2026年9月15日(日本時間)にiOS 27が配信され、新しい「Siri AI」が登場しました。iPhoneに標準でAIアシスタントが載るなら、ChatGPTのアプリはもう要らないのか――という疑問が出てきます。結論から言うと、少なくとも当面は「置き換え」ではなく「役割が違う2つ」です。何がどう違うのか、公式の記述にもとづいて切り分けます。
結論:今日の日本ではChatGPTが主力。Siri AIは端末操作の担当
まず、2026年9月15日時点の日本で使える状態を確認します。
観点 | Siri AI | ChatGPT |
|---|---|---|
日本語で使えるか | まだ(英語のベータ版として開始。日本語は後日) | 使える |
対応端末 | iPhone 16以降+15 Pro/15 Pro Maxなど(Apple Intelligence対応機) | ブラウザとアプリが動けば端末を問わない |
得意なこと | 端末内の文脈(メッセージ・メール・写真)を横断して操作する | 長い文章の生成・調査・資料作成 |
料金 | 現時点は追加料金なし。ただし有料枠を公式に予告 | 無料プランあり。上位プランは有料 |
使用量の上限 | 1日の使用回数に制限(上限値は非公表) | プランごとに公表 |
いま日本語環境のiPhoneでAIを使いたいなら、答えはChatGPT(あるいは他のAIアプリ)です。Siri AIはまだ日本語で動きません。ここを曖昧にしたまま「iPhoneのAIが賢くなった」と言うと、実際に触ったときに落差があります。
Siri AIが日本語で使えるのはいつか
Appleの米国Newsroomには「Siri AI begins rolling out today in beta in English, and will expand to French, Japanese, Korean, Portuguese, and Spanish next month.(Siri AIは本日より英語のベータ版として提供を開始し、来月フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語へ拡大)」と書かれています(Apple Newsroom, 2026年9月14日)。
一方、Apple日本のサイトは「年内に日本語でも利用できるようになります」と書いています。どちらも公式で、米国版のほうが具体的です。「10月が目標、年内までの幅をAppleは残している」と読むのが安全だと考えています。切り分けはApple Intelligenceの日本語対応がいつからかの整理にまとめました。
性格が違う:Siri AIは「端末の中」、ChatGPTは「机の上」
この2つは、同じ土俵で戦っていません。
Siri AIにできて、ChatGPTには構造的にできないこと
Appleが挙げているのは、端末内の個人データを横断する操作です。たとえば「家族が言っていたやりたいことは何だったか」と聞くと、メッセージを検索し、関連するメールからレシピを引き出し、リマインダーの買い物リストに材料を追加する――という一連の動作が例として示されています。ほかにも次の機能があります。
- 画面の内容を理解する(onscreen awareness):見ているページについて質問し、そのまま予定に追加するなどの操作ができる
- システム全体のアプリ操作:WhatsAppでメッセージを送る、Audibleで本を再生するなど、既存アプリへの指示
- カメラのSiriモード:目の前のものについて質問し、その場でカレンダーやWalletへ反映
- Write with Siri:文字入力できる場所ならほぼどこでも下書き生成と推敲。メールとメッセージでは相手ごとの普段の書き方に寄せる
- 専用のSiriアプリ:会話履歴をiCloudで端末間に同期し、iPhoneで始めた会話をMacやiPadで続けられる
これらはOSの内側にいるアシスタントにしかできない類のものです。ChatGPTのアプリは、原理的に他アプリのデータを勝手に横断できません。
ChatGPTにできて、Siri AIでは代わりにならないこと
逆にChatGPTの側は、長い文章と資料の仕事が本業です。調査して出典つきの文書にまとめる、表計算やスライドの形で出す、ファイルを読み込んで比較する、といった作業量の多い仕事で差が出ます。そもそも今日の日本語環境ではSiri AIが動かないので、比較以前に選択肢がChatGPT側にしかありません。
ChatGPTの無料プランでどこまでできるかはChatGPTの無料と有料の違いで整理しています。スマートフォンでの始め方はスマホでChatGPTを始める手順をどうぞ。
見落とされがちな差:使用量の上限の見え方
ここは実務で効いてくる違いです。
Appleは、サーバサイドモデルに依存する機能――Siri AI、インテリジェントな写真編集ツール、Image Playground、ショートカットのAFM 3 Cloudモデルなど――に1日の使用回数の制限を設けると脚注に明記しています。ただし上限値そのものは公表されておらず、「機能、リクエストの複雑さ、システムへの負荷、システムポリシー、その他の要因によって異なる場合があります」と書かれています。さらに「当該機能へのアクセスは今後、有料で拡大する予定です」と有料枠も予告済みです。
つまりSiri AIは「無料だが、どこで止まるか分からない」状態です。対してChatGPT側はプランごとに使える範囲が公表されています(たとえばChatGPTのリリースノートでは、音声の1日あたりの利用時間がプラン別に明示されています)。業務のフローに組み込むなら、上限が読める側のほうが設計しやすいのは間違いありません。使用回数制限の詳細はSiri AIの使用回数制限と有料化の予告にまとめました。
中身はどちらもGoogleと無関係ではない
もう1つ、今回はっきりしたことがあります。Appleは公式Newsroomで、次世代のApple Foundation Modelsを「custom-built in collaboration with Google and its Gemini models(Googleおよび同社のGeminiモデルとの協業でカスタム構築)」と明記しました。
報道ベースで語られてきた「SiriのGemini搭載」が、Apple自身の言葉になった形です。ただし処理はオンデバイスとPrivate Cloud Computeで行われ、Private Cloud Compute利用時も個人データは保存されずAppleからもアクセスできない、という説明は維持されています。関係の詳細はSiriとGeminiの関係を公式原文から整理した記事で扱っています。
結局どう使い分けるか
日本語対応が来た後を見据えた、現実的な線引きはこうなると考えています。
やりたいこと | 向いている方 |
|---|---|
「あの人が送ってきた住所」を探して地図を開く | Siri AI(端末内の文脈) |
提案書のたたき台を作る/長文を要約する | ChatGPT |
写真を整理する・撮った写真を編集する | Siri AI(写真アプリ側の機能) |
出典つきで調べ物をする | ChatGPT |
手を使わずに操作したい(運転中など) | Siri AI |
片方に寄せる理由は、今のところありません。Siri AIは「iPhoneを操作するための口」、ChatGPTは「考えて書くための道具」と役割で分けておくのが、実務では扱いやすいはずです。
自分のiPhoneがSiri AIの対象かどうかはiOS 27の対応機種一覧とAI機能の条件で確認できます。iOS 27そのものを今入れるべきかはアップデートの判断材料にまとめました。
どのAIを社内に入れるかで迷ったときに
AIアシスタントは「どれが賢いか」より「どこまでを任せるか」を決めるほうが難しく、そこで止まっている会社が多い印象です。記事の途中で恐縮ですが、Mihataでは月1回のミーティングで、どの業務にどのAIを当てるかを一緒に整理していくAI導入支援を行っています。良いサービスだと思っておりますので、よろしければあわせてご覧いただけたら嬉しいです。
よくある質問
Siri AIがあればChatGPTは不要になりますか?
なりません。Siri AIは端末内のメッセージ・メール・写真を横断して操作することが得意で、ChatGPTは長文の生成・調査・資料作成が得意です。役割が違うため、置き換えではなく使い分けになります。
今日から日本語でSiri AIを使えますか?
使えません。Appleの米国Newsroomでは英語のベータ版として提供を開始し、日本語を含む5言語へは来月(10月)拡大すると書かれています。Apple日本のサイトは「年内」と表記しています。
Siri AIは無料ですか?
現時点で追加料金はありませんが、サーバサイドモデルに依存する機能には1日の使用回数の制限があり、上限値は公表されていません。さらにAppleは「当該機能へのアクセスは今後、有料で拡大する予定」と公式に予告しています。
Siri AIの中身はGoogleのGeminiですか?
Appleは公式Newsroomで、次世代のApple Foundation ModelsをGoogleおよび同社のGeminiモデルとの協業でカスタム構築したと明記しています。処理はオンデバイスとPrivate Cloud Computeで行われます。
どちらを使うか業務で決めるときの基準は?
端末内の情報を横断する操作(相手が送ってきた住所を地図で開く、写真を編集する、手を使わず操作する)はSiri AI、文章を書く・調べる・資料にまとめる作業はChatGPTが向いています。上限が公表されている点でも、業務フローに組み込むならChatGPT側のほうが設計しやすいです。