Mihata
AI活用2026.09.19

grok-voice-transcribe-1.0は数週間で廃止|2.0移行とピン留め

xAI が2026年9月17日(日本時間9月18日)に Grok Voice Transcribe 2.0 を一般提供に切り替えました。ただし Speech-to-Text API の既定モデルは現時点でも grok-voice-transcribe-1.0 のままで、2.0 を使うにはモデルIDを明示指定する必要があります。公式は「近いうちに 2.0 を既定にし、1.0 は数週間のうちに deprecated(非推奨)にする」と明記しています。つまり今すぐ移行する人にも、当面 1.0 のままでいたい人にも、どちらにも作業が発生します。前者はモデルIDを grok-voice-transcribe-2.0 に書き換える、後者は既定に引きずられないよう grok-voice-transcribe-1.0 をピン留め(明示指定)する。この2択を今日のうちに決めておけば、既定が入れ替わる日に出力が勝手に変わって慌てることはありません。

料金はバッチが音声1時間あたり0.10ドル、ストリーミングが0.20ドルで、1.0 と同額です。値上げはありません。

2026年9月17日に発表されたこと

xAI の発表(Published: 2026年9月18日 00:00 UTC = 日本時間 9月18日 09:00)と、開発者向けリリースノートの「September 17」エントリに、Grok Voice Transcribe 2.0 の一般提供が記載されています。管理者側の設定変更は不要で、既存の Speech-to-Text API のエンドポイントからそのまま呼び出せます。

特徴的なのは、xAI が「既存の STT 連携はコード変更なしで精度改善を受け取れる」と説明している点です。これは既定モデルが 2.0 に切り替わった後の話で、今の時点ではまだ既定は 1.0 です。この時間差が、今回いちばん誤解されやすいところだと感じています。

基盤は Grok Voice と同じ音声基盤モデルで、採用事例として Atlassian Loom が全動画の文字起こしをこのモデルへ切り替えたことが挙げられています。

1.0 と 2.0 の差分

公式発表に書かれている範囲で、2つのモデルの違いを並べます。

項目

grok-voice-transcribe-1.0

grok-voice-transcribe-2.0

提供状況

現時点の既定。数週間のうちに deprecated 予定

一般提供。近いうちに既定へ

料金(バッチ)

音声1時間あたり 0.10 ドル

音声1時間あたり 0.10 ドル(同額)

料金(ストリーミング)

音声1時間あたり 0.20 ドル

音声1時間あたり 0.20 ドル(同額)

精度

社内評価で 1.0 の約2倍。短文の多言語コマンドで WER 20.6%→6.8%

外部評価

Artificial Analysis のリーダーボードでストリーミング32モデル中1位

話者分離・単語タイムスタンプ・キーワードバイアス

追加費用なしで利用可

チャンネル

最大8チャンネルを独立して文字起こし

2.0 側で公式に挙げられている機能は、バッチとストリーミングの両対応、単語単位のタイムスタンプと信頼度、話者分離、最大8チャンネルの独立文字起こし、1リクエストあたり最大100語のキーターム指定、数値・日付・通貨・電話番号・メールアドレスの整形出力、フィラー(言いよどみ)の除去、ターン終了の検出です。会議録や電話ログのように「誰が・いつ・何を言ったか」を後から追う用途では、この整形まわりの差が実務の手戻りに直結します。

なお料金は据え置きとはいえ、他社の文字起こしAPIと横並びで見ると1時間あたりの実額はかなり幅があります。主要な文字起こしAPIの1時間あたり実額を並べた比較も合わせて見ておくと、移行のついでに乗り換え先を検討しやすくなります。

今日の分岐:すぐ2.0か、1.0据え置きか

「既定がまだ 1.0」という状態は、裏を返すと何もしないと、ある日いきなり出力が変わるということです。どちらを選ぶにせよ、モデルIDを明示的に書くのが今日の作業になります。

あなたの状況

今日やること

理由

精度をすぐ上げたい/検証環境がある

モデルIDを grok-voice-transcribe-2.0 に変更

料金は同額。話者分離などの追加機能も追加費用なし

出力を後段のプログラムで解析している

まず grok-voice-transcribe-1.0 をピン留めし、並行して2.0を検証

整形出力やフィラー除去で文字列の形が変わり、パースが壊れうる

議事録の体裁を人が決め打ちしている

1.0 をピン留めしつつ、サンプル音声で差分を目視

切替日が不明なので、比較の時間を自分で確保する

モデルIDを設定ファイルに書いていない

どちらを選ぶにせよ、まずIDを外出しして明示指定する

既定依存のままだと、切替の当日まで気づけない

ピン留めといっても、1.0 は数週間のうちに deprecated になる予定なので、あくまで時間を買う手です。恒久的な避難先にはなりません。移行そのものを先送りせず、「いつまでにどちらへ寄せるか」を決めたうえで使うのが前提です。

移行の進め方

作業量としては小さいのですが、確認の順番を間違えると本番だけ壊れます。次の順で進めるのが安全です。

  1. モデルIDを設定に外出しする。コードに直書きしていると、切り戻しに再デプロイが要ります。
  2. 手元のサンプル音声で 1.0 と 2.0 の出力を並べる。特に数値・日付・固有名詞の書き方と、話者ラベルの形式を見ます。
  3. 後段の処理(正規表現・要約プロンプト・DBのカラム)が新しい出力で通るか通す。ここが今回いちばん壊れやすい場所です。
  4. 本番のモデルIDを切り替え、数日は旧出力と並行で保存する。問題があればIDを戻すだけで済む状態にしておきます。
  5. 1.0 の deprecated 告知が出たら、ピン留めを外す期限を決める。告知を見逃さないよう、リリースノートの確認を定例に入れます。

この「使っているモデルIDを台帳にして、告知が出たら期限を切る」という進め方は、xAI に限らずどの提供元でも同じです。手順の型はAIモデルの提供終了に備える6つの手順にまとめています。

私たち Mihata では、こうしたモデル切替の影響範囲の洗い出しや、切り替え後の出力差分のチェックを含めて、業務に入っているAIの面倒を見るお手伝いをしています。社内に専任の担当がいない場合はご相談ください。

読み違えやすい3つの点

モデル一覧ページにはまだ載っていない

公式のモデル一覧(docs.x.ai/docs/models)には、本記事の確認時点で grok-voice-transcribe-2.0 の記載がありません。そのページの Published Time は2026年8月21日のままで、ドキュメントの反映が追いついていない状態です。一覧に無いから使えない、と判断しないでください。一般提供の告知とリリースノートが先に出ており、API 側では呼び出せます。逆に言えば、一覧ページだけを見て棚卸ししている運用だと、今回の変更をまるごと見落とします。

日本語の精度は公式に書かれていない

公式発表に出てくる言語の記述は「dozens of languages(数十の言語)」だけで、日本語を名指しした説明も、日本語の WER の数値も1つも書かれていません。WER 20.6%→6.8% という数字は「短文の多言語コマンド」に対する社内評価の値で、日本語の会議音声にそのまま当てはまる保証はありません。日本語で使うなら、自分の音声で試すしかないのが現状です。公式原文における日本語の扱いはGrok Voice Transcribe 2.0で日本語がどう書かれているかの検証で細かく追っています。

廃止日は明示されていない

公式の表現は「in the coming weeks(数週間のうちに)」であって、1.0 の廃止日は日付として公開されていません。逆算してスケジュールを引くことができないので、「告知が出てから動く」ではなく「告知が出た時点で動ける状態を作っておく」ほうが安全です。ここは各社で対応が分かれるところで、たとえば OpenAI は音声系について realtime / audio 群を2027年1月20日、whisper-1 を含む transcribe 群を2027年2月26日に停止する予定を、日付つきで先に出しています。whisper-1 の終了日と移行先の整理もあわせて確認しておくと、音声まわりの棚卸しを一度で済ませられます。

まとめ

今回の要点は3つです。第一に、Grok Voice Transcribe 2.0 は一般提供済みだが既定はまだ 1.0 で、使うにはモデルIDの明示指定が要ること。第二に、料金はバッチ 0.10 ドル/ストリーミング 0.20 ドル(音声1時間あたり)で1.0 と同額、話者分離・単語タイムスタンプ・キーワードバイアスも追加費用なしであること。第三に、1.0 は数週間のうちに deprecated になる予定で、据え置きたい側にも明示指定という作業が発生することです。

どちらを選んでも、やることは「モデルIDを自分で書く」という一点に収束します。今日のうちに設定を見直しておけば、既定が入れ替わる日を落ち着いて迎えられます。

AIの導入や運用で、どこから手をつければいいか迷われている段階でも構いません。お困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Grok Voice Transcribe 2.0 を使うには何をすればいいですか?

Speech-to-Text API のリクエストでモデルIDに grok-voice-transcribe-2.0 を明示指定します。管理者側の設定変更は不要です。現時点の既定は grok-voice-transcribe-1.0 のままなので、指定しなければ 2.0 は使われません。

grok-voice-transcribe-1.0 はいつ廃止されますか?

公式には「数週間のうちに deprecated にする」と書かれているだけで、具体的な日付は公開されていません。日付が出ていない以上、逆算して計画を引くことはできないため、告知が出た時点ですぐ動ける状態を用意しておくのが現実的です。

2.0 に切り替えると料金は上がりますか?

上がりません。バッチが音声1時間あたり0.10ドル、ストリーミングが0.20ドルで、1.0 と同額です。話者分離・単語単位のタイムスタンプ・キーワードバイアスも追加費用なしで利用できます。

1.0 のまま使い続けたい場合はどうすればいいですか?

モデルIDに grok-voice-transcribe-1.0 を明示指定してピン留めします。既定が 2.0 に切り替わっても、指定している間は 1.0 が使われます。ただし 1.0 は数週間のうちに deprecated になる予定なので、あくまで検証の時間を確保するための一時的な手段です。

日本語の精度はどのくらい上がりますか?

公式発表には日本語を名指しした記述も、日本語の WER の数値もありません。言語については dozens of languages とだけ書かれています。公表されている WER 20.6%から6.8%への改善は短文の多言語コマンドに対する社内評価の値なので、日本語の会議音声で同じ結果が出るかは自分の音声で確かめる必要があります。

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