Mihata
仕事効率化(DX)2026.09.29

時計が1秒ずれる原因は2つ|月差20秒と同期の間隔

結論:1秒のずれは「水晶の誤差」か「同期していない時間」のどちらか

時計が1秒ずれる原因は、大きく2つに分けられます。1つは時計そのものが持つ誤差で、一般的なクオーツ腕時計は月差±20秒レベルで設計されています(日本時計協会「時計の精度について教えて」)。月に20秒ずれる設計なら、1秒のずれはおよそ1日半で発生する計算になります。

もう1つは、合わせ直しの間隔です。電波時計もスマートフォンも「常に正しい時刻」を持っているわけではなく、決まったタイミングで基準に合わせ直し、その間は自分の水晶で時を刻んでいます。つまり1秒のずれは故障ではなく、仕様どおりに起きている現象です。直すべきは時計ではなく、「どの表示を基準にするか」の決め方のほうです。

そもそも1秒のずれで困る場面は限られる

先に切り分けておくと、日常生活で1秒の差が結果を変える場面はごくわずかです。待ち合わせ、電車の乗り継ぎ、会議の開始なら、数十秒の誤差でも実害はありません。1秒を気にし始めると、どの時計を見ても不安になってしまいます。

一方で、次のような場面では1秒が結果を分けます。チケットやライブ配信の先行販売、オークションの終了間際、オンライン試験や出願の締切、競技のタイム計測、生配信の開始合図。いずれも「相手側のサーバの時刻」で勝敗が決まるという共通点があります。

ここが重要な分かれ目です。こうした場面で見るべきは、手元の腕時計でも壁の時計でもありません。ネットワーク経由で時刻同期された表示、できれば相手のサービス自身が出しているカウントダウンです。手元の端末の時計は、あくまでおおよそ合っているものとして扱うのが実務的です。

時計の種類別|想定される誤差と合わせ直す方法

種類ごとに「誤差の出方」と「何をもって合わせるか」が違います。公式に確認できる範囲で整理しました。

時計の種類

想定される誤差

合わせ直す方法

機械式腕時計

日差数秒〜日差±数十秒(高精度品で日差±5秒レベル)

基準になる時計を見て手で合わせる

クオーツ腕時計

一般品で月差±20秒レベル

手で合わせる(月1回程度が目安になる)

クオーツの掛時計・置時計

アナログで平均月差±20秒、デジタルで平均月差±30秒(気温5〜35℃での使用が前提)

手で合わせる

電波時計

標準電波を受信できていれば自動で修正される。受信できない場所ではクオーツ時計として動く

受信しやすい窓際などに置く/手動受信

スマートフォン・パソコン

ネットワーク時刻に同期。同期の間隔と通信経路の遅れの分だけずれる

自動時刻設定をオンにする/手動で同期をやり直す

数値はいずれも日本時計協会の公開情報によるもので、個々の製品の保証値ではありません。お手元の時計の精度は、取扱説明書の表記が優先されます。

原因1:クオーツの月差は「ずれてよい幅」として決められている

クオーツ時計は水晶振動子の振動を数えて時を刻みますが、この振動数は温度でわずかに変わります。日本時計協会は、クオーツクロックの精度を気温5℃から35℃での使用を前提とした設計として説明しています。真夏の締め切った部屋や、暖房の効いた室内でずれが目立つのは、この前提から外れているためです。

月差±20秒は「1か月で最大20秒ずれても正常」という意味です。単純に割れば1日あたり0.7秒前後。2日も経てば1秒ずれているのが当たり前ということになります。1秒のずれを見つけて故障を疑う必要はありません。

原因2:電波時計は「受信できて初めて」合う

電波時計は、情報通信研究機構(NICT)が送信する標準電波(JJY)を受信して時刻を自動修正します。送信所は2か所で、福島県のおおたかどや山標準電波送信所が40kHz、佐賀県・福岡県境のはがね山標準電波送信所が60kHz、いずれも空中線電力50kWです(NICT「JJY - 標準電波」)。この電波にタイムコード化された時刻情報が含まれています。

逆に言えば、受信できない間は普通のクオーツ時計と同じように誤差を積んでいきます。鉄筋の建物の奥、金属製のラックの中、パソコンやテレビの近くなどは受信が難しくなりがちです。「電波時計なのにずれている」の多くは、時計の故障ではなく受信できていない状態が続いているケースです。置き場所を窓際に変えて一晩置く、という対処が先になります。

原因3:NTP同期は正確だが、同期していない時間がある

スマートフォンやパソコンは、ネットワーク経由で時刻を合わせます。日本標準時そのものは、NICTが最大4台の水素メーザと約18台のセシウム原子時計、1台のストロンチウム光格子時計を用いて決定しています(NICT「日本標準時」)。この時刻を配っているのが公開NTPサーバの ntp.nict.jp です。

NICTはこのサーバについて、時刻精度は日本標準時から10ナノ秒以内としつつ、利用者側の精度はインターネット環境に応じて数ミリ秒から数百ミリ秒まで大きく変化し、保証はできないと明記しています(NICT「公開NTPサービス」)。それでも誤差はミリ秒の桁で、1秒には届きません。

ではなぜスマホの時計が1秒ずれるのか。同期が連続していないからです。Androidの公式ドキュメントによれば、ネットワーク時刻の取得はSNTPで行われ、通常の問い合わせ間隔は既定で18時間、失敗時の再試行が1分間隔とされています(Android Open Source Project「Network time detection」)。同期と同期の間は端末自身の水晶で動くため、その分のずれが乗ります。圏外が続いたときは、携帯網から届くNITZ信号やGNSS(衛星)の時刻が使われる設計です。

パソコンも同じ構造です。マイクロソフトは、条件が整った環境ではWindows 10/Windows Server 2016以降で1秒・50ミリ秒・1ミリ秒の精度を出せるとしています(Microsoft Learn「Support boundary for high accuracy time」)。逆に言えば、設定と環境しだいで精度は変わります。機種別の直し方はスマホの時計がずれるときの直し方とパソコンの時計がずれるときの対処にまとめています。カーナビの時計も、衛星測位と内部時計の組み合わせで同じ理屈のずれ方をします(カーナビの時計がずれる原因)。

私たちが公開している集中時計も、こうした「秒まで見える時計」の一つです。作業に集中するための全画面の時計で、1秒を争う入札に使うというより、時間の流れを目で捉えるための道具として作っています。よければ試してみてください。

うるう秒は、いまの1秒のずれの原因ではない

「うるう秒でずれたのでは」と考える方もいますが、直近のうるう秒挿入は2017年1月1日で、1972年からの挿入は通算27回、協定世界時(UTC)と国際原子時(TAI)の差は−37秒のままです(NICT「うるう秒実施日一覧」)。次の挿入も当面予定されていません。

つまり、いま目の前で起きている1秒のずれは、うるう秒とは無関係です。原因はここまでに挙げた、時計自身の誤差か同期の間隔のどちらかだと考えて差し支えありません。

「ずれを直す」より「基準を1つ決める」

実務的な結論はシンプルです。すべての時計を合わせようとするのではなく、1秒を争う場面で見る時計を1つだけ決めておくこと。おすすめは、自動時刻設定をオンにしたスマートフォンかパソコン、もしくはそのサービス自身が出しているカウントダウン表示です。

そのうえで、腕時計や壁の時計は「月に1度その基準に合わせ直す道具」と割り切ります。月差±20秒の時計なら、月1回合わせておけばずれは20秒以内に収まります。全部を1秒に揃えようとすると手間ばかりかかり、しかも翌日にはまたずれています。

ブラウザで開くWeb時計を基準にしたい場合は、その時計が端末の時刻をそのまま表示しているのか、サーバの時刻で補正しているのかで意味が変わります。選び方はWebでリアルタイム時計を秒まで正確に見る方法で整理しています。

時刻のずれが業務のトラブルにつながっている、といったご相談があればお気軽にどうぞ。

よくある質問

クオーツ時計が1日で1秒ずれるのは故障ですか?

故障とは限りません。日本時計協会によると一般的なクオーツ腕時計は月差±20秒レベルで設計されており、単純計算で1日あたり0.7秒前後のずれは設計の範囲内です。

電波時計なのに時刻が合いません。

標準電波を受信できていない可能性が高いです。電波時計は受信できない間は通常のクオーツ時計として動きます。窓際など受信しやすい場所に置き、家電から離して一晩様子を見てください。

日本標準時はどこが作っていますか?

情報通信研究機構(NICT)です。最大4台の水素メーザと約18台のセシウム原子時計、1台のストロンチウム光格子時計を用いて決定され、標準電波JJYと公開NTPサーバで配信されています。

スマホは自動で時刻同期しているのに、なぜずれるのですか?

同期が連続していないためです。Androidの公式ドキュメントではネットワーク時刻の問い合わせ間隔は既定で18時間とされており、その間は端末自身の水晶で時を刻むためわずかなずれが乗ります。

うるう秒が原因で時計がずれることはありますか?

現時点では該当しません。直近のうるう秒挿入は2017年1月1日で、以降は挿入されておらず、次回も当面予定されていません。

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