渡す設計(RAG)へ組み替えるのが現実的です。学習に使ったデータセットが手元に残っているかを先に確認してください。
GPT-4.1 nano も2027年1月14日ですか?
違います。GPT-4.1 nano は今回の告知の対象外で、2026年4月22日の別の告知により2026年10月23日に停止します。移行先も gpt-5.6-luna で異なります。