Mihata
AI活用2026.09.04

whisper-1は2027年2月26日終了|移行先gpt-transcribeと料金

議事録の自動文字起こし、通話ログのテキスト化、動画の字幕生成——社内のどこかで whisper-1 が動いている会社は少なくありません。その whisper-1 を含む OpenAI の文字起こしモデル4本が、2026年8月26日に廃止を告知され、2027年2月26日にAPIから削除されます

結論を先に書きます。移行先は gpt-transcribe(ファイル用)と gpt-live-transcribe(リアルタイム用)の2本で、ファイル用は1分$0.0045と whisper-1 の$0.006より25%安くなります。ただし「モデル名を置き換えるだけ」では済まないケースが2つあります。音声→英語の翻訳エンドポイントを使っている実装と、話者分離(誰が話したか)を使っている実装です。この記事は2026年9月4日にOpenAI公式のdeprecationsページと各モデルページを直接確認し、料金・対応エンドポイント・移行の落とし穴を整理したものです。

何が終わるのか:文字起こしモデル4本が2027年2月26日に削除

OpenAI は2026年8月26日、以下の4モデルを使っている開発者に廃止を通知しました。削除日はいずれも2027年2月26日です。

削除されるモデル

これまでの位置づけ

課金方式

推奨移行先

whisper-1

2023年から使われてきた汎用の音声認識モデル。多言語の認識・翻訳・言語判定ができる

$0.006/分

gpt-live-transcribe または gpt-transcribe

gpt-4o-transcribe

GPT-4oベースの高精度文字起こし

音声トークン課金(入力$2.5/出力$10・100万トークンあたり)

同上

gpt-4o-mini-transcribe

その軽量版

音声トークン課金(入力$1.25/出力$5)

同上

gpt-4o-transcribe-diarize

話者分離つきの文字起こし(誰がいつ話したかを区別する)

音声トークン課金(入力$2.5/出力$10)

同上

公式ページには「legacy(旧世代)」の定義も併記されています。更新を受けなくなったモデル・エンドポイントに付ける印で、いずれ廃止されることが見込まれるという意味です。今回の4本はその legacy を越えて、削除日つきの廃止まで進んだ段階にあります。

なお、この告知の1か月前(2026年7月20日)には音声・リアルタイム系の別の一群にも2027年1月20日という削除日が付いています。そのなかに gpt-4o-mini-transcribe-2025-03-20 というスナップショット指定が含まれており、モデル名を日付つきで固定している実装は、本体より1か月以上早く止まります。「うちは2027年2月26日までに直せばいい」と思っていると外すので、まずコードに書いてあるモデル名の正確な文字列を確認してください。

移行先は2本ある:ファイル用とリアルタイム用で分かれる

移行先として案内されているのは gpt-transcribegpt-live-transcribe の2本です。「上位版と下位版」ではなく、用途で使い分ける別物なので、ここを取り違えると動きません。

gpt-transcribe

gpt-live-transcribe

用途

完了した音声ファイルの文字起こし、ファイルのストリーミング書き起こし、Realtimeセッションで確定したターン

ライブ音声から低遅延で書き起こしの差分を返す

料金

$0.0045/分

$0.017/分

v1/audio/transcriptions

対応

非対応

v1/realtime/transcription_sessions

対応

対応

得意なこと

非構造の文脈・キーワードヒント・複数言語ヒントに対応(専門用語、多言語音声、言語の切り替わりに強い)

遅延の調整が可能。ほかは同様に文脈・キーワード・複数言語ヒントに対応

いちばん重要なのは、料金の桁が用途で3.8倍違うことです。録音ファイルをまとめて処理する用途(議事録、通話ログの日次バッチ、動画の字幕)は gpt-transcribe で $0.0045/分。一方、会議中にリアルタイムで字幕を出すような用途は gpt-live-transcribe で $0.017/分です。「リアルタイム対応のほうが新しそうだから」と live 側を選ぶと、同じ処理量で3.8倍の請求になります。

逆に、gpt-live-transcribev1/audio/transcriptions(ファイルを投げる従来のエンドポイント)に対応していません。whisper-1 の呼び出しをそのまま live 側に差し替えると、料金以前にエンドポイントで弾かれます。

コストはどう変わるか(1分あたりで比べる)

whisper-1 と gpt-transcribe はどちらも音声の長さ(分)で課金されるので、そのまま比較できます。

  • 1時間の会議を1本:whisper-1 は $0.36、gpt-transcribe は $0.27。差は $0.09。
  • 1時間の会議を月100本:$36 → $27。月$9、年$108ほど安くなります。
  • 同じ100本をリアルタイム(gpt-live-transcribe)で処理した場合:$102。用途を取り違えた場合の差額のほうが、移行による節約額より大きくなります。

いっぽう GPT-4o 系の3本(gpt-4o-transcribe / mini / diarize)は音声トークン課金だったため、分課金へ戻ることで見積もりの作り方自体が変わります。トークン課金は音声の内容によって金額がぶれますが、分課金は録音時間が分かれば計算が閉じます。社内の稟議・原価計算という観点では、分課金のほうが扱いやすい変更です。

「モデル名の置き換えだけ」で済まない2つのケース

ここが本題です。公式のdeprecations表は4本すべてに同じ移行先を書いていますが、モデルページの対応表まで降りると、機能が引き継がれていない箇所が2つあります

1. 音声→英語の翻訳エンドポイント(v1/audio/translations)を使っている

whisper-1 のモデルページには v1/audio/translations(音声を英語のテキストへ翻訳して返すエンドポイント)が「Supported」と書かれています。これは文字起こしとは別のエンドポイントで、日本語の会議音声をそのまま英語の議事録にする、といった使い方をされてきました。

ところが移行先2本のモデルページでは、v1/audio/translations はいずれも「Not supported」です。つまりこの機能には、そのまま置き換えられる移行先が公式には示されていません。該当する実装がある場合、「文字起こし → 別途テキストを翻訳する」という2段構えに設計を組み替える必要が出ます。モデル名の一括置換で終わらせると、2027年2月26日に「英語の議事録だけが出なくなる」という形で表面化します。

2. 話者分離(誰が話したか)を使っている

gpt-4o-transcribe-diarize は、その名のとおり話者分離(diarization)を内蔵し、会話の中の音声区間を話者ごとに紐づけるモデルでした。複数人の会議録で「A:〜」「B:〜」と分けて出す用途は、これに依存していることが多いはずです。

この4本目についても、公式の推奨移行先は同じ gpt-live-transcribe / gpt-transcribe です。ただし当サイトが2026年9月4日に確認した範囲では、移行先2本のモデルページに話者分離(diarization / speaker)への言及はありません。公式が「対応していない」と書いているわけではないので、当サイトとしては「引き継がれない」と断定はしません。ただ、話者分離が業務要件に入っているなら、移行先で同じ出力が得られるかを自分で実測してから移行日を決めるべき箇所です。実測は、既存の会議音源を1本、新旧のモデルに通して出力を並べるだけで足ります。

この「公式の移行先表を鵜呑みにせず、モデルページの対応表まで降りて突き合わせる」という手順は、Assistants APIの終了と移行手順でも同じ形で必要になりました。移行先が案内されていることと、機能が同じであることは別の話です。

いま何をすればいいか(残り期間で逆算する)

2027年2月26日まで、2026年9月4日時点で約5か月半あります。慌てる必要はありませんが、棚卸しだけは早いほうが楽です。

  • 1週目:文字列で探す。社内のコード・GAS・ノーコードツールの設定を whisper transcribe の2語で検索します。外注した仕組みなら、開発元へ「文字起こしに使っているモデルIDを教えてください」と1通送るだけで済みます。
  • 2週目:エンドポイントを確認する。ヒットした箇所が v1/audio/transcriptions(文字起こし)なのか v1/audio/translations(翻訳)なのかを分けます。後者は設計変更が要る側です。
  • 3週目:同じ音源で並べて聞く。実際の会議音源を1本、旧モデルと gpt-transcribe の両方に通し、固有名詞と数字の取りこぼしを見比べます。文字起こしは出力が日本語のテキストなので、精度の良し悪しを担当者が読んで判断できます——AIの移行検証としては珍しくやりやすい領域です。
  • 4週目以降:切り替えて監視する。期日の1か月以上前に切り替え、しばらくは出力を人が確認する運用を残します。

あわせて、モデル名をコードに直書きせず設定ファイルへ切り出す形にしておくと、次の廃止のときの作業が1行の書き換えで済みます。主要3社の提供終了カレンダーと移行の手順はAIモデル提供終了への企業の対応にまとめています。

文字起こしそのものを他社に振る選択肢もあります。Google側の専用モデルについてはGemini 3.5 Transcribeの料金と日本語文字起こしで、話者分離・単語ごとのタイムスタンプ・専門用語の登録といった機能と料金を整理しています。今回のように移行先で機能が減る場合、他社比較は「乗り換え」ではなく「要件を満たす先を探す」作業として現実的な選択肢になります。

まとめ

この廃止が効くのは、AIを本格導入している会社ではなく、「文字起こしだけは前から使っている」会社です。議事録や字幕は担当者が日常的に使っているぶん、止まったときの影響が見えやすく、しかも仕組みの中身は外注先しか知らない、という状態になりがちです。

やることは3つに畳めます。①モデルIDを探す ②翻訳・話者分離を使っていないか分ける ③同じ音源で新旧を比べる。ここまでを2026年のうちに終えておけば、2027年2月26日は何も起きない日になります。

Mihata では、こうした「外注した仕組みの中で何が動いているか分からない」状態の棚卸しからご相談を受けています。モデルの乗り換えそのものより、どこで何が使われているかを一覧にするところが、実際にはいちばん時間のかかる工程です。

よくある質問

whisper-1はいつ使えなくなりますか?

2027年2月26日です。OpenAIは2026年8月26日に、whisper-1・gpt-4o-transcribe・gpt-4o-mini-transcribe・gpt-4o-transcribe-diarizeの4本について廃止を通知し、同日にAPIから削除すると公式のdeprecationsページに記載しています。

whisper-1の移行先はどれですか?

公式の推奨移行先はgpt-transcribeとgpt-live-transcribeの2本です。録音済みのファイルを処理するならgpt-transcribe($0.0045/分)、ライブ音声から低遅延で書き起こしたいならgpt-live-transcribe($0.017/分)です。gpt-live-transcribeはv1/audio/transcriptionsエンドポイントに対応していないため、ファイル処理の置き換え先にはなりません。

移行すると料金は上がりますか?

ファイル処理なら下がります。whisper-1が$0.006/分、gpt-transcribeが$0.0045/分で約25%安くなります。1時間の会議を月100本処理する場合、$36が$27になる計算です。ただしリアルタイム用のgpt-live-transcribeは$0.017/分なので、用途を取り違えると同じ処理量で3.8倍になります。

音声を英語に翻訳する使い方は移行できますか?

そのままでは移行できません。whisper-1はv1/audio/translations(音声を英語テキストへ翻訳するエンドポイント)に対応していますが、移行先のgpt-transcribe・gpt-live-transcribeはいずれも公式のモデルページで「Not supported」と記載されています。文字起こしと翻訳を2段階に分ける設計変更が必要になります。

話者分離(誰が話したか)は引き継がれますか?

公式の推奨移行先は他の3本と同じgpt-live-transcribe / gpt-transcribeですが、2026年9月4日時点で移行先2本のモデルページに話者分離(diarization)への言及はありません。対応しないと明記されているわけではないため当サイトでは断定しませんが、話者分離が業務要件に入っている場合は、実際の会議音源を通して同じ出力が得られるかを自分で確認してから移行日を決めてください。

モデル名を日付つきで指定している場合は?

本体より早く止まることがあります。2026年7月20日の別の廃止告知で、gpt-4o-mini-transcribe-2025-03-20というスナップショットには2027年1月20日という削除日が付いています(移行先はgpt-4o-mini-transcribe-2025-12-15)。コードに書いてあるモデル名の正確な文字列を確認してください。

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