2026年10月12日に Meta が発表した Muse Wonder シリーズのうち、上位版の Muse Wonder Full が「自分の画面に出てこない」「モデルIDが通らない」という声が、発表の翌日から出ています。結論を先に書くと、その多くは不具合ではなく仕様です。何がどこまで提供されているかは、発表内容そのものを提供範囲から整理した記事で全体像をつかめます。
結論:出てこない理由は3つのどれかで、ほぼ仕様
公式のモデルページと Muse Code のページに書かれている提供範囲を読むと、Muse Wonder Full が見えない原因は次の3つに整理できます。なかでも効くのは1番目で、Muse Wonder Full を使えるのは Power Usage と Maximum Usage の2プランだけです。それ以外の環境では、出てこないのが正常な状態です。
- Muse Code のサブスク限定。公式モデルページに "Access: Muse Code subscription only" / "Access on the Power Usage and Maximum Usage plans." と明記されています。下位プランのままでは一覧に現れません。
- API では呼べない。Meta Model API 経由で提供されているのは Muse Wonder(muse-wonder-1.0)のほうで、Muse Wonder Full はサブスク同梱です。従量単価も公開されていません。
- 消費者向けの Muse アプリにはまだ来ていない。公式の表現は "will soon power experiences in Muse, and will roll out first to subscribers" です。つまり現時点では未提供で、サブスク契約者から順に入る予定という段階です。
逆に、下位の Muse Wonder(Full でないほう)は Meta Model API と Muse Code の両方で発表当日から使えます。「Muse Wonder が使えない」と書かれている話の一部は、この2つを取り違えているだけ、というケースが混ざっています。
症状別の切り分け表
自分がどこで詰まっているのかは、画面に何が起きているかで分かります。下の表は、よくある5つの症状を「どこで起きているか」「正常か異常か」「次の一手」に割ったものです。上の4行は仕様なので、設定をいじっても解決しません。
症状 | どこで起きているか | 正常か異常か | 次の一手 |
|---|---|---|---|
Muse Code のモデル一覧に Muse Wonder Full が無い | 契約しているサブスクのプラン | 下位プランなら正常 | Power Usage($50/月)か Maximum Usage($200/月)へ切り替える |
API で muse-wonder-full-1.0 を指定すると通らない | Meta Model API の提供範囲 | 正常(API 提供なし) | muse-wonder-1.0 に替える。Full が必要なら Muse Code 側で使う |
消費者向けの Muse アプリに出てこない | Muse 本体へのロールアウト | 正常(公式は "will soon") | 待つ。日数は未公表なので社内の期日に組み込まない |
Muse Wonder Full の料金表が見つからない | 公式の料金ページ | 正常(単価の公開なし) | サブスク料金で見積もる。従量で試算しない |
Muse Wonder すら「そんなモデルは無い」と返る | 指定したモデルIDの綴り | 異常(自分側で直せる) | 版番号まで含めて muse-wonder-1.0 と書く |
自分で直せるのはモデルIDの綴りだけ
上の表で唯一「異常」に入るのがモデルIDです。公式モデルページに載っている正しいIDは muse-wonder-1.0 と muse-wonder-full-1.0 の2つで、版番号の -1.0 まで含めて初めて成立します。muse-wonder だけ、muse-wonder-full だけ、と書いて通らないのは、提供されていないからではなく指定が足りないからです。
この手の「新モデルが見えない」相談は、Meta に限った話ではありません。Anthropic 側でも同じ形で起きていて、原因の切り分け方もよく似ています。Claude Opus 5.5 がモデル一覧に現れないときの確認順序とClaude Haiku 5.5 が選べないときにプラン側を先に見る理由も、あわせて読むと「自分側の問題か、提供範囲の問題か」の見分けが早くなります。
プランを上げる前に、上の2段だけという前提を押さえる
Muse Code のサブスクは、Muse Wonder Full が使える上の2段と、その下に2段という構成です。上の2段は Power Usage が月 $50.00、Maximum Usage が月 $200.00 で、前者が "Access to the most powerful Muse models, including Muse Wonder Full" と "20x more usage than the Everyday Usage plan"、後者が "Everything from the Power Usage plan" と "80x more usage than the Everyday Usage plan" と説明されています。
下位には Everyday Usage と High Usage の2段があることまでは公式に書かれていますが、金額は今回確認できませんでした。ここは推測せず、契約前に公式ページで実額を見てください。中小企業の立場では、1人あたり月 $50 を誰に出すかという話になるので、「全員に配る」前提で考えると合いません。従量と月額のどちらが自社に合うかは、プランを決める前に月額を見積もる計算の手順に沿って置いてみると見えてきます。
安いモデルへ逃げるときの落とし穴
価格を見て下位モデルへ回すという判断は妥当ですが、1つだけ踏んではいけない選択肢があります。Muse Code の単価表にある muse-spark-1.3-contributor は入力 $0.10 / 出力 $0.20(いずれも1Mトークンあたり)と極端に安い一方、公式の注記が "Used to improve our products." =入力したデータが製品改善に使われる、となっています。
同じ muse-spark-1.3 の通常版には "Not used to improve our products." と書かれており、単価は入力 $1.25 / 出力 $4.25 です。10倍以上の差は、そのまま「社内データを渡してよいか」の差です。見積もりや顧客名簿、議事録のようなものを流す用途では、contributor 版は候補から外してください。安くなった分を後で取り返せない種類のリスクです。
社外に出せないデータが中心なら、クラウドの契約を増やすより手元に置く選択も検討できます。オープンウェイトの Muse Glimmer 30B を社内に置く場合の現実的な条件も比べたうえで決めると、プラン課金の判断が楽になります。
どのモデルをどこまで社内データに使えるか、という線引きは自社だけで詰めると時間がかかります。Mihata では、こうした使い分けの整理から社内ルールの文書化までを一緒に進めています。
公式が書いていないことは、書いていないと認める
この件で検索すると、断定的な説明が並びます。ただ、2026年10月13日時点で公式に書かれているのは上に挙げた範囲までで、次の項目はどこにも記載がありません。ここを埋めている説明は、出所を確かめたほうが安全です。
- ロールアウトにかかる日数。消費者向け Muse への展開は "will soon" までで、期間は未公表です。
- 地域による提供差や日本語対応の可否。公式の記載がありません。
- 下位2プラン(Everyday Usage / High Usage)の金額。本記事の確認時点では読み取れませんでした。
- 安全性レポートの中身。公式は "available soon" としており、まだ公開されていません。
確認すべき場所は、Meta のMuse Wonder のモデルページ(提供範囲・モデルID・料金)とMuse Code のページ(サブスクの段とモデル単価)、それに発表本文(消費者向け Muse への展開の書き方)の3つです。社内で聞かれたときは、この3ページのどこに何が書いてあるかで答えると揺れません。
中小企業としての現実的な進め方
整理すると、やることは多くありません。まず自分の症状を上の表で突き合わせ、仕様なら待つか Muse Wonder(muse-wonder-1.0)で代替する。モデルIDの綴りだけ自分で直す。そのうえで、Muse Wonder Full が本当に必要な業務が1つでもあるかを確認してから、月 $50 のプランを誰に付けるかを決める、という順番です。そもそも任せる価値がある工程かどうかは、他社モデルと比べて得意な領域がどこかの行ごとの読み替えが判断材料になります。
発表直後に全員へ配る判断は、たいてい早すぎます。発表から1日で評価が固まる材料は出ていないので、実務で詰まっている工程を1つ選び、そこだけで試すのが結局いちばん速いです。社内の誰がどのプランを持つべきかの整理や、試す工程の選定からお手伝いできます。
よくある質問
Muse Wonder Full がモデル一覧に出てこないのは不具合ですか?
多くの場合は仕様です。Muse Wonder Full は Muse Code のサブスク限定で、Power Usage と Maximum Usage の2プランでのみ利用できると公式に明記されています。下位プランでは表示されないのが正常な状態です。
API から Muse Wonder Full を呼べますか?
呼べません。Meta Model API で提供されているのは Muse Wonder のほうで、モデルIDは muse-wonder-1.0 です。Muse Wonder Full はサブスクに同梱される形で、従量単価も公開されていません。
消費者向けの Muse アプリではいつ使えるようになりますか?
公式の表現は will soon power experiences in Muse で、サブスク契約者から順に展開するとされています。具体的な日数は公表されていないため、社内の期日に組み込まないほうが安全です。
モデルIDはどう書けば通りますか?
公式モデルページに記載があるのは muse-wonder-1.0 と muse-wonder-full-1.0 です。版番号の 1.0 を省くと通らないので、そこまで含めて指定してください。
料金が安い muse-spark-1.3-contributor に切り替えてよいですか?
社内データを扱う用途では避けてください。公式の注記が Used to improve our products. となっており、入力したデータが製品改善に使われます。同じ muse-spark-1.3 の通常版には Not used to improve our products. と書かれています。