先に結論です。エアコンのタイマーは「現在時刻」を基準に動くので、時刻がずれていればタイマーもその分ずれます。そして時刻を自動で合わせ直す仕組みは、家庭用エアコンにはほぼ載っていません。ダイキンは業務用のワイヤードリモコンの取扱説明書で「時計精度は±30秒/月以内です」と明記しています。月に最大30秒なら1年で最大6分。パナソニックは「快適おまかせ運転やタイマー予約、電気代表示などを正しく動作させるため、年・月・日・時刻は必ず合わせてください」と書いています。つまり定期的に手で合わせるのが前提の機器です。さらにリモコンの電池を交換すると時刻が消え、タイマー設定も取り消されるのが各社共通の仕様で、停電のあとも同じです。「タイマーが動かない」の原因は時刻ずれだけではないので、下の切り分け表から見てください。
エアコンの時刻がずれる理由
まず押さえたいのは、時計を持っているのはリモコン側だという点です。パナソニックの取扱説明書には「時刻を確定するときは、室内ユニットに向けて決定ボタンを押してください。日時情報が本体に送信されます」と書かれています。リモコンで決めた時刻を本体へ送る構造なので、リモコンの時計が狂えば本体の予約も狂います。
その時計の精度について、数値を公式に出しているのはダイキンの業務用ワイヤードリモコンです。「時計精度は±30秒/月以内です」——これは水晶振動子で時間を数える時計としてはごく普通の水準で、誤差そのものは故障ではありません。問題は、この誤差を打ち消す仕組みが載っていないことです。パソコンやスマートフォンはNTPで自動補正されるのでずれませんが、エアコンには時刻の供給源が外にありません。
同じ理由でずれる機器は身近に多くあります。原理と「どれくらいが正常か」の目安は時計が1秒ずれる原因は2つにまとめています。
タイマーが設定した時刻に動かないときの切り分け
時刻合わせに進む前に、ここを見てください。三菱電機と日立が公式に挙げている原因をまとめると、次の表になります。時刻ずれ以外の原因で止まっていることが、実際にはかなり多いです。
症状 | 公式に挙げられている原因 | 最初にすること |
|---|---|---|
予約したのに動かない。表示も残っていない | 「タイマー予約中、および予約後に電源を切ると、タイマー予約が取り消されます」(三菱電機) | 運転を切らずに予約する。切ったら予約し直す |
予約した時刻とずれて動く | 「現在時刻が正しく表示されていますか?」(三菱電機) | リモコンの現在時刻を合わせ直す |
12時間ずれて動く | 「現在時刻は24時間表示のものと、午前・午後表示のものがあります」(三菱電機) | 午前/午後の取り違えを確認する |
翌日は動かなかった | 「タイマーは設定した1回限りの運転」(三菱電機) | 毎日動かしたいなら対応機種か確認する |
入タイマーと切タイマーを両方入れたのに片方だけ動く | 機種により「切タイマーと入タイマーを同時に設定できない」(三菱電機・日立) | 品番の取扱説明書で併用可否を確認する |
そもそも予約の操作ができない | 「リモコンの初期設定が完了していないか、正しく設定されていない可能性」=日付・時刻・据付位置の3点(日立) | 未設定だと「時刻」と「年」が点滅する。初期設定からやり直す |
ボタンを押しても本体が反応しない | 電池の消耗(目安約1年)、液漏れ、フタが開いている、照明などの干渉、専用ブレーカーのOFF(ダイキン) | 「本体からピッと音がするか」を確認(三菱電機)。スマホのカメラで送信部の発光も確認できる |
ボタンを押しても何も変わらない・ロックされている | チャイルドロック(ダイキン) | 「チャイルドロック」ボタンを約2秒以上押して解除する |
タイマーの「種類」の取り違えも定番です。ダイキンには現在時刻からの経過時間で動く「入/切タイマー」(30分刻み)と、時刻を指定する「時刻タイマー」の両方があります。前者を使っているなら、そもそも現在時刻は関係ありません。
メーカー別・エアコンの時刻合わせ手順
以下は公式の取扱説明書・FAQで操作名が確認できたものだけを挙げています。同じメーカーでもリモコンの形(フタ開式/スライドカバー式/ボタン式)で手順が変わるので、リモコンの裏か本体の品番を確認してから取扱説明書を開くのが確実です。
ダイキン
フタ開式はフタを開ける →[時計合わせ]→[▲][▼]で時刻を合わせる →[決定]。スライドカバー式は[時計合わせ]→[▲/選択/▼]で「時」→[時計合わせ]→「分」→[時計合わせ]という、同じボタンを押し進めていく形です。
ひとつ落とし穴があります。ダイキンは「タイマーを設定しているときは、時計合わせできません」と明記しています。時計を直したいのにメニューに入れないときは、先にタイマーを解除してください。
パナソニック
パナソニックは年から合わせます。年(西暦の下2桁)→ 確定 → 月・日 → 時刻の順で、最後に室内ユニットに向けて決定ボタンを押すことで本体に日時が送られます。取扱説明書は「快適おまかせ運転やタイマー予約、電気代表示などを正しく動作させるため、年・月・日・時刻は必ず合わせてください」と、時刻合わせを前提の作業として書いています。
日立
日立は機種によって2通りあります。「設定」ボタンがあるタイプは年 → 月日 → 時刻 → 据付位置の順。「時刻合わせ」ボタンがあるタイプは午前/午後が点滅している間に上下で合わせ、もう一度「時刻合わせ」を押す形です。据付位置まで入れないと初期設定が完了しないのが日立の特徴で、未完了だと予約が使えません。
電池交換と停電のあとは必ず見る
ここは各社の記述がほぼ揃っています。時刻とタイマーは、電源が切れたら消える前提で扱ってください。
- ダイキン:「リモコンの電池を交換したときは、必ず時計を合わせてください。電池を交換するとタイマー設定は取り消されますので、再設定してください」
- パナソニック:電池交換後は「日時を合わせてください」。メニューで変更した内容は「乾電池を交換すると、リモコン表示のみお買い上げ時の設定に戻ります(本体は変更した内容を記憶しています)」
- 日立:電池交換後は先の細いもので「リセット」ボタンを押す。そのとき「タイマー予約などの設定は解除されます」
- 富士通ゼネラル:「電池を交換した/リセットボタンを押した」→「もう一度日時設定をしなおしてください」。さらに「電池が消耗すると、日時設定画面が表示されることがあります」
停電についても同じです。パナソニックは「停電になったとき:運転は停止します。通電後、改めて運転してください。タイマー予約は、取り消されます。通電後、予約し直してください」と書き、さらに「停電になったり、電源プラグを抜き差ししたりしていませんか? 本体の日時情報が消去されるため、表示できません」という症状の説明も載せています。ダイキンの家庭用も「電源プラグをコンセントから抜いたとき」「停電したとき」に「設定した時間がリセットされますので、再設定をしてください」です。
業務用は少し条件が違い、ダイキンのワイヤードリモコンは「48時間以内の停電の場合、内蔵のバックアップ電源の働きにより時計は動き続けます。48時間を超える停電の場合、再設定が必要です」としています。
スマートフォンのアプリで操作している場合も要注意です。ダイキンは「停電や機器の電源OFFなどで、(有線/無線)LAN接続アダプターの電源がOFFになると、ルームエアコン本体のタイマーの解除と併せて、アプリのタイマー設定もOFFになります」と案内しています。アプリの画面に予約が残っていても、本体側では消えていることがあるということです。
停電のあとに時刻を見直す機器はエアコンだけではありません。インターホンの時刻がずれる、ルーターの時刻がずれる原因と直し方も同じ型の問題です。
無線LANに繋げば時刻は自動で合うのか
ここは期待されがちなところですが、家庭用エアコンで「無線LAN接続によって時刻を自動補正する」というメーカーの公式記述は、今回見つけられませんでした。ダイキンのスマートアプリのFAQにある「時刻は日本時間で自動設定されていることをご確認ください」という案内はスマートフォン側の設定の話で、エアコンの時計を補正する機能の説明ではありません。
給湯器では事情が違い、リンナイは「無線LANルーター接続対応リモコンでルーターと接続している場合は、1日に1回時刻を取得し補正を行うためずれません」と明記しています。同じ住宅設備でも、自動補正があるカテゴリとないカテゴリが分かれているということです。エアコンについては「自動では合わない」前提で、季節の入れ替わりに手で確認するのが現実的です。
「どの機器の時刻を信じればいいのか分からない」という状態そのものが、合わせ直すときのいちばんの障害になります。記事の途中で恐縮ですが、私たち Mihata はブラウザで開くだけの集中時計を無料で公開しています。パソコンやスマートフォンの時刻(=自動補正されている時刻)をそのまま大きく表示するので、エアコンのリモコンと見比べる基準として使えます。インストールも登録も要らないので、よろしければご覧いただけたら嬉しいです。
ずれを繰り返さないための運用
- 冷房・暖房を使い始める日に時刻を見る。月±30秒なら半年で約3分です。シーズンの入り口で一度見れば、タイマーの実害はほぼ出ません。
- 電池交換と時刻合わせをセットにする。ダイキンの電池寿命の目安は約1年です。交換したらその場で時刻を入れ、予約も入れ直してください。
- 停電・ブレーカー作業の後に必ず確認する。パナソニックの仕様どおり、タイマー予約は取り消されます。復電後に「動くはず」と思い込まないことが大事です。
- 基準にする時計を1つ決める。スマートフォンの時刻を基準にすると迷いません。リアルタイム時計をwebで秒まで正確に表示する方法のように、秒まで出る表示を横に置くと合わせやすくなります。
まとめ
エアコンのタイマーがずれる・動かないときは、①まず「予約後に運転を切っていないか」「入/切タイマーと時刻タイマーを取り違えていないか」を確認する、②現在時刻を合わせ直す(ダイキンはタイマー設定中は時計合わせに入れません)、③日立は据付位置まで入れて初期設定を完了させる、④電池交換と停電のあとは時刻とタイマーが消える前提で再設定する、⑤自動補正は期待できないのでシーズンの入り口に自分で見る——この順で片付きます。月±30秒という仕様を知っているだけで、「壊れたのかも」と悩む時間が消えます。
よくある質問
エアコンの時刻は自動で合いませんか。
家庭用エアコンで「無線LAN接続によって時刻を自動補正する」というメーカーの公式記述は確認できませんでした。手で合わせる前提の機器です。精度についてはダイキンが業務用ワイヤードリモコンの取扱説明書で「時計精度は±30秒/月以内です」と明記しており、月に最大30秒=1年で最大6分の誤差は仕様の範囲です。
時計合わせのメニューに入れません。
ダイキンは「タイマーを設定しているときは、時計合わせできません」と明記しています。先にタイマーを解除してから時計合わせに入ってください。日立は日付・時刻・据付位置の初期設定が完了していないと予約機能が使えず、未設定のときは「時刻」と「年」が点滅します。
リモコンの電池を替えたらタイマーが動かなくなりました。
仕様どおりの挙動です。ダイキンは「電池を交換するとタイマー設定は取り消されますので、再設定してください」、日立は電池交換後にリセットボタンを押すと「タイマー予約などの設定は解除されます」と記載しています。富士通ゼネラルも「もう一度日時設定をしなおしてください」と案内しています。時刻を入れ直したうえで予約も入れ直してください。
停電のあと、予約した時刻にエアコンが動きませんでした。
パナソニックは「停電になったとき:運転は停止します。タイマー予約は、取り消されます。通電後、予約し直してください」と明記しています。ダイキンの家庭用も電源プラグを抜いたとき・停電したときに設定時間がリセットされるとしています。アプリで操作している場合は、LAN接続アダプターの電源が切れると本体とアプリの両方のタイマーがOFFになります。
予約が12時間ずれて動きます。
三菱電機は「現在時刻は24時間表示のものと、午前・午後表示のものがあります」と案内しています。午前/午後の取り違えが典型的な原因です。リモコンの表示形式を確認してから時刻を入れ直してください。
今日は動いたのに翌日は動きませんでした。
三菱電機は「タイマーは設定した1回限りの運転」と明記しています。毎日同じ時刻に動かしたい場合は、機種が毎日予約に対応しているかを品番の取扱説明書で確認してください。日立もフタの有無で切/入タイマーの併用可否や毎日予約の可否が変わると案内しています。