録画した映像の日時が実際と数分ずれている。電源を抜いたら2016年に戻ってしまった。GPS搭載モデルなのに日付が何年も前になっている——ドライブレコーダーの時刻ずれは、同じ症状に見えても原因がまったく別の場所にあります。事故の記録を証拠として出すときに「この映像、本当にその日のものですか」と疑われかねない部分なので、放置せずに切り分けたいところです。
先に結論です。原因はほぼ3系統に分かれます。(1)GPSを受信できていない(ユピテルの取扱説明書では、初めて使うときはGPS測位の完了まで20分以上かかる場合があるとされています)、(2)内蔵バッテリーの消耗(コムテックの公式FAQでは、充電不足で日時情報がリセットされるため1時間程度の走行で充電するよう案内されています)、(3)GPS週数ロールオーバー(週番号が1024週=約19.7年で一巡する既知の現象。コムテックは5機種で2025年8月以降に影響が出ると公表しています)。GPS非搭載モデルは構造上ずれ続けるため、ユピテルの非GPS機の取扱説明書には「1ヶ月に1度、日時設定し直すことをお勧めします」と明記されています。
まず自分の症状がどれかを切り分ける
設定メニューを開く前に、GPS搭載機かどうかと、ずれ方の2点を確認してください。ここで系統を間違えると、直らない操作を繰り返すことになります。
症状 | 考えられる原因 | まずやること |
|---|---|---|
数分〜数十分ずれたまま、じわじわ増える | GPS非搭載機の内蔵時計の誤差 | 設定メニューから手動で合わせ直す(月1回を目安に) |
GPS搭載機なのに合わない | GPSを測位できていない | 空が開けた場所で10〜20分、通電したまま置く |
電源を抜く/車のバッテリーを外すと初期値に戻る | 内蔵バッテリーの充電不足・消耗 | 1時間程度走行して充電し、電源の入り切りで保持を確認 |
「日時がリセットされました」と表示される | 内蔵バッテリーの充電不足・寿命 | 同上。改善しなければ点検・修理を相談 |
日付が何年も前になっている | GPS週数ロールオーバーの可能性 | メーカーの告知で対象機種かを確認 |
ちょうど時間単位でずれる | 時差・タイムゾーン設定の不一致 | 設定メニューの時差/オフセット項目を確認 |
手動で合わせたのに勝手に変わる | GPSの日時情報が手動設定より優先される仕様 | 仕様なので、GPS側が正しく受信できる環境を整える |
GPS搭載モデルの時刻はどう合っているのか
GPS搭載のドライブレコーダーは、インターネット越しに時刻サーバーへ問い合わせているわけではありません。測位衛星が電波に乗せて送っている時刻情報をそのまま受け取っています。ユピテルの公式FAQでも、GPS搭載モデルは「GPS情報に従って自動で日時補正されます」と案内されており、GPS非搭載モデルは手動設定が必要だと切り分けられています。
この仕組みは車載機器に共通です。カーナビやディスプレイオーディオの時計も同じ原理で動いているので、カーナビの時計がずれる原因と直し方とあわせて読むと、車の中にある2つの時計がなぜ食い違うのかが見えてきます。一方、パソコンやスマートフォンはネットワーク経由で時刻を合わせるため対処が別物です。そちらで困っている方はパソコンの時計がずれる原因と直し方を参照してください。
手動で合わせても、GPSの日時が優先される
「設定したのに勝手に変わる」のは故障ではありません。ユピテルのカメラ一体型ドライブレコーダーの取扱説明書には、日時の設定項目について「手動で設定した場合でも、GPS の日時情報が優先され、変更されます」と注記されています。つまりGPS搭載機では、手で合わせるより先にGPSをきちんと受信できる状態にすることが唯一の解です。
初回測位には10〜20分かかる。ガラスで受信できないこともある
取り付けた直後に時刻が合わないのは、単に測位が終わっていないだけのことが多いです。同じユピテルの取扱説明書では、初めて使用する場合は障害物や遮へい物のない見通しの良い場所で10分〜20分程度通電状態にしてGPSの電波を受信させる手順が案内され、別の注意書きではGPS測位の完了まで20分以上かかる場合があるとされています。エンジンをかけてすぐ走り出し、トンネルや高架下を通ってまた停める——という使い方だと、いつまでも測位が完了しません。
もうひとつ見落としやすいのが窓ガラスです。同説明書には「電波の透過率が低いガラス(金属コーティングの断熱ガラスなど)やフロントガラスをメタリックフィルム等で着色している場合、GPS を測位できない場合があります」と書かれています。断熱ガラスの車やフィルム施工済みの車で「屋外に長く置いても測位しない」なら、設定の問題ではなく取り付け位置の問題です。ダッシュボード上やガラスの別の位置を試すか、販売店に相談してください。
GPS非搭載モデルと内蔵バッテリー——「電源を抜くと戻る」の正体
GPS非搭載モデルは、本体の中にある時計だけで時刻を数えています。パソコンやスマートフォンのように毎日補正される機会がないので、水晶振動子の誤差がそのまま積み上がります。ユピテルのGPS非搭載機(DRY-FH330)の取扱説明書は、この点を正直に書いていて、「時刻はずれることがあります。1 ヶ月に 1 度、日時設定し直すことをお勧めします」としています。数分のずれが「故障ではなく仕様」であることを知っておくだけでも、無駄な修理依頼を避けられます。1秒単位のずれがどこから生まれるのかは時計が1秒ずれる原因と正確な時刻の確かめ方で掘り下げました。
「日時がリセットされました」が出たとき
電源を切っている間の時刻を保つのは、本体の内蔵バッテリー(機種によってはスーパーキャパシタ)です。ここが弱ると、エンジンを切るたびに時刻が初期値へ戻ります。コムテックのドライブレコーダー公式FAQでは、この症状について「長期間使用していない場合や内蔵バッテリーの寿命等、内蔵バッテリーの充電不足により日時情報がリセットされています」と説明され、対処として1時間程度走行して内蔵バッテリーを充電し、そのあと電源を入り切りして日時が保持されているかを確認する手順が案内されています。GPS未搭載機種の場合は手動で日時設定を行うこと、それでも改善しない場合は点検・修理を検討することも併せて書かれています。
「日付を設定しても過去の日にちを表示する」「バッテリーの充電をしてくださいと表示する」も、同じFAQで同じ原因(内蔵バッテリーの充電不足)として扱われています。つまり1時間走ってから電源を入り切りする、という1つの検証で3症状をまとめて切り分けられるわけです。ここで保持されないなら、消耗した部品の問題なので自力では直せません。
日付が何年もずれる「GPS週数ロールオーバー」
「時刻は合っているのに、日付だけ何年も前になっている」。これは設定ミスではなく、GPS信号の仕様に起因する既知の現象かもしれません。
GPSは日付を「週番号+その週の経過秒数」で表しています。内閣府の準天頂衛星システム「みちびき」公式サイトの解説によれば、従来の信号では週数に10ビットしか割り当てられておらず0〜1023の数値しか扱えないため、1024週目でゼロに戻ります(約19.7年周期)。1回目は1999年8月21〜22日、2回目は日本時間2019年4月7日午前8時59分41〜42秒に発生しました。なお新しいL2C/L5/L1C信号では週数に13ビットが割り当てられ、次のロールオーバーは2137年まで来ないとされています。
重要なのは、この影響は機種によって出方が違うという点です。ユピテルは2019年4月5日のお知らせで、調査の結果ドライブレコーダー全モデルで影響が出ないことを確認したと公表しています。一方コムテックは、HDR-201G/HDR-021GH/HDR-251GH/DC-DR410/DC-DR510の5機種について、2025年8月以降、GPS衛星受信後の日時設定が過去の日付となり、正常な日付表示および正常な日付での録画データの記録が行えないと告知しており、この5機種はいずれも修理対応が終了していると記載されています。
国土地理院も、測量用のGNSS受信機について2023年8月20日以降の観測で一部にロールオーバー状態が確認されたと情報提供しています。いずれも利用者が設定で直せるものではありません。型番を手元に用意して、メーカーの告知ページで対象かどうかを確認するのが先です。
時刻がずれたままの映像を証拠として使うとき
修理や買い替えまで時間がかかる場合、現実的な備えは「ずれを隠さず記録しておく」ことです。ドラレコの日時が何分ずれているかを、別の正確な時計と見比べてメモに残しておくだけでも、後から時刻を読み替えられます。日本標準時は情報通信研究機構(NICT)が複数の原子時計で生成・維持しており、これにつながる時刻表示と突き合わせれば、ずれ幅は客観的な数字になります。
Mihata が公開している集中時計は、ブラウザで開くだけの全画面デジタル時計で、秒まで大きく表示されます。スマートフォンやパソコンで開いてドラレコの画面と並べれば、ずれ幅を読み取るのは簡単です。ただし集中時計が出しているのは、開いている端末のOSが持つ時刻です。正確な時刻を配信しているわけではないので、端末側で時刻の自動設定が有効になっていることを必ず確認してください。また運転中の操作・注視はしないでください。確認は停車中に限ります。
それでも直らないときの相談先と、伝えるべき情報
ここまでの切り分けで直らない場合、残るのは機器側の問題です。問い合わせる前に次の4点を控えておくと、やり取りが1往復で済みます。
- 型番(本体の側面・底面またはパッケージに記載。ロールオーバーの対象判定に必須)
- ずれ方(何分ずれているか/日付が何年ずれているか/増え続けるのか一定か)
- いつからか(取り付け直後/車のバッテリー交換後/ある日突然)
- 試したこと(屋外で何分通電したか、1時間走行後に保持されたか、手動設定が維持されるか)
型番が告知の対象機種に入っていて修理対応も終了しているなら、買い替えの判断になります。対象外で、1時間走行しても日時が保持されないなら内蔵バッテリーの消耗が濃厚です。GPSをまったく測位しないままなら、取り付け位置かガラスか本体の受信部の問題です。この3つのどれかに当てはめてから販売店・メーカー窓口へ連絡してください。
こうした「調べれば分かるのに、調べる時間だけが消えていく」種類の作業は、社内の問い合わせ対応でも同じ構造で起きています。Mihata では、マニュアルの整理や一次対応の自動化をAIで肩代わりする仕組みづくりをお手伝いしています。手元の困りごとベースでご相談ください。
よくある質問
ドライブレコーダーの時刻を手動で合わせても、すぐ元に戻ってしまいます。
GPS搭載モデルの仕様である可能性が高いです。ユピテルのカメラ一体型ドライブレコーダーの取扱説明書には、日時の設定項目について「手動で設定した場合でも、GPS の日時情報が優先され、変更されます」と注記されています。GPS搭載機では手動設定ではなく、GPSを正しく受信できる環境を整えるのが解決策になります。
GPS搭載なのに時刻が合いません。どれくらい待てばいいですか?
ユピテルの取扱説明書では、初めて使用する場合は障害物や遮へい物のない見通しの良い場所で10分〜20分程度通電状態にしてGPSの電波を受信させる手順が案内されており、GPS測位の完了まで20分以上かかる場合があるとも記載されています。短い走行とトンネルの繰り返しでは測位が完了しないため、空が開けた場所でまとめて時間を取ってください。
電源を抜くと時刻が初期値に戻ります。故障でしょうか?
内蔵バッテリーの充電不足または寿命が疑われます。コムテックの公式FAQでは「日時がリセットされました」の表示について、長期間使用していない場合や内蔵バッテリーの寿命等による充電不足が原因と説明され、1時間程度走行して充電したうえで電源を入り切りし、日時が保持されるかを確認する手順が案内されています。改善しない場合は点検・修理の相談対象です。
日付が何年も前になっています。設定で直せますか?
GPS週数ロールオーバーの可能性があり、設定では直せません。内閣府みちびき公式サイトによると、従来のGPS信号は週数に10ビットしか割り当てていないため1024週でゼロに戻ります。コムテックはHDR-201G・HDR-021GH・HDR-251GH・DC-DR410・DC-DR510の5機種で2025年8月以降に過去の日付となる影響が出ると告知しており、5機種とも修理対応は終了しているとしています。
GPS非搭載モデルは、どのくらいの頻度で時刻を合わせ直すべきですか?
ユピテルのGPS非搭載機DRY-FH330の取扱説明書には「時刻はずれることがあります。1 ヶ月に 1 度、日時設定し直すことをお勧めします」と記載されています。GPS非搭載モデルは本体の時計だけで時刻を数えており補正される機会がないため、数分のずれは故障ではなく仕様です。月1回を目安に設定し直してください。