Mihata
仕事効率化(DX)2026.10.02

プリンターの日時がずれる原因と直し方|複合機のSNTP設定

複合機・プリンターの日時がずれていると、ファクスを送ったときに相手の用紙へ出る日付、スキャンしたファイルの名前に入る日時、通信管理レポートの時刻がまとめてずれます。印刷そのものは普通にできてしまうので放置されがちですが、証跡として残す書類ほど後から困ります。

先に結論です。プリンターの日時がずれる原因は大きく3系統に分かれます。①SNTP(NTP)による自動時刻同期が設定されていない、②タイムゾーン(日本は GMT+09:00)やサマータイムの設定違い、③電源プラグを抜いて通電が切れたことによる日時のリセット、です。いちばん効くのは①で、ブラウザから開ける管理画面でSNTPを「使用する」にして、同期先のサーバー名と確認間隔を入れるだけで止まります。エプソンの複合機なら更新間隔は1分単位で最大10,080分(=7日)まで指定できるので、1日1回程度に設定しておけば、手で合わせ直す運用から抜けられます。

ずれ方から原因を切り分ける

設定画面をやみくもに触る前に、どんなずれ方をしているかを見てください。「じわじわ数分」と「ちょうど9時間」と「電源を入れ直すと初期値」は、まったく別の原因です。下の表で自分の症状に近い行を見つけてから、対応する章へ進むのが最短です。

ずれ方

考えられる原因

まず確認するところ

数分〜数十分、じわじわずれていく

内蔵時計の誤差が溜まっている(自動同期なし)

SNTPを「使用する」にして確認間隔を設定

ちょうど9時間ずれる

タイムゾーンが未設定で、協定世界時(UTC)のまま動いている

タイムゾーンを GMT+09:00 に設定

ちょうど1時間ずれる

サマータイム設定が有効になっている

サマータイム設定をオフに(日本では不要)

電源を入れ直すと日時が初期値に戻る

電源プラグを抜いた/通電が切れた

日時を再設定し、以後はプラグを抜かない運用に

SNTPをオンにしても時刻が合わない

サーバー名の誤り、または社内ネットワークでNTP(UDP 123)が外へ出られない

情報システム担当に見るべき時刻サーバーを確認

ファクスの相手の用紙に日時が出ない

時刻ではなく発信元(自局情報)が未登録

発信元登録を行う

プリンターだけでなく社内のパソコンも一緒にずれているなら、原因は機器ではなくネットワーク側の時刻配信にあります。その場合はパソコンの時計がずれる原因と直し方と突き合わせて、同じ時刻サーバーを見られているかを確認してください。

手動で合わせるか、SNTPで同期するか

時刻の合わせ方は2通りしかありません。本体の操作パネルで打ち込む手動設定と、ネットワーク上の時刻サーバーを見にいく自動同期です。キヤノンのユーザーズガイドは SNTP を「ネットワーク上のタイムサーバーを基準にして時刻を調整するためのプロトコル」と説明し、一定間隔でタイムサーバーを確認するので常に正確な時刻を保てるとしています。ブラザーも時計設定のページで「時刻は時間が経過すると誤差が生じます。定期的に設定しなおすことをおすすめします」と明記しており、手動運用では誤差が溜まる前提で書かれています。

比べる点

手動設定(操作パネル)

SNTP/NTP自動同期

合わせる手間

ずれるたびに人が打ち直す

設定したら以後は自動

ずれの残り方

内蔵時計の誤差が溜まり続ける

確認間隔ごとに合わせ直される

必要なもの

本体の操作パネルだけ

ネットワーク接続と到達できる時刻サーバー

タイムゾーン

打ち込んだ時刻がそのまま表示される

UTC基準で動くので時差設定が必須

向くケース

ネットワークに繋がっていない単体利用

ファクス・スキャン・ログを業務で使う機器

自動同期の土台になっているのが NTP です。仕様は RFC 5905(NTPv4、2010年6月)で定義されており、最新のワークステーションと高速な LAN の組み合わせなら数十マイクロ秒まで精度を伸ばせるとされています。複合機の時計に求められるのは秒単位の一致なので、精度としては十分に余裕があります。

同期先の候補としてよく使われるのが、情報通信研究機構(NICT)が公開している ntp.nict.jp です。NICT 設置の stratum 1 サーバーで、サーバー自体の時刻は日本標準時に対して非常に高い精度を持ちますが、NICT 自身が「現在のインターネットでは利用者側の精度の保証ができない」と明記している点は押さえておいてください。経路の混雑しだいで手元に届く時刻には誤差が乗ります。なぜ数秒程度のずれは消し切れないのかは、時計が1秒ずれる原因と時刻の精度の話で仕組みから整理しています。

メーカー別・日時とSNTPの設定場所

画面の名前はメーカーごとに違いますが、やることは「日時/タイムゾーンを本体で合わせる」と「SNTPの同期先をネットワーク設定で入れる」の2つだけです。以下は各社の公式マニュアルに載っている範囲です。お使いの機種で項目名が違う場合は、その機種のマニュアルを正としてください。

キヤノン(リモートUIのSNTP設定)

日時そのものは本体の「設定/登録」→「環境設定」→「タイマー/電力設定」→「日付/時刻設定」で、年を西暦4桁、月日と時刻を4桁の24時間制で入力します。日本のタイムゾーンは GMT+09:00 を選びます。サマータイムは開始日と終了日を指定すると、その期間だけ基準時刻が自動で1時間進む設定です。

自動同期はリモートUIから行います。管理者モードでログインし、「設定/登録」→「ネットワーク設定」→「TCP/IP設定」→「SNTP設定」を開いて「SNTPを使用する」にチェックを入れ、NTPサーバー名とポーリング間隔(何時間おきに時刻を調整するか)を入力します。マニュアルには「協定世界時(UTC)を基準に動作するので、時差(タイムゾーン)をあらかじめ設定しておいてください」という注意書きがあり、対応は NTPv3 および SNTPv3/v4 と記載されています。タイムゾーンを入れずに同期だけオンにすると、きれいに9時間ずれるのはこのためです。

エプソン(Web Configのタイムサーバー)

エプソンはブラウザから開く Web Config で設定します。「デバイス管理」タブ →「日付/時刻」→「タイムサーバー」を開き、「タイムサーバーを使用する」を「使用する」にして、タイムサーバーアドレスを入力します。アドレスは IPv4/IPv6/FQDN のいずれでも指定できます。更新間隔(分)は1分単位で10,080分まで設定でき、設定後は「タイムサーバー接続状態」の欄で繋がっているかを確認できます。公式マニュアルは、タイムサーバーを使うとCA証明書を使うときの時刻に関する問題を防げるという利点も挙げています。

リコー(本体+Web Image Monitor)

リコーは本体のホーム画面から「設定」→「システム設定」→「日付/時刻/タイマー」→「日時/時刻」→「時刻設定」と進み、入力欄に時刻を入れて「OK」です。SNTP による自動同期にも対応していますが、SNTPサーバーの指定は本体ではなく Web Image Monitor(ブラウザから開く管理画面)から行う必要があります。本体のメニューを探しても見つからないのはそのためで、ここでつまずく人が多い箇所です。

ブラザー・シャープ(本体メニュー)

ブラザーは本体の「初期設定」→「時計セット」で日付と時刻を入力します。前述のとおり、公式に「定期的に設定しなおすことをおすすめします」と書かれている点がこの系統の特徴です。シャープの複合機は「システム設定」→「共通設定」→「デバイス設定」→「日付/時刻設定」にまとまっており、同じ階層にサマータイム設定と日付書式設定が並んでいます。日付書式を変えると、レポートやファイル名での見え方も変わります。

電源プラグを抜くと日時が戻る(ファクスも消える)

「夜は節電のためコンセントを抜いている」という運用をしている場合、日時のずれは設定の問題ではありません。キヤノンのインクジェット複合機のマニュアルには、「電源プラグを抜くと、日付・時刻情報はリセットされ」、さらにプリンターのメモリーに保存されているファクスはすべて消去されると明記されています。だから抜く前に、必要なファクスは送信または印刷しておくよう案内されています。

つまりこの症状は故障ではなく仕様どおりの挙動です。ファクスを使っている機器は通電したままにして、電源ボタンでオフにするのが正しい扱いになります。節電したい場合は、プラグを抜くのではなく本体のスリープ・節電設定で詰めてください。

同じ「電源を切ると時刻が戻る」症状は家庭用の機器でも起きます。原因と確認場所は機器ごとに違うので、テレビで同じことが起きている場合はテレビの時刻がずれるときの直し方にまとめた、放送波からの時刻取得の話が参考になります。

ファクスの発信日時とスキャンのファイル名に効いてくる

プリンターの時計は、印刷の品質には一切影響しません。だから「直さなくても使える」状態が続きます。けれど時刻が入り込む場所は意外に多く、気づくのは後からです。

代表的なのがファクスの発信元情報です。ブラザーの公式FAQは、発信元登録をすると登録したファクス番号と名前が、送信したとき相手側の用紙の一番上に印刷されると説明しています。ここに日時も載るため、本体の時計がずれていればそのまま相手の手元に残ります。逆に、時刻設定をしていても発信元登録をしていないと、相手の用紙に日時は印刷されませんとも書かれています。「日付が出ない」と「日付がずれている」は別の問題なので、まずどちらなのかを見分けてください。

スキャンした PDF のファイル名に日時を入れる運用も要注意です。ファイル名が実際のスキャン時刻とずれていると、月次の突合や「いつ受け取った書類か」の確認で素直に信じられなくなります。通信管理レポートやジョブ履歴も同様で、トラブルの調査でログを時系列に並べたいときに、機器ごとの時計が揃っていないと順序が狂います。

直したあとの答え合わせ

設定を変えたら、実際に合っているかを目で見て確かめるのがいちばん確実です。テスト送信を1枚してレポートの時刻を見る、スキャンを1本かけてファイル名の日時を見る——この2つで、業務に出てくる時刻はだいたい押さえられます。

そのとき手元に秒まで出る時計があると比べやすいので、Mihata の無料Webアプリ「集中時計」をブラウザで開いて並べて見るのも手です。インストール不要で全画面のデジタル時計として使えます。

ただし正直にお伝えしておくと、集中時計が表示しているのは開いた端末のOS時刻で、NTPサーバーから正しい時刻を配信しているわけではありません。パソコン側がずれていれば、同じようにずれた時刻を大きく表示します。「正しさの基準」には使えないので、パソコンの時刻を先に同期しておいた上での見比べ用、あるいは作業中の見やすい時計としてお使いください。

まとめ:上から順に潰す

順番はこれだけです。①タイムゾーンを GMT+09:00 に設定する、②管理画面(リモートUI/Web Config/Web Image Monitor)で SNTP を「使用する」にして同期先と間隔を入れる、③サマータイム設定が有効なら切る、④電源を入れ直すと戻るならプラグを抜かない運用にする、⑤同期できないなら情報システム担当に社内の時刻サーバーを確認する。いきなり初期化や修理依頼に行く前に、この5つで大半は決着します。

複合機の時計のように、原因がネットワーク・設定・運用習慣にまたがる不調は、社内では「誰も直し方を知らないまま毎回手で合わせる」状態になりがちです。Mihata では中小企業向けに、こうした業務まわりのIT・AI活用のご相談も承っています。社内の機器で時刻がばらついていて切り分けが進まない場合は、状況を伺ったうえで一緒に整理いたします。

よくある質問

プリンターの日時がちょうど9時間ずれるのはなぜですか?

タイムゾーンが設定されていない可能性が高いです。SNTPによる時刻同期は協定世界時(UTC)を基準に動くため、時差を設定していないとUTCのまま表示されます。日本の場合はGMT+09:00を指定してください。

複合機の時刻を自動で合わせる設定はどこにありますか?

メーカーごとに名前が違います。キヤノンはリモートUIの「設定/登録」から「ネットワーク設定」「TCP/IP設定」「SNTP設定」、エプソンはWeb Configの「デバイス管理」タブの「日付/時刻」から「タイムサーバー」、リコーはWeb Image MonitorでSNTPサーバーを指定します。

エプソンの複合機で時刻を同期する間隔はどこまで設定できますか?

公式マニュアルによると、Web Configのタイムサーバー設定で更新間隔は1分単位で10,080分まで指定できます。アドレスはIPv4、IPv6、FQDNのいずれでも入力でき、設定後はタイムサーバー接続状態の欄で接続を確認できます。

電源プラグを抜くと日時が初期値に戻ります。故障でしょうか?

故障ではありません。キヤノンのマニュアルには電源プラグを抜くと日付・時刻情報はリセットされ、メモリーに保存されているファクスもすべて消去されると明記されています。ファクスを使う機器は通電したままにし、電源ボタンでオフにしてください。

時刻を合わせたのにファクスの相手の用紙に日時が印刷されません。

発信元登録がされていない可能性があります。ブラザーの公式FAQでは、時刻設定をしていても発信元登録をしないと相手側の用紙に日時は印刷されないと説明されています。発信元としてファクス番号と名前を登録してください。

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