Mihata
AI活用2026.09.19

Grok Voice Transcribe 2.0は日本語対応?公式に記載なし

xAI の音声認識モデル「Grok Voice Transcribe 2.0」が2026年9月18日(日本時間)に一般提供を開始しましたが、公式の発表原文とリリースノートを最後まで読んでも、日本語を名指しした記述は1つも見つかりません。書かれているのは「dozens of languages(数十言語)」という表現だけで、日本語の WER(単語誤り率)の数値も公表されていません。つまり「日本語に対応していますか」という問いに、公式情報だけで「はい」と答える根拠は現時点でありません。

ただし「日本語が弱い」という話でもありません。公式に書かれていない、というだけです。判断材料が無いなら、自分の音源で測るしかありません。料金はバッチで音声1時間あたり0.10ドル。1時間ぶんの会議音声を試しても十数円で、検証のコストは実質ゼロに近い水準です。この記事では、公式に何が書かれていて何が書かれていないのかを整理したうえで、日本語で使えるかを自分で確かめる手順をまとめます。

公式原文に書いてあること・書かれていないこと

一次情報は xAI のニュースページとデベロッパー向けリリースノートの2つです。この2つを全文読んだうえで、日本語利用の判断に関わる部分だけを表にしました。

項目

公式に書かれているか

内容

対応言語

△ 曖昧

「dozens of languages(数十言語)」とのみ記載。個別の言語名の列挙は無い

日本語という単語

× 無い

ニュースページ・リリースノートのいずれにも「Japanese」の記述が見当たらない

日本語の WER

× 無い

公開されているのは短文多言語コマンドの WER が20.6%から6.8%へ改善(1.0比)という多言語まとめの値のみ

対応言語の一覧表

× 無い

ドキュメントのモデル一覧ページにはまだ2.0そのものが掲載されていない

料金

◯ 明記

バッチ0.10ドル/音声1時間、ストリーミング0.20ドル/音声1時間(1.0と同額)

精度の全体評価

◯ 明記

社内評価で1.0の約2倍。Artificial Analysis の公開リーダーボードではストリーミング32モデル中1位

誤解のないよう繰り返しますが、「日本語の記載が無い」は「日本語が使えない」ではありませんし、「日本語の精度が低い」でもありません。数十言語に日本語が含まれている可能性は十分にあります。ただ、それを公式情報で確認することが現時点ではできない、という状態です。社内で導入を検討する場では、ここを曖昧にしたまま「対応しているらしい」と進めるのが一番危険です。

日本語かどうかに関わらず確定している仕様

言語の話とは別に、機能面と料金面は明記されています。バッチとストリーミングの両方に対応し、単語単位のタイムスタンプと信頼度スコア、話者分離、最大8チャンネルの独立文字起こしが使えます。1リクエストにつき最大100語のキーターム(固有名詞などの指定)を渡せるほか、数値・日付・通貨・電話番号・メールアドレスの整形出力、フィラー(えー、あのー等)の除去、ターン終了の検出も備えます。話者分離・単語タイムスタンプ・キーワードバイアスはいずれも追加費用なしです。

モデルIDは「grok-voice-transcribe-2.0」ですが、既定値はまだ1.0のままで、2.0を使うにはモデルを明示指定する必要があります。公式は1.0を「数週間のうちに deprecated(非推奨)にする」と述べていますが、具体的な期日は公表されていません。切り替えの段取りはGrok Voice Transcribe 1.0の廃止と2.0への切り替え手順で別途整理しています。採用事例としては、Atlassian の Loom が全動画の文字起こしをこのモデルへ切り替えたことが公表されています。

日本語で使えるか、自分で確かめる手順

公式に答えが無い以上、自社の音源で測るのが唯一の確実な方法です。3つの手順に分けます。難しい話ではなく、要は「本番に近い音を、短く、1回投げてみる」だけです。

1. 試す音源は「きれいな朗読」を選ばない

検証でよくある失敗が、はっきり読み上げた音声で試して「問題なし」と判断してしまうことです。実際の業務で文字起こしにかけるのは、複数人が被って話し、社名や製品名や業界用語が飛び交う会議の録音です。本番でいちばん困っている音源を、3分から5分だけ切り出して投げるのが最短です。長い音源を丸ごと流すと、どこがどう間違ったのかを追えなくなります。

2. キーターム指定に自社の固有名詞を入れる

日本語の文字起こしで実際に困るのは、文章の意味が崩れることより、社名・人名・製品名が別の漢字に化けることです。ここに効くのが最大100語のキーターム指定です。自社名、主要な取引先名、頻出する製品名、社内の略語を並べて渡したうえで、指定あり・指定なしの両方を同じ音源で試すと、改善幅がそのまま自社での実用度になります。追加費用がかからないので、試さない理由がありません。

3. 単語タイムスタンプと信頼度で「どこを間違えたか」を見る

出力を全文読んで良し悪しを感じ取るのは、時間がかかるわりに再現性がありません。単語単位の信頼度スコアが返るので、信頼度の低い単語だけを抜き出して、その時刻の音声を聞き直すという見方ができます。間違いが固有名詞に集中しているならキータームで対処できますし、会話が重なる区間に集中しているなら録音側(マイクの分離、チャンネル分け)の改善が先だと分かります。最大8チャンネルの独立文字起こしは、後者の対策として使えます。

Mihata では、こうした「どのモデルが自社の音源に合うか」の検証と、その後の業務への組み込みまでを支援しています。どこから測ればよいか分からない段階でのご相談も承っています。

日本語の文字起こしで選択肢を比べるときの軸

公式に日本語の明記がある選択肢と並べて考えるのが現実的です。たとえば Google の Gemini 3.5 Transcribe は、日本語(ja-JP)を含む85言語以上に対応することが公式ドキュメントに明記されています。詳細はGemini 3.5 Transcribe の日本語文字起こしと料金にまとめています。

判断軸

見るところ

日本語の明記

公式ドキュメントに言語名または言語コードが載っているか。載っていない場合は自前検証が前提になる

固有名詞への対処

カスタム語彙・キーターム指定があるか、何語まで渡せるか、追加費用がかかるか

1時間あたりの実費

分課金か時間課金か。ストリーミングは割高になることが多い

後工程との接続

話者分離やタイムスタンプが要約・議事録の自動生成にそのまま渡せる形か

モデルの寿命

旧版の廃止予告が出ていないか。切り替え作業の頻度は運用コストそのもの

料金の横比較は文字起こしAPIの1時間あたり料金比較で数字を並べています。また、文字起こしはたいてい単体では終わらず、要約や議事録の形に整えるところまでが実務です。そこまでの流れは生成AIで議事録の文字起こしから要約までを自動化する手順で解説しています。

まとめ

Grok Voice Transcribe 2.0 について、公式情報から言えることは「数十言語に対応し、1.0比で精度が大きく改善し、バッチは音声1時間あたり0.10ドル」までです。日本語という単語も、日本語の WER も、公式には出ていません。良いとも悪いとも公式には書かれていない、という事実をそのまま受け取るのが正確な理解です。

そのうえで実務の結論はシンプルで、短い実音源を1本、キーターム指定あり・なしで投げて、信頼度の低い箇所を聞き直す。これだけで自社にとっての答えが出ます。費用は十数円、作業は1時間かかりません。公表値を待つより早いはずです。

検証の設計や、文字起こしを日々の業務に組み込むところでお困りでしたら、現状をお聞かせいただければ一緒に考えます。

よくある質問

Grok Voice Transcribe 2.0 は日本語に対応していますか?

公式発表とリリースノートには「数十言語(dozens of languages)」とあるだけで、日本語を名指しした記述はありません。対応しているともしていないとも公式には確認できないため、実際の音源で試して判断する必要があります。

日本語の精度(WER)は公表されていますか?

公表されていません。公開されているのは短文の多言語コマンドで WER が20.6%から6.8%へ改善したという多言語まとめの数値のみで、言語別の内訳は出ていません。

試すのにいくらかかりますか?

バッチ処理で音声1時間あたり0.10ドル、ストリーミングで0.20ドルです。3〜5分の音源で検証するなら費用はごくわずかで済みます。話者分離・単語タイムスタンプ・キーワードバイアスは追加費用なしで使えます。

社名や製品名の誤変換を減らす方法はありますか?

1リクエストにつき最大100語のキーターム指定が使えます。自社名・取引先名・製品名・社内略語を渡しておくと、固有名詞の取りこぼしを抑えられます。追加費用はかかりません。

既存の 1.0 はいつまで使えますか?

公式は「数週間のうちに非推奨にする」と述べていますが、具体的な期日は公表されていません。既定のモデルはまだ1.0のままなので、2.0を使うにはモデルIDを明示的に指定します。

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