結論から言うと、開業前の自社サイトは「開業日の90日前」を起点に組むのが一番ズレません。Google ビジネスプロフィールは開業予定日を設定すると開業日の90日前からプロフィールが表示される仕様で、地図と検索に自社が出はじめるのがここだからです。そしてその時点で、プロフィールに載せるサイトURLと電話番号はすでに稼働している必要があります。つまりサイトは「開業日まで」ではなく「開業日の90日前まで」に間に合わせる仕事になります。
もうひとつ、順番を間違えると取り返しがつきにくいのがドメインです。.co.jp は登記済みの会社しか登録できませんが、JPRS は組織設立の6カ月前から使える「仮登録」の制度を用意しています。しかも .co.jp は原則1組織1ドメイン名。会社名が決まった段階で押さえておかないと、開業後に「使いたい文字列が他社に取られている」という、あとから予算では解決できない状態になります。
開業日から逆算する|90日前・6カ月前の2つの期限
開業準備でサイトが後回しになるのは、期限が「開業日」しか見えていないからです。実際には開業日より手前に2つの締切があります。会社設立の6カ月前(ドメイン仮登録の窓)と、開業日の90日前(地図に出はじめる日)です。この2つを先に置くと、逆算表は自然に決まります。
時期 | やること | 期限の根拠 |
|---|---|---|
社名・屋号が決まった日 | .co.jp の仮登録(登記前でも可)/.com 等の取得 | 設立の6カ月前から仮登録が可能。1組織1ドメイン名が原則 |
開業日の120〜100日前 | サイトの内容を決める(何を売るか・誰に・どこまで書くか) | 次の90日前に間に合わせるための助走 |
開業日の90日前 | サイト公開+電話番号の開通+Google ビジネスプロフィールの開業日設定 | 開業日の90日前からプロフィールが表示される |
開業日の90〜0日前 | プロフィールへの投稿・写真追加、サイトの追記 | この期間はクチコミや編集提案は入らない=自社発信だけの静かな期間 |
開業日以降 | 検索での出方の確認、ドメイン・証明書の更新設定 | 公開直後はインデックス未登録が普通 |
「開業日の90日前にサイトを公開する」と聞くと早すぎるように感じますが、この90日はほぼ自社の発信しか載らない静かな期間です。Google のヘルプは、開業前のプロフィールでは情報の投稿と写真の追加ができる一方、ユーザーは編集の提案やクチコミの投稿ができないと明記しています。準備の過程を見せながら、まだ評価されないうちに土台を整えられる時間、と考えるほうが実態に合います。
.co.jp は登記前に押さえられる|仮登録の使い方と落とし穴
.co.jp の登録資格は「日本国内で登記を行っている会社」です。ここだけ読むと登記完了まで待つしかないように見えますが、JPRS は .co.jp・.or.jp・.ac.jp などについて、組織設立の6カ月前から利用できる仮登録の制度を案内しています。実務上は「社名が確定して定款を作る前後」が動きどきです。
仮登録には期限がある
仮登録は無期限の予約ではありません。JPRS の指定事業者である JPDirect の案内では、仮登録申請日から6カ月以内に登記を完了させて本登録(無料)を行う必要があるとされています。期限内に本登録ができなければ、押さえていたドメイン名は手元に残りません。設立スケジュールが半年以上先なら、仮登録はまだ早いという判断もあります。
1組織1ドメイン名の原則を忘れない
.co.jp は原則として一つの組織で一つのドメイン名です。「サービス名でも1本取って両方使う」は前提にできません。屋号・サービス名を別に立てたい場合は、会社は .co.jp、サービスは .com や .jp という組み合わせで設計します。ここを開業後に気づくと、名刺・パンフレット・看板を刷り直す話になります。
個人事業なら .co.jp は使えない
個人事業主として開業する場合、.co.jp は登録資格の対象外です。この場合は .com・.jp・.net などから選ぶことになります。将来法人化する見込みがあるなら、最初から法人化後も使える文字列にしておくほうが安全です。屋号をそのままドメインにすると、法人化で社名が変わったときにサイトごと引っ越すことになります。
Google ビジネスプロフィールは「順番」を間違えると止まる
開業前登録でよく起きるのが、サイトも電話も無い状態でプロフィールを作ってオーナー確認に進んでしまうケースです。開業予定日の設定はオーナー確認の前に済ませるのが原則で、プロフィールに載せるサイトURLと電話番号は、確認の時点で実際に到達できる状態でなければ整合が取れません。だから順番は必ずこうなります。
- ドメインを取る(.co.jp は仮登録でも可)
- サイトを公開して、そのURLでアクセスできる状態にする
- 事業用の電話番号を開通させる
- Google ビジネスプロフィールを作り、開業予定日を設定してからオーナー確認に進む
実務で多いのは、2と3を飛ばして4から入ってしまう形です。「まず地図に載せておこう」という発想は自然なのですが、開業前プロフィールは「これから開く実在の事業」であることを示せないと通りません。サイトは審査書類の一部として働きます。逆に言えば、1枚でも実在が伝わるサイトが先に立っていれば、地図側の手続きはかなり素直に進みます。
開業前のサイトで先に決める5つ
開業準備の相談で決まらないまま止まるのは、だいたい次の5つです。デザインや写真より前に、ここを文字で決めるほうが早く進みます。
- 表記の統一:社名・屋号の正式表記(株式会社の前後、英字表記、読み)。ここが揺れると登記・ドメイン・地図・名刺で別々の表記が残ります
- 住所を公開するか:自宅開業なら公開しない選択もあります。ただし地図側は住所と紐づくので、店舗型・来客型なら公開が前提になります
- 電話を何番にするか:携帯番号で始めると、後から固定番号に変えたときに名刺と地図の両方を直すことになります
- 問い合わせをどこで受けるか:フォーム・電話・予約のどれを主にするか。予約が主なら、予約システムをホームページに埋め込む方法を先に決めておくと、開業後の電話対応が軽くなります
- メールをどこで受けるか:独自ドメインのメールは設定を間違えると静かに届かなくなります。開業直後の取りこぼしは痛いので、テスト送受信まで済ませます
逆に、開業前に完璧にしなくていいものもあります。実績・事例・スタッフ紹介は、事業が始まってからしか書けません。開業前のサイトは「実在」と「何を頼めるか」が伝わればいったん足りると割り切って、90日前の締切を守るほうが結果として得です。
私たちもホームページ制作をしています。記事の途中で恐縮ですが、開業前は決めることが多くサイトが後回しになりやすいので、質問に答えるだけでデザインイメージをお出しする形にしています。創業5年以内は初期費用0円で、最短2週間で公開まで進められます。よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。
実務で多い、開業後に作り直しになるパターン
開業前のサイトで一番もったいないのは、開業してすぐ作り直しになることです。現場で多いのは次の3つです。
サービス内容が固まる前に「完成版」を作ってしまう
開業から3カ月で、売れる商品と価格は必ず変わります。開業前に作るのは、あとから増やせる形にしておくのが前提です。ページを1枚の画像で作ってしまうと、価格を1つ直すのに制作会社へ依頼が必要になります。
ドメインとサーバーを誰が持っているか分からなくなる
開業準備は人に任せる場面が多く、知人や当時の担当者がドメインを自分の名義で取ってしまうことがあります。数年後に連絡が取れなくなると、サイトもメールも人質になります。契約は必ず自社名義・自社のメールアドレスで取ります。心当たりがあるなら、ドメインとサーバーの管理会社を調べる手順で先に確認しておくのが安全です。
開業日に合わせて公開したのに検索に出てこない
公開直後の数日から1〜2週間、検索結果に自社サイトが出てこないのは異常ではありません。インデックス登録そのものに時間がかかるためです。開業日に「検索しても出ない」と焦らないために、ホームページが検索に出てこないときの切り分け手順を先に読んでおくと、原因の切り分けだけで済みます。地図(Google ビジネスプロフィール)と検索(自然検索)は別の仕組みで、開業直後にまず効くのは地図側です。
費用と補助金は、どこまで開業前に見込むか
開業前は現金が一番貴重なので、サイトの予算は「開業時に必要な最小」と「開業後に足す分」に割るのが現実的です。相場の考え方はホームページ制作費用の相場と無料プランの落とし穴にまとめています。無料プランは初期費用が0円になる代わりに、独自ドメインやメール、広告表示の扱いで制約が出るので、開業と同時に名刺へURLを刷る予定があるかどうかで判断が変わります。
補助金を当て込む場合は、交付決定の前に発注すると対象外になるのが原則です。開業日が先に決まっているとスケジュールが噛み合わないことが多いので、対象になる範囲は小規模事業者持続化補助金でホームページは対象になるかで確認してから、開業前に自費で出す分と補助金で足す分を分けて考えるほうが安全です。
公開までの実務的な段取りはホームページを最短2週間で公開する方法に手順化してあります。90日前の締切から逆算して、いつ発注すればよいかの目安にしてください。
開業後すぐにやる2つ(放置すると止まる)
開業してからの最初の1カ月で、必ず終わらせておきたいことが2つあります。どちらも「やらなくても当日は困らないが、忘れると1年後に止まる」類のものです。
1つはドメインの自動更新設定です。更新を忘れるとサイトとメールが同時に止まります。開業直後に登録したドメインは、更新月が1年後の同じ時期に来るので、いちばん忘れやすいタイミングです。止まったときの実際の流れはドメインの更新忘れでサイトが消えたときの対処にあります。
もう1つは最低限のセキュリティ設定です。開業直後の小さなサイトでも自動化された攻撃の対象になります。やることは多くないので、中小企業が最低限やるホームページのセキュリティ対策の範囲を開業後1カ月のうちに済ませておくのがおすすめです。
開業前後のサイトについて、どこから手を付けるか迷っている段階でも相談していただけます。
よくある質問
開業前でも .co.jp ドメインは取れますか?
取れます。JPRS は CO.JP・OR.JP・AC.JP などについて、組織設立の6カ月前から使える仮登録の制度を用意しています。ただし仮登録は無期限の予約ではなく、仮登録申請日から6カ月以内に登記を完了させて本登録(無料)を行う必要があります。個人事業主のままなら CO.JP は登録資格の対象外なので、.com や .jp から選びます。
Googleビジネスプロフィールは開業前に登録できますか?
できます。開業予定日を設定してオーナー確認を行うと、開業日の90日前からプロフィールが表示されるようになります。この期間は情報の投稿や写真の追加ができ、ユーザーからのクチコミや編集の提案は入りません。ただしプロフィールに載せるサイトURLと電話番号が実際に稼働している必要があるため、サイトと電話を先に用意してから進めます。
開業前のサイトはどこまで作り込めばよいですか?
実在が伝わることと、何を頼めるかが分かることの2点があれば、開業前はいったん足ります。実績・事例・スタッフ紹介は事業が始まってからしか書けないので後回しで構いません。開業から3カ月で商品と価格は変わるため、あとから自分で増やせる形にしておくほうが重要です。1枚の画像でページを作ると、価格を1つ直すだけでも外注になります。
.co.jp は会社名とサービス名で2本取れますか?
原則として取れません。CO.JP は原則として一つの組織で一つのドメイン名です。会社は .co.jp、サービスは .com や .jp という組み合わせで設計します。開業後にこれに気づくと、名刺・パンフレット・看板の刷り直しになります。
開業日に公開したのに検索に出てこないのは失敗ですか?
失敗ではありません。公開直後の数日から1〜2週間、検索結果に出てこないのはインデックス登録に時間がかかるためで異常ではありません。地図(Google ビジネスプロフィール)と自然検索は別の仕組みで、開業直後にまず効くのは地図側です。それでも不安なら切り分け手順で原因を確認してください。