先に結論です。インターホン(テレビドアホン)の時刻がずれる最大の理由は、多くの機種がネットワークに繋がっておらず、時刻が完全な手動設定だからです。パソコンやスマートフォンのように自動で合わせ直す仕組みがないので、放置すれば一方向にずれ続けます。パナソニックは自社のテレビドアホンの取扱説明書に「時刻は1か月に約60秒ずれることがあります」と明記しています(VL-SWH705KL/KS 取扱説明書)。つまり1年で約12分、3年で約36分。「勝手に直る」ことは期待できないので、親機のメニューから手で合わせ直すのが唯一の正解です。さらに停電・ブレーカー操作・電池交換で日時がまるごと消える仕様の機種もあり、その場合は再設定が必要になります。
インターホンの時刻がずれる4つの原因
設定画面を触る前に、「どれくらいずれているか」「いつからずれたか」を確認してください。ずれ方がそのまま原因を指しています。インターホンの場合、原因は次の4つにほぼ収まります。
ずれ方・症状 | 考えられる原因 | 最初にすること |
|---|---|---|
月に1分前後、じわじわ進む/遅れる | 内蔵クオーツの誤差。公式仕様どおりの正常な挙動(月約60秒) | 親機のメニューで手動設定し直す |
停電やブレーカー操作のあと、日付が大きく過去に戻っている | 停電で日時が消え、工場出荷時の初期値に戻った | 日時を再設定(復電のたびに確認) |
ワイヤレス親機で、充電切れや電池交換のあとに日時が消えた | 電池切れ・電池交換・充電中の停電で日時が消える仕様 | 充電を戻してから日時を再設定 |
そもそも録画に日時が表示されない/設定したことがない | お買い上げ時は日時未設定。設定しないと録画に日時が載らない | お知らせランプの点滅から日時設定へ進む |
自動同期を持たない機種が多い
ここがほかの機器との最大の違いです。パソコンやスマートフォンはNTP(ネットワーク時刻同期)で自動的に補正されるので、ずれていればネットワーク側を疑うのが定石でした。ずれていればネットワーク側を疑えば済みました。ところがインターホンの親機は、LANケーブルもWi-Fiも繋がっていない構成が標準です。時刻の供給源が外にないので、内蔵の水晶発振子が数えた時間だけが唯一の時刻になります。
月60秒という誤差自体は、時計としてはごく普通の水準です。腕時計でも据え置き時計でも同じ原理でずれていきます。水晶振動子の数え方に由来する誤差なので、どの時計でも原理的には同じことが起きます。問題なのは誤差の大きさではなく、インターホンには誤差を打ち消す仕組みが載っていないことです。
停電・電池で日時が消える機種がある
パナソニックの電源コード式テレビドアホン(VL-SWD701KL/KS、VL-SVD701KL/KS)の取扱説明書には、日時設定の注意として「停電時には設定した日時が消えることがあります。その際は再設定してください」と書かれています。同じ説明書の機能設定一覧では、日時設定の初期値が「2014年1月1日 0時00分」と記載されています。日付が十数年前に飛んでいたら、ずれではなく初期値に戻ったサインです。
充電池で動くワイヤレス親機はもう一段シビアです。パナソニックのワイヤレステレビドアホン(VS-SGZ20L/VS-SGE20L)の取扱説明書は、日時が消える条件として「電池切れ、電池交換、充電中の停電」の3つを挙げています(VS-SGZ20L 取扱説明書)。親機を充電台に戻さず使い切ってしまうと、来客の記録ごと日時が狂う可能性があるということです。
アイホンも戸建向けのFAQで、停電後について「居室親機に録画機能を有する場合は、設定されている日時をご確認ください。日時がずれている場合は、取扱い説明書をご確認の上、再設定をお願いいたします」と案内しています(アイホン FAQ No.3811)。メーカーが違っても、復電後に日時を見るのが運用の前提になっています。
メーカー別・ドアホンの時計の設定手順
以下は公式の取扱説明書・FAQで操作名が確認できた機種のみを挙げています。インターホンは同じメーカーでもシリーズごとにボタン構成が違うため、まず親機の裏や側面にある品番を確認し、その品番の取扱説明書を開くのが一番早いです。
パナソニック(タッチパネル式の親機)
VL-SWD701KL/KS・VL-SVD701KL/KS、VL-SWH705KL/KS・VL-SVH705KL/KS などのタッチパネル機は、お買い上げ時は日時が未設定で、お知らせランプが点滅し、画面をタッチすると日時設定を促すお知らせ画面が表示されます。手順は次のとおりです。
- お知らせ画面の[日時を設定する]をタッチする
- [+]または[-]をタッチして日時を合わせる(押し続けると数字が早く変わります)
- 日時を合わせたら[決定]をタッチする
設定済みの時刻を直したいときは、お知らせ画面は出ません。トップメニューの[設定/情報]→[設定を変更]→[最初の設定]→[日時設定]から入り直します。親機の画面に「時計を設定してください」と出ている場合、公式の表示一覧では原因を「日時が設定されていません。または、停電などにより、設定した日時が消えています」と説明しています。
パナソニック(ボタン式・ワイヤレス親機)
VL-SWD220K、VL-SWZ200KL、VL-SWE210KL などのボタン式は、メニューボタン[決定]を押す→日時設定を促すお知らせ画面でもう一度[決定]→マルチファンクションキーで日時を合わせる→[決定]という流れです(パナソニック FAQ 日時(時計)の設定方法)。
ワイヤレス機のVS-SGZ20L/VS-SGE20Lは、【メニュー】を押し、時計設定のお知らせ画面が出たら【モニター】を押す→【◀】【▶】で年・月・日・時・分の項目を選び、【▼】【▲】で数字を選ぶ→【モニター】(決定)を押すという操作になります。変更は各種設定の「日時設定」からです。
アイホン
アイホンの親機は、日時が未設定だとランプで知らせる作りになっています。マンションタイプの親機(VH-RMD、VH-RMC、VJ-RM、GBM-2M など)では、【お知らせ】または【ホーム】ボタンの青色点滅の理由を「新着情報がある場合」と「時計/日時が設定されていない場合」の2つと公式FAQが説明しています(アイホン FAQ No.3412)。設定方法は機器ごとに異なるため、品番に対応した取扱説明書を確認する必要があります。
ワイヤレステレビドアホンのWL-11については、「録画された画像に日時が表示されません」という質問に対し、公式FAQが「日時設定をしていない場合、表示されません」と答え、取扱説明書の該当ページの手順を案内しています(アイホン FAQ No.5414)。録画に日時が出ないのは故障ではなく未設定、というのが最初に疑うべき線です。
Wi-Fi・ホームユニット対応機は「直せない」のが正常なこともある
スマートフォンで外出先から応答できるタイプは事情が変わります。パナソニックのVL-SGZ30/VL-SGZ30Kでは、ホームユニットに登録するとモニター機の日時を変更できなくなります。理由は、ホームユニットがインターネット回線経由で取得した日時情報を自動的にモニター機へ反映するためです(パナソニック FAQ 日時の設定ができません[VL-SGZ30, VL-SGZ30K])。日時設定のメニューがグレーアウトしていても、それは故障ではありません。
ドアホンコネクト対応機(VL-SWH705など)の取扱説明書にも、「ドアホン親機の電源が切断されたときは、ドアホンコネクトアプリの日付/時刻がずれることがあります。電源復帰後にドアホン親機がルーター経由でインターネットに接続されると、日付/時刻が自動登録されます」という記載があります。つまりネット接続機でずれているなら、見るべきは時計ではなくWi-Fi・ルーターの接続状態です。ただし同じ説明書に「時刻は1か月に約60秒ずれることがあります」も併記されているので、ネット接続機でも日常的な進み遅れまで自動補正されるとは限りません。ここは機種とファームウェアで挙動が分かれるため、断定せずに自機の説明書で確かめてください。
それでも時刻合わせができないときの切り分け
「設定画面に入れない」「合わせたのにまたずれる」という場合は、次の順で当たりを付けます。
- 日時設定の項目が選べない → ホームユニットや親機(コントローラー)に登録されていて、上位機器から時刻が配信されている構成。住戸側では変更できない仕様です
- 合わせた直後に戻る/毎回初期値になる → 親機の電源が落ちている(配線式ならブレーカー、ワイヤレス機なら充電切れ)。まず給電を安定させてから設定します
- 1〜2か月で数分ずれる → 仕様の範囲内です。半年ごとなど、点検を習慣にするほうが現実的です
- 日付・時刻の表示が大幅にくるう → パナソニックは長年使用した製品の「愛情点検」の項目に「日付・時刻の表示が大幅にくるうことがある」を挙げ、該当する場合は使用を中止し、電源プラグを抜いて販売店に点検を相談するよう案内しています。単なるずれと故障の兆候はここで線を引けます
- マンションで、住戸の親機に日時設定が見つからない → 次の見出しのとおり、共用部側の管理です
集合住宅は住戸側では直せない
マンションのインターホンは、住戸の親機と共用部の機器(集合玄関機・制御装置)がひとつのシステムになっています。パナソニックは公式FAQで、マンションインターホンの日付・時刻のずれについて住戸のインターホンでは修正できないとしたうえで、「日付や時刻は、マンションの共用部の機器で一括して設定しています」と明記し、管理会社など設備を管理しているところへ相談するよう案内しています(パナソニック FAQ マンションインターホンの日付・時刻)。
自室のパネルをいくら触っても直らないのは当然で、連絡先は管理会社・管理組合です。実務では「共用部の設備なので自分では直せない」と伝えたうえで、ずれ幅(何分進んでいるか)と気づいた日付を添えて連絡すると話が早く進みます。なお、アイホンのマンション用親機のように、住戸側で日時設定を持つシステムもあります。自分の建物がどちらなのかは、親機に日時設定のメニューがあるかどうかで判断できます。
合わせた時刻を何に合わせるか
手動設定しかない機器では、「どの時刻に合わせるか」が精度のすべてです。基準にすべきは日本標準時で、情報通信研究機構(NICT)が日本標準時の維持・通報を担っています(日本標準時プロジェクト - NICT)。秒まで表示される時計を手元に置き、分が切り替わる瞬間に[決定]を押すと、数秒以内の精度で合わせられます。
実務では、玄関の親機の前に立ってスマートフォンの時計を見ながら操作するのが一番手軽です。秒表示の大きい時計を画面に出しておきたい場合、Mihataの無料Webアプリ集中時計はブラウザで開くだけで全画面のデジタル時計になり、インストールも登録も不要です。記事の途中で自社のものを挙げて恐縮ですが、こういう「秒を見ながら機器を合わせる」場面では地味に便利なので、よろしければ合わせてご覧いただけたら嬉しいです。
ただし正直にお伝えしておくと、集中時計が表示しているのは開いた端末のOS時刻で、こちらから正確な時刻を配信しているわけではありません。端末がずれていれば同じようにずれます。厳密な答え合わせはNICTの日本標準時ページなど時刻配信を目的としたサービスで行ってください。電波時計を基準にする手もありますが、電波時計自体が受信できていないケースもあるので、電波時計が合わない原因と受信の切り分けも参考になります。
録画の日時がずれていると何が困るか
インターホンの時刻は、単に画面の飾りではありません。設定した「年・月・日・時・分」がそのまま録画データの日時として使われるので、ずれていれば記録の信頼性ごと落ちます。実際に困る場面は次のようなものです。
- 不在中の来訪の証拠性:誰が何時に来たかを他の記録(配達完了通知、入退館記録、通話履歴)と突き合わせたときに矛盾が出る
- 宅配の受け取り時刻の照合:配達時刻の申告と録画の時刻が合わず、どちらが正しいか誰も断定できなくなる
- 置き配のトラブル:置かれた時刻と持ち去られた時刻の前後関係が崩れ、映像が証明の役に立たなくなる
- 不審者・近隣トラブルの記録:警察や管理会社へ提出するときに「この時計は何分ずれていました」という説明が常に必要になる
記録の時刻が証拠として扱われる機器では、この問題は共通です。カメラとレコーダーで時刻源が分かれる罠まで含めた考え方は防犯カメラの時刻がずれる原因と録画のタイムスタンプに、事故時の記録で時刻が決定的になる話はドライブレコーダーの時刻がずれる原因と直し方にまとめています。インターホンが違うのは、自動同期という逃げ道がなく、人が合わせ続けるしかない点です。
日時以前の落とし穴:録画がもう上書きされている
「あの日の来訪を確認したい」と思ったときに、日時以上によくある壁がこちらです。テレビドアホンの録画は保存件数に上限があり、いっぱいになると古いものから自動で消えます。しかも未確認の画像も消去対象です。パナソニックのVL-SWD701系の仕様は次のとおりです。
記録先 | 最大録画件数 | 最大保護件数 |
|---|---|---|
本体メモリー(SDカード未挿入時) | 50件 | 20件 |
SDカード(2GB〜64GB) | 合わせて3,000件(容量により変動) | 合わせて20件 |
同じ説明書には、ドアホン録画のみ(映像のみ)で使った場合のSDカード容量別の目安として2GBで125件、8GBで520件、32GBで2,090件、48GBで3,000件(最大件数)という数字も載っています。ワイヤレス機のVS-SGZ20Lは自動と手動を合わせて最大100件、保護は20件までです。
つまりSDカードを入れていない機種は、来客が50件を超えた時点で古い記録から消えていくということです。宅配が多い家庭なら1〜2週間で一巡することもあります。あとで見返す可能性があるなら、①SDカードを挿して記録先を増やす、②残したい録画はその都度「保護設定」する、の2つを先に手当てしてください。日時を直しても、消えた録画は戻りません。
運用:年2回、決めた日に見る
月約60秒という前提に立つと、必要なのは「直す技術」ではなく「見る習慣」です。実務で現実的な落としどころは次の3点です。
- 年2回、日付を決めて確認する(たとえば火災警報器の点検や電池交換と同じ日に寄せる)。半年で約6分のずれに収まります
- 停電・ブレーカー操作・親機の充電切れがあった日は、その日のうちに日時を見る。初期値に戻っていれば一目で分かります
- 録画を見返す用事ができたら、まず現在時刻の正しさを確認する。ずれていたなら、記録の時刻もその分ずれていると考えて読む
インターホンの時計は、ずれても誰も怒りません。だから気づいたときには「いつからずれていたのか」が分からなくなっている——これが一番やりにくいところです。Mihataでは中小企業向けに、こうした社内機器や記録まわりの運用整備のご相談も承っています。機器が多くて点検の抜けが怖い場合は、状況を伺ったうえで一緒に整理いたします。
まとめ:手で合わせる前提で設計する
順番は決まっています。①親機の品番を確認して公式の取扱説明書を開く、②日時設定のメニュー(パナソニックのタッチパネル機は[設定/情報]→[設定を変更]→[最初の設定]→[日時設定])から手動で合わせる、③メニューが選べないならホームユニット登録機かマンションの共用部管理なので、ルーターの接続状態か管理会社を見る、④停電や電池交換のあとは必ず再確認する、⑤録画を証拠として使うなら件数上限と保護設定も同時に手当てする——ここまでやれば、インターホンの時刻で困る場面はほぼなくなります。
よくある質問
インターホンの時刻は自動で合いませんか?
多くのテレビドアホンはネットワークに繋がっていないため、時刻は手動設定のみで自動補正はされません。パナソニックは取扱説明書に「時刻は1か月に約60秒ずれることがあります」と明記しており、放置すれば1年で約12分ずれます。親機のメニューから手で合わせ直してください。スマートフォン連携のためホームユニットに登録している機種は例外で、インターネット経由で取得した日時が自動反映されます。
停電のあとにドアホンの日付が大きく過去に戻っていました。
停電で設定した日時が消え、工場出荷時の初期値に戻った状態です。パナソニックのVL-SWD701系は初期値が「2014年1月1日 0時00分」で、取扱説明書にも停電時に日時が消えることがあると記載されています。再設定してください。充電池式のワイヤレス親機では、電池切れ・電池交換・充電中の停電でも日時が消えます。
親機の日時設定メニューが選べません。
ホームユニットや上位機器に登録されている構成では、時刻がそちらから配信されるため住戸側で変更できません。パナソニックのVL-SGZ30/VL-SGZ30Kは、ホームユニットに登録するとモニター機の日時を変更できなくなる仕様です。故障ではないので、ずれている場合はWi-Fi・ルーターの接続状態を確認してください。
マンションのインターホンの時刻がずれています。自分で直せますか?
直せません。パナソニックの公式FAQは、マンションインターホンの日付や時刻は共用部の機器で一括して設定しているため住戸のインターホンでは修正できないとし、管理会社など設備を管理しているところへ相談するよう案内しています。ずれ幅と気づいた日付を添えて連絡するとスムーズです。
録画に日時が表示されません。故障でしょうか。
日時が未設定の可能性が高いです。アイホンの公式FAQはWL-11について「日時設定をしていない場合、表示されません」と回答しています。パナソニックやアイホンの親機は、日時未設定をお知らせランプの点滅やボタンの青色点滅で知らせる作りになっています。まず日時設定を行ってください。