Mihata
仕事効率化(DX)2026.10.11

Gemini thinking minimal非対応|3.8 Flashの代替設定

結論から書きます。Gemini 3.8 Flash は thinking_level の minimal を受け付けません。指定できるのは low / medium / high の3段だけで、Gemini API の thinking ドキュメントの対応表に minimal の行がありません。そして2026年10月8日に gemini-3.7-flash が非推奨になり、3.7 Flash 宛のリクエストは自動で 3.8 Flash へ回されるようになりました。つまりコードを1行も変えていないのに、minimal を指定していた処理だけが今週から通らなくなるという状況が起きます。

この記事は、その原因を公式ドキュメントで確認し、直し方を3つ(low へ寄せる/3.6 Flash に固定する/3.5 Flash-Lite へ落とす)に整理したものです。どれを選ぶかは「精度を落としたくないか・単価を下げたいか」で決まります。

minimal が使えるモデル・使えないモデル(公式の対応表)

Gemini API の thinking ドキュメントの「Controlling thinking」にある表を、2026年10月11日に取り直してそのまま日本語にしたものです。太字の行が、いま自動ルーティングの受け皿になっている 3.8 Flash です。

モデルID

thinking_level の既定

指定できる値

minimal

gemini-3.8-flash

On(medium)

low / medium / high

×

gemini-3.6-flash

On(medium)

minimal / low / medium / high

○

gemini-3.5-flash-lite

On(minimal)

minimal / low / medium / high

○

gemini-3.1-pro-preview

On(high)

low / medium / high

×

gemini-3.1-flash-lite-image

On(minimal)

minimal / high

○

gemini-3-flash-preview

On(high)

minimal / low / medium / high

○

gemini-2.5-flash

On

low / medium / high

×

gemini-2.5-flash-lite

Off

low / medium / high

×

この表でいちばん大事なのは、gemini-3.7-flash と gemini-3.5-flash の行がもう載っていないことです。非推奨になったモデルは対応表から外れます。minimal を使い続けたいなら、選べるのは gemini-3.6-flash・gemini-3.5-flash-lite・gemini-3-flash-preview(プレビュー版)のいずれかになります。

なぜ急に動かなくなったのか=10月8日の非推奨と自動ルーティング

Gemini API のリリースノートの2026年10月8日付の記載は次の2点です。

  • gemini-3.7-flash は非推奨。「All requests to gemini-3.7-flash are automatically routed to gemini-3.8-flash」=3.7 Flash 宛のリクエストは自動で 3.8 Flash へ回される
  • gemini-3.5-flash は非推奨。こちらは自動で gemini-3.6-flash へ回される

廃止ページの表にも2行とも載っていますが、停止日はどちらも「No shutdown date announced」で未発表です。ここが読み間違えやすいところで、「止まる日が決まっていない」=「何も起きていない」ではありません。止まらないかわりに、指定したモデルと違うモデルが答える状態にすでに入っています。

さらに2026年10月11日時点で、Google の料金ページからも Gemini 3.7 Flash と 3.5 Flash の項目が消えています(残っているのは 3.8 Flash と 3.6 Flash で、単価はどちらも入力$0.75/出力$3.75・2026年12月31日まで)。料金表に無いのに課金は続く、という形なので、自社がどのモデルIDを投げているかはコード側で確認するしかありません。

3.8 Flash は 3.7 Flash より賢いモデルですが、「賢い」は無条件に得ではありません。公式は 3.8 Flash を「長時間のソフトウェア開発・自律エージェント・複雑な業務ワークフロー向け」と位置づけており、単純な分類や抽出のために作られたモデルではありません。だからこそ minimal が無いわけで、世代が上がったことで「とにかく考えさせない」という選択肢そのものが消えた、と読むのが正確です。

直し方は3つ(単価と精度のどちらを取るかで決まる)

直し方

やること

向いている場合

単価(100万トークン・2026年12月31日まで)

① low へ寄せる

thinking_level を minimal から low へ変える(モデルはそのまま 3.8 Flash)

分類・抽出でも精度を落としたくない。コードの変更が1か所で済む

入力$0.75/出力$3.75(3.7 Flash と同額)

② 3.6 Flash に固定する

モデルIDを gemini-3.6-flash に書き換える

minimal の挙動そのままで動かし続けたい。大量の定型処理

入力$0.75/出力$3.75(3.8 Flash と同額)

③ 3.5 Flash-Lite へ落とす

モデルIDを gemini-3.5-flash-lite に書き換える

分類・翻訳・単純なデータ処理が主で、単価を下げたい

入力$0.30/出力$2.50

迷ったら①の low です。モデルIDを変えずに済むので、他の呼び出しへの影響がありません。公式のベストプラクティスも「事実の検索や分類のような単純なタスクには minimal か low を使う」と、minimal と low を同じ用途の並びで挙げています。「minimal が無いから諦める」ではなく「low に寄せる」が素直な読み替えです。

②を選ぶ場合は、3.6 Flash 自身は非推奨になっていない(廃止ページに行が無い)ことを押さえておいてください。むしろ 3.6 Flash は、非推奨になった 3.5 Flash の公式な移行先に指定された側です。世代の数字は 3.8 より小さいのに、立ち位置は「残る側」になりました。詳しくはGemini 3.6 Flash の料金と世代差にまとめています。

③は単価が目的のときだけ選んでください。3.5 Flash-Lite は minimal が既定のモデルで、入力$0.30/出力$2.50。3.6 Flash の半分以下です。ただし公式の位置づけは「大量のエージェント処理・翻訳・単純なデータ処理に最適化した低コストモデル」で、判断を含む処理を任せるモデルではありません。

Gemini 2.5 系に戻すのは勧められない

「古い世代に戻せばいいのでは」と考える方がいますが、2.5 系はそもそも minimal に対応していません(上の表のとおり low / medium / high のみ)。加えて Google は2026年9月18日のリリースノートで、2.5 系へのアクセスを「過去に実際に使っていた利用者」に絞ると告知しています(非推奨ではなく提供は続くが、新規プロジェクトには 3.5 Flash-Lite か 3.8 Flash を使うよう案内)。いま 2.5 系を新しく使い始める道は実質的に閉じています。

同じ事故を次の世代でも起こさないために

今回の件は「モデルが止まった」話ではなく、自動ルーティングで中身がすり替わった話です。止まるなら気づきますが、すり替わりはエラーが出ないまま出力の質や挙動だけが変わるので、気づくのが遅れます。Flash 系は2026年に入って3.6(7月21日)→3.7(8月13日)→3.8(9月2日)と数週間おきに更新されているので、次の世代でも同じことが起きる前提で組んでおくのが現実的です。

  • モデルIDと thinking_level を設定の1か所にまとめる。コードに直書きしていると、今回のような差し替えが「改修」になります。設定ファイル・環境変数・スプレッドシートの設定シートなど、非エンジニアでも書き換えられる場所に置くのが安全です
  • 「最新を自動で使う」エイリアスに寄せない。今回まさに、自動で最新へ回された結果として挙動が変わりました。業務システムではバージョンを固定した具体的なモデルIDを使い、上げる判断は人がする形にします
  • 半年に1度、公式の廃止ページと自社の使用モデルを突き合わせる。告知メールはAPIキーを作った人のアドレスにしか届かないので、退職者や外注先で止まります。手順はAIモデル提供終了への企業の対応に整理しました

なお、同じ Gemini の「次」を待っている方向けに、Gemini 3.5 Pro がまだ使えない理由と代替も更新しています。Pro 系は本日時点でも「coming soon」のままで、動いているのは Flash 系とその周辺だけ、という構図は変わっていません。

まとめ

  • Gemini 3.8 Flash の thinking_level は low / medium / high の3段で、minimal は指定できない
  • 2026年10月8日に 3.7 Flash が非推奨になり、3.7 Flash 宛のリクエストは自動で 3.8 Flash へ回る。だから既存コードが突然通らなくなる
  • 直し方はlow へ寄せる(推奨)/3.6 Flash に固定する/3.5 Flash-Lite へ落とすの3つ。単価は①②が同額、③が半分以下
  • 2.5 系への後退は、minimal 非対応かつ新規アクセスが絞られているため選択肢にならない
  • 再発防止はモデルIDと thinking_level を設定の1か所に出すこと。Flash 系は数週間おきに更新される前提で組む

よくある質問

Gemini 3.8 Flash で thinking_level に minimal を指定できますか?

できません。公式ドキュメントの対応表では gemini-3.8-flash が指定できるのは low / medium / high の3段で、既定は medium です。minimal の行はありません。

3.7 Flash のままにしておけばよいのでは?

できません。2026年10月8日に gemini-3.7-flash は非推奨になり、3.7 Flash 宛のリクエストは自動で gemini-3.8-flash へ回されます。モデルIDを変えなくても、答えるモデルは 3.8 Flash です。

minimal をそのまま使い続ける方法はありますか?

あります。gemini-3.6-flash か gemini-3.5-flash-lite に固定してください。どちらも minimal に対応しており、3.6 Flash は非推奨になっていません。3.5 Flash-Lite は minimal が既定です。

low に変えると料金は上がりますか?

単価は変わりません。3.8 Flash も 3.6 Flash も入力$0.75・出力$3.75(100万トークンあたり・2026年12月31日まで)です。ただし出力価格には思考トークンが含まれるため、考える手数が増えれば請求額は増えます。

Gemini 2.5 系に戻すのはどうですか?

勧められません。2.5 系は minimal に対応しておらず、さらに Google は2026年9月18日に、2.5 系へのアクセスを過去に使っていた利用者に絞ると告知しています。新規プロジェクトには 3.5 Flash-Lite か 3.8 Flash を使うよう案内されています。

まずはお気軽にご相談ください

AI・IT・デザインに関するお悩みやご相談、お見積りのご依頼など、
どんなことでもお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ